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水俣病 与党の救済策に批判-多くの患者 切り捨て/「最高裁判決を無視」-

2007-12-29 04:49:35 | 国内政治
多くの患者 切り捨てに
水俣病 与党の救済策に批判
「最高裁判決を無視」

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 一時金百五十万円、療養手当月額一万円を支給する―。与党プロジェクトチーム(与党PT)が打ち出した水俣病救済策について、水俣病の患者団体らは「患者を大量に切り捨てるもの」として断固拒否を表明しました。与党案の問題点と患者団体が望む解決案はなにか、をみてみました。(熊本県・西田純夫)


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 水俣病救済については、二〇〇四年の最高裁判決という司法判断がすでにあります。

 この判決では、加害者の国・熊本県と加害企業・チッソの法的責任を明確にしたうえで、賠償一時金は、患者の症状などによって、四百五十万円から八百五十万円を補償するというものです。

 これにたいする与党PT案は、加害責任に触れずに、一時金百五十万円、療養手当月額一万円の支給などを中心としています。

金額を減らす
 最高裁判決を大幅に下回る与党PT案について「何の根拠もない」と批判するのは、ノーモア・ミナマタ国賠訴訟の園田昭人弁護団長。

 「一九九五年の『政治解決』では一時金は二百六十万円だった。平たくいうと、『あのとき手をあげなかったから、今回金額を下げてもいい』という考え方です。最高裁判決は頭の中にまったくない」と指摘します。

 もともと与党PT案は、費用負担を求められるチッソが応じなければ成立しません。ところが、与党PTの園田博之座長は、チッソの態度表明を前に、受け入れを表明している団体との非公開の会談で「申請者数を二万人、救済費用を二百億円」と発言したと報道されています。

 一人百五十万円で単純計算すると申請者の66・7%しか救済されません。療養手当などを計算に入れると、申請者の半分以下しか救済されません。予算に合わせた患者の大量切り捨てを前提としているものなのです。

逃げるチッソ
 与党案には、申請期間に期限をもうけるほか、「公的診察が必要」としています。国や県が選んだ医療機関が、患者の症状を判断するというのです。

 園田団長は「交通事故で加害者に診断してもらうことはない。国・県は加害者。その加害者が被害者を診断するのはおかしな話」と批判します。

 公害をなくす熊本県民会議医師団事務局長で、医師の高岡滋氏は、国の「審査」が、「医学的根拠のない判断条件を基準とし、診断プロセスも不明確。国に任せていたら、水俣病の診断はできない」と指摘します。

 費用を負担すべきチッソは、与党PT案の受け入れを拒否しました。与党PT案は根拠のないものであることがますます明確になりました。

 被害者らは「チッソは被害者のことを二の次にして利益優先。責任逃れは許されない」と訴えています。

全面解決求め
 被害者がどれだけいるかもわからないのが、公式発見から半世紀以上もたった水俣病の現状です。水俣病の全容も明らかになっていません。

 約千五百人の原告となっている水俣病不知火患者会(大石利生会長)のノーモア・ミナマタ訴訟にくわえ、水俣病被害者互助会(佐藤英樹会長)も裁判を起こしました。

 大石会長は「救済を求める被害者は今後も出てくる。不知火海沿岸全住民の健康調査なしには、本当の意味での水俣病問題の全面解決はない」と訴え、期限を設定しない恒久的な救済策の必要性を強調しました。

 被害者は「国・県、チッソの法的責任にもとづく解決」「司法基準による賠償、医療費の無料化、療養手当」を実現する司法救済システムを求めています。

(出所:日本共産党HP 2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」)
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薬害肝炎原告団と日本共産党の志位委員長の懇談

2007-12-29 04:44:24 | 国内政治
薬害肝炎原告団と志位委員長の懇談
(詳報)

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 薬害肝炎原告団と弁護団が二十七日、日本共産党の志位和夫委員長らとおこなった懇談(詳報)は以下の通りです。

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国は発生責任を認めてほしい――議員立法に盛り込んで(原告代表)
 懇談では冒頭、山口美智子原告代表が発言しました。

 山口 私たち原告団は、本当は大阪高裁の和解案において、一気に全面解決ということを望んでいました。しかし、国は和解協議において、自分たちの薬務行政の問題を、お金の問題に切り替えてしまい、私たち被害者の命の切り捨てをしてしまったので、決裂ということになってしまいました。一国のリーダーである福田(康夫)総理が政治決断をそのときされなければいけなかったと私たちは思っていますが、とうとうされずに、結局、議員立法という形で国会のほうに投げられました。

 本当に、共産党の先生方は私たちが提訴した際からかかわり、しっかり支えていただきました。また、国会等においても、この問題を取り上げていただき、舛添(要一・厚生労働)大臣にも、かなり強く追及していただきました。しかし、なかなか響かず、本当に私たちはつらい思いをしてきました。

 議員立法ということで、私たちがこれまで求めてきたことが盛り込まれなければ、全面解決にもつながらないと思っており、根本的なところで国の姿勢をただしてほしい、命を粗末にしないで、切り捨てないでほしいというところがあります。

 とくに責任問題では、ひき逃げに例えれば、逃げたことの責任は認めても、ひいたことに関してはまだ認めようとしない、そういうことがあるようです。

 そこははっきりこの議員立法に盛り込んでいただき、薬害根絶に、もう二度と薬害を繰り返さないという約束をしてほしいと思っております。どうぞ、お力添えをよろしくお願いいたします。

 (この発言につづき、山西美明弁護士が、議員立法化にあたっての原告団の基本要望について、(1)薬害を発生させた政府の責任をしっかりと認める、(2)行政による被害者の認定ではなく、司法による被害者認定をおこなう、(3)被害者支援法と同時に、肝炎対策の「基本法」も成立させる、以上の三点を強調しました)

「国の責任」明記とともに司法による認定、肝炎対策恒久法実現へ力尽くす(志位委員長)
 これをうけ、志位和夫委員長は次のように表明しました。

 志位 みなさん方の命がけのたたかいが事態を大きく一歩前に動かし、福田首相に一律全員救済ということを言わしめました。本当にみなさんのたたかいがつくった前進の第一歩であり、心から敬意を申し上げたいと思います。

 そのうえで、これから先が非常に大事な局面になってきています。議員立法という形になってきた以上、本当にみなさん方の要望がきちんとかなえられ、そして納得のいく内容にしていかなければだめだという立場でがんばっていきたいと思います。

 第一に、行政責任の問題では、(政府・与党が)被害を拡大させた責任については認めても、被害を発生させた責任を認めるということがはっきりしていないというのは、非常に重大な問題です。血液製剤を認可したのは国ですから、発生責任は明瞭(めいりょう)です。被害を発生させ、拡大させた二重の責任があるわけです。きちんと発生責任を含めて国の責任を認めなければ、本当の責任を認めたということにはなりません。

 特に、一律全員救済と言った以上、発生責任を認めなかったら、これは矛盾することになります。被害にあわれた方は全員救済すると言った以上、認可したときからの責任をはっきりさせないと、一体どこから線を引っ張るんだという議論に再びなりかねないことになります。

 ですから、一律全員救済をすると言った以上は、発生責任をきちんと明記したものにしなければいけないというみなさんのその主張はそのとおりだと思います。そういうものになるように力を尽くしていきたいと思います。

 第二に、被害者の認定の問題では、これまで行政認定ということでやってきて、せっかく救済の枠組みがつくられながら、実際は、救済されないということが起きています。イタイイタイ病でも、また水俣病でも繰り返されてきたという歴史があります。認定機関が第三者機関など、結局、厚生労働省管轄下のものになると、加害者が認定するということになるわけです。これでは本当に救済される保障がなくなります。

 ですから、司法による認定、裁判所による認定、ここをはっきりさせたものにしないといけません。そのようなものになるように力を尽くしたいと思います。

 いかに被害を証明するかという方法に関しては、カルテがなければだめだというのは到底通らない話です。カルテは五年しか保存義務がないわけですから、カルテがなければ認定しないということになったら、本当に被害者が狭められるということになります。カルテの有無にかかわらず、医師による投薬証明がなされたなら全員を救済するというのは当たり前のことですから、そのようにして本当の意味での全員一律救済にしていく必要があります。

 第三に、いわゆる恒久対策の問題では、いまC型、B型肝炎の患者さんは三百五十万人といわれています。私の父も、四十数年という長いあいだC型肝炎、肝硬変を患い、一昨年亡くなりました。感染は昔のこととはいえ、やりきれない思いです。

 C型、B型肝炎は最大の国民病の一つであり、最大の難病の一つだと思います。しかも、そのほとんどが医原病だということです。私たちもかねがね、肝炎、肝硬変、あるいは肝臓がんで苦しんでいる患者の方々にたいする恒久的な支援が必要だということを主張してきましたが、この際、いい法案ができるようにしていきたいと考えています。

 いま、与野党で協議が始まりつつありますが、私どももその中に入って、インターフェロン治療などの経済的負担の軽減、医療上の新しい技術にたいする保険適用の問題など、さまざまな問題についても希望が持てるような法律をつくっていくことに力を尽くしていきたいと思います。

 これまでも私たちは、たとえば肝臓がんになった場合に、ラジオ波療法というのがありますが、保険の適用になっていなかったものを適用とさせるなど、肝炎問題に取り組んできました。みなさん方が勇気を持って切り開いてきたたたかいをきっかけに、恒久立法という動きがつくられつつあるので、ぜひこれをいいものにしたいと思っています。


 これにたいし、原告団の出田妙子さんは、「ちょうど一週間前、この場所で、和解決裂後に私たちは本当に落胆した思いをしました。本当にこの立法に最後の期待を寄せているので、ぜひお力を貸してほしい」とのべ、浅倉美津子さんは「肝炎治療のための注射で血管が硬くなったりして悲鳴を上げています。議員立法が成立するようお力をいただきたい」と語りました。

 最後に、山口原告代表が、「先生方は、本当にこれまでも医療の問題、命の問題を一番に大事にしていただきました。ぜひとも力強く私たちを応援していただけるようお願いします」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」)
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これでいいのか選挙制度-異常に高い供託金は国民の政治参加阻むー

2007-12-29 04:40:39 | 国内政治
シリーズ これでいいのか選挙制度
異常に高い供託金
国民の政治参加阻む

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 日本では、選挙に立候補するために高額の供託金を法務局に預けなければいけません。高額の供託金は世界の“常識”なのか、それとも日本の異常なのか――日本共産党の井上哲士参院議員が依頼した国立国会図書館の調査でみてみます。(佐久間亮)

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 日本の供託金制度は一九二五年の普通選挙法から始まりました。当時の天皇制政府は、一定額以上の納税者に限られていた選挙権を二十五歳以上の成人男子に広げるかわり、立候補に高額の保証金を課したのです。

 これが戦後に引き継がれ、額も繰り返し引き上げられました。一九九三年の公職選挙法の改悪でそれまでの一・五倍になったのです。その額は、国政選挙の選挙区で三百万円、比例区では六百万円にもなります。

 一般の国民が簡単に払える額ではなく、事実上、立候補の制限にもつながります。

 しかも、選挙で規定の得票率(法定得票率、衆院小選挙区では有効投票総数の10%)に達しなければ全額没収されます。 世界はどうか。国会図書館の調査では、アメリカ、ドイツ、イタリアをはじめ大多数の国で供託金の制度自体がありません。フランスは一九九五年に廃止しています。

 供託金制度がある国でも、その額はイギリス・五百ポンド(約十一万円)、カナダ・千ドル(約十一万円)、オーストラリア・五百ドル(約五万円)と多くは低額で、没収点も日本より低くなっています。国会図書館調査でみれば、日本の供託金は世界一の高額です。

 オランダは、議会に議席を持たず前回選挙にも候補者を擁立していない政党に限り一万千二百五十ユーロ(約百八十万円)の供託金を課しますが、没収点は低く設定されています(有効投票総数の約0・5%)。

 一方で、日本の公職選挙法を踏襲する部分が多い韓国では、供託金・没収点(千五百万ウォン=約百八十万円、10%未満で全額、10―15%で半額没収)とも厳しく設定されています。

 選挙に立候補することは、選挙で議員を選ぶことと同様、主権者である国民の重要な権利です。高額の供託金によって立候補の自由を抑制することは、「国民の参政権」を定めた憲法一五条や、国会議員の資格を「財産や収入で差別してはならない」と定めた憲法四四条に反するものです。

政党助成金から支出も
 国民には高額の供託金を課して被選挙権を制限しながら、自民党、民主党は供託金にも国民の税金である政党助成金を充てています。二〇〇五年の総選挙では、自民党は二千百万円、社民党は二千七百万円、民主党は八千七百万円の供託金を政党助成金から支出しています。

 供託金制度は、憲法違反の政党助成金を受け取らない政党の政治活動を財政的に圧迫し、政党助成金を受け取る政党と受け取らない政党との選挙の公正をゆがめる役割まで果たしているのです。

 高額の供託金の狙いが、国民の政治参加を阻むことにあるのは歴史的にも明らかです。高すぎる供託金を大幅に引き下げることが求められています。

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『ここがヘンだよ日本の選挙』の共著者

志田なや子弁護士の話
被選挙権の平等に反する
 国民には選挙権のみならず、被選挙権といって立候補をする権利があります。憲法四四条は被選挙権の平等を定めており、高すぎる供託金はこれに反する疑いがあります。

 お金がなく、供託金を準備できない人は立候補もできないというのは、自ら選ぶこと、あるいは自ら立候補して政治に参加することを制限することになり、国民主権の原理からいっても大いに問題があります。

 大切なことは、国民の民意が鏡のように議会に表れることです。お金のある人もない人も、民意の分布が鏡のように議会に表れることです。高すぎる供託金は、それを妨げます。世界でも異常に高い供託金の額を、大幅に引き下げる必要があります。

(出所:日本共産党HP 2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」)
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