1978年発表、日本の夏バンドの代表格・
サザンオールスターズのデビュー・アルバムです!
デビューシングルとなった「勝手にシンドバッド」のほか、ボッサ調のAメロが印象的な「別れ話は最後に」などを収録。
聴いた瞬間に、この曲が流行った頃がフラッシュバックして涙が出そうになったのが、デビュー曲「勝手にシンドバッド」。当時僕はまだ小学校低学年で、この曲の「いま何時?」というのが面白くて、友人間で流行ったんです。もうね、そろそろ遊びから帰らなくちゃいけない時間になると、間違いなくこの歌の調子で誰かが「いま何時?」と訊くんですよ(^^)。もちろん、「そ~ね大体ね~」と返すのがお約束で、マジメに答える奴がいると「サザンしらね~の?」みたいな。あの頃は何もかも楽しかったな。。
でもって、
「勝手にシンドバッド」の頃のサザンオールスターズって、70年代から80年代に入っていくあたりで起きた、ちょっと浮かれたような悪ふざけな若者文化の匂いがしていたんですよね。ろくに大学も行かずに麻雀ばかりやっている大学生、ユーモアたっぷりの刑事ドラマ『
探偵物語』、客をすらいじり倒すビートたけしの毒舌漫才、「まらさきむんこ」の
スネークマンショー…大人から切り離された独特の心地よい居場所で生きて、友達とバカ騒ぎしてゲラゲラ笑うような楽しさ、その中の大事なワンピースがサザンでした。こうした悪ふざけの楽しさって、「女呼んで抱いて揉んでいい気持ち」の「女呼んでブギ」が典型的。
「揉んで」って。。 こうしたユーモアが面白いだけに、サザンって下手したらコミックバンドに終わってもおかしくなかったと思うんですが、そうならなかっただけの豊かな音楽が、このアルバムには入っていました。バラード以外の曲は、深く追求したというより、ポピュラー音楽が大好きで聴きまくって演奏しまくっていたんじゃないかと思ったり。音楽が好きでたまらない学生バンドをやっていた人は、みんな似た経験をしていると思うんですよね。自分の個性とかなんとかじゃなく、とにかく好きな音楽をやって楽しむ、みたいな。この頃のサザンも、コードやメロディを一から自分で作ったというより、フィフティーズならフィフティーズ、ラテンならラテンみたいに、先に真似する元ネタを想定して曲を書いていたと思うんですよね。そのへんにカレッジバンドの楽しさを感じましたし、自分たちが楽しんでいるのが演奏にも曲にもあらわれている、みたいな。
良くも悪くも、
バンドとしてのサザンオールスターズって、アルバムで言うと最初の2枚だったと思っています。以降もいい曲はいっぱい生まれましたが、バンドというよりもスタジオワークになってしまったり、桑田佳祐プロジェクトになってしまったり、大仕掛けの舞台演出を施したエンターテイメント・ショーになったり。そうこうしているうちに、バンドの命運を決定づけるようになった「いとしのエリー」が飛び出して…その話はまた次回(^^)。
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