機長、パイロット養成事業許可なし 調布の墜落
東京都調布市の小型機墜落事故で、川村泰史機長は社長を務める「シップ・アビエーション」(調布市)のホームページ(HP)でパイロット養成訓練を宣伝する一方で、養成事業に必要な国の許可を受けていなかったことが27日、国土交通省への取材で分かった。
国交省の担当者は「事業の実態が不明」として、今回の飛行の目的や経緯、金銭授受の有無などを調べている。
航空法の規定では、費用を受け取ってパイロット養成事業を経営するには、国交相から「航空機使用事業」の許可を受ける必要がある。許可を受けるためには、パイロットの健康管理などの運航規定や機体の整備マニュアル策定などの条件が課され、国が定期的に監査する。
国交省によると、川村機長は訓練の指導に必要な「操縦教育証明」の免許を2013年2月に取得していたが、パイロット養成事業に必要な許可は受けていなかった。
シップ社のHPによると、趣味として飛行する自家用操縦士コースは約5カ月間で費用は324万円と紹介。ただ「関連役所等の飛行訓練に対する理解が得られず、許可を受けるに至っておりません」と説明し、飛行訓練はパイロットを養成する航空機使用事業ではなく、「クラブ運営方式」と主張している。
都によると、川村機長は事故時の飛行目的はパイロットの技能維持を目的とした「慣熟飛行」としていた。慣熟飛行ではパイロットを目指す人の同乗も許されている。
住宅街にある調布飛行場は近隣住民への配慮から、離着陸回数を制限している。遊覧飛行などは認めていない。国から東京都に管理が引き継がれた1992年以降、事業者の新規参入も受けつけていない。