公有財産早期賠償を 双葉町、東電新社長に要請
東京電力福島第1原子力発電所事故で全町避難が続く福島県双葉町は27日、同町の仮庁舎(同県いわき市)を訪れた東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長に要求書を提出した。町有地など公有財産の賠償について早期に方針を示し、実行することを改めて要請。小早川社長は「速やかに判断できるように準備を進めていく」と述べるにとどめた。
避難指示が一部解除された浪江町の町有地などに対し東電が賠償を支払ったことを受けて、双葉町についても早期の対応を迫った。このほか、廃炉作業の安全や避難者への賠償の徹底、同HDの福島復興本社(富岡町)を最終的に同町に移転することなども求めた。伊沢史朗町長は「言葉だけでなく一人ひとりに寄り添って対応してほしい」と注文した。
就任直後の小早川社長は同日、前社長の広瀬直己副会長らと原発事故の影響が大きかった計6町を訪問。「新体制になっても福島への責任を全うすることにいささかの変わりもない」と重ねて強調した。28日以降、川俣町など別の7市町村を訪ねる予定だ。
双葉町の仮庁舎では、小早川社長が記者団に、同町について「一部、避難(指示)が解除された区域がある」と発言し、訂正する一幕もあった。続いて取材に応じた伊沢町長が「人間だれでも間違いがあると思うから、(廃炉、賠償などに)しっかり取り組んでほしい」と、とりなした。