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さあ、今回も名古屋直行便で、松屋長春の凄みを見せつけられる。
いやあ、奇を衒っているわけではないのだが、ちゃんと正統派の和菓子なのだが、
その組み合わせで、いとも簡単に驚かせてくれるのは、
みんななぜそんなに柔軟なのかと、本当に感心するしかないのだ。
もうね、こんな生菓子を僕は見たことがないと断言する。
それは白いふんわりとした軽羹生地で、あんこを包んでいながら、
何も驚きはしないのですが、その包み方が尋常ではなかった。
というのも、鶴岡駄菓子の『からから煎餅』であったり、
節分の『福引煎餅』のように、三方向から中央に寄せるようにして、
黄色く染めた備中白小豆こしあん を包んでいるのです。
そして、ちゃんとある程度の具現性を持った花菖蒲の花の形に仕上げられているのです。
軽やかな口当たりも含めて圧倒された。ただただ凄い。

『春景色』
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いやあ、これが伊勢系の花菖蒲かは分からないけれども、
三つが合わさったところに、薄紫色を配して、まさにアヤメの花そのまま。
その重なり合うところを、うまく結び合わせるのも難しいはず。
非常に手の込んだデザインを生み出したのが、また素晴らしいと思いました。
また真っ白なきんとんの生菓子『春景色』のとろみにも驚かされる。
そう、丹波大納言の粒あんを芯にして、その周りを冬の『雪餅』みたく、
真っ白なきんとんに、薄紅色と青紫色と水色の細かいそぼろを添えて、これまた心が弾む。
そして、味わってみると、もうね、これでもかっていうほどに、
伊勢芋の薯蕷の香りが立ち上がりますと、そこにまろやかな甘みが滲み出してきます。
何とも心地良く、ただ甘いじゃなくて、角の取れた甘さに溜息が漏れる。

『花 筏』
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続いては、桜が終わりの時期には、必ず見かける銘の『花 筏』。
実はこの銘の生菓子を入れてくださったのは3回目なのですが、
外郎生地の細長いお菓子であることは共通しているのですが、
実は、過去登場のデザインはそれぞれ違うのです。
1回目は外側の外郎生地自体が、水色と薄紅色の二色に染め分けられていて、
2回目は水色のベースに、清らかな流れに桜の花が流れている風情を焼印を入れて表現。
そして、今回3回目は薄紅色に染めた備中白小豆粒あんをくるりと包む。
水色に染めた外郎生地で巻き上げて、表面にはハラハラと氷餅を塗しています。
舞い散る桜の花びらを表現するため、氷餅を薄紅色に染めて、とっても素敵。

『春の水』
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こちらのデザインの登場も2度目。
前回は薄紅色のこなし生地で、備中白小豆こしあんを巻き上げて、
その銘を『水温む』でございましたが、今回は薄紅色に染めたこなし生地で、
水色に染めた備中白小豆こしあんを巻き上げています。
いやあ、こなし生地で、こんなロールケーキみたいに巻き上げた生菓子というのも、
あまり見たことがないだけに、箱を開けて凄いなあって覗き込んでしまいますし、
こなしならではの、ムチッとした口当たりも含めて素晴らしい。

『山 蕨』
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そして、最後に完全に心を奪われたのが、わらび餅『山 蕨』。
これにはは度肝を抜かれて、なるほどそういう発想はなかったと、
決まりきった固定観念に駆られた自分を情けなく思いました。
表面に氷餅をまぶし、この褐色の色合いからしても、
しっかり本蕨粉をお使いのわらび餅であることは分かります。
とろりとした柔らかさで、実に理想的な口当たり。
藤紫色のさらりとしたこしあん が内側で待ち受けています。

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そこまでは想定通り。
ただ表面にきな粉 がまぶされていない、お決まりとは違う見た目以外は…
と思っていたら、何とこしあんの中央から洲濱のように丸められたきな粉が出てくるじゃないですか!
きな粉に封じられる微かな蕨の香りを感じたあとに、
一気に噴き上がるきな粉の香りに目を剥いて、断面を確認してしまったほど。
いやはや、完全にやられた…逆転の発想に完敗。
やはりこれだから、何度味わっても飽きないのです。

花あやめ春景色春の水花 筏山 蕨 1個 税込270円〜

◆ 本 店/ 愛知県稲沢市小沢3-13-21 TEL: 0587-32-0253
◇ 販売店/ 本店のみ
  ※ ご紹介した生菓子の意匠は、4月中旬に製造・販売されているものです。
  ※ 生菓子の意匠は、季節によって、またその年によっても異なります。