心の病で労災、17年度506人で最多に 半数が30代以下
厚生労働省が6日発表した2017年度の労災補償状況によると、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、労災認定を受けたのは16年度比8人増の506人で、1983年度の統計開始以降、過去最多を更新した。500人超は初めて。うち自殺、自殺未遂が同14人増の98人。約半数が30代以下で、約3割の1カ月平均残業時間が100時間以上だった。
精神疾患による労災申請も16年度比146人増の1732人と過去最多になっている。10年前の約1.8倍となり、増加に歯止めのかからない状況が続く。
厚労省の担当者は「患者調査では精神疾患の患者が増えており、労災認定の増加につながっているのでは」と分析。「ストレスチェックを活用するなどし、職場環境の改善につなげたい」としている。
労災認定を受けた人の精神疾患の発症原因では「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」(88人)。「上司とのトラブル」(22人)など職場での対人関係が目立った。ほかに「仕事内容などの変化」(64人)、「悲惨な事故や災害の目撃」(63人)。
年代別では40代が158人で最も多かったが、全体の半数は30代以下が占めた。業種別では製造業(87人)、医療・福祉(82人)、卸売業・小売業(65人)、運輸・郵便(62人)など。
1カ月平均残業時間は、100時間以上が151人。うち160時間以上は49人だった。今国会で成立した働き方改革関連法では、残業時間に月100時間未満などの上限を設けている。
一方、脳・心臓疾患で労災認定を受けた人は16年度比7人減の253人。業種別では運輸・郵便が99人、卸売り・小売り35人など。全体のうち過労死は同15人減の92人だった。申請は840人で3年連続で増加した。