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ストレッチは筋トレ後? 筋肉を増やすための10原則

最短で筋肉が鍛えられる自重筋トレ(9)

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日経トレンディ

筋肉量を最速で増やすには、押さえておきたいポイントがいくつかある。ジムを利用したほうがいいのか? トレーニング後にプロテインをたっぷり取ったほうがいいのか? 食事制限は必要か? …など気になる疑問について「速トレ+スロトレ」の筋トレ術を提唱するトレーナーの比嘉一雄さんに聞いた。

Q1 筋トレが続かなくて挫折してしまいます

A 筋トレできない週があっても取り戻せる

筋トレはコツコツ続けるのが理想ですが、実は休んでも追い付くことが可能だという研究結果があります。図1は、筋トレをコンスタントに続けた群と、1週間集中して筋トレをして、その次の1週間は休むという方法を取った群の筋肉量を比較した研究。後者の筋肉量も、アップダウンしながら前者に近づいているのです。忙しくて休んでしまった期間があっても、諦めることはありません。

Q2 ジムのほうが効果的に鍛えられる?

Q2 ジムのほうが効果的に鍛えられる?

A 自重筋トレもマシン筋トレに負けず劣らず鍛えられる

マシンのほうがより強い負荷をかけられると思いがち。でも、体重80kgの人なら、プッシュアップの際に約50kgもの重みがかかります。筋肉はどんな方法を取ろうとも同じ負荷なら同じように成長するので、バーベル50kgに相当する効果があるわけです。「メカニカルストレス」と「ケミカルストレス」(詳細は「1日5分の『速トレ+スロトレ』 これぞ最強の筋トレ術」を参照)を組み合わせるなど工夫すれば、さらに筋肉を追い込める。自重を使うことで、自宅でいつでも筋トレできるメリットがあり、けがのリスクも小さくなります。

Q3 筋トレの前に有酸素運動をすべき?

A 有酸素運動は筋トレ効果を小さくする!

ランニングなどで体を動かしてから筋トレをするという人もいますが、実はそれは損。有酸素運動を20分以上すると脂肪細胞の中性脂肪が分解され、遊離脂肪酸が血中に多く出てきます。その状態で筋トレをすると、成長ホルモンなどの分泌が妨げられることが分かっています。逆に、筋トレをしてホルモンを分泌させた状態で有酸素運動をすると、最初から効率よく脂肪が燃える。筋トレ→有酸素運動が大原則です。

Q4 筋トレ前にストレッチは必要?

A ストレッチは筋トレ後にやる

「運動の前にストレッチ」という習慣がある人もいますが、必ずしも必要ありません。実はゆっくりと筋肉を伸ばす「静的ストレッチ」を行うと、副交感神経が優位になり筋力が低下することが分かっています。また、筋肉内には筋肉の伸ばされ方を測るセンサーの「筋紡錘」があり、これはストレッチをすると感度が下がり筋力を発揮しづらくなります。ストレッチは、筋トレ後にすることで、筋肉の血流量をアップさせて疲労回復を促すほうが理にかなっています。

Q5 ウォームアップはどうやってすればいい?

A 筋トレと同じ動きを軽くやって体を温める程度でOK

静的ストレッチは逆効果といっても、体が冷えた状態で急に筋トレをするのも考えものです。お勧めは、反動をつけて筋肉を伸び縮みさせる「動的ストレッチ」。または、トレーニングと同じ動作をごく軽い負荷で行って、体を温める程度のウオーミングアップとしてもよいのです。筋トレ前にあれこれとやるべきことが多いと、なかなか続きません。軽く動かして温めたらすぐに筋トレを始められることを覚えておいてください。

Q6 筋肉痛があるときにトレーニングすると回復が遅くなる?

A トレーニングしてもOK

筋肉痛があるうちに筋トレすると、回復しづらくなるのではないかと感じますが、そうではありません。図2は、1度だけ筋肉痛が起こるような筋トレを行った群と、筋肉痛から回復する前に2回の筋トレをした群を比較した研究データです。結果はどちらも回復しきるまでの時間はほぼ同じ。筋肉痛は2回目のトレーニングではそれほど起こらなくなるという研究もあります。

Q7 筋トレと同時に食事制限すればやせる?

Q7 筋トレと同時に食事制限すればやせる?

A 筋トレ中はむしろ1日4食取る。糖質も必要

せっかく筋トレするのだから、食事を我慢して一気にやせようというのは逆効果。筋トレ後に筋肉量を増やすためには、細胞内でのタンパク合成が必要です。食事をするたびにタンパク合成は高まるので、食事回数を多くするほうが有利。もちろんそのぶん摂取エネルギー量が増えると太ってしまうので、全体の食事量は一定にしたままです。また、糖質が制限された状態では、筋トレ後に細胞内にエネルギーが行かず、筋肉が分解されてしまう。筋トレをしない日は糖質オフにしてもOKですが、筋トレした日はタンパク質とともに糖質を取ることが重要です。

Q8 筋トレ後にプロテイン飲料はたっぷり取ったほうがいい?

A プロテインは取り入れるべきだが、1回20g以上は意味なし

筋肉量を増やすにはタンパク質が必須。トレーニングする人は、体重1kg当たり1.5~2gのタンパク質が必要とされています。つまり体重60kgの男性なら120g。これを、脂肪分のある肉や魚だけで取ろうとすると全体の摂取エネルギー量が上がってしまいます。そこで、プロテインのサプリメントがお役立ち。筋トレ後に飲むのがベストタイミングです。ただしプロテイン摂取量を変えて実験した研究で、1回に20g以上摂取してもタンパク合成量は上がらなかったという報告があります。

Q9 筋トレ前に取るべき栄養とは?

A アミノ酸のサプリと糖質を少し取っておくといい

筋トレ前に取るのにお薦めなのは、プロテインが分解されたアミノ酸の形になったサプリ。特にバリン、ロイシン、イソロイシンのBCAAと呼ばれる3種のアミノ酸は、タンパク合成を強固に促す他、疲労物質をたまりにくくする作用もあります。なかでもロイシンは優秀成分。また、糖質が不足していると筋肉が合成されにくいため、脂質が含まれない糖分を少量取るといいでしょう。

Q10 もっとやせたいが甘いものも欲しい

A 筋トレ後に取った糖質は脂肪になりにくい

糖質を取ると血糖値が上がり、それを抑えるためにインスリンが分泌されます。このホルモンは細胞を成長させる役割があり、脂肪細胞が増えてしまうため糖質の取り過ぎはダイエットの敵というわけです。一方、インスリンは筋肉の増加にも働きかけるため、全く取らないのも間違い。筋トレ後は、インスリンが脂肪細胞に働きかけにくいということが分かっています。甘いものを食べたいなら、筋トレ後のご褒美とするのが賢い方法です。

比嘉一雄さん
 CALADA LAB.代表。1983年福岡県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、東京大学大学院に進学。石井直方氏の下で、研究と現場を両方知るトレーナーとして活動を開始。科学的根拠に基づく「えびすメソッド」を考案した。『自重筋トレ 100の基本』(エイ出版社)など著書多数。

[日経トレンディ2018年4月号特別付録記事を再構成]

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