LIXIL、復帰の瀬戸氏「騒動収拾にもう1カ月」
LIXILグループが新体制に移行して約1カ月がたった。31日に発表した2019年4~6月期決算は増収増益と堅調に推移しており、瀬戸欣哉氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に復帰した布陣で、ひとまず好調な滑り出しになった。ただ18年秋以降の首脳人事を巡る混乱を引きずったまま。瀬戸氏は収拾にはさらに1カ月ほどを要すると語った。
「内部で割れていることはない」。31日に都内で開いた記者会見で、瀬戸氏はあえて強調した。
首脳人事の混乱が始まったのは18年10月だ。瀬戸氏がCEOを事実上解任され、創業家出身の潮田洋一郎氏が後任に就いた。しかし投資家から批判が噴出し、潮田氏が19年4月に退任を表明。6月25日の株主総会で会社と対立した瀬戸氏が再び経営の先頭に立つことになった。同時に決まった取締役には対立した2陣営の人物が混在する。
社外取締役中心の指名委員会が経営トップを選ぶ制度をいち早く取り入れ、かつては「ガバナンスの優等生」とも呼ばれたが、8カ月間の混乱による傷痕は深い。人材の流出やブランドイメージの毀損も深刻な上、経営陣内の溝をどう克服するかが注目される。
「ノーサイド」。新体制が決まった直後、双方から融和を呼びかける言葉が出た。瀬戸氏は心配する従業員に対しても「LIXILを良くするために、一つになって頑張ろう」などと繰り返し伝えてきた。
22日の取締役会では、潮田氏が推進したシンガポールへの本社機能移転の中止を決めた。瀬戸氏は前体制で作った中期経営計画を取り消し、「21年3月期の事業利益率を7.5%に上げる」目標を掲げて自ら策定した18年4月からの経営計画に再び切り替える考えも示した。記者会見で「新しい体制で特に大きな妨害もなくやれる状況になった」と述べ、潮田氏ら創業家の影響力はなくなったことをアピールした。
同時に「(従業員や取引先に)安心してもらうためにはもう1カ月ぐらいは熱心にやっていかないと厳しい」とも漏らした。社内には深い亀裂が残っているもようだ。ある社外取締役も「過去をほじくると社内対立が深まってしまう」と、対立の根深さを認める。
足元の業績は堅調だ。31日発表の4~6月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比4.2倍の128億円だった。国内向けのサッシなど建材事業やトイレなどの水回り事業が好調だったものの、事業利益率は約3%にとどまった。
課題になるのが国内サッシ事業の立て直しだ。住宅着工件数の減少傾向に伴う需要の停滞が予測される中、過剰な設備で固定費は重い。生産ライン縮小を進め、21年には成果を出す計画だったが「1年近く遅くなってしまう」(同氏)という。
業績不振の伊建材子会社ペルマスティリーザの扱いも早期に解答を出さなければならない。11年に買収したが、減損処理で19年3月期に最終赤字に転落していた。17年にいったん中国企業への売却を決めたが、当局から承認が得られなかった。
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