五輪まで1年 首都高、過去最大の規制実験
2020年東京五輪の開幕まで1年となった24日、本番での都心部の混雑緩和に向けた大がかりな交通規制実験が行われた。競技会場への主要ルートとなる首都高速道路では30カ所を超す入り口を閉鎖し、一般道でも都心方向への流入を絞った。交通規制の試行としては過去に例のない規模だ。結果を検証し、大会時の交通対策を詰める。
首都高では24日は終日、新国立競技場(東京・新宿)最寄りの「外苑」(上り・下り)と選手村(同・中央)近くの「晴海」など4カ所の入り口を閉鎖。さらに交通量を見極めながら午前10時までに「芝公園」など他の約30カ所も閉じた。
東名高速などから首都高へ入る計11カ所の料金所では通行できるレーンを減らした。一般道では都心を囲むように走る環状7号の交差点120カ所で、午前5時から正午まで内側に向かう「青信号」の時間を短くし流入を抑えた。警視庁幹部は「交通規制のテストとしては過去最大」と話す。
同庁によると、午前4~8時の混雑量を前年の同時期と比較すると、首都高3号渋谷線の上りは70%、下りは38%それぞれ減った。同線と並行して走る国道246号の上りは1.7倍の混雑となったが、「全体として深刻な渋滞は起きていない」(交通総務課)としている。
国や都などは企業の協力を得て、9月6日までテレワークや時差出勤などの実証実験中。交通規制はこの一環で、7月24日と同様に「コア日」とした同26日も実施する。
東京五輪では前回1964年大会に続き、選手らの移動に首都高が使われる。首都高は平日は100万台を超す車が通行、1日あたり計約70キロの渋滞が発生する。大会組織委員会によると、大会では選手らの移動に6千台の車両が使用されるなどし、対策をしないと渋滞が2倍に膨らむ。
本番では平日より交通量を30%減らし、「休日並み」とするのが目標だ。通行料金を上下させて流入を調節する「ロードプライシング」の導入も検討している。
日本通運は24、26日の規制による東京湾岸部の混雑を懸念し、一部の貨物の輸送スケジュールを前倒しした。食品卸大手の国分グループ本社は一部の配送時間を変更。取引先には遅配の可能性があることも伝えた。ヤマトホールディングスは「大きな影響はない」とみている。SGホールディングスや日本郵便も通常通りの配送体制だが、ホームページで「配達が遅れる可能性がある」と注意喚起した。
羽田空港など発着のリムジンバスを運行する東京空港交通(東京・中央)は「都心から空港に向かうバスが遅れる可能性が高い」(担当者)とし、早めの乗車を呼びかけた。
交通規制の詳細は日本道路交通情報センターのホームページ内(http://www.jartic.or.jp/)に掲載。
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