バフェット氏、ゴールドマン株8割売却 金融危機で出資
【ニューヨーク=宮本岳則】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが保有銘柄の見直しに動いている。保有するゴールドマン・サックス株の8割を3月末までに売却していたことが15日、明らかになった。バフェット氏は米銀株を好み、多額の資金を振り向けている。2008年のリーマン・ショック時にゴールドマンに出資し、その後大株主となっていた。
バークシャーは四半期に1度、米証券取引委員会(SEC)に提出する保有株報告書の中で明らかにした。調査会社ファクトセットによるとバークシャーは2019年12月末時点でゴールドマン株を3%保有する上位10株主の1社だった。売却理由については明らかになっていない。
バークシャーとゴールドマンの関係は08年の金融危機時に遡る。バフェット氏は当時、窮地に追い込まれていたゴールドマンに救いの手を差し伸べた。50億ドル相当の優先株を購入したほか、普通株に転換できるワラント(新株予約権)を取得した。13年に転換権を行使して普通株を取得し、大株主となっていた。
米銀株はバフェット氏の「お気に入り」として知られている。ゴールドマンのほか、バンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースの大株主として名を連ねる。バフェット氏は米経済の将来に「強気」で、その恩恵を最も受ける米銀株を好んでいた。ただ、今回はJPモルガン株の保有減も明らかになった。13日には米大手地銀USバンコープ株の一部売却も公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大でバフェット氏は組み入れ銘柄の見直しを迫られている。2日に開かれた年次株主総会で米デルタ航空など保有する全ての航空株を売却したと明らかにした。コロナによって「世界が変わった」と発言し、感染収束後も乗客が完全に戻らないとみる。米銀も米連邦準備理事会(FRB)によるゼロ金利政策で収益環境が厳しくなっているだけに、バフェット氏の投資判断に注目が集まりそうだ。