
特集
熊本地震
2016年4月14日と16日に発生した熊本地震。最大震度7の激震に2度襲われ、熊本、大分両県で関連死を含めて276人が亡くなった。
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観測史上初めて最大震度7の強い揺れが2度襲った熊本地震。2016年4月14日夜、熊本県益城町で後に「前震」とされる震度7を観測した地震(M6.5)が発生。気象庁が「震度6弱程度の余震が1週間ほど発生する恐れがある」と警戒を呼びかけるなか、16日午前1時25分ごろ「本震」が南阿蘇村や熊本市などを襲う。16日の地震は1995年の阪神大震災と同規模のマグニチュード(M)7.3と推定された。
2度の大地震はだれもが予想せず、避難先から自宅に戻ったところを再び大地震に襲われ、犠牲になった人も多かった。その後の関連死を含め、熊本、大分両県で276人(2020年9月)が亡くなった。
本震翌日の17日には18万人余りが県内の避難所に身を寄せ、仮設住宅への入居は16年6月5日に始まった。1年後の2017年4月の時点でも、4万4000人以上が仮設住宅や民間住宅を県などが借り上げる「みなし仮設住宅」で避難生活を余儀なくされた。その後、災害公営住宅への転居が進む一方で、孤独死など課題は残ったままだ。
文化財の復元、一歩ずつ
熊本地震は文化財にも甚大な被害を及ぼした。国特別史跡の熊本城は、「武者返し」の名で親しまれている石垣が6カ所で崩落したほか、国重要文化財の長塀は倒壊し、平櫓も損壊した。なかでも日本一美しいと言われる石垣は全体の約3割が被害を受け、7万~10万個の積み直しが必要と見られている。
「熊本のシンボル」復活へ、最優先で工事が進められた熊本城天守閣は、地震発生から5年を前にした2021年3月に工事が完了し、4月から一般公開が始まる。熊本市が策定した「熊本城復旧基本計画」による、と完全な姿を取り戻すのは2038年度と見込んでいる。
熊本県内では、このほかにも阿蘇神社の国指定重要文化財の楼門倒壊や、国指定名勝の水前寺成趣園の鳥居崩壊など、多くの文化財が損傷。文化庁はじめ関係機関で修復、復元が続いている。
2021年、新阿蘇大橋が開通
南阿蘇村へ至る全長206メートルの阿蘇大橋も崩落した。14日の前震に耐えた阿蘇大橋だったが、16日に本震が襲うと、国道横の斜面から崩れた土砂もろとも崩落し、橋付近を走行中だった大学生の大和晃さんも巻き込まれ亡くなった。また阿蘇大橋の近くにあった東海大学阿蘇キャンパス(南阿蘇村)の学生3人が、倒壊したアパートの下敷きになり犠牲となった。
農学部の学生約100人が学んでいた南阿蘇村河陽の東海大旧阿蘇キャンパスは機能移転を余儀なくされたが、熊本県が被災した校舎や地割れを保存して、校舎脇に震災ミュージアムの拠点施設を整備。2020年8月に公開が始まった。
南阿蘇村は大和さんをのみ込んだ旧阿蘇大橋近くの山腹崩壊を、現場周辺の地名にちなんで「数鹿流(すがる)崩れ」と名付け、地震の記憶を伝える震災遺構に選定した。被災から5年を前にした2021年3月、阿蘇大橋の約600メートル南に新阿蘇大橋が開通し、地震で被災した幹線道路すべてが復旧した。
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