人をランク付けすることの恐ろしさ
人間関係がうまくいかない人というのは、人間をランク付けしない理想主義者なんですよ。
ところが、世間の人間は、強弱の差はあっても、他人をランク付けし、そのランクに従って人を扱います。
理想世界とはどのようなものかと言いますと、誰でもどの家にでも入っていける世界です。
現在は、もちろん、それとはほど遠い世界です。
しかし、それを実現できる可能性があるのは、地球上の生き物の中では人間だけです。
例えば、あなたが、家でソファでくつろいでいるとします。小説や漫画を読んでいるかもしれませんし、テレビを見ているかもしれません。
そんな時、扉が開いて、イエスや仏陀が入って来て、あなたの隣に座ったとします。そんな時、あなたは、「イエスなら間に合ってるよ」と言ったり、「あたしは1人が好きなのに」と嫌な顔をすることは、まあ、あまりないと思います。
「やあ、よく来たね。コーヒーがいいかい?それとも紅茶かウーロン茶?メシはまだだろ?」
といった感じで喜んで迎えると思います。
そして、あなた自身が、どの家に行っても、そういう風に扱ってもらえるなら、それこそが天国だと言えます。
キャメロン監督の「タイタニック」という有名な映画がありますが、あの映画の最後で、百歳くらいになったローズが、莫大な価値を持つ宝石を海に捨てた後、眠って夢を見ます。
タイタニック号の中のホールのドアを入っていくと、1等船室の乗客も3等船室の乗客も混ざり合い一緒になって、笑顔で17歳の彼女を迎えます。その中でジャックが彼女を待っていて、皆で2人を祝福します。
それは、現実世界とほど遠い出来事でした。
ローズが捨てたのは、宝石そのものではなく、宝石にまとわりつく世間の価値観だったと思います。
今、現実世界と言いましたが、実際は、それはやがて消え去る仮の世界です。ローズが夢で見たものが本当の世界です。ローズは不要なものを捨てることで、唯一の本当に必要なものを得たのでしょう。
「ヒマラヤ聖者の生活探求」を書いた、アメリカのベアード.T.スポールディングは、取り立てて財産は持っていませんでしたが、全米中を講演する中で、どの家にも大胆に入って行き、どこでも必ず歓迎されたようです。
もしかしたら、誰でも、心次第で、そうなれるのかもしれません。それならば、今、この世を天国にできるわけです。
宇宙は、どんなレベルで見ても、無秩序ではなく、何かに向かって進化しています。部分的に見ると崩壊に見えるものもありますが、それも進化の中の出来事です。宇宙には、進化のための意識や力が確実にあります。その進化の流れに乗れば恵みが与えられますし、進化を促すなら大きな恵みが与えられるのは、ごく自然なことと思われます。人間に可能な進化を促すことは、上に述べた理想社会を作ることですし、そのためには、悟りを開くことが必要です。そうなれば無限の恵みが得られます。逆に、他人をランク付けすることは、我々が想像する以上に恐ろしいことです。
人間関係がうまくいかない人や、それが極端に現れた人である引きこもり気質の人は、実は正常な人であるのかもしれません。
そんな人は、世間の人の真似をせず、自らが他人をランク付けしないようにすれば、不意に天使のように扱われることになります。それにはまず、自分が劣った存在であるという誤った認識を捨てることが必要です。
コリン・ウィルソンの「超越意識の探求」のあとがきに登場する、劣等感にとりつかれた男が、ほとんど瞬間的に賢者になった実話が、それを見事に現していると思います。
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