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民主党政権の課題ー日本の温暖化対策/民主公約に財界が危機感/「交渉に弾み」EUは歓迎-

2009-09-07 02:33:54 | 国際社会
日本の温暖化対策
民主公約に財界が危機感
「交渉に弾み」EUは歓迎

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 衆院選で大勝した民主党を中心とする政権が成立することで、日本の温暖化対策に変化が出てくる可能性に対し、欧州連合(EU)などから歓迎の声が上がる一方で、日本の対策の足を引っ張ってきた財界は懸念を深めています。

 年末までの合意を目指している2013年以降の温暖化対策の国際協定づくりで、交渉の焦点となっているのが、20年までの先進国の温室効果ガス排出量削減目標(中期目標)です。国連気候変動枠組み条約事務局の8月の集計によれば、これまでに米国以外の先進諸国が出した目標幅は、1990年比で15~20%削減。世界の科学者を結集した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が示す25~40%削減の幅を下回り、途上国側の不満を募らせています。

 麻生自公政権が発表した目標は90年比約8%減で、先進国全体の削減幅を押し下げる役割を果たしていました。これに対して民主党は25%減の目標を掲げ、連立協議をする社民党は30%減を提示しています。

 EU現議長国スウェーデンのカールグレン環境相は1日、「もし(日本の)新政権が、選挙中に示唆したことを実現できれば、温暖化交渉に弾みを与えることができる。これにオーストラリアを加えれば、ますます多くの先進国が野心的な目標を掲げることになる」と歓迎の意を示しました。

 対照的に懸念を深めているのが日本経団連です。2日には緊急の正副会長会議を開催。民主党の中期目標について、「大きな国民負担になる」などとして“懸念”する声が出席者から相次ぎました。

 日本経団連が特に憂慮しているのが、鳩山由紀夫代表が首相就任直後の22日、ニューヨークで開かれる国連の気候変動ハイレベル会合に出席することです。副会長の一人は正副会長会議後、記者団に対し、「22日に鳩山さんが(25%の中期目標を)国際公約してしまったらおしまいだ」と危機感を強調。「できる人から民主党と対話していく」とし、“説得工作”を強める考えを示しました。

 もし日本の中期目標が自公政権の8%から25%に引き上げられれば、日本はこれまで着せられてきた「交渉の妨害者」の汚名を返上し、推進役に転じることができます。温暖化対策で積極姿勢を打ち出せれば、この問題を重視するオバマ米政権との関係緊密化にも役立つとの指摘も強まっています。新政権の対応が、内外から注目されるゆえんです。(坂口明)

(出所:日本共産党HP  2009年9月4日(金)「しんぶん赤旗」)
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地球温暖化対策ー90年比で25%削減しても、可処分所得は逆に増えていくし、光熱費も変わらないー

2009-06-22 13:09:44 | 国際社会
温室効果ガス削減の消極目標
「国民負担増」は口実
NHK番組 市田書記局長、政府を批判

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 日本共産党の市田忠義書記局長は21日、NHK番組「日曜討論」に出席し、地球温暖化対策について各党代表と討論しました。

 市田氏は、温室効果ガス削減の2020年までの「中期目標」として、麻生太郎首相が2005年比15%(1990年比8%)と発表(10日)したなかで示した、「(毎年)可処分所得が4万3千円減り、光熱費が3万3千円増える」との国民負担についての政府試算を追及しました。

 市田氏は、独立行政法人国立環境研究所が「(排出量を)25%削減しても、可処分所得は逆に増えていくし、光熱費も変わらない」との試算を出していることを紹介し、「国民への負担」を口実に消極的な数値目標に固執する政府の姿勢を批判しました。

 また市田氏は、政府の「中期目標」では「産業界は、総排出量の8割で一番多い排出量を占めているにもかかわらず、負担をほとんど求めていない」と述べ、8%減の削減数値は「産業界が容認する許容範囲内のギリギリの数字だ」と指摘しました。

 自民党の野田毅衆院議員(同党地球温暖化対策推進本部委員長)は、政府が示した数値目標でも「可処分所得もGDP(国内総生産)も伸び得る」とし、“負担増”という試算は「適切なデータでない」と認めました。

 市田氏は「環境対策と経済対策・雇用創出の両立のために何をすべきか」と問われ、「国民一人ひとりは今、レジ袋をやめてマイバッグにしたり、冷暖房を控えめにするなど大変努力をしている。そういう一人ひとりの努力を実らせて、生かすためにも、大量生産・大量消費・大量廃棄という今の社会経済システムを改めて、自然エネルギーにもっと力を入れるべきだ」と主張。

 自然エネルギー産業を育て、雇用も増やすドイツの例を示しながら、「化石エネルギーに頼らず、自然エネルギーに傾斜する経済構造へ変えていくことが、経済の発展にもつながる」と強調しました。

 市田氏は、温暖化対策の名で原発増設を進めようとする政府に対し、この間の事故や災害で、活断層の上に原発があったことなどが判明していると指摘。「もし大きな事故が起これば環境どころか壊滅的な打撃を受ける」と述べ、原発依存から抜け出すべきだと述べました。

NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

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 日本共産党の市田忠義書記局長は21日のNHK番組「日曜討論」に出演し、政府が決定した地球温暖化対策の「中期目標」などについて各党代表と討論しました。出席者は市田氏のほか、自民党・野田毅地球温暖化対策推進本部委員長、民主党・岡田克也幹事長、公明党・山口那津男政調会長、社民党・福島瑞穂党首、国民新党・亀井久興幹事長。司会は影山日出夫解説委員です。

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麻生政権は末期状況

 冒頭、支持率が急落した麻生政権の現状をどうみるかが議論となりました。市田氏は次のように述べました。

 市田 一言で言うと政権末期の状況です。統治能力、政権担当能力を喪失した状況じゃないか。それは支持率にも表れています。

 ある世論調査によると「今の政治に不満だ」という人は91%で、どういう点で不満かというと「将来像が示されていない」という人がまた91%くらいある。(麻生自公政権は)当面の選挙目当てのばらまきはあるけれど、今後の日本経済を景気悪化からどう立て直していくか、外交を自主・自立の外交にどう転換していくかという旗印は全然みえない。

 片や(民主党は)「政権交代」とおっしゃるけれど、政権交代して日本経済、外交をどうするのかという中身が問われている。

 環境対策をやる場合も、当面のことと将来像を示せる内閣でなければだめだ。

 2020年までの日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標を05年比で15%にするとした政府の「中期目標」について自民党の野田氏は、15%は真水(国内での直接的な削減努力)による目標であり、外国の排出枠の買い取りなどを「追加すれば20%を超える数字になる」などと説明。市田氏は次のように答えました。

 市田 (15%は)経済界が容認するぎりぎりの数字です。世界の科学者の知見を結集したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告や先進国は少なくとも中期目標は25%~40%と(しています)。それからみて全然その要請にこたえた科学的、野心的なものになっていない。

 しかも、90年比でみますとわずか8%で、(京都議定書の)第一約束期間の6%に2ポイント上積みするだけの話です。この間(排出量を)増やし続けてきたために、数字を大きくみせる。そういうごまかしをやめて、真剣に排出量を削減するという立場に立つべきです。

 もともと今度の政府の案をみると日本経団連副会長をやっておられる新日鉄会長が責任者の総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しがもとになっているわけです。それの最大導入が(05年比)14%だったのですよ。それに太陽光を10倍から20倍にすることで1%増やして15%。

 先ほど真水だからとおっしゃいましたが、これは長期需給エネルギーの見通しに基づいてやっているわけですから、森林吸収とか京都メカニズムが入っていないのは当然の話です。今後の中期目標でも原発を9基増やして80%の稼働率という机上の計算であって、うまくいかなかったら当然森林吸収やそういうところに傾斜するわけで、真水論は成り立たないと思いますね。

 公明党の山口氏は「中期目標は国際交渉に臨む第一歩だからもっと努力する余地はある」と認めました。

温室効果ガスの一番の排出元は産業界

 政府の温暖化対策での「国民負担」について野田氏は「家庭での跳ね返りはできるだけ小さくしようとしている」などと発言。民主党の岡田氏は、政府が25%削減なら国民1人あたり36万円負担になるなどと述べていることは「脅しに近い話だ」と批判しました。市田氏は、次のように語りました。

 市田 あまり削減率を高くすると国民の負担も増えますよと麻生総理はいいました。可処分所得が4万減る、光熱費が3万増えると。これは長期エネルギー需給見通しに基づく試算ですよ。25%削減しても、(独立行政法人の)国立環境研究所がやった調査ではむしろ可処分所得が逆に増えていくし、光熱費はそう変わらないという試算が出ているわけですよね。だから自然エネルギーに傾斜して化石エネルギーに頼らないという方向に経済の構造を変えていくことが大事で、ドイツは自然エネルギー、この分野で3・7兆円もこの間売り上げを増やしていますし、雇用も28万人増えているわけですよね。だからそういう環境にやさしい経済に切り換えていくことによってかえって経済の発展にもつながる。大企業もきちんと負担する。国民も環境に役立つなら負担したいとみんな思っていると思うのですよ。

 しかし一番の排出量、大量に出しているのは産業界で、総排出量の8割を占めています。今度の案を見ますと総排出量の一番多い産業界の負担、その削減なんてことはほとんど求めていない。そういう不公平感を国民の多くが持っているのではないかと私は思います。

 CO2削減に伴うコストを誰が負担するのかで政府案が産業部門は10%削減、家庭部門は25%削減が必要だとしているのに対し、影山氏は「これは産業部門に少し甘すぎないか」と質問。野田氏は「電力を使うのは最終的には家庭部門、業務部門だ。最終的にエネルギーを使うところの努力がなければ電力会社にばかりに負荷をかけてもうまくいかない」と発言。山口氏も「産業界にはそれなりの言い分はあるだろう」と理解を示しました。市田氏は次のように反論しました。

 市田 全体の総排出量を調べて見ましたら、排出量13億7400万トンなのですね。そのうち88の発電所で、30・1%ですよ。鉄鋼セメントの78の巨大工場で2割です。その他大口の1500事業所で、2割と圧倒的な部分を占めるわけですね。

 京都議定書でマイナス6%約束しましたが、この間、90年比で9%逆に増えていますよね。そうなった最大の要因は、経団連の自主行動計画まかせ。やっぱり、自主行動計画にまかせていたら、利益追求が目的なんですから、積極的に減らそうとはしない。政府と産業界との、公的な協定ですね。ヨーロッパでは、ほとんどそういうことをやっているわけですから、そういう一定の規制が不可欠です。利潤追求のためには、“後は野となれ山となれ”ではだめです。一刻の猶予も許さない、このまま放置すれば、取り返しのつかないような人類の生存にかかわるような重大事態であるわけですから、そこ(産業界)が一定削減したからといって、経済ががたがたになる、とはオーバーな言い方です。

 昨日、環境大臣も、可処分所得がものすごく減り、光熱費が増える、というのは、過大ないいかたで事実は違いますよ、とおっしゃったわけで、麻生さんの言い分を否定せざるを得なかった。

自然エネルギー普及を

 影山氏は、05年比15%削減は、企業の負担増で雇用に影響が出て、家庭の可処分所得が4万3千円減り、水光熱費支出が3万3千円増えるとする政府試算を示し、「家庭の理解はえられるか」と質問。野田氏は「この数字は誤解を招くのであまり使わない方がいい。15%削減でもいまに比べれば可処分所得もGDP(国内総生産)も伸びる」と試算の問題を認めました。市田氏は次のように述べました。

 市田 たとえば家庭の太陽光発電の固定価格買い取り制度。余剰電力だけでなく、総量買い取り制度にして、風力にも当然拡大すべきだ。その分、電気料金への上乗せということは一定はあり得るでしょう。ただ、電気・ハウスメーカーの太陽光発電パネルやシステムにかかるコストまで、電気料金に上乗せするやり方はまずい。

 原発のための電源開発税というのは、毎年3千数百億円あるわけです。これで負担すべきです。共産党は原発はOKできません。どういう理由かというと、安全性が確立されていないということです。この間、事故とか災害が相次いだ。活断層の上に原発があったということも明らかになっているわけですし、もし大きな事故でもおこれば環境どころか、壊滅的な打撃を受けるわけですから重大です。そういうところに頼らずに、自然エネルギーのほうにもっと傾斜していくことが非常に大事だと思います。

国民の努力実らせる社会経済システムへの転換を

 温暖化対策の今後について、「経済対策、雇用創出にもつながるために何をすべきか」と問われた市田氏は、次のように述べました。

 市田 一人ひとりの国民がいま大変、努力をしていると思うのですよ。たとえばレジ袋をやめて、マイバッグにするだとか、冷暖房をなるべく控えめにしようだとか、シャワー、照明を節約しようだとか。そういう一人ひとりの国民の努力を実らせて、生かすためにも、いまの社会経済システム、大量生産、大量消費、大量廃棄っていう、利潤のためだったら“後は野となれ山となれ”という社会経済システムを改めて、もっと自然エネルギーに傾斜していくと(いうことが重要です)。

 日本は、原発依存ですから、事故がおこってそれが稼働しないと、ということで安い石炭をずっと買ってきた。アメリカでさえも、この間、石炭依存は、90年比でたしか63%に減らしていますよ。イギリスでもドイツでも6割から7割ぐらい減らしています。日本だけが十数%ぐらいしか減らしていない。いまだに石炭依存が82%です。そういう産業構造のあり方、化石燃料に頼る経済体制を変えていくことが非常に大事です。自然エネルギーにもっと力を入れるべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」)
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地球温暖化対策-温室効果ガス削減の二〇二〇年までの中期目標について日本政府の態度を問うべきー

2008-05-31 01:48:27 | 国際社会
主張
中期目標設定
温暖化対策の真剣さ問われる

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 地球温暖化対策を主テーマとして神戸で開かれた主要八カ国(G8)環境相会合は、温室効果ガス削減の二〇二〇年までの中期目標について、具体的な数字を示しませんでした。日本政府は自国の中期目標を示さず、会議でも議長国としてのイニシアチブを発揮しませんでした。この姿勢では、温暖化問題が最大のテーマとなる七月の北海道洞爺湖サミットもみるべき成果のないまま終わりかねません。日本政府の態度が問われています。

産業界の意向で
 洞爺湖サミットを「地球の将来を討議し、明るい未来への展望をひらく絶好の機会」とした福田康夫首相のアピール(一月、ダボスで)と、政府の実際の行動の間には大きな開きがあります。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化が「回復不可能な結果をもたらす可能性」を警告し、今後の気温上昇を産業革命前に比べて二度以内に抑えなければならないとしています。昨年インドネシアのバリで開かれた国際会議では、先進国が二〇年までに一九九〇年比で25―40%削減する目標が確認されています。

 欧州連合(EU)は二〇年に一九九〇年比で20%削減するとの目標を掲げています。京都議定書から離脱し、「二五年までにガス増加をゼロに」を掲げて削減に抵抗するブッシュ米大統領は、今回が最後のサミットです。次期大統領はだれであれ、温暖化対策に熱心にならざるをえないとみられています。

 日本政府にとって必要なことは、温暖化を防止する立場に立って中期目標を設定する政治決断です。

 京都議定書第一約束期間に続く二〇一三年以降の新たな温暖化対策を決める国連交渉は、〇九年中の合意を目指しており、洞爺湖サミットは交渉を大きく前進させる機会になることが世界から求められています。

 議長国として交渉前進のリーダーシップをとるには、日本自身が温暖化防止に必要な温室効果ガス排出削減の中期目標を提示することがカギです。

 政府がいまなお中期目標を示せない背景には、削減目標をまず決めるのではなく、部門別に可能とされる削減量を積み上げる「セクター別アプローチ」を、産業界が要求していることがあります。

 産業界の自主目標に任せるこうしたやり方はすでに破たんしています。日本の〇六年度の排出量は前年度比1・3%減となったものの、産業部門は1・1%増となっています。大口排出業種である鉄鋼分野では前年度比2・2%増となり、自ら決めた削減目標さえ守れない状況です。

 環境相会合の議長総括は「セクター別アプローチ」について、積み上げと必要な削減レベルとの間のギャップを「埋める必要」を指摘するとともに、国別総量目標に「代替するものではない」とクギを刺しています。「セクター別アプローチ」に固執する日本は国際世論の批判を浴びており、削減目標の明確な設定が不可欠なことを明らかにしています。

緊迫感をもって
 日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、参院環境委員会で「今こそ中期目標を示す時だ」と強調し、その目標に照らして逆算方式でやるべきことを明らかにし、「緊迫感をもって取り組む」よう政府に迫りました。

 このままでは、日本は世界の流れから取り残されます。日本が「化石国」(NGOの指摘)であり続けることは許されません。

(出所:日本共産党HP  2008年5月29日(木)「しんぶん赤旗」)
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“学歴”格差が命に影響-アメリカで調査/大卒と高校中退者 死亡率4倍差-

2008-05-23 00:48:28 | 国際社会
“学歴”格差が命に影響
大卒と高校中退者 死亡率4倍差
米で調査

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 【ワシントン=西村央】所得格差の広がりが深刻化する米国で、社会経済的な格差が死亡率にも影響しているという調査結果が明らかになりました。白人男性の場合、大卒以上と高校中退者では死亡率で四倍以上の差があります。保険の有無など医療へのアクセスや健康意識の差が反映しているといいます。

 調査結果は、医療や科学分野での論文をインターネット上で発信している『プロス・ワン(PLoS One)』の最新の論文「一九九三―二〇〇一年の米死亡率にみる社会的経済的不平等の広がり」で発表されました。

 これによると、高校中退以下の白人男性では人口十万人当たりの死亡率は一九九三年の八三六・八から二〇〇一年の九三一・一へと11・3%増加しています。これにたいして大学卒業以上の白人男性では二八四・七から二一二・七へと25・3%減少しています。両者の死亡率は二〇〇一年には四・四倍にも開いています。

 黒人男性では同じ比較で、高校中退以下が一二五三・五から一二八三・一へと2・4%増加、大卒以上では五九六・二から三八一・六へと36・0%減少しています。

 女性の場合もほぼ同様の傾向を示しています。

 こうした動向について論文では、「死亡率にみる社会経済的な不平等は増加し続けている」と指摘。その背景として「低学歴層の場合、収入は少なく、医療保険加入率も少なく、安定した雇用にも就いておらず、健康意識も低い」ことをあげています。さらに、喫煙、肥満、高血圧、HIV感染などのリスク要因も多いとしています。

 米国では低技術や技術のない労働者が生産現場からも排除され、低賃金のサービス産業などに従事する傾向が強まっています。失業率でみても学歴による差は顕著で、労働省の今年四月の雇用統計でみると、高卒以下は7・8%と全米平均値5・0%を大きく上回っています。これにたいして大卒以上は2・1%と平均の半分以下です。

 雇用主が医療保険の費用負担に耐えられない中小企業労働者、失業状態の人が、民間医療保険の高い保険料を払えずに無保険になるケースは増えており、四千七百万人が「命の綱」ともいえる医療保険なしとなっています。

(出所:日本共産党HP  2008年5月17日(土)「しんぶん赤旗」)
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欧州温暖化対策調査団-日本共産党の笠井亮団長の報告(下)ー

2008-04-22 01:13:18 | 国際社会
欧州温暖化対策調査団
笠井亮団長の報告(下)

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(3)調査を通じて分かったこと

(3)「持続可能な発展戦略」のもとに温暖化対策を通じて社会のあり方を問い、再生可能エネルギーを活用して いるかどうか(つづき)
■交通政策・エネルギー消費を減らす街づくり

 環境にやさしい町、「環境首都」として知られるフライブルクの交通政策は教訓的でした。古い町でも路面電車を復活させ、市民合意で公共交通網を整備していて、路面電車・地域交通(列車)、バスを正確に接続させているので、待たずにすぐ乗り継げることを実体験しました。

 「国家自転車計画」を持つドイツで、同市でも、ゆとりある自転車道・駐輪場が整備されています。自動車や自転車のシェアリング(共有)、フランス軍基地があった新興住宅街=ボーバン地区(四千七百人が居住)の「カーフリー」(車のない街)・駐車場整備・エコ住宅の取り組みで、「子どもたちが安心して住居の外で遊べる持続可能な街づくりで、生活の質が向上した」という話も印象深いものでした。

 人口が年1%増加する同市では、新しい住宅団地は路面電車の路線を整備してからつくるといいます。中心部に来る人は、徒歩23%、自転車27%、公共輸送18%、自動車32%で、自動車利用が非常に抑制されていました。

 ロンドンの「混雑料金(混雑税)」制による自動車規制は対象面積が三十八平方キロで、千代田、中央、港区の都心三区の面積にほぼ匹敵します。幹線道路は除外されており、そこでは依然混雑はありますが、全体的には、自動車乗り入れ規制の対策としてバス・自転車専用レーンが拡充され、地下鉄も新車が大量に導入され運転間隔も短縮されているようです。

■軍事と温室効果ガスの排出
 軍事とのかかわりは、EUの回答文書によれば、現在の排出量計算ルールに従えば、国内での活動や、第三国における基地内での活動(すなわち平和時の活動)で軍隊が排出するガスは、各国の温室効果ガスに含まれているそうです。

 国際航空と海上交通は京都議定書のもとでは排出制限の対象とされていませんが、これらの分野の排出が対象となる場合には、軍事活動に起因するこれらの分野での排出も含まれるべきか、議論する必要が出てきます。

(4)二〇一三年以降をめぐる国際交渉のなか、日本政府に寄せられる期待と注文、いらだちを受け止めて
 欧州諸国は、京都議定書の第一約束期間(〇八―一二年)後に向けて、国際的にも積極的なイニシアチブを発揮しようとしています。それだけに、本来、日本が果たすべき役割と責任への期待が大きく、あちこちで、“日本政府は中期削減目標をバリでもダボスでも言わない。どうなっているのか”という思いから、私たち調査団に、「日本はどうするつもりか」と逆質問が寄せられました。

 ドイツの環境・自然保護・原子力安全省からは、「G8議長国として、日本の役割が大きい。京都議定書内での最低限の努力を期待したい」との声があがりました。

 イギリス環境・食糧・農村地域省も、「イギリスの経験は、公的協定など温暖化防止の国内対策が実行可能なことを示している」と、日本などに同様の取り組みへの希望が述べられました。

 欧州委員会環境総局からは、「とりわけ日本が、拘束力ある排出削減の枠組み導入、温室効果ガスの25―40%削減をめざす中期目標の設定、排出量取引市場への参加を進め、指導性を発揮してほしい」と言われました。

 ヨーロッパでも、こういう日本政府へのいら立ちがあるからこそ、今回の私たちの訪問を通じて、「日本には異なる意見がある」ことを知ってもらえたようです。欧州委員会環境総局からも、「あなたがたが出す政策提言を知らせてほしい。今後もコンタクトをとっていきたい」などの希望が寄せられました。これからも大いに意見・情報交換を通じて協力関係を進めていきたいと考えています。

(5)日本の地球温暖化対策に向けた提起
 最後に、今回の調査結果を、日本の地球温暖化対策にどう生かしていくかについて、調査団として議論していることを若干ご紹介して終わりたいと思います。

 一つは、政府が産業界との間で温室効果ガス削減のための公的協定を結ぶこと、二つめに、再生可能エネルギーの活用を大胆に増やす、特に自然エネルギー電力の固定買取制度の導入に踏み出すこと、三つめに、二酸化炭素の排出をコストに反映させる排出量取引制度、排出量に応じた環境税の導入など、排出削減を促す経済的措置をとること、四つめに、わが国でも中長期削減目標を明確に盛り込んだ日本版「気候変動法案」のような法制度をつくるべきことなどです。大いにご意見、ご提案を寄せていただきたいと思います。長時間ありがとうございました。(おわり)

(出所:日本共産党HP 2008年4月21日(月)「しんぶん赤旗」)
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温暖化対策-欧州は緊迫感もち削減/日本政府・財界と大違い-

2008-04-20 21:21:12 | 国際社会
温暖化対策 共産党調査団が報告会
欧州、緊迫感もち削減
日本政府・財界と大違い
笠井団長が報告

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 日本共産党の地球温暖化対策チーム(責任者・小池晃政策委員長)は十八日、欧州の温暖化対策の取り組みについて現地調査した党欧州温暖化対策調査団の報告会を国会内で開きました。環境団体や市民団体、労働組合のメンバー、科学者など約百三十人が参加しました。調査団長の笠井亮衆院議員が、スライドで写真やグラフを示しながら報告。真剣に取り組む欧州と比べ、「日本の政府や財界が立ち遅れているというより、むしろ顔の向きが逆になっていると痛感した」と語りました。

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 あいさつした小池氏は「日本共産党ならではの提言をまとめるために、力を尽くしたい」と述べました。

 調査団は、ドイツ、イギリス両国政府や自治体、産業界、ベルギーにある欧州連合(EU)など三カ国二十四カ所で、二十九回の聞き取り、懇談、自然エネルギー関連施設の視察などをしました。

 笠井氏は、欧州が科学的知見を真剣に受けとめ、温暖化の重大性を緊迫感をもって認識していることを強調。イギリスの財界の総本山、英産業連盟(CBI)が、「産業界の果たす役割が決定的だ」として、対策の中心に立っていることを紹介しました。

 政府と産業界との協定、排出量取引などについて、各国政府や産業界が「模索と葛藤(かっとう)、試行錯誤する姿を垣間見た」として、苦労しながら実際に削減に成功している事例を紹介。また、再生可能エネルギーの促進で地域振興に成功した例、まちづくりや交通政策など、視察した各地の独自の取り組みを紹介しました。

 日本政府が中期削減目標をいまだにもっていないことに、世界がいらだっていることを指摘し、「法的拘束力のある数値目標をもつべきだ」と述べました。

 笠井氏は調査結果をふまえ、政府と産業界の協定、再生可能エネルギーの活用、排出量取引制度や環境税の導入などの経済措置、中長期削減目標をもりこんだ日本版「気候変動法」のような法律などが必要ではないかと述べました。

 参加者からは、「政府と財界に対策を迫っていくのが、大きな焦点だ」「今後の運動にプラスになった」など、意見や感想が相次ぎました。

 笠井氏は、報告会に先立ち、環境省で調査報告について記者会見をしました。

(出所:日本共産党HP  2008年4月19日(土)「しんぶん赤旗」)
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欧州温暖化対策調査団-日本共産党の笠井亮団長の報告(中)-

2008-04-20 21:10:56 | 国際社会
欧州温暖化対策調査団
笠井亮団長の報告(中)

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(3)調査を通じて分かったこと(つづき)

(2)政府がきちんとルールつくり、削減目標達成の具体的手だてがとられているか  

 日本との違いの第二は、削減目標達成のために政府がルールをつくり、それを確保する具体的な手だてがとられているかどうかという問題です。国民一人ひとりの努力はもちろん大事ですが、全体の目標を達成するうえでは、電力、鉄鋼など大量排出元の大企業・財界がきちんとやることが一番のカギです。

 ヨーロッパの主要国では、政府が中長期の拘束力ある削減目標を明確に定め、それを達成するため、ルールをきちんとつくり、産業界との協定を結んで削減させるようにしていました。それが、絶対的目標を達成する手段として、環境税、排出量取引などとともに位置づけられ、実際に削減に成功しています。

■政府と産業界の協定
 政府と産業界の公的協定について、ドイツでは当初は産業界が反対し、自主規制方式を通していました。しかし環境保護団体などから強い批判の声が出され、二〇〇〇年に政府と十九の産業団体との間で協定が締結されました。業界ごとに取り決めがなされ、国際競争力を維持しながら、経済成長も可能にし、効率的にCO2を削減していくというものです。

 この協定でドイツ産業界は、二〇一二年までに21%削減するという自主目標をさらに上乗せし、原単位あたり35%削減するという目標を打ち出しています。独立研究機関が協定順守状況を監視し、違反企業にはエネルギー税制上の優遇撤廃など厳しい措置を課すことで、目標履行を図っていることがわかりました。

 イギリスの気候変動協定は、政府と五十以上の産業セクターごとに結ばれ、六千企業が参加しています。高い削減目標を持ち、削減効果の高い協定で「〇六年までに二十の部門で生産を増大させながらCO2排出を減らした」とのことでした。

 鉄鋼などエネルギー集約部門の協定参加企業には、気候変動税(環境税)の80%減税という優遇措置が実施されています。これに国民の理解が得られているのかは検討が必要だと感じました。

 日本の経団連の「自主行動計画」と違い、順守しなければ減税措置の取り消しなど厳しいペナルティーがある。イギリスでは、目標達成できない企業は排出量を買って差を埋めることになります。

 いまのところ、削減目標達成は間違いないとされ、いずれの国でも、ある企業、業界が達成できない場合は、経済界全体で協力して達成するだろうとみられています。

■環境税
 ドイツでエコ(環境)税制を導入したのは、温室効果ガスという「外部コスト」を内部化するためということでした。税収は〇五年度で百八十億ユーロ(二兆八千八百億円)です。税金の分だけ、雇用者、被雇用者の社会保険料を引き下げたので、産業側と国民の負担は変わりませんでした。

 税収の10%は、交通の改善、コジェネ(電気・熱併給システム)など環境対策に使用され、連邦政府収入が上がっています。エコ税制改革によって、CO2削減、エネルギー使用削減に2―3%分の効果があったほか、社会保険料の負担軽減に伴って二〇〇三年までに二十五万人の新規雇用があったとしていました。

 またこれによって化石燃料の消費が、ドイツ連邦共和国成立以来、初めて減り、公共交通の利用者も共和国史上初めて増え、環境・自然保護・原子力安全省当局は、「効果は全体として肯定的」と評価していました。

 イギリスでは二〇〇一年に気候変動税が導入され、エネルギーの支払いに10%上乗せするものになりました。この合意は二〇一三年までのものですが、政府はこれを一七年まで延長することを決めたということでした。

■排出量取引
 どこでも議論の真っ最中だったのが排出量取引でした。これは、政府が企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、その枠を超えて排出した企業が、排出枠よりも少ない企業から余った枠を買い取ることで埋め合わせようという仕組みです。

 欧州全体を対象にしたEU排出量取引制度(EU―ETS)は、発電所、石油精製、製鉄、石油化学などを対象に、約一万一千五百施設、EU内のCO2の49%をカバーしています。EUは二〇年に20%削減を目標に掲げ、半分は排出量取引でまかない、政府の収益の20%を再生可能エネルギーの活用・改善などに使用するとしています。

 欧州委員会環境総局で、「炭素に価格をつけることで意識を変える意味がある」といっていたのが印象に残りました。

(3)「持続可能な発展戦略」のもとに温暖化対策を通じて社会のあり方を問い、再生可能エネルギーを活用しているかどうか
 日本との違いの第三は、温暖化対策を通じて社会のあり方を変える取り組みになっているか、再生可能エネルギーの本格的活用に踏み出しているかどうかです。

 EUでは、「持続可能な発展戦略」がすえられ、その最上位に気候変動対策がおかれています。二〇〇六年に採択された新戦略の中核は、「現在の持続不可能な消費と生産のパターンを、だんだんに変革していく」という新しい社会像をめざす取り組みです。

 私たちは、あちこちで、「社会のあり方を変える」という視点ではどうかと聞きました。ドイツ連邦議会の環境・自然保護・原子力安全委員会副委員長で左翼党のエバ・ブリングシュレーター議員は、「利潤第一の考え方では温暖化はとめられない。社会システムの根本的変革が必要だ」と答えました。

 フライブルク在住の環境問題研究家の今泉みね子さんからは、「ドイツの取り組みを見てきて、いろんな対策をとることは必要だが、結局のところ、もうけ本位の社会システムそのものを変えないと根本的には変わらないと感じている」という回答がありました。

■再生可能エネルギー
 「持続可能な発展戦略」にとって、温室効果ガス削減の上でも自然エネルギー(再生可能エネルギー)の活用が重視されています。

 ドイツでは、原発政策をやめ、風力・太陽光・バイオマスなどの活用に力をいれています。再生可能エネルギーは、すでに12%を占め、二十一万四千人の雇用の確保と年間一億トンのCO2削減効果、年間二百三十億ユーロ(約三兆七千億円)の売り上げです。

 バイエルン州では、一九九〇―二〇〇七年までに一億八千万ユーロ(約二百九十億円)を研究や木質バイオマス暖房補助に拠出し、現在は州内のバイオガス施設が千三百五十カ所にのぼるということでした。バイオ燃料や木材チップなどの活用で、「三十年来衰退してきた農林業に希望が持てるようになった」と熱く語っていました。

■原発政策の位置づけ
 エネルギー政策上の原発の位置づけについて、ドイツでは、社民政権以来掲げてきた脱原発の方針は、社民党・キリスト教民主党の大連立のもとでは、そのまま維持することになっています。

 日本では「イギリスが原発推進に政策を転換した」とよくいわれますが、昨年のイギリスのエネルギー白書によれば、将来のエネルギー源別供給では、原発からの供給が今より増えないことを示しています。 (つづく)

(出所:日本共産党HP  2008年4月20日(日)「しんぶん赤旗」)
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欧州温暖化対策調査団-日本共産党の笠井亮団長の報告(上)-

2008-04-20 21:07:55 | 国際社会
欧州温暖化対策調査団
笠井亮団長の報告(上)

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 日本共産党の欧州温暖化対策調査団が十八日おこなった報告集会での笠井亮団長(衆院議員)の報告大要を紹介します。

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 今回、地球温暖化対策をめぐる欧州の実情を調査するということで、ドイツ、イギリス、EU(欧州連合)本部と十日間回ってきました。

(1)調査の目的
 まず、今回の調査の目的です。

 今日、地球温暖化から人類の未来をいかに救うかが、世界でも日本でも焦眉(しょうび)の課題となっています。今年は、一九九七年の京都議定書で国際社会が決めた温室効果ガス削減目標達成のための第一約束期間(二〇〇八―一二年)の初年です。七月には洞爺湖サミット(主要国首脳会議)が予定されています。

 それだけに、京都議定書の議長国である日本は、京都議定書で約束した温暖化ガスの削減目標を達成するとともに、約束期間後のとりくみについて、地球環境を守る国際的責務を果たすことが強く求められています。

 こうした観点から、日本共産党としてぜひ政策提言を行う必要がある。私たちは、その作成に資するよう、ドイツ、イギリスおよびEU本部を訪れて、欧州における先進的なとりくみをつかむことをめざしました。

(2)主な訪問先、日程と概要
 いずれの懇談・調査でも、わが党が、ヨーロッパの先進的なとりくみをつかんで、それを参考にして、洞爺湖サミットに向けて日本政府に提言したいというとたいへん歓迎されました。内容上も、温暖化対策のあり方ではほぼ一致し、各国の基本的立場、とりくみ、今後の課題など、直接つかむことができました。

 また、各国の政府、産業界をはじめ関係者との新しい関係を築くことができ、さらに今後の情報・意見交換などのコンタクト(メールなど)を確認するなど、貴重な財産となりました。協力をいただいたすべての方々に、改めて感謝を申し上げる次第です。

(3)調査を通じて分かったこと――野心的目標で達成にとりくむ欧州。日本との違い

 今回の調査を通じて分かったことについて報告いたします。私たち調査団は、三カ国二十四カ所、二十九回の聞き取り、懇談、視察を通じて、地球温暖化にとりくむヨーロッパと日本の基本的姿勢の違い、日本の政府や財界が立ち遅れているというより、むしろ顔の向きが逆になっていることを、三つの点で、一同痛感させられました。

(1)地球の気候変動の重大性をどうみているか、緊迫感・切迫感の問題
 第一が、ヨーロッパでは、地球の気候変動の重大性を認識し、緊迫感・切迫感をもってとりくんでいるということです。

 今回の話し合いでは、どこでも、世界の科学者が協力して温暖化の被害や抑制策を検討したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告、そして、イギリス政府の求めで経済学的観点から二〇〇六年にまとめられた「スターン・レビュー(報告)」の内容がドイツでも引用されるなど、どこでも科学的知見が真剣に語られ、とりくみの大前提になっていることがよく分かりました。

 「気候変動の経済学」と題する「スターン・レビュー」では、「気候変動は、経済学に対して今までにない類の挑戦を迫っている。それは、いまだかつて見られなかった、非常に深刻で広範囲におよぶ市場の失敗である」としています。

 今日の危機をつくりだした根源には、環境破壊をかえりみず利潤追求第一主義に走ってきた巨大資本の活動があった―そのことへの反省を改めて読み取りました。だから、そこに焦点を当てた対策こそ求められているのです。

 「本レビューで集められた知見を総合すると、ひとつの単純な結論にたどり着く。つまり、強固で早期な対策によりもたらされる便益は、対策を講じなかった場合の被害額を大きく上回る」「早期に効果的な対策を実施するほど、対策コストを低く抑えることができる」

 日本の政府や財界にぜひしっかり読ませたいですね。向こうではしっかり読んで、そういう立場にたっているから、懇談でも、「気候変動は否定し得ない現実であり、今後の気温上昇を産業革命時比で二度以内に抑えることが至上命令であり、そのために先進国が率先して温室効果ガスの大幅削減をする必要がある」という認識と共通の決意が口々に語られました。

 それでもまだ認識が足りない。四月十七日付のイギリスの新聞フィナンシャル・タイムズによりますと、この報告をとりまとめた世界銀行の元チーフ・エコノミストだったスターン卿が、「地球温暖化を過小評価していたことを認めた」と報じました。それほどの切迫感が広がっているのです。

 だからこそ、先進国が二〇五〇年、二〇二〇年に向けた「野心的な削減目標」を掲げ、それは必ずやりきらなければならない、一国ではなく欧州全体あるいは全世界が一致して挑戦しなければならない。科学的知見にもとづいた政治のリーダーシップのもとで、「偉大な模索と実験」が果敢にとりくまれている。

 「この課題は、やれるところまでやればいいという問題ではなく、必ずやりきらなければならない課題ですよね」と問いかけると、どこでも「その通り。そこが肝心なんだ」と返ってきました。

 この観点から、中長期の目標をきちんと設定しています。イギリスの場合ですが、英議会のチェイター下院議員は、「ガス削減を世界で初めて法的に義務化する気候変動法案の審議のなかで二〇五〇年までの削減目標を60%から80%に引き上げる方向が強まっている。26―32%の中期削減目標を掲げている」とのべていました。この法案は、私たちの訪問後の三月末、上院で原案を強化した修正案が通過し、下院に送られ、今夏までの成立をめざしています。

 ドイツも、二〇五〇年までに80%削減することをめざし、中期目標として、二〇二〇年までに40%削減するための総合的な法制化が、ことし五月をめどに進んでいます。

 欧州委員会では、環境総局のスリンゲンベルク課長によれば、「EUが二〇五〇年までに世界で半減、先進国で60―80%の削減をめざし、中期目標として二〇二〇年までに20%、他の先進国が同様の政策をとる場合は30%という削減の絶対目標を掲げている」として、国際交渉でリーダーシップの維持を図っている。「途上国が加わる温暖化防止体制を築くためにも先進国が責任を果たさねばならない」と強調していました。

 財界の基本的対応も、日本とまったく違うことを実感しました。英産業連盟(CBI)とは、日本共産党として初めての出会いでした。日本でいえば財界の総本山、日本経団連にあたるところですから、そのビルに足を踏み入れるということで緊張して行きました。

 対応したマシュー・ファロー課長に、CBIが出した「気候変動」というパンフレットの日本語版を示しながら、「たいへん興味深く読みました」というと、一気にほぐれて「注目してくれてうれしい」と話が弾み、調査団の成果への期待が寄せられました。

 懇談では、「ビジネスと進歩のための好機であり、経済成長と排出削減は両立できる」、「気候変動問題の解決には産業界の果たす役割が決定的だ」という話を聞きました。財界そのものの姿勢として「社会的責任から必ずやる」と、むしろ対策をたてる中心になっていると受け止めました。

 ドイツでも、産業界には、「うまくいくかどうか疑問がある」という声がある一方、「決められたことは必ずやる」と社会的責任を果たす姿勢を明確にしていました。

 政府の側も、中期目標実現のため、環境に配慮した産業づくりをすすめつつ、「短期ではなく長期的な利益を追求する考え方が社会に広がっている。十五年前から経済が成長しても温室効果ガス排出増加と結びつかない状況が起きている」、「産業界の自主的なとりくみに任せているだけでは不十分であり、政治主導の拘束力ある措置が不可欠だ」としていました。

 総じて欧州では、IPCC報告や「スターン報告」に依拠し、いまの体制のもとで地球環境の不可逆的な破壊を回避する最大限の努力を払おうとしています。EUの基本文書では「新しい産業革命」と位置づけている。

 ところが日本では、結果としてできなくても仕方がないというのが政府の立場で、日本経団連の反対で中期の削減目標もまだ決められないでいる。そんな目先の利益優先で、「あとは野となれ山となれ」という態度とは対照的であることを痛感しました。(つづく)

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団長 笠井  亮・衆院議員

団員 岡崎 衆史・「しんぶん赤旗」ロンドン特派員

栫  浩一・国会議員団事務局(笠井亮議員秘書)

小島 良一・党国際局員

坂口  明・「しんぶん赤旗」政治部記者

佐々木勝吉・国会議員団事務局(市田忠義参院議員秘書)

佐藤  洋・党政策委員

田代 忠利・党国際局次長

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調査団の主な訪問日程
3月10日 ベルリン、独環境・自然保護・原子力安全省/独外務省

11日 独連邦議会/独経済技術省

13日 独南部バイエルン州ミュンヘン市郊外のザウアーラッハ市/ミュンヘンのバイエルン州政府農林省

14─15日 フライブルク

17日 ロンドン、英議会/英環境・食糧・農村地域省

18日 英産業連盟/欧州排出権取引所

19日 ブリュッセル、欧州委員会環境総局

(出所:日本共産党HP  2008年4月19日(土)「しんぶん赤旗」)
コメント (8)
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戦争と平和の問題を通じて考えるー人間らしい、人類らしい科学とは何かー

2008-01-24 14:11:15 | 国際社会
 人類に殺し合い、死なしあいの本能、遺伝子が存在しないというのは事実です。ということは、人類は共に生きていく本能、遺伝子があるという事実関係しか結論はありえないです。選択肢に殺しあう、死なしあう、共に生きていくヒト遺伝子の3つしかないわけですから。

 人類は殺し合い、死なしあう存在ではなく、共に生きていく自然的な存在であるのに、社会に戦争、人殺しが存在する原因はどこにあるのか?これを規定するのが科学です。戦争の原因は人類、人間の本能、遺伝子、宿命にあるのではなく、軍事力の存在にあるということです。軍事力が原因して戦争という結果が実現します。これが科学です。

 人類が殺し合い、死なしあう存在ではなく、共に生きていく存在であるという科学的な事実に立脚して、憲法前文及び憲法9条は「諸国民の公正と信義に信頼して」軍事力の放棄を規定しているんです。人類は平和的に生存していく存在であるから人類の力で軍事力をなくして戦争を消滅させることを日本国憲法は規定しているんです。まさに、政府の軍事力が原因して起こす戦争を国家以前に存在する人類の力、人権で抑止、除去していくことを人民が不断の努力で定めたのです。

 戦争の原因を人類の存在に求めないで、戦争の原因を軍事力求め、軍事力の保持を禁じた憲法9条と軍事力の存在しない人類社会を諸国民の公正と信義に信頼し」て実現していくと規定する憲法前文は人類の科学であり、思い込みでも宗教でもないということです。

[2008/01/22 09:24] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

東西南北さんへ

う~ん・・
>殺しあいの遺伝子が無い以上、共生の遺伝子があるという結論・・

え~・・どちらの遺伝子も無いという選択肢は、何処へいったのでしょうか?

>戦争の原因は軍事力・・ですか。

あの・・あなたの言われる『軍事力』って何でしょう。
軍隊のことですか?
武器のことですか?
軍人のことですか?
何が無くなれば良いのでしょう?

あと、あなたの『科学』という概念は、一般とは違うようですね。

う~ん・・『定説』みたいなものでしょうか(笑)

[2008/01/22 12:26] URL | 田柄 [ 編集 ] TOP ▲

田柄さんへ

 「あと、あなたの『科学』という概念は、一般とは違うようですね」

 東西はコメント欄で、因果関係を科学として言葉を遣っております。文脈でわかりますよ。きわめて一般的な科学の概念です。

 「あの・・あなたの言われる『軍事力』って何でしょう。 軍隊のことですか? 武器のことですか? 軍人のことですか? 何が無くなれば良いのでしょう?」

 軍事力を規定している制度と軍人、武器です。

 「え~・・どちらの遺伝子も無いという選択肢は、何処へいったのでしょうか?」

 ヒト遺伝子ですから共に生きていく遺伝子があるんですよ。それとも、共に殺し合い、死なし合うヒト遺伝子があるんですか?あるならそれこそ出して欲しいです。物質ですからね。ちなみに、人の本能には殺し合い、死なしあいの本能はないですし。食欲、性欲、睡眠欲を実現しながら共に生きていくのが人類ですし。医学の常識でいうまでもないと思いますがね。この事実を根拠なく懐疑するから「思う、思わない」の議論になるんじゃないでしょうか?戦争は違法と思わなくても戦争は違法だということです。

[2008/01/22 16:17] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

東西南北さんへ

お返事ありがとうございます。

あぁ・・因果関係を科学とよんでいるのですか・・

でも、あなたの因果関係は少し変ですね。
例えば、
『戦争の原因は軍事力』
というのは、逆でしょう。
『国家が軍事力を持つのは、戦争が原因』
が正しい因果では?

あなたの因果が正しいなら、軍事力が無くなれば、戦争が無くなってしまいます。
本当にそうでしょうか?

あなたは
『軍事力とは制度と軍人と武器』
とされていますが、
これらが無くても、戦争は起きるでしょう。
『民間人が鉄パイプを握って攻め込む』
ことも可能ですから。

あと・・『戦争は違法』ですか?
あの・・戦争自体を違法とする法律があるのでしょうか?
あったとしても、世界で何ヵ国が批准しているのですか?
その法律に違反した場合、どんな罰則があるのでしょうか?

>根拠なく懐疑するからダメ・・
う~ん・・これは東西さんの凄いところですね。
普通は、根拠なく信じるからダメ・・だと思うのですが。

[2008/01/22 18:34] URL | 田柄 [ 編集 ] TOP ▲

田柄さんへ

 「あなたの因果が正しいなら、軍事力が無くなれば、戦争が無くなってしまいます。 本当にそうでしょうか? あなたは 『軍事力とは制度と軍人と武器』 とされていますが、これらが無くても、戦争は起きるでしょう。『民間人が鉄パイプを握って攻め込む』 ことも可能ですから。」

 民間人が鉄パイプを握って攻め込むことは戦争ではないです。それは警察制度の問題ですね。ゆえに、軍事制度と軍人、武器が無くなれば戦争はなくなります。しかし、警察制度の対象となる人殺しは残ります。

  「え~・・どちらの遺伝子も無いという選択肢は、何処へいったのでしょうか?」 「普通は、根拠なく信じるからダメ・・だと思うのですが。」

 殺し合い、死なし合いの本能、ヒト遺伝子は存在しません。人は一人では生きることはできません。以上から出る結論は1つです。人類、人間は食欲、性欲、睡眠欲を共に実現しながら、共に生きる人類的な存在である、という事実です。

 「あと・・『戦争は違法』ですか?
あの・・戦争自体を違法とする法律があるのでしょうか? あったとしても、世界で何ヵ国が批准しているのですか? その法律に違反した場合、どんな罰則があるのでしょうか? 」

 戦争は殺し合いですから違法です。しかし、正当防衛として政治的に妥当となり、違法性が阻却される時があります。とはいえ、戦争は軍事力による人類の殺し合いですから違法であり、無法な暴力となります。今現在、戦争について民事、刑事双方で実行力を持っている国際法の詳細についてはお調べください。

[2008/01/23 00:17] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

東西南北さんへ

お返事ありがとうございます。

あぁ・・なるほど。
民間人が集団で他国に攻め込むことは、戦争ではない・・という認識ですか。

つまり、正規軍による戦闘行為のみを、戦争とするのですね。
それなら、正規軍が全廃されれば、戦争は無くなりますね。
民兵同士の戦闘が続いていても、戦争ではないのですから(笑)

あと、実行力を持っている国際法・・ですか。
つまり、国際法では戦争を違法と規定していて、罰則もあり、きちんと施行されているわけですね?

では、イラクへ戦争を仕掛けたアメリカは、どんな罪で、いつ裁かれるのですか?
そして、どのような罰を受けるのでしょうか?

[2008/01/23 05:09] URL | 田柄 [ 編集 ] TOP ▲

東西南北さんへ
>民間人が鉄パイプを握って攻め込むことは戦争ではないです

失礼ですが貴方の軍人と民間人の境界線がちと理解出来ません
すると自爆テロやゲリラによる殺戮、破壊、井戸への毒物投与は戦争ではない、と?
以前自国民に対する軍事的暴力は内政干渉だから何万人殺されようと
口出しするべきではないとここで言われましたが貴方もそう思われますか?
あと自分で調べてみましたが実行力(この場では違反した場合
 実力で処罰する力、と見るべきでしょうね)
を持つ国際法というのを調べてみましたが一つも見受けられませんでした
また加盟していない国がその国際法を犯した場合
(例えば無防備都市宣言はハーグ条約によって定められた物ですが中国はこれに
 加盟していないため無防備都市宣言を行った都市を攻撃「してはいけない」義務はない)
はどうなるのでしょうか

お答え願えれば幸いです

[2008/01/23 17:09] URL | シンペイ [ 編集 ] TOP ▲

田柄さん、 シンペイさんへ
 
 「すると自爆テロやゲリラによる殺戮、破壊、井戸への毒物投与は戦争ではない、と? 」

 例えば、現在、アメリカ政府がイラク、アフガンで実現している対テロ戦争はアメリカ政府が他国に軍事力を投入しているので相手は武装テロ勢力ですが戦争です。

「以前自国民に対する軍事的暴力は内政干渉だから何万人殺されようと口出しするべきではないとここで言われましたが貴方もそう思われますか?」

 軍事介入は民族自決権の侵害となりますので違法です。しかし、抑圧民族には政治的に暴力革命権がありますが、これは1国における内戦です。こうした内戦を停止する手段として国連平和維持軍を組織し、派兵することは当然ですが、憲法9条を持つ日本政府は自衛隊を派兵してはならず、非軍事、中立の役割を果たす必要があります。

 「民兵同士の戦闘が続いていても、戦争ではないのですから(笑)」

 民兵の武器は政府の軍事力が原因であり、軍事力がなくなっていますから、民兵の武装は解除されています。

 「あと自分で調べてみましたが実行力(この場では違反した場合、実力で処罰する力、と見るべきでしょうね) を持つ国際法というのを調べてみましたが一つも見受けられませんでした」

 これは国連憲章7章及びその運用の実際になります。経済制裁と軍事制裁が存置されています。
 
 「あと、実行力を持っている国際法・・ですか。 つまり、国際法では戦争を違法と規定していて、罰則もあり、きちんと施行されているわけですね?」

 これは国際刑事裁判所のことですね。現在、全加盟国が国際刑事裁判所を認めるようにという運動が進んでいます。アメリカ政府は批准を拒否しており、法の支配に逆らっております。

 「イラクへ戦争を仕掛けたアメリカは、どんな罪で、いつ裁かれるのですか? そして、どのような罰を受けるのでしょうか?」

 現時点では、国際刑事裁判所で刑罰を実現することはできないですので、アメリカ政府に条約を批准させる運動を進めていくことです。なお、草の根レベルで国際民衆法廷運動が進んでいます。

「また加盟していない国がその国際法を犯した場合 (例えば無防備都市宣言はハーグ条約によって定められた物ですが中国はこれに加盟していないため無防備都市宣言を行った都市を攻撃「してはいけない」義務はない) はどうなるのでしょうか 」

 他国の無防備都市を軍事攻撃してはならないというのは戦争を違法とした国際法に反しますので賠償対象、処罰対象になるでしょうね。各国政府が戦争を「合法」としていた時代ですら戦争にルールがあったのですから、戦争を違法として現在においては無防備都市へ軍事攻撃は当然に、人道上の犯罪行為になります。

 とにかく、日本国には憲法9条があるわけですから、国連の平和維持活動には非軍事で参加していく必要があるし、それは国際法違反でもなければ、日本国憲法に違反することでもないです。むしろ、軍事力を保持する世界各国政府の中で軍事力を保持しない独自の役割を果たしていく日本国という位置付けです。そんな日本国に軍事侵略があるということは現在の国際情勢から不可能ではないでしょうか?

[2008/01/23 18:46] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

東西南北さんへ

お返事ありがとうございます。

>民兵の武装は解除されています。
あの・・鉄パイプも販売禁止になるのですか?
まぁ、それなら金属バットを使うでしょう(笑)

この話は、『軍事力だけが、戦争の原因ではない』というものだったはずです。
軍隊は無くても戦争は起きるし、兵器が無くても戦えますよ。

>刑罰を実現することはできない・・
つまり、現在、実行力を持った国際法は、存在しないということですね。

そもそも、アメリカや中国などの大国に通用しない国際法って、何なんでしょうか(笑)

[2008/01/23 20:35] URL | 田柄 [ 編集 ] TOP ▲

田柄さんへ

 「あの・・鉄パイプも販売禁止になるのですか? まぁ、それなら金属バットを使うでしょう(笑)」

 鉄パイプ、金属バットは人間を殺傷する道具として製造したものではないですから、武器ではありません。

 「この話は、『軍事力だけが、戦争の原因ではない』というものだったはずです。軍隊は無くても戦争は起きるし、兵器が無くても戦えますよ。」

 ですから、戦争とは他国の領域における軍事力行使ですから、各国政府が定めた軍事制度に基づき組織した兵器と軍事がなくなれば、戦争はなくなります。そして、武装民兵の武器は兵器が源泉ですから、軍事力を無くせば兵器で武装する民兵はなくなります。ただし、警察制度の対象となる民兵は存在するでしょう。その場合の民兵の武器は兵器ではなく、警察レベルの武器です。結局、軍事力を無くしても警察制度が対象の人殺し、テロは残るでしょうが、それは戦争とはいいません。せいぜい騒乱罪です。しかし、軍事力が存在しない下での騒乱罪ですからやはり警察制度の範囲内です。武器がなくとも金属バット等で人殺しが起こるというのは確かでしょうが、それは人間が人殺しの原因ではないことは先に述べました。共に生きる存在である人間が何故、人殺しを動機し、実現するのか?人間に人殺しを動機させる社会環境に人殺しの原因があるということになります。

 「そもそも、アメリカや中国などの大国に通用しない国際法って、何なんでしょうか(笑)」

 確かに問題ありですが、それが法運動の歴史です。ですから、国際民衆法廷運動、国際刑事裁判所批准運動などの人民の法運動に連帯して無法な国家の暴力を抑止していく必要があります。そのような人民の法運動が国家の暴力面を公的な権力へ変革していくわけで、これを法といいます。

[2008/01/23 23:31] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

 ジュネーブ諸条約ご存知?
ジュネーブ諸条約の追加議定書なるものが存在します。詳しくはネットで検索!
いろいろな投稿者の真意があばけます。

[2008/01/24 05:33] URL | まる出し馬鹿 [ 編集 ] TOP ▲

それって違うんじゃ?

まずは謝罪を
後で調べてみた所「非武装都市宣言」を定めたハーグ条約は
中国を含めた先進国はアメリカを除き全て(なら先進国の条件って何か、という問題が出ますが)
が加盟していました。
もっとも戦略的、経済的に価値のある都市の非武装都市宣言はまず無視された上それを犯した国は処罰されていません
(第一次大戦のベオグラード、第二次大戦のイタリア各都市など)

それはともかく「戦争は駄目だけど殺し合いは構わない、法的には問題無いからナンボでもやっちゃって」
という考え(失礼かもしれませんが東西南北さんのご意見はそうとしか思えません)
はちと私は受け入れ難いです

>国連憲章7章及びその運用の実際になります。経済制裁と軍事制裁が存置されています
つまり拒否権を持つ五大国はやり放題だし多大な経済力により他国からの制裁を恐れる必要の無い
アメリカや中国などは野放しにする、と言う事ですか?

[2008/01/24 12:30] URL | シンペイ [ 編集 ] TOP ▲

追加

公的に軍事力が無くなったとしたらルールを破り裏マーケットなどで
違法に軍事力を備えた者が圧倒的な権力と支配を手にするだけでしょう
軍事力が公的に存在しないのなら「それ」を抑え得る存在など居はしないし
正すために臨時に軍事力を持とうとすればそれは「ルール違反」です
悪い言い方をすれば「厳密な法による軍事放棄」など「破ったモン勝ち」という
情け無い状況になるのがオチでしょう
 
>人間に人殺しを動機させる社会環境
ではどういった環境が「人殺しを動機させない社会環境」なのでしょう
神から愛を含む全てを与えられた豊かな生活であっても
カインはアベルを殺し、ノアは息子に侮辱されたから、と孫のカナンを呪っています
人が悪かはともかく、他人を害してでも自分の豊かさや喜びを求める生き物であるのは確かでしょう
人に100万円を恵めば1000万円よこせ、と迫られる。
悲しいけどそれが現実です

[2008/01/24 13:23] URL | シンペイ [ 編集 ] TOP ▲

本能と社会性

>犯罪の原因は人間の遺伝子、素質にない

というのは無理があるでしょうね。
遺伝子に組み込まれた、人という生物の本能(食欲、性欲など)を発揮する方法を間違えれば犯罪になります。

同時に人には、その本能をコントロールし、社会的な動物になれる素養もあるのでしょうね。その素養を伸ばし、自分を尊重するのと同じように、他者を尊重できる人に育てるのが、親だけでなく社会全体の責任なんだろうと思います。

もっとも、今はある程度ワガママで強引でないと生きていけない社会になっちゃってますが・・・

[2008/01/08 10:53] URL | Looper [ 編集 ] TOP ▲

Looperさんへ

 いや、コメントありがとうございます。違う記事では共感もしてくれていました。ありがとうです。Looperさんのことは「反日ブログ監視所」で奮闘しているのをみたり、眠り猫さんのブログで見たりして、「おー、良識ある人だ」とずっーと思っていました。今も思っていますし、結論、行動は同じ立場だと思います。ですから、まったく気楽に話せる感じです。

 さて、一言でいってその観念というか常識で論を推し進めていくと、例の法律と憲法の関係に行き着きます。全体主義と個人の尊重の問題です。やはり、社会合意=法律に対抗する憲法は事実関係しかないと考えます。多数の社会合意に少数の理論を対置しても、多数意見にも少数意見にも理論はありますし、感情もあります。ですから、どちらが人間の事実関係に基づいているかで争うのが憲法だと考えます。そこで、人間の本能について犯罪可能性、すなわち他人の人権を侵害する行為の可能性を容認しているようですが事実無根なことを説明します。

 人間は①社会貢献のために労働する②火など道具を使う③言葉を使う④二本足歩行をする。以上の4要素を総合した社会的存在である。

 人間の本能は①食欲②性欲③睡眠欲。以上の3要素を総合した社会的存在である。

 人間の本能は生きていくための社会的存在です。しかし、人間らしい本能である。例えば、猿らしい本能。豚らしい本能。鳩らしい本能。カンガルーらしい本能。犬らしい本能。レッサーパンダらしい本能があります。人間の本能は人間らしい本能であって、猿や豚などの本能と同列ではなく、還元すれば事実誤認です。人間の本能と猿、豚などの本能は次元が違います。猿の本能=人間の本能ではないです。種族が異なりますから質が異なるのであり比較対象として成立しません。

 人間、つまり生きていくための社会的存在は①社会貢献のための労働を行い②内面言語(意識)、文字言語、音声言語で意思疎通を行い③道具を使い、改良していく社会活動の中で人間らしい在り方に発展していきます。

 人間は食欲、性欲、睡眠欲を「衝動」として「人殺し」などの反社会的行動を実現する存在ではないです。

 ①食料はみんなで協力して労働して生産して分けます。
 ②異性は両性の合意と社会的労働に基づいて子孫を繁栄させていきます。 
 ③睡眠は社会的に安全な環境を創りながら、各個人に実現していきます。

 こうして人間の反社会的行動は人間の本能から出てくるものではないことが分かります。すなわち、反社会的な社会構造が人間の意識に反映し、人間の社会性を破壊し、蝕み、ついには人間を反社会的行動に追い込みます。

 反社会的な社会構造が人間の反社会的意識、行動の真因なのです。

[2008/01/08 17:38] URL | 東西南北 [ 編集 ] TOP ▲

 またの機会に

東西南北さん、

ご意見を頂きながら、お返事できなくてごめんなさい。

>人間の本能は生きていくための社会的存在です。

その通りですが、その本能の発動の方法を誤れば、社会的には「犯罪」となってしまうという事があるという事です。もちろん、その本能自体に罪があるわけではありません。

面白い議題ですので、どこかでまた詳しくやりたいですが、今回はこれだけにしておきます。また、議論しましょう。

[2008/01/23 08:58] URL | Looper [ 編集 ] TOP ▲ 
コメント (2)
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