例の洋楽カラオケ“diva”では年に一度歌詞に焦点を当てたイベント“Lyrics,Message&Memories”が行われる。
事前に申告した曲の歌詞と対訳が載った小冊子が配られてそのイベントは進行する。
ネット上で気に入った訳が見つからなければ自分で訳すことになる。
その際私が心掛けているのは、なるべく英語の語順通り訳すことだ。
少なくとも行は跨がないことにしている。
かって習った学校英語的発想なら、ただでさえ短い歌詞など複数行を訳し上げることになるが、作った人は当然前から順番に感じてるわけだから。
但しそれには少しばかり工夫がいる。
繋ぎの言葉は原語に拘らないことだ。
それには昔聞いた同時通訳者のテクニックがヒントになっている。
例えば、飛行機の経路案内のアナウンスを訳すとする。
オリジナルの日本語だと、「当機は太平洋を東に進み、『その後』北に向きを変え東京を目指します。」となるだろうが、英語では「太平洋を東に進みます。向きを北に変えて東京を目指す『前に』。」なんてことになる。
英文和訳の問題なら、最後まで読んで「向きを変えて北へ向かう『前に』太平洋を東に進みます。」と訳すだろうが、出だしなどなんか日本語としておかしいし、なにより同時通訳なら、聞くと同時に「太平洋を東に進みます。」と喋らないといけない。ところが、困り者は“前に/Before”だ。ここで辞書通りやると「『前に』東京へ進む。」なんてやはり不自然な日本語になる。
それで、彼らはあえて“Before”を「その後」と訳すそうだ。
そうすれば冒頭の元々日本語で書いたような文ができあがるわけだ。
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テーマ : 英語
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