アップル「課税逃れ」追及へ 米上院がCEO招致
米議会上院は21日午前(日本時間同日夜)、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)を公聴会に招致し、米連邦法人税を巡る同社の姿勢を問いただす。同社は1千億ドル(約10兆円)を超える現金などの海外資産を保有しており、議会は「巨額の海外資産移転により課税を逃れている」と追及する構え。クックCEOがどのように反論するかに注目が集まる。
21日は上院常設調査小委員会がクックCEOを公聴会に招致し、証言を求める。与党・民主党のレビン委員長は公聴会に先立ち「海外(オフショア)への資産移転を使ったアップルの巧妙な課税回避の手法を追及する」などと述べ、厳しい姿勢で臨む考えを強調した。
アップルは米国のほかに日本や欧州などで巨額の利益を稼いで、現地で税引き後の手元資金を潤沢に積み上げている。連邦法人税率が35%と国際的に高い米国を避け、アイルランド子会社などを経由して事業収益を海外移転しているとの見方もくすぶる。
米議会には、アップルに代表される巨大な国際企業への課税を強化し、歳出強制削減を打ち切った際の代替財源を手当てしたいという思惑もある。21日の公聴会は、こうした節税対策の実態と納税姿勢が焦点となる。
一方、アップルは反発している。同社は、事前に公表した公聴会発言要旨で「我々は2012年度に米財務省に約60億ドル(約6120億円)の所得税を支払った最大の納税企業だ」「(租税回避地である)カリブ諸島やケイマン諸島に資金は置いていない」などと説明。企業の課税義務を果たしていると強調した。
さらにアップルは、米法人税制が複雑すぎるうえに税負担も重いと指摘。特定の企業が利益を受ける租税特別措置の全廃や法人税率の引き下げなどの改革を米議会に促している。
法人課税を巡っては、米コーヒーチェーン大手のスターバックスが英国議会などの節税批判を受けて、2年間は「利益に関係なく」一定額の法人税を支払うとした。欧州を中心に、グーグルやアマゾンなど国際的に業務展開する高収益企業への風当たりも強まっている。(ワシントン=矢沢俊樹)