
いつも神戸の長田港に釣りに行っていたので、馴染みのある土地でもあり、
昔から思い出深くて、歩くたびにどこか懐かしいなあと思うのです。
十三で阪急神戸線に乗り換えて、高速神戸で降りまして、
地上に上がってみましたら、ちょうど目の前に湊川神社がございます。
11月に訪れましたので、境内には晴れ着姿の子供たちが戯れていて、
七五三の家族の肖像があちこちに見受けられるのも、何とも微笑ましいもの。
出歩くことが否とされる世の中でございましたが、急速なコロナ禍の落ち着きによって、
こうして、笑顔が満ち溢れておりますのも、何だか嬉しいものです。

さて、その湊川神社の境内の脇に、楠木正成の墓が存在する。
というよりも、その墓所のあるところにこの神社が創建されたわけで、
もちろん湊川神社の祭神として祀られているわけでございます。
そう、大河ドラマ「太平記」に熱中した少年時代に、
足利尊氏との戦いに敗れて、弟と刺し違えて自害する楠木正成。
その最期こそ、湊川の戦いと呼ばれる合戦でもあり、
まさにこの地で命を散らせたわけでございます。
軍将としての生き様と知略は、非常に優れていると評価され、
多くの戦の度に、軍神として崇められてきた場面もございました。

そんな湊川神社の氏子総代として、楠木正成の家紋から菊水の屋号を受け、
現在の菊水総本店の屋号に変えて、今に至っているのでございます。
ということもありまして、湊川神社の門前に本店を構えて、
楠木正成にちなみ、生み出されましたのが、この『楠公餅』でございます。
黒胡麻を練り込んだ柔らかい求肥餅で粒あんを包みまして、
やや細長く形を整えて、表面に焼き目をつけた餅菓子でございます。
その形状は、正成が戦に向かう前に、嫡男の正行に形見として託した小刀に似せられています。
平成になって、製造休止されてしまった餅菓子でありますが、
30年ぶりに復活して、3年前の春に再び売り出されるようになったのです。
こうして、晴れやかな青空の日に、七五三に訪れた親子連れが、
この餅菓子を手にしてくれたなら、何だか嬉しいものですね。
戦乱の世を生きた楠木正成も、今の平和な世の中を、
きっと微笑みながら見守ってくれるでしょうか。
楠公餅 1個 税込173円
◆ 本 店/ 兵庫県神戸市中央区多聞通3−3−15 TEL:078-382-0080
◇ 販売店/ 本店のみ
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