「遠い世界に」

フォークソング=反体制のイメージだった。
それが「戦争を知らない子供たち」(1970)のような反戦フォークから、「神田川」(1973)四畳半フォークを経由し、ニューミュージックと呼び名が変わり、歌謡曲に吸収されていった。
当時のフォークでは「遠い世界に」(1969)が好きだった。
あの歌の背景には、自分を含めた若い世代が日本を変えていくんだ、という確信がある。
「遠い世界に旅に出ようか」
「暗い霧を吹きとばしたい」
「力を合わせて生きる事さえ、今ではみんな忘れてしまった、だけどボク達若者がいる」
「みんなで歩こう長い道だが、一つの道を力のかぎり、明日の世界をさがしに行こう」
あの頃夢想した『理想の人生』はこうだった。
「革命的な変化が起きるなら、柔軟性のある若い時代がいいなあ。
年取ってからの急激な変化は、しんどそうだから」
就職する時(1982年)にIT業界を選んだ背景には、そんな『理想の人生』があった気がする。
おおむね思惑通りだったはずだが、終盤になって「AI」がクローズアップされてきた。
「AI」が人類を幸せにするのか、見通しは立っていない。