« 人気スポーツ選手の引退について | Main | 1日少食のすすめ »

2008.11.13

ひきこもりのままで良いという教え

ひきこもりの方、および、そのご家族にお薦めしたい本に、

ひろさちやの「無関心」のすすめ(ひろさちや著 青春出版社)

という本がある。
特にひきこもりをテーマとした本でもないのだが、著者のひろさちやさんは、ひきこもりに関する相談をよく受けるらしく、本書でもページを割いて、そのことを取上げている。
ひろさちやさんについて説明しておくと、1936年生まれの仏教学者であるが、出家の方ではなく、在家の方だ。東大の印度哲学と同大学院を出て、気象大学校の教授を務め、現在は大正大学の客員教授であるらしい。著作は400冊以上で、仏教を僧侶ではない一般人の立場で分りやすく教えてくれることから、非常に人気がある。

さて、ひろさちやさんが、ひきこもりの相談を受けた時の答えは「もう少しひきこもっていなさい」らしい。
まあ、つまるところ、「ひきこもりのままでいいんだ」ということだ。
いや、ひきこもりだけではない。例えは悪いが、病人なら病人、犯罪者なら犯罪者のままでいいんだというお考えである。
もちろん、これらは仏教的な思想から来ている。
ひきこもりの親としては、仏様から、ひきこもりの子供を預かったのであるから、ちゃんと預かっていなさいということである。そして、仏様がそうしたのにはちゃんと訳があるのだから、心配することも文句を言うこともないということだ。
(子供を「授かる」ではなく、「預かる」であることに注意。預かっているだけであるから、あくまで仏様の子供であり、自分の子供ではない)
また、自分がひきこもりであるのは、仏様にその役割を与えられたのであるから、ちゃんとひきこもりをやっていれば良いと言う。
人生はおしばいに過ぎない。シナリオは仏様が作ったのであるから、役者たる我々が、自分の役について文句を言ったり、勝手に役を変えようとしたりは筋違いと言うのである。
そして、死んで仏様の浄土に戻った時、良い役柄(例えば立派に働いて世間的に幸福だった人等)だった人には、仏様は単に「ごくろうさん」程度のねぎらいだが、極悪人を演じさせられた人には丁重なねぎらいがあるらしい。この世には、善人や成功者と同様、悪人やおちこぼれも必要なのだ。みんなが社長になったら、掃除のおばさんがいなくて困るだろう。
でも、ひきこもりの子供が40歳(あるいはそれ以上)を超え、親も先が長くないとなると心配にもなる。ひろさちやさんは、「自分が死んだ後のことなんか気にしてはいけない。心配しなくても、仏様がひきこもりをやらせているのだから、面倒を見てくれる人なんかすぐに見つかる」と言う。

こう書くと、単なる気休めの本と受け取られかねないが、そうではないと思う。
この本全体を通し、社会の弱者たる我々が、実際的な力を得ることのできる本になっている。
また、ひきこもりだけでなく、深い悩みを持つ人や、生きていく気力を失くしそうな(あるいはなくなった)人にも力を与えるはずだ。
詳しくは本を読んでいただくしかないが、我々が自分を弱めているのは、自分の思い込みなのである。その自分の思い込みが、いかに意味のないものであるかを仏教的に解き明かし、我々をそれから解放しようというものである。

僧侶でもないのに、仏教の思想を語る人に、脳機能学者の苫米地英人さんがいる。
苫米地さんは、人が能力を最大にし、成功したいなら無限に成功する方法を教えるため、最近はすごいペースで本を書き、講演し、教材を作っている。一方、ひろさちやさんは、「成功者なんて軽蔑すればいいのですよ」「能力なんか知ったことではありません」といった立場と思う。ひろさちやさんは、能力開発も成功も、興味もなければノウハウも知らないと言うだろう。
ところが、この2人の本を何冊も読んだが、面白いことによく似ているのだ。特に似ている部分は、「世間に逆らえ」である。諸悪の根源が、世間の価値観、世間の常識であることでお2人は一致しており、これから逃れる、打ち破る方法を異なったアプローチで教えているように思う。

私のように、小難しいことが苦手なら、ひろさちやさんの本を一度読むことをお薦めする。

↓応援していただける方はいずれか(できれば両方)クリックをお願い致します。
人気blogランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

|

« 人気スポーツ選手の引退について | Main | 1日少食のすすめ »

Comments

世間に逆らいたくなくても自然と体が動いてしまうんですよね・・。
本当に、kayさんのblogにあえてよかった。ありがとう。

Posted by: minami | 2008.11.14 08:05 AM

★minamiさん
世間に露骨に逆らわなくても、軽く笑って無視すれば良いと思います。私はそうします。
私もminamiさんに出逢えて良かったと思います。

Posted by: Kay | 2008.11.14 09:55 PM

ちょっとここでは言えないくらい長いこと引きこもってるんですが、このままで良いんですかねぇ・・・。中々面白い考えとは思いますが、私は、やはり抜け出して人並みの生活をしてみたいなぁ。と言っても、いくら足掻いても自分の限界以上のことは出来なくて、この有様なんですけどね(苦笑

Posted by: フレイ | 2009.10.28 10:21 PM

★フレイさん
抜け出したければ、抜け出せますよ。
私もそうしました。その方が良かったですね。

Posted by: Kay | 2009.10.29 06:37 AM

ひろさちや読むと頭ばっかで結果余計におかしくなりそうだよ。あまり信じると仏教でなくひろさちや教となるので危険だと思う。俺は40ニートだけど。ひろさんの本読んで念仏もしてるが苦しい毎日を送ってるし。もしそれで幸せになれなかったり結婚もできなかったら訴えようと思いたくもなるよ。

Posted by: | 2011.01.23 04:53 AM

ひろ氏の本は言論の自由の濫用。結局読者はそれでも自分で責任を負って生きてくしかない。
肝心な事が書かれてない。性の事とか、孤立の悩み、恋愛仕事お金健康幸福、きりがありません。
インドのネタがかなりありますが、ここ日本でアレンジしても無理があるのでは?
刑務所に入ってでも食べてゆけばいい、なんてあるが、自分でやってみたのかな?。
読んで下さる人の為に責任を感じて慎重に出版して欲しい。
大阪人らしいけど商魂逞し過ぎよ。

皮肉でなく、ひろさちや先生ありがとう。

Posted by: | 2011.05.17 04:22 AM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ひきこもりのままで良いという教え:

« 人気スポーツ選手の引退について | Main | 1日少食のすすめ »