「しぶとい分散投資術」(田村正之著)は金融危機でも分散投資が有効であったことをデータで解説

※記事中にPRを含む場合があります

「しぶとい分散投資術」(田村正之著)を読みました。
この本は、今回の金融危機、また過去の様々な経済危機下でも分散投資が有効であったことを、データを用いて解説していました。



「100年に一度」と言われる金融危機の真っ只中にある現在、世の中はネガティブなニュースで満ち溢れています。
ニュースは新しいからニュースなわけで、もちろんそれはそれで大切なのですが、目の前で起きていることばかり見ていると、どうしても近視眼的になりがちです。
長期的な過去のデータを紐解くと、また別の景色が見えてくることもあるようです。

本書では、例えば、

  • 米大恐慌では株価の戻りに25年かかったが、きちんと投資時期と投資対象の分散をしていれば3å¹´9ヶ月で投資収益はプラスに転じていた
  • 4資産に分散して長期保有していれば、大恐慌以来と言われる今回の金融危機まででも資産は増えていた
  • 過去も経済危機のときには株式の世界分散投資の効果は消えたが、平時になると再び回復してきた
というような事実が、イボットソンのデータなどに基づいて解説されています。
もちろん、過去がそうであったからといって、今後もそうなるとは限りません。
しかし、ネガティブニュース漬けで近視眼的になっている視野を、長期的視野に引き戻してくれる効果はあると思います。
特にインデックス投資家にとっては、おおいに励みになる内容になっていると思います。

「2008年の株安・円高でも分散投資は有効だったか?」
「グローバル化で「株式の世界分散投資」は無意味になった?」
「次に上昇する資産や銘柄に集中投資すべきでは?」
「株は全部売って下落の恐怖から逃れるべきでは?」

上記は本書の小見出しの一例ですが、いま同じような疑問を持っておられるかたは、本書を読んでみると参考になるかもしれません。


<追記1>
著者の田村氏は、僕もブログで取り上げさせていただいた日経新聞2008年10月20日朝刊の記事、「金融危機 分散投資の有効性は?」を書いたかたです。本書はデータ的にも考察的にも、その発展版と言えると思います。
(関連記事)
2008/10/20 金融危機 分散投資の有効性は?

<追記2>
本書には取材に基づくコメントがたくさん出てきますが、そのなかに不肖水瀬のコメントも掲載されていました。何かのご参考になれば幸いです。

※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。

関連記事