ヘッジファンドがほんとうに悲惨なのは、最近の平均リターンが2%しかないことではない

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ブルームバーグによると、ヘッジファンド業界が最近の成績不振で苦悩しているようです。

ヘッジファンドの過去3年の業界リターンは平均2%しかなく、大半のインデックスファンドを下回っているとのこと。成績不振と高い手数料に年金基金を含む機関投資家は不満だそうです。

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(出典:自分の能力、もう信じられない-ヘッジファンド運用者の悲惨な新世界 - Bloomberg)

こうしてグラフで見ると、たしかにヘッジファンド・インデックスは、バンガードのバランス・インデックスファンドに大きく負けています。

株式60%:債券40%のシンプルで低コストなインデックスファンドにかなわないのだとしたら、ヘッジファンドに高い手数料を払っている機関投資家が不満に思うのもわからなくもありません。

ただ、このグラフを見て、ヘッジファンドを上げ相場の時だけで評価するのは、もしかしたらフェアではないかもしれません。

一般的に、ヘッジファンドは絶対収益(絶対リターン)を追求します。ですから、たとえ上げ相場でインデックスの半分のプラスリターンしか上げられなくても、暴落相場でプラスマイナスゼロで踏みとどまってくれるのであれば、ヘッジファンドはその名のとおり、「リスクをヘッジ」していると言えるでしょう。

当ブログは10年以上続けているので、2007年のサブプライム・ショックや「100年に一度」と言われた2008年のリーマン・ショックのさなかにも、ブログ記事を書いていました。そこで、当時のヘッジファンドにまつわるブログ記事を振り返ってみました。


戦略問わずヘッジファンドのパフォーマンスが低迷するメカニズム - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)


ロング・ショート、アービトラージ、マーケット・タイミング、レラティブ・バリュー、イベント・ドリブン、マーケット・ニュートラル、グローバル・マクロ等々、ヘッジファンドには様々な投資戦略があります。

しかし、2008年当時、ヘッジファンドクルークによれば、ヘッジファンドはほぼ全ての戦略でマイナスリターンを記録。その理由が、市場が不安定で資金調達が困難になったからとのこと。要するに、借金できなかったので儲けられませんでしたということです。

もちろん、暴落相場ではインデックスファンドも大ダメージを受けるのですが、かといってヘッジファンドなら助かるのかと言えば、やっぱり、あまり期待できそうにないなと思ってしまいます。

冒頭のブルームバーグの記事によると、ヘッジファンド運用会社の運用者が、ここ数年の業界のリターンについて、「悲惨、とにかく悲惨だ」と言ったそうですが、本当に悲惨なのは、暴落相場でヘッジファンドがちっともリスクをヘッジできない時ではないでしょうか。



※上記記事はヘッジファンド・インデックスを対象にした平均的な「傾向」の話であり、すべてのヘッジファンド銘柄が期待できないと言っているわけではありません。言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。

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