未来を信じ、未来に生きる。

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薬害C型肝炎 失われた20年を検証

2007-12-07 20:39:07 | 国内政治
 薬害C型肝炎 失われた20年を検証
感染者への支援策は待ったなし

「厚生労働省は事実にふたをしたかったのではないか。不作為どころか悪意としか思えない」
(全国原告団代表の山口美智子さん)――。

薬害C型肝炎をめぐり、厚労省が感染者の本人特定可能な資料を製薬会社から受け取りながら放置していた問題が大きな波紋を広げ、国は否定的だった集団訴訟の和解協議に応じざるを得ない状況となった。

実は同省への最初の個人情報提出は、青森県で肝炎集団感染が発生した87年にまでさかのぼるとされる。感染者の生命や健康よりも国の体面を重んじ、問題先送りを重ねてきた「失われた20年」を検証する。

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 その書類は、厚生労働省の地下倉庫に眠っていた。血液製剤「フィブリノゲン」を投与されC型肝炎に感染した418人分の匿名リスト(症例一覧表)のうち、実名やイニシャル、医療機関名などで本人確認できる可能性のある165人分の個別資料。これまで同省が「個人名を特定できる情報を持っていない」(資料発見前の10月16日、舛添要一厚労相の国会答弁)と、その存在を頑なに否定し続けてきたものだ。


┃訴訟拡大を避けるために資料放置か

 製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字、現田辺三菱製薬)は、02年8月までにこれら資料を厚労省に提出したとされる。この時点で感染者を特定し告知できた可能性が高かったにもかかわらず、同省は5年余りも漫然と放置したばかりか、171人が国と争っている薬害C型肝炎集団訴訟では責任を否定し続けた。「418人リスト」のうち33人は訴訟原告の可能性があるとみられるが(12人は特定)、中でも2人について国がフィブリノゲン投与情報を自ら保持しながら「カルテが無く投与証明が不十分」と主張してきたのは、まさしく「悪意」と言うほかない(資料発見後、国は投与事実を是認)。

 02年の個人情報提出後も厚労省の腰は重く、フィブリノゲンが納入された7000ヵ所近い医療機関名も「数が多すぎる」「病院側の利益を害する」などとして明らかにせず、公表は04年12月にまでずれ込んだ。02年夏は約20人の感染者が提訴を検討していた時期と重なり、資料放置は訴訟拡大を避ける意図的な隠ぺいではなかったかとの疑念もぬぐえない。C型肝炎は自覚症状のないまま20~30年後に肝硬変や肝がんに進行するおそれがあり、早期発見・治療が重要であることを考えれば、見て見ぬふりを続けた同省の怠慢は犯罪的ですらある。

 一方、三菱ウェルファーマは02年時点で感染者197人の実名などを把握していたが、その情報を厚労省への報告文書に含めていない。理由は「(同省から)住所氏名を記載しろという命令はなかった」。監督官庁にも製薬会社にも、感染者の生命や健康を第一に考える思想がまるで欠落していた証左と言えるだろう。



┃危険性知りながら集団感染まで放置

 フィブリノゲンは主に出産や手術時の止血剤として広く使用されてきたが、感染症リスクなどから77年に米国のFDA(連邦食品医薬品局)が承認を取り消した。しかし旧厚生省はこうした危険性を知りながら、87年に青森県で産婦8人の肝炎集団感染が表面化するまで何の規制措置も取らなかった。一連の集団訴訟のうち今年7月の名古屋地裁判決は、非加熱フィブリノゲン(フィブリノゲン―ミドリ)の製造承認時の76年4月までさかのぼって国を断罪、最初に製造承認した64年からの責任も事実上認めている。

 また「418人リスト」のうち73人分は87~88年、旧ミドリ十字から個別の副作用報告書が旧厚生省に提出されていた。ここで同省が情報収集を進め本人告知に乗り出していれば、多くの救われた命や症状悪化を避けられた感染者がいたであろうことは想像に難くない。同リストは、直近の仙台地裁判決が「副作用情報提供について厚生省のミドリ十字への指導が不徹底」と認定(国の法的責任は認めず)した87年6月から88年2月までの9ヵ月間だけでも、90人以上が肝炎に感染した事実を物語る。しかし旧厚生省が肝炎対策有識者会議を設置したのは00年11月、検査態勢整備を中心とした「C型肝炎緊急総合対策」が始まるのは02年度からだ。20年を空費するに任せた同省の責任はあまりにも重い。



┃全容解明へ不作為による時間の壁も

 薬害C型肝炎の感染者は約1万人、フィブリノゲン投与を受けたのは28万人に上ると推定されている。舛添厚労相は10月24日の国会答弁で投与者全員を追跡調査し、検査や治療を呼びかけると大見得を切ったが、ではどのように探し出すのか全く明らかではない。納入先リストが公表された04年末時点ですでに約1200ヵ所が廃院しているとされ、フィブリノゲンを誰に使用したかの解明が極めて困難であることに加え、現存する医療機関でもカルテ保存期間5年を過ぎ、ほとんど記録が残っていないおそれがある。ここでも厚労省の不作為により生じた時間の壁が、大きく立ちはだかる懸念が強い。

 10月31日、福田首相は薬害C型肝炎問題への国の責任を初めて口にした。その言葉に偽りがないのであれば、11月7日の大阪高裁の和解勧告を受け入れ法的責任を認め謝罪した上で、もう1つの感染源「クリスマシン」も含む全被害者の実態把握と全面救済に内閣の総力を挙げて取り組む必要がある。350万人とされるB型・C型肝炎感染者への支援策実施も急務だ。もはや一刻の猶予も許されない。


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薬害C型肝炎をめぐる主な経過

1964年6月
厚生省が日本ブラッドバンク(後のミドリ十字)の血液製剤フィブリノゲンを製造承認

77年12月
米国FDA、フィブリノゲン製剤の承認取り消し

87年4月
青森県でフィブリノゲンによる肝炎集団感染発覚。ミドリ十字が自主回収。厚生省は加熱フィブリノゲンの製造を承認
翌88年にかけてミドリ十字が厚生省に73人分の症例資料提出

2000年11月
厚生省が肝炎対策有識者会議設置

02年3~7月
厚労省、三菱ウェルファーマにフィブリノゲン投与後の肝炎発症例を報告命令

02年8月
三菱ウェルファーマが418人分の症例一覧表を厚労省に提出

02年10月
東京・大阪で薬害C型肝炎訴訟提訴。以後、福岡・仙台・名古屋にも拡大

04年12月
厚労省が約7000のフィブリノゲン納入医療機関を公表

06年6月
大阪地裁で原告一部勝訴判決(国の法的責任認定期間87年4月~)。以後、福岡(同80年11月~)・東京(同87年4月~88年6月)・名古屋(同76年4月~)でも国と製薬会社の責任認定

07年9月
仙台地裁判決。国の法的責任は否定したが、87年6月~88年2月について「製薬会社への行政指導が不徹底」と指摘

07年10月
厚労省による本人特定可能な感染者資料の放置問題が発覚

07年11月
大阪高裁が和解勧告

(出所:社民党HP 社会新報2007.11.14号より )
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医療行為を原因とする肝炎患者の救済に関する取り組みについて-社民党-

2007-12-07 20:36:47 | 国内政治
 政策(2006年7月21日公開)

医療行為を原因とする肝炎患者の救済に関する取り組みについて

社民党「医療行為を原因とする肝炎患者の救済に関するプロジェクトチーム」
座長 阿部知子(社民党衆議院議員・小児科医)


 今日、日本には、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスを併せて300万人から350万人の感染者・患者がいると推定されている。年間、肝がんなどで亡くなる3万人から5万人の大半は、B型・C型肝炎ウイルスが原因であると考えられている。


 ウイルス性肝炎患者の大半は、血液製剤(血漿分画製剤・輸血用血液製剤)の使用、集団予防接種における注射器の使い回し、つまり医療行為を原因とする医原性の感染によるものである。ウイルス性肝炎は潜伏期間が長く、多くの持続感染者(キャリア)は、感染を知らされないまま放置されている。また、重度化を防げなかったため、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行した患者は、充分な治療体制や生活支援がないなかで、過酷な闘病生活と高額な医療費の負担、社会的な差別偏見に苦しんでいる。


 06年6月16日、最高裁は、集団予防接種による「B型肝炎訴訟」について、感染防止義務を怠った国の責任を全面的に認め、損害賠償の支払いを命じた。これによって原告被害者全員の勝訴が確定した。


 続く6月21日、大阪地裁は、「薬害C型肝炎訴訟」について、国と製薬会社(旧ミドリ十字=現三菱ウェルファーマ等)の過失責任を明確に認め、損害賠償請求の支払いを命じる判決を言い渡した。出産や手術時に止血剤として投与された血液製剤「フェブリノゲン」などにより、C型肝炎ウイルスに感染させられた患者らは、2002年以降、国と製薬会社を相手に、全国の5地裁に賠償を求めて集団提訴をしている。その初の判決となる大阪地裁で、国の薬事行政は「安全性確保の認識や配慮に著しく欠けており違法である」と厳しく指摘された。

(国は6/28に控訴。製薬会社は7/4に控訴。原告団は、判決が1987年4月以前の国の責任を認めず原告によって判決が異なることを不服とし、勝訴した人も含め原告全員が7/4に控訴)


  「B型肝炎訴訟」は、集団防衛を優先するあまり個人の健康が犠牲となりかねない予防接種行政の積年の問題を明らかにした。また「薬害C型肝炎訴訟」は、サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブ病など、過去に繰り返された薬害と同じ構図が、ウィルス性肝炎感染にもあることを示した。


  二つの司法判断によって、医薬行政の怠慢、誤りが明らかになった今、国は自ら反省し、過失責任を踏まえた肝炎対策へと政策を大きく転換すべきである。また、カルテの保存期間が過ぎて被害の証明ができない患者についても医師の証明等により救済の対象を拡大すべきである。


  社民党は、国と製薬会社に対して、被害患者への責任ある対応と以下の救済策を強く求めていく。

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(1)検診体制の確立

[1]潜在的な感染被害の可能性を周知徹底

「薬害C型肝炎訴訟」「B型肝炎訴訟」の原告と同様に、血液製剤(血漿分画製剤・輸血用血液製剤)の使用、集団予防接種における注射器の使い回しによる感染被害の可能性が、潜在的にあることを周知徹底する


[2]検診体制の強化

・感染被害の可能性がある者に対して、ウイルス感染の有無や肝機能の検診を全額公費で行う

・早期発見・早期治療、肝炎の重度化を予防するため、継続的な検診体制を確立し、経過観察を行う


[3]登録制度の創設

感染患者をフォローアップできるよう、個人情報保護を徹底した登録制度の創設、手帳交付を検討する

(2)医療支援・生活支援

[1]治療費に伴う経済的負担の軽減

・治療薬インターフェロンについて保険適用の条件制限を緩和する

・高額となる治療費について一定の上限を設けるなど、医療費の公費助成を行う


[2]治療体制の強化

・ウイルス性肝炎に関する専門医を質量ともに充実する

・ 治療体制の地域格差を是正し、治療の均てん化を図る

・ 一般医のレベルアップと専門医との連携を図る


[3]ウイルス性肝炎に対する治療法の研究や開発を推進する

[4]被害患者の生活実態を把握し、必要な生活支援を行う

(3)原因究明と再発の防止

[1]国と製薬会社等が保有する情報を全て公開し、第3者機関を設置して、徹底した原因究明を行う

[2]安全性確保の観点から、学校における集団予防接種、血液行政全般を抜本的に見直し、被害の再発を防止する

(4)正しい知識を普及し、患者への偏見・差別をなくす

[1]厚生労働省にウイルス性肝炎に関する窓口を設置し責任ある対応を行う

[2]特に就学、就職差別をなくすよう具体的な施策を行う

(5)責任の明確化と謝罪

[1]国と製薬会社が責任を認めて被害者に謝罪し補償することを求めるとともに、裁判の早期解決を図る

[2]救済対策推進のために国と被害者の協力体制を確立する

(6)特別立法の検討

上記の救済策を推進するために、特別立法の創設を検討する

(出所:社民党HP )
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死刑執行に強く抗議する(談話)-社民党ー

2007-12-07 20:31:52 | 国内政治
2007年12月7日

死刑執行に強く抗議する(談話)

社会民主党幹事長
又市 征治

本日、法務省は、東京拘置所で2人、大阪拘置所で1人の死刑を執行した。社民党は死刑制度が人道と社会正義に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の3人の死刑執行に強く抗議する。


今回の執行に当たって、法務省は死刑の秘密主義に対する批判に応えるように、執行された死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。これまでは死刑囚の家族や、ほかの死刑囚への配慮を理由に公表しておらず、大きな方針転換である。鳩山邦夫法務大臣は、死刑の執行について繰り返し積極的に言及してきた。死刑制度に関して国内外で大きな議論が起きていることを無視するような法務大臣と法務省の姿勢は、言語道断と言わざるをえない。


1989年の国連総会で「死刑廃止条約」が採択されて以来、国連人権委員会でも「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」とした呼びかけがなされている。今月中旬には、国連総会で死刑の執行停止を求める決議が採択される予定である。今回の執行は、死刑制度の廃止に向かう世界の流れに逆行したものである。


死刑制度については、存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を差し控えるべきである。社民党は、今後も死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。

以上

(出所:社民党HP)
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児童扶養手当削減-「凍結」ではなく撤回を-

2007-12-07 20:23:12 | 国内経済
主張
児童扶養手当削減
「凍結」ではなく撤回を

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 母子家庭の命綱・児童扶養手当の削減をめぐる新たな動きがすすんでいます。

 政府は二〇〇二年の法改悪で、児童扶養手当の支給開始から五年を超えたら最大半額の削減を来年四月から実施すると決め、準備をすすめていました。しかし、「中止」をもとめる国民の声と運動の高まりのなか、与党は一部見直しをうちださざるをえませんでした。いま必要なのは一時の「凍結」ではなく、削減そのものを撤回させることです。

「就業意欲が基準」では
 与党合意は、本人や子ども等の障害や病気などで仕事につけない事情がないのに「就業意欲がみられない者」には、支給額を半額にするというものです。ほぼすべての人が継続して受給できるといっています。

 しかし、「就業意欲」を支給額の基準にすることに、母子家庭の母親たちから不安の声があがっています。生活保護をめぐって、病弱でも就労ができるとして辞退届の提出を強要され餓死した例まで生まれています。あいまいで意図的な対応が可能な基準であり、不安は当然です。

 現在、与党合意をうけ、厚生労働省で「就業意欲がある」と判断する方法などの検討がすすめられています。ハローワークや訓練所、自立支援センターなどの証明書添付などを義務づける方向だとされています。

 母子家庭の母親のなかには、「子どもの世話をしてくれる人がいない」ために就労していない人、「年齢的」「時間的」に「条件のあう仕事がない」人もいます(厚生労働省「全国母子世帯等調査」)。もともと児童扶養手当には所得制限があり、低所得者に支給されているものです。そのうえ、こういう条件にある人たちが、時間も交通費もかけて、ハローワークなどに行かなければ「就業意欲なし」となるのでしょうか。

 日本の母子家庭の母親は八割以上が働いています。しかも臨時・パートなど非正規で働く母親が増加し、二カ所以上、深夜も働く母親も少なくありません。年収は、児童扶養手当や生活保護費をいれても平均二百十三万円、一般世帯の収入の38%です。先進諸国のなかでも、とくに低い水準におかれています。

 自公政府はこれまでも、児童扶養手当の削減をすすめてきました。二〇〇二年には所得制限の引き下げによって三十三万人が支給額の減額をされています。児童扶養手当が「就労の妨げ」になっており、「自立」を促進することが必要だということでした。ところが与党も認めるように「就業支援」は前進していません。

憲法25条の生存権保障を
 日本共産党は、「母子家庭の命綱・児童扶養手当を削減するな」と国民とともに反対してきました。OECD(経済協力開発機構)も、貧困状態にある日本の母子家庭にもっと公的支出を重点配分すべきという勧告をしています。

 二〇〇二年の法改悪のときには、自民、公明、民主党などが賛成するなかで、日本共産党は反対の論陣をはりました。今年二月には志位和夫委員長が衆院予算委員会で、憲法二五条で保障された国民の生存権を侵害すると、削減中止を強く求めました。参議院選挙政策でも、「緊急福祉一兆円プラン」の一つに児童扶養手当削減中止をかかげました。

 今回、対象者全員、最大で半額削減した場合の金額は百六十億円程度で、新鋭イージス艦一隻分千四百億円のわずか九分の一です。日本共産党は、法改正による削減の中止と充実のために、全力をあげます。

(出所:日本共産党HP 2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」)
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自公政権・厚労省ー国保料低収納に制裁・二〇〇二―〇六年度で交付金1439億円減額ー

2007-12-07 20:21:39 | 国内経済
厚労省
国保料低収納に制裁
小池議員 交付金1439億円減額批判

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 国民健康保険料の収納率が低い自治体に対して国が制裁措置(ペナルティー)として、国保調整交付金の削減を行っていますが、その削減総額が最近五年間(二〇〇二―〇六年度)で千四百三十九・四億円にのぼることが四日、参院厚生労働委員会での日本共産党の小池晃議員の質問で明らかになりました。

 〇六年度は減額が三百十億円で、全自治体の半数近い八百三十九自治体が減額の対象になっています。同交付金の減額率は収納率により、9、11、13、15、20%などランクがつけられています。最大の20%削減されているのが、千葉県八街市と大阪府門真市で、八街市は八千百万円、門真市は二億四千万円が減額されています。

 小池氏は「両市の収納率が低いのは、低所得層が相対的に多いからで、努力を怠っているからではない」と指摘。国保料を引き上げた結果、滞納者が増え、さらに保険料を上げる「悪循環」が起きていると批判しました。

 また小池氏は、収納率低下の根本原因は、国庫負担が削減されたことにあるとし、「国庫負担率を上げることはもちろん、収納率が低い自治体に追い打ちをかけるような減額措置はやめるべきだ」と追及しました。

 舛添要一厚労相は「収納率を上げるために努力を促す意味で、ペナルティーの存在意義はある」などと述べ、自治体への制裁措置を続ける姿勢に終始。小池氏は「収納率低下に拍車をかけるやり方はやめるべきだ」と強く批判しました。

国保料の収納率が低いために調整交付金を減らされた自治体数と金額

 年度 自治体数  金額(億円)
 2002   890    224.9
  03   1005    284.7
  04   1051    312.8
  05   971    307.4
  06   839    309.6
 合計        1439.4

(出所:日本共産党HP 2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」)
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原油高騰問題に関する日本共産党・国会議員団の申し入れ(全文)

2007-12-07 19:42:25 | 国内経済
原油高騰問題に関する党国会議員団の申し入れ(全文)

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 日本共産党国会議員団が四日、政府に対して行った「原油高騰問題に関する申し入れ」の全文は次の通りです。

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 国民のくらしと営業、日本経済を原油価格の高騰が襲っています。

 原油価格は、国際指標とされるニューヨーク商業取引所の先物価格で一バレル=九九ドル台を突破し、史上最高値を更新しました。国内の石油製品価格も二〇〇四年初頭に比べて全国平均でガソリンが五割高、軽油が六割高、灯油・重油が二倍超などと軒並み上昇しています。ハウス栽培農家、漁業者、トラック運送業者、ガソリンスタンド、銭湯、クリーニング店、燃料油を使う事業者などから、“これでは経営がたちゆかない”と、悲鳴が上がっています。

 国民生活にも重大な影響が出ています。ガソリン代の高騰に加え、これから厳しい冬を迎えるにあたり、暖房用の灯油が生活必需品となっている北海道・東北などの地域では、灯油代の値上がりはまさに死活問題となっています。

 原油価格高騰の影響はこれだけにとどまりません。原材料費や穀物価格の高騰ともあいまって、パン・即席麺・みそ・ビール・豆腐など、食料品から日常生活用品にいたるまで価格上昇を招き、この動きは、消費者物価全般へ波及しつつあります。

 原油高騰問題は、まさに国民のくらしと地域経済を直撃し、日本経済全体の先行きにとって重大な問題となっています。

 このように、消費者・石油販売店・ユーザー業界・中小企業などから悲鳴や不安の声が上がっているなかで、大手石油元売り六社はこの三年半だけでおよそ二兆六千億円もの巨額の利益をあげています。石油元売り企業と一部の巨大企業だけが空前の大もうけを続けているもとで、政府が、迅速・有効な対策を講じていないことに国民の怒りと不信が広がっています。

 今日、特に重視しなければならないのは、近年の原油価格暴騰の主犯ともいうべき国際的な投機資金の流入問題です。

 ヘッジファンドなど短期的な利益を目的とする膨大な投機資金が、原油市場や穀物市場に大量流入して価格暴騰をもたらしていることは今や明らかです。実需を反映しないこれらの投機筋とその背後の巨大金融機関が、市場価格を乱高下させ大幅な価格つり上げで巨利を得ているのです。まさに異常事態です。

 投機の背景には、(1)世界最大の石油消費国である米国や中国、インド等の新興諸国の需要拡大、(2)米国の石油精製設備など供給能力の不足、(3)イラク戦争の泥沼化など中東情勢の不安定化があります。

 食糧とエネルギーという人類の生存と経済社会の基盤を、巨大な国際的投機資金が左右する「市場原理」、「マネーゲーム」に任せるわけにはいきません。今こそ、日本政府が各国と連帯・協調して、国際的な投機を規制するルールの確立とエネルギーの安定供給に向け全力を傾けるべき時です。

 世界的なスーパーメジャーの誕生、資源ナショナリズムの高揚とともに、国内的にはこの間の一連の政府の規制緩和・自由化政策のもとで、わが国においても新日本石油、ジャパンエナジーという二大石油元売りグループなどの寡占化がすすみ、原油高騰にともなう石油製品の精製・流通の市場支配力を強めています。石油製品の便乗値上げや市場操作、不公正な取引を許さないため、また食料品等の値上げなどについて、厳重な監視を行うべきです。

 日本共産党国会議員団は、社会の格差と貧困が広がるもとで、いっそう厳しさの増す国民の暮らしと中小企業の営業を守るため、政府に対し下記項目について緊急措置および抜本対策を行うよう強く申し入れます。

 一、異常な原油・石油価格高騰を沈静化、抑制するため、ヘッジファンド、コモディティ・ファンドなど国際的な投機マネーを規制する国際的協調を実現するために、あらゆる方策を検討すること。

 二、消費者、地方への影響を緩和するため、ガソリンなど石油製品や食料品・日用品などの便乗値上げの監視を強化し、生活必需品である灯油量の確保と価格の引き下げのための緊急対策を行うこと。

 (1) 「福祉灯油」など寒冷地、低所得者向けの支援策や離島対策を国の責任で制度化する。

 (2) 地方バス・鉄道その他の公共的交通機関への財政上の支援措置を講ずる。

 (3) 石油元売りの利益還元への指導、国内備蓄の放出および「国民生活安定緊急臨時措置法」などあらゆる方策を検討する。

 三、この間の石油・エネルギー政策の規制緩和、「市場への不介入」方針を見直すこと。また大手元売り会社に対して原油差益を国民に還元させ、製造原価、卸値等の費用価格の情報の公開および国民に対して値上げ理由の納得できる説明責任を果たさせること。

 四、大手商社・大手荷主・元請け親企業などの大企業に対して、原材料費・燃料費の上昇分を中小・下請業者、物流業者などに一方的に押しつけないよう強力に指導するとともに、買いたたき・不当廉売・差別対価などを厳重に取り締まり、公正な取引価格を実現する特別の措置を講ずること。また中小企業に対する緊急融資・保証制度を創設すること。

 五、ガソリン、軽油、重油等の価格高騰の直撃を受けている運送業者、中小業者、農林漁業者などの負担を軽減するため、国の責任で緊急の減税措置を講ずること。

 六、政府に関係閣僚による原油高騰問題戦略本部を設置して対策を講ずること。その際、以下のことに重点をおく。

 (1) 環境・エネルギー政策を根本的に転換し、石油依存度を引き下げ、省エネルギーの推進につとめるとともに、穀物にたよらないバイオエネルギーなど再生可能エネルギーの開発・利用を抜本的に拡大すること。

 (2) 低所得者・貧困層、中小・零細業者など働く国民の生活実態をよくつかむ。国民からの相談窓口および不公正取引の告発ホットラインを設置すること。

 二〇〇七年十二月四日
 日本共産党国会議員団
 内閣総理大臣
 福田康夫殿

(出所:日本共産党HP  2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」)
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イラン核兵器開発停止報告-先制攻撃論に疑問-

2007-12-07 19:36:45 | 国内政治
イラン核兵器開発停止報告
先制攻撃論に疑問
米・英紙が主張

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外交解決強めよ
米紙
 【ワシントン=山崎伸治】イランが二〇〇三年秋以降、核兵器開発を中止しているとした米情報機関による「国家情報評価」(NIE)報告の新たな分析について、五日付米紙はいずれも高く評価しました。これまで危機をあおりながら疑惑国への先制攻撃も辞さないとしてきたブッシュ政権を批判し、問題の外交的解決を主張しています。

 ニューヨーク・タイムズは社説で、ブッシュ大統領が「アメとムチ」を使うと言うなら「包括的会談と本質的な報酬について真剣に提案する必要がある」と指摘。そのためにライス国務長官を派遣すべきだと提案しました。

 フィラデルフィア・インクワイアラーの社説は「イランとの外交の先例は二月に示されている」として、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の合意を指摘。「北朝鮮は外交と制裁の組み合わせにこたえてきた。その解決策をイランでもやってみるべきだ」と主張しています。

 ロサンゼルス・タイムズは社説で、大量破壊兵器に関する誤った情報でイラク戦争を導いたという誤りから「米国の情報機関は教訓を学んだ」とイランの核開発に関する評価の「転換」を歓迎。数週間前にブッシュ氏が「第三次世界大戦」に言及した際は「すべて疑わしい情報にもとづいていた」と批判しました。

 ワシントン・ポストでは、コラムニストのロバート・ケーガン氏が「疑惑のあるイランの核施設に対する軍事攻撃は常に危険をはらんできた。ブッシュ政権にとってその選択肢は消え去った」として、「イランと話し合うべきときだ」と主張しています。

 ボストン・グローブも社説で「ブッシュ大統領らが新しい評価をどのように解釈しようと、イランの核施設に対して急いで軍事攻撃を加えるという議論が弱まることは疑いない」と分析。ブッシュ氏が「イラン政府との包括的な交渉を開始する」ことへの期待を表明しました。

英2紙
 【ロンドン=岡崎衆史】イランが二〇〇三年に核開発を停止したとの米情報機関の報告について、英国の二つの有力紙が五日、米国によるイラン攻撃の根拠が薄れたとして歓迎し、外交解決の努力を強めるよう求めました。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、「イランに対する新しいリアリズムを歓迎」と題する社説を掲載。報告発表は、「テヘラン(イラン政府)に対する外交攻勢を進める機会だ」としました。

 社説は特に、報告がイランの政治的決定だけが同国による核兵器取得を防ぐことができるとしていることについて、「そのような決定を引き出すことが正しい政策だ」と述べ、イランに対する安全の保証や経済関係の樹立による「アメ」と、制裁による「ムチ」の政策の組み合わせによって、イラン問題の解決をするよう求めました。軍事攻撃については、核兵器開発防止につながらないとして否定しました。

 また、イランの民生用原子力利用を否定する米欧のタカ派の議論については、「もはや批判に耐えられない」とし、こうした議論に正当性はないとの考えを示しました。

 ガーディアン紙社説は、報告によって、「先制攻撃の選択肢追求が不可能になった」と述べ、核兵器開発を理由にしたイラン攻撃が正当性を失ったことを強調。「ワシントン(米政府)の主戦論騒ぎは鎮められなければならない」としました。

 同社説はまた、「ワシントンは北朝鮮政策転換による成功から学ばなければならない。平壌(北朝鮮)への関与政策への回帰は成果をもたらした」とし、イラン政策についても、北朝鮮政策同様、強硬路線から外交重視に政策転換を行うよう求めました

(出所:日本共産党HP 2007年12月7日(金)「しんぶん赤旗」)

イラン核開発
「03年秋以来、中止」
米情報機関 ブッシュ政権と異なる分析
大統領補佐官 外交的解決に「期待」

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 【ワシントン=山崎伸治】米政府は三日、イランの核開発に関する米情報十六機関の見解をまとめた「国家情報評価」(NIE)報告の非機密部分を公表しました。そのなかで同国は二〇〇三年秋以来、核兵器開発を中止していると指摘。断固として核兵器開発を決意しているとした〇五年五月の報告を修正する分析を示しました。

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 報告は「国際的な監視と圧力」がイラン政府の決断を導いたと指摘。ホワイトハウスのハドリー国家安全保障担当大統領補佐官は声明で、「イランが核兵器を保有する危険は引き続き非常に深刻な問題だ」と指摘。報告については「この問題が外交的に、武力行使なしに解決できるという期待に根拠を与えている」と強調しました。

 報告はイランが秘密工場を使って兵器用の高濃縮ウランを生産していたと指摘。「こうした活動は、おそらく二〇〇三年秋の計画中止にともなって中断し、少なくとも〇七年半ばまで再開していない」と分析しています。

 「現在核兵器を開発するつもりかどうかは分からない」との見方を示すとともに、核兵器の製造を決断すれば、それを可能とする「科学的、技術的、工業的能力」はあると評価。しかし「兵器用の高濃縮ウランを十分に生産できるようになるのは二〇一〇年から一五年の間」と推測するなど、核兵器の保有にはまだ時間がかかるとの見通しを示しました。

 ブッシュ政権はこの間もイランが核兵器開発を行っていると批判を強めていましたが、今回の報告はそれとは異なる分析を示しています。

 国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長も、イランについて「具体的な核兵器開発計画が進行中であるという、いかなる情報も私は持っていない」(十月二十八日、米CNNテレビとのインタビュー)と述べていただけに、今後のブッシュ政権の対応が注視されます。

(出所:日本共産党HP 2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」)
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アフガン 米軍作戦-市民犠牲前提に空爆-

2007-12-07 19:34:00 | 国内政治
市民犠牲前提に空爆
アフガン 米軍作戦、テロ温床に
参院委で井上議員追及

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 アフガニスタンでの米軍による空爆が、事前に民間人の犠牲者を前提に実施されていた―。日本共産党の井上哲士議員は六日の参院外交防衛委員会で、米軍の対テロ掃討作戦の実態を突きつけ、こうした作戦を支援する海上自衛隊の再派兵をやめよと求めました。

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 アフガンでは、イラクの四倍もの空爆が行われ、民間人犠牲者は「驚くべきレベル」(国連人権高等弁務官事務所のルイーズ高等弁務官)に達しています。それでも政府は「(アフガンの)カルザイ大統領は米軍はアフガンを助けるために来ていると言っている」(高村正彦外相)と述べ、米軍を擁護してきました。

 井上氏は、大統領の発言の引用先が十月二十八日放映の米CBS番組でのインタビューだと指摘。同番組で大統領は、先の発言に続けて「しかし(アフガン国民は、戦争が始まって)五、六年もたって、なぜいまだに空軍力が必要か全く理解できない」と述べていることを明らかにし、空爆中止を求めていることを指摘。高村外相は、空爆中止を求めた発言部分について「(報告が)来ていなかった」と弁明しつつ、空爆による民間人犠牲は、あくまで「誤爆」との認識を示しました。

 しかし同番組では、アフガン空爆を管理している指揮所の副責任者(米空軍大佐)も登場し、市民の犠牲者が事前に見積もられ、犠牲を出しても空爆を行うかは、現場の司令官の責任で決定されると報じています。

 井上氏は「『誤爆』というが、空爆は市民の犠牲を前提にしているのが実態だ」と告発。高村外相は「(井上)議員のいう側面がないと言うつもりはない」と述べつつも、掃討作戦の必要性を繰り返し強調しました。

 井上氏は、こうした軍事作戦が市民の怒りをかきたて、テロの温床をつくりだしているのが現実だと述べ、「だからテロ根絶が前進しないのだ」と批判しました。

(出所:日本共産党HP 2007年12月7日(金)「しんぶん赤旗」)
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国際学習到達度調査(PISA)-学ぶ意欲育てる自由と条件を-

2007-12-07 19:29:21 | 国内教育
主張
国際学習到達度調査
学ぶ意欲育てる自由と条件を

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 経済開発協力機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果が公表されました。対象は十五歳で、日本は高校一年生が二〇〇六年にうけました。

 PISAの調査は、学校で学習した知識量ではなく、知識をもとに思考力や自分で問題を見つけて解決する能力などを見るものです。

 日本の順位の「低落」が言われますが、考えなければならないのは順位よりその中身です。

順位でなく中身が心配
 とくに学ぶことへの意欲の低さが心配です。日本の生徒は科学に興味や楽しさを感じず、「科学を必要とする職業につきたい」と思う割合もたいへん低いのが特徴です。科学への関心は調査した五十七カ国中最低と評価されました。

 今回の調査は「科学」が中心でした。日本の生徒は、さまざまな現象を科学的に説明したり、あるテーマについて科学的調査で答えがでるかどうかを考えるなど論理的な問題が苦手です。また前回調査で増えた成績下位層の割合も大きな変化がありませんでした。

 なぜ、学習への意欲が「ずば抜けて低い」(文部科学省)のでしょうか。何より、「高度に競争的」と国連から勧告されている教育制度の問題に目をむけないわけにはいきません。

 高校受験のため、学習が知識のつめこみになり、一つの「正答」を知ればいいという風潮が顕著です。たとえばテストのため顕微鏡の各部分の名前を暗記、国語は問題文を読まずに設問から正しそうなものを選択する。入試体制がうみだす風景です。

 調査でも「生徒が実験室で実験をおこなう」「先生は習った考え方が多くの異なる現象に応用できることを教えてくれる」と答えた割合は平均の半分でした。「生徒は課題の話し合いをする」はOECD平均42%にたいし日本は9%にすぎません。

 政府や地方行政が学習指導要領などにより教員の教育活動を統制していることも問題です。今回うきぼりになった意欲や関心にしても、文部科学省は「関心・意欲・態度」の点数化を教員に強制してきました。その結果、関心などのチェックに忙しく肝心の授業がおろそかになると教員から悲鳴が上がりました。これで生徒の関心が育つはずがありません。

 学ぶことは繊細な精神的営みであり、教育には自由が欠かせません。統制をもちこめば、教える側、学ぶ側の双方の意欲を損ない、結局は失敗することを政府は知るべきです。

 また教育条件も「四十人学級」などではていねいに教えるには困難です。さらに本格的には、子どもから進学や将来の夢をうばう格差社会の影響など広い視野の検討が必要です。

 文科省は「全国学力テスト」などの競争と詰め込みを強めるなど従来の方針の踏襲を表明しています。財務省は「教員の数が多すぎる」と人員削減すら求めています。しかし目を世界に転じれば、こうした日本の方向に未来がないことは明らかです。

広く世界に目を向けて
 PISA調査で三回連続一位となったフィンランドは、大胆な教育改革をおこなっています。習熟度別学級の廃止など競争教育が大きく見直されました。学習指導要領の簡素化など教員の自由を保障し、教科書も教員が自由に選べます。「二十人学級」にして、学習が遅れている子どもへは特別な体制をとり「一人も落ちこぼさない」が貫かれています。

 政府はひろく世界にも目をむけ、憲法にもとづいて、教育政策をおおもとからあらためるべきです。

(出所:日本共産党HP 2007年12月7日(金)「しんぶん赤旗」)

OECD国際学習到達度調査
日本、数学的応用力10位
高校1年生 依然「読解力」低下も

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 経済協力開発機構(ОECD)は4日、2006年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果を発表しました。日本は「数学的応用力」が前回(03年)の6位から10位に後退しました。前々回(00年)は1位でした。「読解力」は点数では前回と同じ498点でしたが、順位は14位から一つ下がって15位になりました。

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 点数はОECD加盟国の平均点が五百点になるように換算したもの。

 数学的応用力では一位が台湾の五百四十九点、二位はフィンランドの五百四十八点。日本は前々回一位だったときは五百五十七点でしたが、前回は五百三十四点に低下、今回はさらに十一点減の五百二十三点でした。

 読解力は一位が韓国の五百五十六点、二位はフィンランドの五百四十七点でした。

 「読解力」では、日本は学力格差が前回からやや縮小したものの、前々回よりは大きく、歯止めがかかっていません。

 PISAは知識や技能を実生活にどの程度活用できるかをみることを目的に、三年に一回、義務教育を修了した十五歳の生徒を対象に、ペーパーテストによって実施されています。〇六年はОECD加盟国を中心に五十七の国と地域で約四十万人が参加し、科学的応用力、数学的応用力、読解力の三分野について調査しました。日本では無作為に選ばれた高校一年生約六千人が対象になりました。

 日本は先に公表された「科学的応用力」の結果でも前回より十七点減の五百三十一点で二位から六位に後退しています。

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解説
効果なかった競争と詰め込み
 四日に公表されたОECDの国際学習到達度調査(PISA)は「義務教育修了段階の十五歳児が持っている知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価」するものとされています。出題内容をみても、「温室効果」や「酸性雨」など実社会の具体的な問題に、身につけた知識を生かして答えるものが中心になっています。

 前回(〇三年)の調査では、日本は「数学的応用力」や「読解力」が低下しているという結果が出ました。これに対し文部科学省は「学力向上」策として、習熟度別学習の推進、「授業時間数の確保」などを進め、四十年ぶりの全国学力テストの実施を決めて各地にいっせい学力テストブームを起こしました。

 今回の調査結果は、学習指導要領から重要な学習事項を削減した問題とともに、文科省のこうした競争と詰め込みの「対策」が効果を上げていないことを示しているといえます。上位になったフィンランドは、授業時間は短く、少人数学級にして、子ども同士が学び合うことを大事にしています。

 学習指導要領改定に向けての中央教育審議会教育課程部会の「審議のまとめ」は、前回のPISAの結果も念頭に、これからは「活用力」を高めることが必要だとしています。しかし、その「対策」は、例えば「文章や資料を読んだ上で、自分の知識や経験に照らし合わせ、自分なりの考えをA4・1枚(1000字程度)で表現する」など、指導方法を細かく規定し、一律にやらせようというものです。

 このような対症療法的なやり方を上から押しつけても問題は解決せず、現場の矛盾を激しくするだけです。少人数学級や教職員増など教育条件の整備と、教師が子どもの実態に応じてていねいな教育活動をできる自由こそが求められています。(高間史人)

(出所:日本共産党HP 2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」)
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