現金給付、1世帯30万円に 対象は月収で絞り込み
政府は3日、新型コロナウイルスの感染拡大により収入が減った世帯などへの現金給付の枠組みを決めた。給付額は1世帯あたり30万円とする。減収後の月収が一定の基準を下回る世帯に対象を絞り、高額所得者への給付は見送る。希望する人が市町村に自己申告して受け取る。
安倍晋三首相は同日、首相官邸で自民党の岸田文雄政調会長と会談し、1世帯あたり30万円とする意向を伝えた。岸田氏は会談後、記者団に「1世帯30万円で首相と認識が一致し、了解をいただいた」と述べた。
政府は7日にも現金給付を柱とした緊急経済対策を閣議決定する。裏付けとなる補正予算案を月内に成立させ、早期の現金給付の開始をめざす。
支給対象とする月収の水準について、政府は夫婦2人の世帯の場合、25万円未満とする案などを与党側と調整している。
生活資金がかさむ子育て世帯は子供の人数に応じて基準を緩め、生活資金が少なくても暮らせる単身の場合は厳しくする。子供1人あたりの増減額は与党と今後詰める。
対象世帯は全国5300万世帯のうち、約1000万世帯を想定する。30万円を給付すれば、現金の支給総額は3兆円規模となる。
菅義偉官房長官は3日の記者会見で、給付対象について日本に滞在する外国人も含めて検討する方針を示した。09年に外国人も含めた全国民に給付した定額給付金を参考にすると述べた。
新型コロナを原因とする所得減について政府側が判断するのは難しいため、市町村の窓口への自己申告制とする。収入減少を証明する書類を提出すれば原則支給を認める方向だ。給付金は特例措置として非課税とする。
緊急経済対策は補正予算成立後、早急に実施する対策とコロナ収束後に消費を刺激する対策の二段構えとする。
第1段階では世帯への現金給付に加え、中小企業や個人事業主の給付金が中心となる。収束後に外食や旅行に使える割引券や商品券を発行する。
融資の規模なども含める事業規模は名目国内総生産(GDP)の1割にあたる56兆円を超える過去最大とする方向で調整する。国費などの財政支出は20兆円を上回る見通しだ。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?