トヨタ、相談役・顧問61人を9人に 奥田・渡辺氏退任
トヨタ自動車は7月1日付で、現在合わせて61人いる名誉会長、相談役、顧問を9人に削減する。昨年、職務や契約のルールを厳格化しており、社長経験のある奥田碩相談役(85)、渡辺捷昭顧問(76)らが退任する。相談役・顧問制度は東京証券取引所が上場企業に役割の開示を求め、海外投資家の批判もある。OBに厚いと言われたトヨタも削減にようやく乗り出した。
これまでトヨタでは副社長以上の役員が退任した場合、相談役に4年間、専務以下の役員は1~2年間、顧問に就くことが慣例として続いてきた。
トヨタは昨秋に社外取締役が半数を占める「役員人事案策定会議」が相談役と顧問の役割を審査するルールに変更し、「すべての相談役と顧問の契約を一度リセットした」(トヨタ)という。行政の委員会や経済団体の役職に就く場合など、1年間の任期で相談役や顧問に就くようにし、大幅に減らす方針を示していた。
7月以降は豊田章一郎名誉会長(93)のほか、複数の社外団体の役職についている張富士夫相談役(81)と池渕浩介相談役(81)、社外の有識者ら6人の顧問の計9人に絞る。
相談役や顧問の経験のあるトヨタOBからは「経営の透明化が求められる時代の対応で当たり前だ」「貢献者を大事にしてきた文化が失われるのでは」と賛否両論の意見が上がっている。グループ会社にも新ルールの適用を求めており、トヨタグループ全体で過去の慣例の見直しが加速している。
相談役・顧問制度は会社法の規定がないが、東芝の社長OBが介入し経営が混乱したとされる事態をうけて、投資家や米議決権行使助言会社などが同制度を批判。東証が1月、上場企業に提出を義務付けている「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)に関する報告書」に相談役や顧問についての詳細を記入するよう要請した。
2018年に入り、パナソニックが相談役を、三菱商事が社長経験者が就く特別顧問を廃止するなどの動きが活発になっている。すでに約200社が顧問や相談役の勤務状況や報酬などを明らかにしている。