「ローマ人の物語」の読みどころ【まとめ】
おもしろければ、それでいい、という姿勢で読んでいる。これを教養書や歴史書として読む奴の気が知れん(→いわゆる団塊社長)。お題にもあるとおり、これは「物語」として読むのが正解。
例えば、「たら」「れば」の乱発、見てきたような断定口調、その一方で「…と思う」で終わる文章、妄想爛漫、カエサル萌え… 好き放題に書いてる ── それでも威を借るために歴史書からも引用頻々… 史家をチクりチクりと批判しながら。
つまり、往年の名著「男たちへ」で培ったシニカルな目線は、ローマという増幅装置を使って現代へ放射しているんだな ── それが団塊世代には心地よいらしい。ダンナや息子が激しく気の毒に思えるが、日本最高齢の腐女子として、がんばってくださいと、つい応援したくなる。
したがって、楽しめる読み方は、ツッコミを入れながら、塩婆がバッサリ斬った史実や書籍を拾いながらが良い。
「塩婆が言ってることはホントーか?」
「どこから妄想で、どこまで史実なのかね」
「ちょっwwww、おまっwww、見たんかい!」
だから、肩ヒジ張って読む必要なし。好きなトコから始めて、ヤになったら止めればいい。それが、ハードカバーで15巻という大著とつきあう最適解。お婆ちゃんなんだから、集中力が尽きてつまらねぇ巻もあれば、ノリノリ(死語)で飛ばしてて、読んでるこっちも夢中にさせられるような章もある。このエントリでは、面白いところを集中的にオススメするから、ソコだけを愉しめばいい。例えば出だし、とりあえず第1巻から読み始めると、ちっとも面白くないので要注意!初読なら「ハンニバル戦記」のある文庫本第3巻から読むべし!(文句なしに面白い徹夜本だおー)。
そんなつもりで、各巻の「読みどころ」をだらだら書いてきたが、書き手の自分でも何をどこまで書いたのか分からなくなってきたので、まとめる。「誠天調書」がスゴく参考になった[参考]、ありがとうございます、lqlobさん。
■「読みどころ」シリーズ:各巻の面白いところをご紹介
- ローマ人の物語I「ローマは一日にして成らず」の読みどころ
- ローマ人の物語II 「ハンニバル戦記」の読みどころ
- ローマ人の物語III 「勝者の混迷」の読みどころ
- ローマ人の物語IV「ユリウス・カエサル――ルビコン以前」の読みどころ
- ローマ人の物語V「ユリウス・カエサル――ルビコン以後」の読みどころ
- ローマ人の物語VI「パクス・ロマーナ」の読みどころ
- ローマ人の物語VII「悪名高き皇帝たち」の読みどころ
- ローマ人の物語VIII「危機と克服」の読みどころ
- ローマ人の物語IX「賢帝の世紀」の読みどころ
- ローマ人の物語X「すべての道はローマに通ず」の読みどころ
- ローマ人の物語XI「終わりの始まり」の読みどころ
■「10倍楽しく読む方法」シリーズ:「ローマ人の物語」だけではもったいない
- 「ローマ帝国衰亡史」比較 ご存知「ローマ帝国衰亡史」読み比べ
- ローマの休日で朝食を 読むと浪漫飛行したくなる「『ローマ人の物語』の旅 コンプリート・ガイドブック」の紹介
- 「カエサルを撃て」は強姦率100% 異色のカエサルを描く
- 「古代ローマ軍団大百科」 ローマ=軍団国家=土建国家、この本質が具体的に分かる
- 「ローマ人への20の質問」 ローマFAQ集ともいうべきで、塩野氏のシュミがいかんなく発揮されている
- カエサルはこの順に読むべし 「ガリア戦記」と「内乱記」はこう読め!
- 「プルターク英雄伝」と比べ読むと… 大著のダイジェスト版の紹介
- 「ジュリアス・シーザー」が『ユリウス・カエサル』でない理由 シェイクスピアって…
- 「ローマ人の物語」を歴史の専門家はどう評価しているのか? 信憑性に「?」ありと薄々思ってはいたが…
- 見てきたように描いてある「激闘 ローマ戦記」 塩野氏よりも「したり顔」になれる
■おまけ
- 「メイキング・オブ・ローマ人の物語」とも言える、「ローマ人の物語」製作の舞台裏BLOG
以降、このエントリを目次がわりにリンクを追加していこうかと。
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コメント
> お婆ちゃんなんだから
うーん、40歳から毎年一冊ずつ上梓してるんですよね。
お婆ちゃん、すか。
投稿: nobody | 2006.12.14 09:23
>> nobody さん
ああ、確かにそうですね、うかつでした
投稿: Dain | 2006.12.15 22:49
>文句なしに面白い徹夜本だおー
あなたも萌え。
だだっこが変なチャチャを入れているようで、まとまりがなくもの凄く読みづらい上に趣旨が把握できない。
投稿: 通りすがり | 2008.05.12 01:49
>>通りすがりさん
あはは、ということはその「まとまりがなくもの凄く読みづらい」文章を、「趣旨が把握できない」と判断されるまで読んでいただいたのですね。
ありがとうございますw
投稿: Dain | 2008.05.13 00:22
>読んでいただいたのですね。
悪いけど読んでないよ。
ざっと眺めただけ。
投稿: 通りすがりさん | 2009.09.05 01:28
記事と全く関係ないコメントで恐縮なのですが、一年四ヶ月経過しても律儀にコメント返ししていらっしゃる、通りすがりさんに萌えw
投稿: 普段はROM専 | 2009.09.29 16:32
もうローマ人の物語の書評はしないんですか?
11~15巻も面白いですよ
投稿: えぼし | 2010.08.23 08:41
>>えぼしさん
コメントありがとうございます。
ほんとうですか!? (基本的に)いいところをオススメする趣旨でこのblogを運営しています。そのため、巻を追うごとに残念な気持ちになっています。このシリーズは「ハンニバル」「カエサル」が白眉で、あとは下り坂のように見えます(わたしが間違っていたら、ごめんなさい&嬉しいです)。
キリスト教との確執のあたりは期待でき……る?
投稿: Dain | 2010.08.24 07:01
11-15巻はハンニバル、カエサルの血湧き肉躍る面白さは
ないけれど、ローマ衰退と分裂のプロセスはなかなか面白いですよ。(ディオクレティアヌス~ユリアヌス、スティリコなど)
塩野センセイの独特な考察もインフレとデフレを完全に間違えてたりと楽しめます。
↓
http://www.geocities.jp/marsall_ao/study/study200901-06.html
投稿: えぼし | 2010.09.02 12:31
>>えぼしさん
煽っていただき、嬉しいです。ローマの衰亡そのもは、確かに面白そうです。塩野節の香ばしさも楽しみながら読みますね。
インフレ/デフレの件ですが、リンク先を読むかぎり、塩野氏の間違い(?)は一箇所かと。本来デフレは持続的な物価の下落ですが、塩野氏は、景気後退を伴う物価の下落、ひいては景気後退だと捉えているようです。この部分の間違いに目をつぶると、後の論に筋が通ります(景気後退+インフレ=スタグフレーション)。ここは生暖かく見守ってさしあげましょう。
投稿: Dain | 2010.09.03 22:44