主張
「派遣切り」
大企業は雇用責任を果たせ
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アメリカ発の金融危機が世界的な株安や円高、輸出の落ち込みに波及する中で、自動車や電機などの大企業で、派遣労働者や期間従業員など非正規の労働者を削減する動きが広がっています。完全失業率も上昇し始めています。
世界的な金融・経済危機の影響を受けているとはいえ、大企業は経営が行き詰まっているわけではありません。「派遣切り」などといわれる安易な人減らしはやめるべきです。大企業はいまこそ雇用の社会的責任を果たすべきです。
派遣拡大の正体見えた
派遣労働者や期間従業員を狙い撃ちした人減らしの動きは、輸出の落ち込みなどを先取りして、秋口から始まっています。トヨタとその系列企業は、愛知や静岡、九州など全国各地の工場で派遣労働者の契約を中途解除したり、期間従業員を解雇するなどの動きを強めています。三洋電機など電機や精密機械の大企業でも期間従業員の解雇が動き出しています。
派遣労働者や期間従業員は、満足に生活できないような低賃金で働かされてきたうえ、工場の近くに派遣会社などが確保した寮などに住まわされている例も多いため、解雇と同時に寝起きする場さえ奪われます。付近のコンビニの売り上げが急減するなど、地域にとっても大問題です。
実際には、金融・経済危機の影響は出始めたばかりで、人減らしはあらかじめ労働者に犠牲を押し付け、大企業が大もうけを続けるためです。たとえばトヨタは輸出が落ち込みそうだと収益見通しを下方修正しましたが、それでもなお来年三月末までで一兆三千億円もの純利益を見込んでいます。
大企業は正社員を減らし非正規の労働者を増やすことで生産コストを切り詰め、輸出を増やして、大もうけを続けてきました。金融・経済危機が始まり輸出が減りそうだとなると、一転、非正規労働者を狙い撃ちして人減らしを始めるのは、非正規を雇用の調整弁として使い捨てするもので、絶対に許されることではありません。非正規が狙い撃ちされるのは、正社員だと最高裁の判例でも確立し労働契約法にも盛り込まれた「整理解雇の四要件」が適用され、労働者との協議がないなど合理性のない解雇は強行できないからです。
財界の雇用戦略のシナリオといわれる、日本経営者団体連盟(日経連、現在は日本経団連に合流)の一九九五年の報告「新時代の『日本的経営』」は、労働者を長期的に継続雇用する労働者と、雇用調整に柔軟に対応できる労働者に分けることを提言しました。最近の「派遣切り」などの動きは、こうした狙いを浮き彫りにするものです。
雇用守る国民的運動を
企業は経営者だけ、株主だけのものではありません。資金をだすのは資本家や株主ですが、そこで働くのは労働者であり、商品を買うのは消費者です。経営者であれ労働者であれ、地域の支えがなければ存立できません。企業さえ大もうけできれば、労働者も地域も犠牲にしていいというのは間違っています。
企業に雇用の責任を果たさせる国民的な運動が不可欠です。労働者派遣法の改悪など非正規の拡大を応援してきた政府には、大企業応援政治を転換し、大企業に社会的責任を果たさせるよう求めていくことが重要です。
(出所:日本共産党HP 2008年10月30日(木)「しんぶん赤旗」)
労働者派遣法改悪 決定的場面で各党は?
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〈問い〉 年収200万円未満の非正規労働者が1千万人を超える! その引き金となった労働者派遣法の国会審議の大事な場面で、各党はどういう態度だったのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 日雇い派遣のような非人間的な労働が広がったのは、1999年の労働者派遣法の改悪がきっかけです。このとき他党がみな賛成するなかで、日本共産党は、今日の深刻な事態を予測して反対の論戦を展開しました。
労働者を企業に貸し出して利益をえる「人貸し業」は、戦後、職業安定法で禁じられました。その例外として85年に労働者派遣法ができましたが、対象業務を限定していました。99年の改悪は、これを「原則自由化」するという内容でした。
日本共産党は、これが通れば、正社員の派遣への切り替えが大規模にすすみ、いつでも解雇できる不安定雇用労働者の大群を生み出すことになるとして、国会議員団が抜本的な改正案を提案しました。
参議院で反対討論にたった市田忠義議員は、反対理由として「派遣の対象業務の拡大は大量の低賃金、無権利の労働者をつくりださざるをえない」「常用労働者の派遣労働者への置きかえが加速する」「派遣労働者の保護にかかわる規定が不十分である」「請負という名で大規模に派遣労働者化がすすめられている実態について有効な措置を講じていない」という4点をあげました。
対照的なのが他党です。自民、民主、公明など各党を代表して公明党の山本保議員が「労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図るため」に「時宜を得た内容と考える」と賛成討論しました。いまではまったく通用しない主張です。
法案は多数で押し切られましたが、日本共産党は、その後も「偽装請負」や日雇い派遣など人間使い捨てに泣き寝入りせずに立ち上がった労働者を励まし、ともにたたかってきました。
昨年12月に、労働者派遣法を「『派遣労働者保護法』に抜本的に改める」という要求を出し、ことし4月、法改正案を発表し、各政党、関係団体に共同して改正にとりくむことを呼びかけました。いま99年の法改悪に賛成した政党がそろって、派遣法の見直し、改正を主張するように変わりました。
志位和夫委員長の2月の国会質問に福田首相は、日雇い派遣は「好ましいものではない」といい、正社員から派遣への置きかえをすすめているキヤノンについて「厚生労働省に確認をさせたい」と答えました。その後、キヤノンは「製造派遣は解消する」と表明しました。日本共産党が政府と大企業を動かしています。(弘)
〔2008・9・17(水)〕
(出所:日本共産党HP 2008年9月17日(水)「しんぶん赤旗」)
「派遣切り」
大企業は雇用責任を果たせ
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アメリカ発の金融危機が世界的な株安や円高、輸出の落ち込みに波及する中で、自動車や電機などの大企業で、派遣労働者や期間従業員など非正規の労働者を削減する動きが広がっています。完全失業率も上昇し始めています。
世界的な金融・経済危機の影響を受けているとはいえ、大企業は経営が行き詰まっているわけではありません。「派遣切り」などといわれる安易な人減らしはやめるべきです。大企業はいまこそ雇用の社会的責任を果たすべきです。
派遣拡大の正体見えた
派遣労働者や期間従業員を狙い撃ちした人減らしの動きは、輸出の落ち込みなどを先取りして、秋口から始まっています。トヨタとその系列企業は、愛知や静岡、九州など全国各地の工場で派遣労働者の契約を中途解除したり、期間従業員を解雇するなどの動きを強めています。三洋電機など電機や精密機械の大企業でも期間従業員の解雇が動き出しています。
派遣労働者や期間従業員は、満足に生活できないような低賃金で働かされてきたうえ、工場の近くに派遣会社などが確保した寮などに住まわされている例も多いため、解雇と同時に寝起きする場さえ奪われます。付近のコンビニの売り上げが急減するなど、地域にとっても大問題です。
実際には、金融・経済危機の影響は出始めたばかりで、人減らしはあらかじめ労働者に犠牲を押し付け、大企業が大もうけを続けるためです。たとえばトヨタは輸出が落ち込みそうだと収益見通しを下方修正しましたが、それでもなお来年三月末までで一兆三千億円もの純利益を見込んでいます。
大企業は正社員を減らし非正規の労働者を増やすことで生産コストを切り詰め、輸出を増やして、大もうけを続けてきました。金融・経済危機が始まり輸出が減りそうだとなると、一転、非正規労働者を狙い撃ちして人減らしを始めるのは、非正規を雇用の調整弁として使い捨てするもので、絶対に許されることではありません。非正規が狙い撃ちされるのは、正社員だと最高裁の判例でも確立し労働契約法にも盛り込まれた「整理解雇の四要件」が適用され、労働者との協議がないなど合理性のない解雇は強行できないからです。
財界の雇用戦略のシナリオといわれる、日本経営者団体連盟(日経連、現在は日本経団連に合流)の一九九五年の報告「新時代の『日本的経営』」は、労働者を長期的に継続雇用する労働者と、雇用調整に柔軟に対応できる労働者に分けることを提言しました。最近の「派遣切り」などの動きは、こうした狙いを浮き彫りにするものです。
雇用守る国民的運動を
企業は経営者だけ、株主だけのものではありません。資金をだすのは資本家や株主ですが、そこで働くのは労働者であり、商品を買うのは消費者です。経営者であれ労働者であれ、地域の支えがなければ存立できません。企業さえ大もうけできれば、労働者も地域も犠牲にしていいというのは間違っています。
企業に雇用の責任を果たさせる国民的な運動が不可欠です。労働者派遣法の改悪など非正規の拡大を応援してきた政府には、大企業応援政治を転換し、大企業に社会的責任を果たさせるよう求めていくことが重要です。
(出所:日本共産党HP 2008年10月30日(木)「しんぶん赤旗」)
労働者派遣法改悪 決定的場面で各党は?
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〈問い〉 年収200万円未満の非正規労働者が1千万人を超える! その引き金となった労働者派遣法の国会審議の大事な場面で、各党はどういう態度だったのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 日雇い派遣のような非人間的な労働が広がったのは、1999年の労働者派遣法の改悪がきっかけです。このとき他党がみな賛成するなかで、日本共産党は、今日の深刻な事態を予測して反対の論戦を展開しました。
労働者を企業に貸し出して利益をえる「人貸し業」は、戦後、職業安定法で禁じられました。その例外として85年に労働者派遣法ができましたが、対象業務を限定していました。99年の改悪は、これを「原則自由化」するという内容でした。
日本共産党は、これが通れば、正社員の派遣への切り替えが大規模にすすみ、いつでも解雇できる不安定雇用労働者の大群を生み出すことになるとして、国会議員団が抜本的な改正案を提案しました。
参議院で反対討論にたった市田忠義議員は、反対理由として「派遣の対象業務の拡大は大量の低賃金、無権利の労働者をつくりださざるをえない」「常用労働者の派遣労働者への置きかえが加速する」「派遣労働者の保護にかかわる規定が不十分である」「請負という名で大規模に派遣労働者化がすすめられている実態について有効な措置を講じていない」という4点をあげました。
対照的なのが他党です。自民、民主、公明など各党を代表して公明党の山本保議員が「労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図るため」に「時宜を得た内容と考える」と賛成討論しました。いまではまったく通用しない主張です。
法案は多数で押し切られましたが、日本共産党は、その後も「偽装請負」や日雇い派遣など人間使い捨てに泣き寝入りせずに立ち上がった労働者を励まし、ともにたたかってきました。
昨年12月に、労働者派遣法を「『派遣労働者保護法』に抜本的に改める」という要求を出し、ことし4月、法改正案を発表し、各政党、関係団体に共同して改正にとりくむことを呼びかけました。いま99年の法改悪に賛成した政党がそろって、派遣法の見直し、改正を主張するように変わりました。
志位和夫委員長の2月の国会質問に福田首相は、日雇い派遣は「好ましいものではない」といい、正社員から派遣への置きかえをすすめているキヤノンについて「厚生労働省に確認をさせたい」と答えました。その後、キヤノンは「製造派遣は解消する」と表明しました。日本共産党が政府と大企業を動かしています。(弘)
〔2008・9・17(水)〕
(出所:日本共産党HP 2008年9月17日(水)「しんぶん赤旗」)