今週の国会
「つなぎ」法案処理後に
道路特定財源で論戦へ
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ガソリン税の暫定税率が三月末で期限切れとなり、ガソリン代が四月から約二十五円値下がりすることが確実となりました。歳入・税制関連法案の年度内成立が不可能となったためです。
この事態に対応するため、二十八日に衆参両院議長のよびかけにより、同法案のうち、道路特定財源関係以外で三月末で期限が切れる各税について、五月末まで期限を延長する措置をとることで与野党が合意しました。
三十一日には、期限延長のための「つなぎ」法案が委員長提案として提出され、衆参両院本会議で採決される予定です。日本共産党は、国民生活の混乱回避を目的に「つなぎ」という形で処理することについては理解するものの、賛成できない項目があるため、採決ではその評価にたった賛否の態度をとります。
その後の焦点となるのが、歳入・税制関連の政府案と民主党の「対案」の参院での審議です。衆院から送付後一カ月経過したにもかかわらず、参院では本会議で趣旨説明もふくめ一切、審議されていません。参院で主導権を握る民主党はこれまで、審議拒否の理由の一つに、政府案に関する「修正」協議がすすんでいないことを挙げており、今後もいつ審議入りするか見通しはたっていません。
日本共産党は、徹底した審議によって法案の問題点を明らかにし、道路特定財源の一般財源化と暫定税率廃止の実現を求めてきました。今後も、一刻も早い審議入りのため奮闘するとともに、むだな道路をつくり続ける最大の根拠となっている「道路中期計画」の問題点などをめぐり、論戦により徹底して追及していきます。
暫定税率 道理ない再可決
ガソリン代の値下がりが確実となったことで、今後の大きな焦点となるのが、政府・与党が歳入・税制関連法案を衆院で再可決し、これを元に戻すのかどうかという点です。
福田康夫首相は、二十七日の新提案で、二〇〇九年度から道路特定財源の一般財源化を表明しました。二十八日の参院予算委員会の質疑で、日本共産党の小池晃議員が〇八年度からの一般財源化を求めたのにたいし、「暫定税率の根拠が失われる」として拒否。再可決による暫定税率復活を示唆しました。
政府・与党による再可決の動きは、参院で否決した場合や憲法五九条の「六十日規定」が該当する場合を想定したものです。
しかし、〇九年度からとはいえ、首相が道路特定財源の一般財源化をおこなうと表明した以上、特定財源の上乗せである暫定税率を維持する根拠はまったくなくなっています。しかも、一度下がったものを再び上げるということになれば、国民的な批判を呼ぶことは必至です。
再可決が前提とされるのであれば、今後の参院での審議の意味もなくなってしまいます。
日本共産党はここでも、再可決に反対し、論戦で徹底して問題点を明らかにするとともに、国民世論や運動との連携を強めていく構えです。
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「六十日規定」 憲法五九条は、参院が衆院で可決された法案を受け取ってから六十日以内に議決しないときには、衆院は参院がその法案を否決したとみなすことができるとしています。その場合、衆院が三分の二以上の多数で再可決することができます。
首相提案で矛盾様々
与党道路事情
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ガソリン税の暫定税率期限切れが迫るなかで、福田康夫首相が打ち出した道路特定財源の新提案(二十七日)。二〇〇九年度からの一般財源化を明言するなど世論と国会論戦で追い込まれるなか、政府・与党内で様々な矛盾が浮上しています。
結束躍起
○…「福田内閣を支えて、総理の思いを実現できるように全力をあげていきたい」(自民党の伊吹文明幹事長)。当初、福田首相の提案を突き放していた執行部は党内の結束に躍起です。
提案発表が伊吹氏ら幹部に相談なく、首相主導で行われたことに執行部が反発した内幕をマスメディアがいっせいに報道。民主党から「首相提案は個人的なものか、政府・与党のものか」(山岡賢次国対委員長)と揺さぶられ、一般財源化に反対してきた道路族を含めて「心は全面的に支持するということだ」(二階俊博総務会長)と首相提案に表向き“理解”を示しました。
「提案は閣議決定しているわけでない」(町村信孝官房長官)のに閣僚も、担当の冬柴鉄三国土交通相を除いて「ケチをつけないで応援したらよい」(高村正彦外相)と“支援”の構え。「支持率低迷にみまわれ、閣内で下手な文句もつけられない」(閣僚経験者)との事情があります。
集中砲火
○…ところが、二十八日の参院予算委員会で首相を擁護するため答弁に立つ閣僚はいませんでした。福田首相は提案の中身について一人で野党の集中砲火を浴びました。伊吹幹事長は同日の記者会見で与党の考えをこう解説しました。
――首相提案の第一にあげられたのは道路特定財源の歳入・税制関連法案の年度内成立。これこそが首相の強い思いで、一般財源化などの議論は将来の与野党の政策協議のなかでやることだ。
実際、与党執行部が急いだのは、暫定税率期限切れ後の対応。道路特定財源を除いた税制措置を延長する「つなぎ法案」の合意づくりでした。
党内結束を装っても「これからの税制議論で(一般財源化が)できるのか」(古賀誠選対委員長)と冷ややかな見方も。ある派閥幹部は「これまで自民党はまんべんなく(道路予算を)地方にばらまいてきた。いまさら、残ったところには回さないとはいえない」とのべます。首相自身も“総額ありき”方式で道路建設をする「中期計画」を撤回していません。
「造反も」
○…「また上げさせていただきたい」。町村官房長官は二十九日の講演で、特定財源の暫定税率が下がっても衆院で与党の三分の二以上の多数で歳入・税制関連法案を再議決して税率を元に戻す立場を強調しました。
これに対し、民主党との妥協を図るため福田首相に一般財源化などを早くから提言してきた自民党の中堅・若手議員グループの一人はいいます。「再議決するというならおれらは反対に回る。賛同する議員は二十人以上いる。そうすると(三分の二の再議決は)間違いなくやれない」。首相提案の背景には、再議決に向けた“造反対策”も浮かびます。
(出所:日本共産党HP 2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」)
「つなぎ」法案処理後に
道路特定財源で論戦へ
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ガソリン税の暫定税率が三月末で期限切れとなり、ガソリン代が四月から約二十五円値下がりすることが確実となりました。歳入・税制関連法案の年度内成立が不可能となったためです。
この事態に対応するため、二十八日に衆参両院議長のよびかけにより、同法案のうち、道路特定財源関係以外で三月末で期限が切れる各税について、五月末まで期限を延長する措置をとることで与野党が合意しました。
三十一日には、期限延長のための「つなぎ」法案が委員長提案として提出され、衆参両院本会議で採決される予定です。日本共産党は、国民生活の混乱回避を目的に「つなぎ」という形で処理することについては理解するものの、賛成できない項目があるため、採決ではその評価にたった賛否の態度をとります。
その後の焦点となるのが、歳入・税制関連の政府案と民主党の「対案」の参院での審議です。衆院から送付後一カ月経過したにもかかわらず、参院では本会議で趣旨説明もふくめ一切、審議されていません。参院で主導権を握る民主党はこれまで、審議拒否の理由の一つに、政府案に関する「修正」協議がすすんでいないことを挙げており、今後もいつ審議入りするか見通しはたっていません。
日本共産党は、徹底した審議によって法案の問題点を明らかにし、道路特定財源の一般財源化と暫定税率廃止の実現を求めてきました。今後も、一刻も早い審議入りのため奮闘するとともに、むだな道路をつくり続ける最大の根拠となっている「道路中期計画」の問題点などをめぐり、論戦により徹底して追及していきます。
暫定税率 道理ない再可決
ガソリン代の値下がりが確実となったことで、今後の大きな焦点となるのが、政府・与党が歳入・税制関連法案を衆院で再可決し、これを元に戻すのかどうかという点です。
福田康夫首相は、二十七日の新提案で、二〇〇九年度から道路特定財源の一般財源化を表明しました。二十八日の参院予算委員会の質疑で、日本共産党の小池晃議員が〇八年度からの一般財源化を求めたのにたいし、「暫定税率の根拠が失われる」として拒否。再可決による暫定税率復活を示唆しました。
政府・与党による再可決の動きは、参院で否決した場合や憲法五九条の「六十日規定」が該当する場合を想定したものです。
しかし、〇九年度からとはいえ、首相が道路特定財源の一般財源化をおこなうと表明した以上、特定財源の上乗せである暫定税率を維持する根拠はまったくなくなっています。しかも、一度下がったものを再び上げるということになれば、国民的な批判を呼ぶことは必至です。
再可決が前提とされるのであれば、今後の参院での審議の意味もなくなってしまいます。
日本共産党はここでも、再可決に反対し、論戦で徹底して問題点を明らかにするとともに、国民世論や運動との連携を強めていく構えです。
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「六十日規定」 憲法五九条は、参院が衆院で可決された法案を受け取ってから六十日以内に議決しないときには、衆院は参院がその法案を否決したとみなすことができるとしています。その場合、衆院が三分の二以上の多数で再可決することができます。
首相提案で矛盾様々
与党道路事情
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ガソリン税の暫定税率期限切れが迫るなかで、福田康夫首相が打ち出した道路特定財源の新提案(二十七日)。二〇〇九年度からの一般財源化を明言するなど世論と国会論戦で追い込まれるなか、政府・与党内で様々な矛盾が浮上しています。
結束躍起
○…「福田内閣を支えて、総理の思いを実現できるように全力をあげていきたい」(自民党の伊吹文明幹事長)。当初、福田首相の提案を突き放していた執行部は党内の結束に躍起です。
提案発表が伊吹氏ら幹部に相談なく、首相主導で行われたことに執行部が反発した内幕をマスメディアがいっせいに報道。民主党から「首相提案は個人的なものか、政府・与党のものか」(山岡賢次国対委員長)と揺さぶられ、一般財源化に反対してきた道路族を含めて「心は全面的に支持するということだ」(二階俊博総務会長)と首相提案に表向き“理解”を示しました。
「提案は閣議決定しているわけでない」(町村信孝官房長官)のに閣僚も、担当の冬柴鉄三国土交通相を除いて「ケチをつけないで応援したらよい」(高村正彦外相)と“支援”の構え。「支持率低迷にみまわれ、閣内で下手な文句もつけられない」(閣僚経験者)との事情があります。
集中砲火
○…ところが、二十八日の参院予算委員会で首相を擁護するため答弁に立つ閣僚はいませんでした。福田首相は提案の中身について一人で野党の集中砲火を浴びました。伊吹幹事長は同日の記者会見で与党の考えをこう解説しました。
――首相提案の第一にあげられたのは道路特定財源の歳入・税制関連法案の年度内成立。これこそが首相の強い思いで、一般財源化などの議論は将来の与野党の政策協議のなかでやることだ。
実際、与党執行部が急いだのは、暫定税率期限切れ後の対応。道路特定財源を除いた税制措置を延長する「つなぎ法案」の合意づくりでした。
党内結束を装っても「これからの税制議論で(一般財源化が)できるのか」(古賀誠選対委員長)と冷ややかな見方も。ある派閥幹部は「これまで自民党はまんべんなく(道路予算を)地方にばらまいてきた。いまさら、残ったところには回さないとはいえない」とのべます。首相自身も“総額ありき”方式で道路建設をする「中期計画」を撤回していません。
「造反も」
○…「また上げさせていただきたい」。町村官房長官は二十九日の講演で、特定財源の暫定税率が下がっても衆院で与党の三分の二以上の多数で歳入・税制関連法案を再議決して税率を元に戻す立場を強調しました。
これに対し、民主党との妥協を図るため福田首相に一般財源化などを早くから提言してきた自民党の中堅・若手議員グループの一人はいいます。「再議決するというならおれらは反対に回る。賛同する議員は二十人以上いる。そうすると(三分の二の再議決は)間違いなくやれない」。首相提案の背景には、再議決に向けた“造反対策”も浮かびます。
(出所:日本共産党HP 2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」)