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比例定数削減論の狙いは、その後には消費税増税などの国民負担の実現ー無駄というなら政党助成金を削減をー

2010-08-29 18:22:53 | 国内政治
地方紙 社説から異論
比例削減
少数意見を封殺/政党助成金削減を

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 民主党が参院選後の臨時国会で衆院比例定数80削減の法案を提出・成立させる構えをみせていることに、地方紙が「社説」で批判や疑問の声をあげています。

 「比例定数削減 少数意見を封殺せぬか」の見出しを掲げたのは北海道新聞3日付。「消費税増税に向け『議員自らが血を流す』というが、乱暴すぎる。筋違いではあるまいか」「国会で民意を代表する議員の数や選挙制度のあり方は、各党の消長にも直結する。民主主義の土台にかかわる重大なテーマだ」と指摘します。

 日本が小選挙区制導入の「手本」とした英国で比例代表併用を検討する動きが出ていることや、日本の国会議員数が人口比でみると国際的に多い方ではないことをあげ、「定数を削減することが直ちに国民の期待に応える道だとは言い切れまい」としています。

 京都新聞4日付も、菅直人首相が「より厳しいことを(国民に)お願いするときには定数削減をしっかり実現したい」(1日)とのべたことに対し、「身を削る姿勢を示すことで消費増税への批判をかわす狙いのようだが、それではあまりにも荒っぽい」と批判。「議員数や選挙制度のあり方は議会制民主主義の根幹をなす。国民の声を幅広く反映する国会をどう実現するか。その視点を忘れないでもらいたい」とし、「急ぐべきは『1票の格差』の是正」だと提起しています。

 信濃毎日新聞6月28日付は「定数削減に走るのは短絡的に過ぎる。衆院に小選挙区制が導入されてから、得票率の小さな差が獲得議席の大きな差となって現れるようになった。定数を減らせば、中小の政党が国会に議員を送り込むのはさらに難しくなる」と警鐘を鳴らしています。

 河北新報3日付は「定数削減も結構だけれど」としつつ、「比較的実施しやすい比例代表に限ることは、比例に込められた多様な民意を吸い上げる機能を弱める懸念がある」としています。

 東京新聞8日付は、「八〇削減しても六十億円弱程度の予算削減にとどまる」とのべ、「共産党以外の政党が三百二十億円を『山分け』しており、国会議員が身を削るなら、この方がより実質的な意味がある」と指摘。

 さらに、「懸念するのは、民主党が衆院の定数を比例代表から削減しようとしていることだ」と強調。「比例定数が減れば、少数政党は議席を得にくくなる」「少数意見の切り捨てにつながるのなら見過ごせない」とのべています。

(出所:日本共産党HP 2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」)

民主党がたくらむ
比例80削減の危険

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 参院選後の衆院比例定数80削減を声高に言い始めた菅政権・民主党。「参院で過半数をいただければ民主党だけでも議員定数の削減ができる」(枝野幸男幹事長)としており、今回の参院選で消費税増税に反対するとともに、増税の布石である比例削減を許さない審判を下す必要が差し迫っています。

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民主党案は比例限定 完全小選挙区制狙う

 2009年総選挙結果で試算すると、比例定数80削減が強行されれば、民主党だけで衆院議席の68%、3分の2以上の議席を得ることになり、参院で法案が否決されても民主党単独で再議決を強行できることになります。

 そうなれば、消費税増税や米軍基地押し付けなど民主党政権が進めようとしている重大問題が問答無用で通ることになりかねません。

 しかも、民主党は80削減にとどまらず、衆院での完全小選挙区制を狙っています。

 民主党が比例定数80削減をマニフェストに初めて掲げた03年総選挙で、当時党代表だった菅直人首相は「将来的には単純小選挙区だけの定数300もありうる」(同9月3日)と述べ、比例80削減が完全小選挙区への一里塚であると語っています。

 比例定数を標的にするのはなぜか。同党の安住淳選対委員長は05年総選挙のさい、「少数政党に鼻面を引き回されて、本当に公正なのか」(同8月25日、石巻青年会議所主催の公開討論会)と発言。政権交代直後に岡田克也外相(当時幹事長)も「比例を中心にすると結局は第3党が主導権を持つことになって、かえって民意をゆがめられる」(09年9月6日のNHK討論)と、少数政党の締め出しをあけすけに語っています。

 今回の参院選でも、自民党や公明党、みんなの党、三つの新党が国会議員定数削減を競い合っています。しかし、「比例定数」の削減に限定して主張しているのは民主党だけです。

「削られる」のは議員ではなく民意

 民主党は「国民に厳しいこと(増税)をお願いする前に、国会議員自ら身を削る」などと、比例定数削減を合理化します。しかし、比例定数削減で「削られる」のは、国民の民意なのです。

 「議員を減らして財源を削減しても、民意が反映されなくなれば元も子もない」。「朝日」6月29日付「声」欄に、高校生の投書が載りました。「(比例削減は)事実上の少数政党、少数意見の抑圧ではないのか」「国会議員を減らすと、国民の意見が国会に届きにくくなるのではないか」とのべています。

 「信濃毎日」6月28日付社説は、「国会議員の数は少なければいいというものではない。定数を減らすと、声の小さな人たちの利害を国政に反映させるのがどうしても難しくなる」と論じています。

 国会議員は、国民と国会をつなぐパイプです。その数を少なくすれば、民意を国会に届けるパイプが細くなるだけです。

 そもそも日本の国会議員数は、衆参合わせて722人、人口10万人あたりの議員数は0・57人で、人口比で比較すれば世界でも最下位の部類に属します。人口1000万人以上の国で二院制を採用している国は世界で41カ国ですが、人口10万人あたりの下院(衆院)議員数は、日本は下から9番目の33位。G7(主要7カ国)で比較した場合でも、連邦国家のアメリカを除けば日本は最下位です。

ムダ削減を言うなら政党助成金撤廃こそ

 「ムダづかいを根絶」「政治家自ら身を切る」というなら、政党・政治家が真っ先に「切る」べきは、政党助成金です。毎年320億円もの税金を日本共産党以外の政党が分け取りしています。

 民主党の政党助成金の依存ぶりは他党に比べて際立ち、実に本部収入の83・6%を占めます(08年)。自民党は51・4%、公明党は18・8%、社民党は51・1%です。

 支出でも民主党は選挙関係費、宣伝事業費、購読料を取るはずの機関紙誌の発行経費まで100%政党助成金を充てています。日常の活動も選挙活動も国民の税金に頼りきりの「国営政党」となっているのです。

 仮に国会議員を80人減らしても、国会議員の歳費、立法事務費、秘書給与など56億円の削減にしかなりません。政党助成金320億円は、国会議員450人削減に匹敵する金額です。

 巨額の税金を政党が山分けする“既得権”には一切手を触れずに、民意を反映する比例定数を削減するのは許されません。

比例削減突出提案に各党からも異論の声

 比例削減を突出させた民主党案にはメディアや定数削減を主張する他党からも異論が出ています。

 愛媛新聞は、「各党は国会議員の定数削減を競い合う」としたうえで、「議員削減は、民意を削る荒療治」と批判。「本来、政治は全国民がかかわるのが理想だ。1億2751万人が集まれる議場がないから、代表を国会に送る。定数を決める客観基準は人口比だ。いざ減らすとなると、人口が少ない地方の選出議員から削られる」とのべています。

 また、「少数政党に不利な比例の部分だけ切るのは反対。共産党も社民党も民意があるから出てきているのだから」(自民党・石原伸晃組織運動本部長、6月26日放映の民放テレビ)、「民意を正確に議席に反映するのは比例区だ。比例区を減らすのではなく、(選挙区を全廃して)すべて比例区にすればいい」(みんなの党・渡辺喜美代表、「朝日」6月26日付)などの意見も出ています。

(出所:日本共産党HP 2010年7月3日(土)「しんぶん赤旗」)

小選挙区制 存在問う時代
比例定数削減 穀田氏が批判
CS番組

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 21日放送のCSテレビ「朝日ニュースター」の「闘え!山里ジャーナル」で、菅直人首相が表明している国会議員定数の「衆院比例80削減・参院40削減」の是非をめぐって激論が交わされ、削減への異論・反論が噴出しました。日本共産党の穀田恵二国対委員長が出演しました。

 「僕は反対派」という、お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太氏がキャスターを務め、「国会議員の数は本当に減らす必要があるのか」と声を上げました。

 民主党の伴野豊衆院議員が「国民に負の分配をお願いすることが多い。国会議員からまず身を削れという声が出ている」と発言したのに対し、穀田氏は「国民に負担増を強いるためだという本音が出た」と強調。比例代表の削減は「民意を反映する部分を削ることだ」と厳しく批判しました。

 『週刊朝日』の山口一臣編集長は、国会議員の特権が問題だと指摘。穀田氏は「特権は廃止すべきだ。例えば東京選出の議員に滞在費はいらないと私たちはずっと反対している。共産党以外、政党助成金を減らせと誰もいわない。理不尽なことが多すぎる。問題を洗いざらい出すべきだ」と応じました。

 「朝日」の曽我豪編集委員は、菅首相が消費税増税を打ち出して国民の反発を招いた後で定数削減を強調し始めたことにふれ、「困ったときの定数削減だ」と批判。伴野氏は「国民受けするというところから始まったのは事実だ」と認めざるを得ませんでした。

 山里氏は「(削減の)デメリットはどうか」と問いました。

 穀田氏は、衆院比例定数を80削れば民主党が4割台の得票で3分の2を超す議席を独占し、参院で否決された法案も再議決できると指摘。共産党や、それより得票の少ない政党は議席をなくす危険があると述べました。山里氏は「少数政党は『ダメ出し』のプロだ。いなくなったらめちゃくちゃなことになりそう」と語りました。

 さらに、NPO法人ドットジェイピーの北島優子事務局次長は「問題が出てきているのは小選挙区だ」と発言しました。穀田氏は「『政治改革』の名で導入された選挙制度(小選挙区比例代表並立制)がよかったのか検証する時代にきている」と応じ、(1)選挙制度のあり方(2)一票の格差(3)政党助成金撤廃と企業・団体献金禁止(4)高すぎる供託金(5)選挙活動の自由―などの問題を国民的に議論すべきだと主張しました。

 穀田氏は特に小選挙区制について、人為的に「二大政党」の多数をつくるものだと批判。その「二大政党」が瓦解し始めている下で、国民の多様な意見を反映させる選挙制度はどうあるべきかの議論が重要だと強調しました。

 「朝日」の安井孝之編集委員は「多様な民意をすくう必要がある。政権交代できればいいという時代とは違う。それにあった選挙制度とは何かを考えるべきだ」と応じました。

(出所:日本共産党HP 2010年8月23日(月)「しんぶん赤旗」)

ラジオ番組
“政治主導遠のく”
小池氏 比例定数削減を批判

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 日本共産党の小池晃政策委員長は20日、ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に出演しました。「秋の政局をにらむ 党利を超えた政道を歩めるのか」と題して番組が進み、後期高齢者医療制度や国会議員の定数削減、日韓関係などについて1時間半にわたってリスナーからの質問に答えました。番組中もメールやファクスで共産党への質問や小池氏への激励が相次ぎ、数十通に及びました。

 番組のなかで司会のマット安川氏は、菅政権について「ねじれ国会だが、しゃべるほうもねじれていることが多くて、ころころ意見が変わってくる。国民にとっては不安です」と水を向けました。

 それに対し小池氏は、「民主党は野党のとき言っていたこととまったく違うことをやる。例えば後期高齢者医療もすぐにやめるんだと言って、(廃止)法案まで出して一緒になってがんばった。ところが与党になったら、すぐにはやめられないと言って、今でも後期高齢者医療制度は続いている」と指摘。「政党・政治家だったら野党のときに言っていたことを実行するのが政権交代だと思う。こんなことをやられたら国民は投票のしようがない」と語りました。

 「議員の定数を減らすと政治主導がますます難しくなるという話を聞いたことがあり、不安になってしまう」とのメールも寄せられました。

 小池氏は「国会議員の数を減らすと『政治主導』は本当にできなくなると思う。少なくなればなるほど国会の(無駄遣いなどを)チェックする力は弱くなっていく」と述べました。

 また、「『日韓併合』は合法的であり侵略ではないと思う」との意見も寄せられ、小池氏は「過去の歴史の事実を事実として認めるところからお互いの関係が始まると思う。日本による軍事的な圧力の下で一方的に併合した。不法・不当な形で結ばれた条約だというのが私たちの立場です」と説明しました。

(出所:日本共産党HP 2010年8月21日(土)「しんぶん赤旗」)

比例定数80削減で…
民主42%の得票で68%の議席
少数政党締め出す恐れ

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 菅直人首相が枝野幸男民主党幹事長らに「8月中に民主党内でとりまとめ、年内の与野党合意」を指示した国会議員の定数削減問題。衆院で比例定数を80、参院では40程度減らそうという内容です。比例定数削減はどのような事態を生み出すのでしょうか。

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 いま衆院の総定数は480議席です。このうち、300議席は定数1の小選挙区で選び、残りの180議席を全国を11に分けた比例ブロックで選びます。

 民主党案はこの比例部分を80削減し、定数100にしようというもの。各ブロックの定数は四国で6→3、北海道で8→4、中国で11→6、北陸信越で11→6など大幅に減り、民意を正確に議席に反映する比例代表制の長所が大きく損なわれ、大政党に有利な仕組みに“変質”してしまいます。総定数に対する小選挙区の比重は62・5%から75%に一挙に高まり、これまで比例代表で議席を得ていた少数政党が締め出されるおそれがあります。

 民主党が主張する比例定数80削減がいかに民意を切り捨てることになるか。2009年総選挙結果で試算するとその害悪が浮かび上がります。

 民主党は比例代表42・41%の得票率で、小選挙区も含め衆院議席の68・50%を占め、1党だけで3分の2以上の議席を得ることになります。自民党の議席占有率は比例得票率とほぼ同じ。一方、日本共産党はじめ、ほかの党は30・86%の比例得票率を得ながら、議席はわずか8%に押し込められます。

民主単独で「再議決」可能

 比例定数80削減によって民主党単独で3分の2以上の議席を占める―これは何を意味するのでしょうか。

 先の参院選結果、野党が参院で過半数を占め、衆院では民主党など与党が過半数を維持する与野党逆転となっています。

 菅首相が「与野党が合意をしなければ法案が通らない、政策が実行できない」(7月30日の記者会見)と述べたように、政府・与党提出の法案が衆院で与党の賛成多数で可決できても、参院で野党が反対すれば法案は成立しません。ところが、図下のように、参院で否決されても、衆院で3分の2以上で再議決し、成立させることができます。(憲法59条)

 07年の参院選で過半数割れとなった当時の自民・公明の与党は参院で法案が行き詰まると次々再議決を使い、海外での自衛隊の武力行使に道を開く「海賊対処」派兵法や新テロ特措法、大企業優遇減税を優先する租税特措法などの成立を強行してきました。民主党の3分の2以上の議席占有は、参院で法案が否決されても、同党単独で再議決が強行できることになります。まさに「一党独裁」です。

(出所:日本共産党HP 2010年8月1日(日)「しんぶん赤旗」)
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社会的弱者である労働者と勤労国民の協力で人間らしく働くルールを確立させよう―内部留保の社会的還元を

2010-08-17 03:03:50 | 国内政治
1.労働・雇用

人間らしく働けるルールを確立します――内部留保の社会的還元を

 労働者の3人に1人、若者や女性では2人に1人が非正規労働者で、そのほとんどが年収200万円以下の「ワーキング・プア」(働く貧困層)です。正社員でも、長時間過密労働による過労死やうつ病などのメンタルヘルスが後を絶ちません。10年間下がり続けてきた賃金は、経済危機を口実にさらに切り下げられています。「名ばかり店長」「名ばかり正社員」と言われる使い捨て労働、無権利で過酷な労働条件もまかり通っています。

 失業者が増え、雇用不安が高まり、賃金が下がった結果、個人消費は落ち込む一方で、経済危機から抜け出す道は見えません。結婚ができない、子どもを産めないなど、少子化への影響も深刻です。自殺や犯罪の増大との関連も指摘されています。

 大企業が溜めこんでいる229兆円もの内部留保を社会的に還元して雇用危機を打開し、労働者の状態を改善することは、内需にしっかりと基盤をおいた日本経済の安定的発展のためにも、技能の継承や労働者の「士気」など企業の健全な発展にとっても、さらには日本社会の将来展望にとっても、決定的な意義をもっています。そのためにも、解雇の規制、非正規の正社員化や均等待遇、「サービス残業」の根絶、長時間労働の是正、最低賃金の引き上げ、過密労働の規制と労働災害の防止・認定基準の緩和など、人間らしく働けるルールを確立することは、緊急で最重要の課題です。

 人間らしく働けるルールの確立のためにも、ILO(国際労働機関)の一連の労働時間・休暇関係の条約をはじめ、111号(雇用における差別禁止)、158号(解雇規制)、175号(パートタイム)などの条約を批准します。

 (なお、労働基本権回復など、公務員労働者については「公務員制度改革」の項を参照してください)。

解雇、退職、配転強要、労働条件の一方的切り下げを許しません

 違法・無法な「非正規切り」とともに、正社員でも労働者の人権を無視した強制配転や退職強要が横行しています。契約期間中の解雇や退職の強要は違法です。労働者の被る不利益の大きい配転命令は無効です。

 政府が2003年に労働基準法を改悪して「解雇自由条項」を盛り込もうとしたときに、日本共産党は、労働者・労働組合と協力してこれをやめさせ、逆に解雇を規制する条項をはじめて盛り込ませました。さらに、「解雇規制・雇用人権法」を提案して、労働者の人権をまもり、ヨーロッパ並みの労働契約のルールの確立をめざしています。

 大企業の身勝手な首切りをやめさせ、雇用の責任を果たさせるためには、解雇規制を強化することが必要です。判例でうちたてられてきた「整理解雇4要件」(差し迫った必要性、回避努力、選定基準・人選の合理性、労働者・労働組合の合意)を法律として明文化して一方的な解雇を禁止し、裁判などで争っているときの就労権を保障します。希望退職・転籍についても、本人同意・取消権、労働組合の関与などのルールを確立します。解雇を目的としたいじめや嫌がらせを禁止し、人権侵害をきびしく取り締まります。労働基準監督署が、退職強要などを日常的に監視し、取り締まるようにします。分社化などにともなう雇用と労働条件のルールをつくります。55歳一律転籍など、年齢による雇用契約の不利益変更や採用制限を禁止します。事業所の閉鎖、移転、縮小の際の自治体との協議の仕組みをつくります。

 高年齢者雇用安定法が改定され、年金の支給開始年齢引き上げにあわせて、65歳までの段階的な雇用延長が事業主に義務づけられました。雇用延長措置をとる企業は93%になっていますが、希望者全員を採用しない、雇用延長しても賃金が定年前の半分以下という企業が多数になっています。アメリカやヨーロッパのように、年齢を理由にして雇用や賃金など労働条件について差別することを禁じます。高齢者雇用延長制度については、希望者全員採用と年齢による賃金などの労働条件差別をやめさせます。

 退職金の後払いである企業年金の一方的な切り下げを許さず、受給権を守ります。

異常な長時間労働を是正し、安定した雇用を拡大します

 日本では、ヨーロッパと違い、労働基準法で残業の上限が定められていないため、長時間労働が横行しています。その労基法さえふみにじる「サービス残業」も横行しています。日本共産党は、1967年以来30年間、300回を超える国会質問で「サービス残業」は企業犯罪だと追及し、2001年には、厚生労働省に根絶のため企業が責任をもって時間管理を強化するなどを内容とする「サービス残業」根絶通達をださせました。過去8年間だけでも1547億円以上の未払い残業代を支払わせています。

 通達を活用し、職場からのとりくみを強化するとともに、「サービス残業根絶法」を制定し、悪質な企業には、企業名を公表するとともに、不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせるようにします。中間管理職や裁量労働制の労働者の時間管理をきちんとさせます。

 「店長」「マネージャー」といいながら、管理職としての権限、実態もない「名ばかり管理職」にたいする残業代不払いを許しません。

 01年に5割を切った有給休暇の取得率は、その後も年々下がり、08年には、47.7%にまで低下しています。ヨーロッパでは、有給休暇の完全取得は常識になっています。年次有給休暇を最低20日とし、一定日数の連続取得と完全消化を保障します。

 「サービス残業」をなくすだけでも、新たに115万人分の雇用が生まれます(民間のシンクタンク労働総研の試算)。有給休暇の完全取得による経済効果は16兆円、188万人分の雇用が生まれます(財界系のシンクタンク日本生産性本部の試算)。当面、「残業は年間360時間以内」という大臣告示をただちに法定化し、残業割増率を現行25%増から50%増に、深夜・休日は100%増に引き上げます。さらに、労働基準法を抜本的に改正して拘束8時間労働制とし、残業時間を1日2時間、月20時間、年120時間に制限します。恒常的な長時間残業や有休をとれないことを前提にした生産・要員計画をなくします。深夜労働・交代制労働、過密労働をきびしく規制します。EU(欧州連合)のように、連続休息時間を最低11時間は確保します(深夜12時まで働いたら翌日の出勤は11時以降)。こうして労働時間を抜本的に短縮し、安定した雇用の拡大につなげます。

労働者派遣法を抜本的に改正し、使い捨て労働をなくします

 大量の派遣労働者が、違法に長期間働かされつづけたあげく、経済危機を口実として仕事を奪われてきました。300万人以上いた派遣労働者は、09年1年間で、約100万人減となっています。日本は、他国に例を見ない「派遣労働者使い捨て」の国となっています。そのおおもとには、労働者派遣法を再三にわたって改悪し、対象業務を原則自由化し、専門業務での派遣期間の撤廃などの規制緩和をすすめ、正社員を大量に派遣労働者に置き換えてきたことがあります。日本共産党は、違法な派遣・非正規切りとたたかう労働者・労働組合のみなさんと力を合わせて、大企業の派遣法違反の実態を告発し、国会で繰り返し取り上げ、労働者保護のための労働者派遣法の抜本改正を求めてきました。

 しかし、民主党政権の提出した派遣法「改正」案は、「製造業は原則禁止」といいながらも、実際は、1年以上の雇用の見込みさえあれば「常用型」として、これまでと同様に製造業派遣を認めるなど、大きな抜け穴をもつ欠陥法案であり、名ばかり「改正」法案です。不安定な「登録型」派遣の禁止でも、専門業務を例外とするなど、一般業務を専門と偽装することを正すどころか、派遣を固定化するものとなっています。派遣労働者のなかで「これでは私たちは救われない」との怒りが渦巻いています。

 労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働を一時的臨時的業務に制限します。製造業派遣や日雇い派遣を全面的に禁止し、使い捨て労働をなくします。登録型派遣は真に専門的な業務にきびしく限定します。派遣受け入れ期間の上限は1年とし、違法があった場合は派遣先に期間の定めなく直接雇用されたものとみなし、正社員化をすすめます。派遣先の正社員との均等待遇、グループ内派遣の制限を行い、常用代替を規制します。

有期雇用を制限して均等待遇と正社員化をすすめるとともに、「個人請負」などの脱法的契約を許しません

 契約社員やパート、期間社員などの非正規労働者は、細切れの雇用契約の更新を繰り返し、つねに雇用不安のなかで働いています。派遣先企業が、直接雇用に切り替えても、数カ月の契約をくりかえし、いつでも「雇い止め」「首切り」自由の「期間工」とされるケースが後をたちません。労働基準法では3年を越える雇用契約ができないことになっていることから、「最長2年11カ月契約」と称して、それまではいつでも「雇い止め」できると「曲解」「誤解」し、違法・脱法を繰り返しているケースもあとをたちません。現行法でも、契約途中の解雇は厳しく規制されており、また、契約更新の「ある」「なし」や、更新する際の基準について明示しなければならず、反復更新を重ねていれば、「解雇権濫用法理」が類推適用されます。現行法を厳しく守らせ、労働者の泣き寝入りを許しません。

 ヨーロッパでは、有期労働は、合理的な理由のある場合に限られ、正社員との均等待遇なども当たり前となっています。有期雇用については、一時的臨時的で合理的な理由がある場合に限定し、賃金やその他の待遇について正社員と均等待遇にすることを明確にします。

 日本最大の非正規雇用をかかえる日本郵政グループは、ワーキングプアを大量につくりだし、同様の事業を行う宅配事業者のなかに非正規化を広げる牽引者ともなってきました。日本共産党は、国会でこの問題をとりあげ、正社員化への流れをつくりだしてきました。希望する人全員を正社員化するよう、ひきつづき力を注ぎます。

 本来、労働者として企業の指揮・命令を受けて仕事をしているのに「個人請負」契約として、社会保険など労働者としての権利を奪う脱法行為も増えています。こうした違法行為もきびしく取り締まり、ILOの「雇用関係に関する勧告」(198号)を活用し、請負や委託で働く労働者を保護します。「多様な働き方」の名で、非正規雇用の拡大をすすめる政府・財界の政策に反対します。

男女がともに、人間らしく生き、働ける労働条件を確立します

 女性の2人に1人が、パートや契約、派遣などの非正規雇用のもとに置かれています。

長時間・過密労働のなかで、育児休業どころか、結婚や出産しても働きつづけられる女性は3割にすぎません。

 「転勤できない」「業務がちがう」などを表向きの理由とした男女間の昇給・昇格差別、賃金差別の結果、男性の正社員に比べて、女性の正社員の賃金は7割、女性の非正規では4割という格差があります。派遣労働者でも、女性の時給は男性の9割です。実態は一般業務であるのに専門業務派遣だと偽装されて、長期に細切れ契約で働かされ、30歳代で事実上の「定年」という実態もあります。雇用形態差別がそのまま男女間格差に直結し、退職金や年金支給の低さなどにも大きな影響を与えています。わが国も批准しているILO100号条約(同一価値労働・同一報酬)にもとづき格差を是正します。

 労働時間を短縮し、男女賃金格差を是正することは、男女ともに仕事も家庭生活も両立できる社会にする上でも重要です。

 日本共産党は、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件の均等待遇と正社員への道の拡大をめざし、「パート・有期労働者均等待遇法」を提案しています。賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者がパート・有期労働者であることを理由として、正社員と差別的取扱いをすることを禁止します。正社員を募集するときは、パート・有期労働者に応募の機会を優先的に与えるようにします。短期の雇用契約のくり返しを、期間の定めのない雇用契約とみなした判例を法制化します。合理的理由のない「短期・反復雇用」「契約社員」は不公正な契約として規制し、正社員に移行させます。正社員が、育児・介護などの理由のために、一定期間、パートタイム労働者として働き、また正社員にもどれるようにします。「均等待遇」に違反している企業に対して、罰則を設けることも含めきびしく取り締まります。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定されて25年。しかし、日本の男女賃金格差は130カ国中90位と世界でも最下位の部類に甘んじています。雇用機会均等法では、「間接差別の禁止」について、「募集・採用で身長・体重・体力を要件にすること」「転勤を採用・昇進の要件にすること」などの3例の限定的な列挙にとどめています。条件をつけずに「間接差別」の禁止を明記すべきです。雇用形態差別や低賃金の業務に女性の比率が高くなっていることなどについて、実効性ある措置をとることが求められています。

 (詳しくは「女性」の項を参照してください)。

最低賃金の抜本的引き上げなど、政治の責任で賃金の大幅底上げを実現します

 貧困と格差が広がるなかで、年収200万円以下の「ワーキング・プア」といわれる労働者が、1000万人を超えるようになっています。働いても働いても低賃金でアパートも借りられず、ネットカフェで寝泊りしながら働いている青年もいます。労働者がまともな生活ができるようにするためにも、労働者全体の賃金を底支えするためにも、最低賃金の引き上げが必要です。職場・地域の運動と世論の広がり、日本共産党の国会論戦が相まって、最低賃金法が40年ぶりに改定されました。改定最賃法では、最賃決定基準として、生計費とかかわって憲法25条の生存権規定が盛り込まれました。この改定にふさわしい最賃の大幅引き上げを実現します。最低賃金の決定基準は、生計費のみとし、改定最賃法にも残されている企業の「支払い能力」を削除します。民主党の最賃引き上げ先延ばしをゆるさず、中小企業への適切な支援をはかりながら、すみやかに時給1000円以上への引き上げをめざすとともに、全国一律の最低賃金制度を確立します。

 中小零細企業が最低賃金を支払えるように、大企業の下請けいじめや規制緩和による過当競争をきびしく規制するとともに、助成措置を講じます。「官製ワーキング・プア」を許さないためにも、国や自治体の非常勤職員の賃金を引き上げます。国や自治体と受注する事業者との間で結ばれる契約に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める法律や条例(公契約法・条例)を定めます。また、自治体が誘致する企業について、正社員化の度合いや均等待遇の状況を重要な判断基準とさせます。

失業者の生活と職業訓練を保障し、安定した仕事、公的仕事への道を開きます

 労働者は、失業すればとたんに収入が途絶え、貯蓄だけが頼りです。派遣や期間工の労働者は、貯蓄もできないような劣悪な労働条件で働かされ、首を切られると同時に寮から追い出されてホームレスになっています。ILOは昨年、日本は失業手当を受給できない失業者の割合が77%にものぼり、先進国中最悪の水準にあると発表しました。失業者が安心して仕事を探せるようにするためにも、雇用のセーフティーネットの拡充が不可欠です。

09年の雇用保険法の「改正」では、雇用保険から排除されている失業者1008万人のうち適用対象になるのは148万人にすぎません。雇用保険の拡充は、「失業保険が切れる」から劣悪な労働条件でも就職せざるをえないという状況を改善し、「ワーキング・プア」をなくしていくうえでも重要です。失業給付期間を、現在の90−330日から180−540日程度までに延長します。給付水準の引き上げ、受給資格の取得に要する加入期間の短縮、退職理由による失業給付の差別をなくし、受給開始時の3カ月の待機期間をなくすなど抜本的に拡充します。

 安定した仕事につく機会を広げるために、専門学校なども活用して職業訓練制度を抜本的に充実させます。フランスでは、職業訓練への資金提供を企業に義務づけています。ドイツには、企業が職業訓練生を一定の報酬を支払って受け入れ、終了後は正社員として採用するという制度があります。政府は、雇用保険を受給していない労働者や、給付を受けても再就職できなかった労働者を対象に、職業訓練とセットで訓練期間中の生活を保障することを柱とした「緊急人材育成・就職支援基金」を創設しました。しかし、3年間の時限措置であり、単身者月10万円、扶養家族ありで12万円と、生活保護基準にも満たない不十分なものです。低賃金で貯えもなく、企業内での教育訓練の機会もなかったワーキング・プアやフリーターの職業訓練を重視し、有給の職業訓練制度や訓練貸付制度を創設し、訓練期間中の生活援助を抜本的に強化します。

 民主党政権が「事業仕分け」で打ち出した全国83カ所の地域職業訓練センターの全廃方針を撤回し、希望するすべての失業者に職業訓練の機会を提供します。

 「ネットカフェ難民」だけでなく、「ファミレス難民」や「バーガー難民」まで生まれています。公園の青テントから出勤している人もいます。ワーキング・プアや失業者に、公共・公営住宅の建設や借り上げ、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、生活支援を強め、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設します。

 「ふるさと雇用再生特別交付金制度」など、政府の不十分な雇用創出制度を抜本的に拡充するとともに、国と自治体の責任で、効果のある公的就労事業を確立します。国と自治体の協力による臨時のつなぎ就労の場を確保させます。また、福祉、医療、環境、防災、教育など、国民のくらしに必要な分野が慢性的に人手不足状態にあります。この分野での雇用を、職業訓練と結びつけ、人間らしい賃金・労働条件を確保して拡大することは、国と自治体の重要な責任です。

 働く者が連帯してみずから受け皿をつくり、仕事をつくりだす「協同労働の協同組合」(「労働者協同組合」)について、労働者性を担保した根拠法を制定します。

新卒者の就職難を打開します

 日本共産党は、2010年4月21日、「新卒者の就職難打開へ――社会への第一歩を応援する政治に いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを」という新卒者の就職難に関する政策を発表しています。くわしくはこちらをご覧ください。

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010/20100421_syuusyokunann_dakai.html 

国と地方の労働行政を強化します

 人間らしく働けるルールを確立するために、国の労働行政の強化は不可欠です。労働基準監督署の体制強化や相談窓口の拡充などをはかります。ILO理事会の決定にそって、労働基準監督官を2倍にします。職業訓練の充実や再就職支援、労働者の権利と雇用主の義務を知らせる広報・啓蒙活動を強化します。そのために、ハローワークの体制を抜本的に拡充します。中央と地方の労働委員会の民主化と機能の強化、パワハラ・セクハラをはじめ個別労働紛争の処理制度の充実をすすめます。学校教育で労働者の権利をしっかり教えるようにします。

(出所:日本共産党HP )
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今、世界のリーダーが核抑止力を完全否定する発言をしている

2010-08-14 06:09:03 | 国際政治
国連総長 「広島会議」にメッセージ
「核抑止」論こそ幻想 世界の安全 核廃絶で

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 国連の潘基文(パンギムン)事務総長は26日、平和市長会議と広島市が27~29日に同市で開く「2020核廃絶広島会議」にメッセージを送り、「核抑止力」依存を批判し、「安全を保証し、核兵器の使用から逃れる唯一の方法は、それを廃絶することだ」と訴えました。

 平和市長会議は、核兵器廃絶を求める世界各国の都市で構成する団体。広島市が会長を務め、144カ国・地域、4千以上の都市が加盟しています。

 メッセージの中で潘氏は、しばしば「核軍縮は夢だ」と片付けられているが、核兵器が安全保障に役立つという考え方こそ「幻想だ」と批判。ある国が核抑止力論を主張すれば、ほかの国々も次々に同じ政策を採用することになり、結局、世界中が不安定になってしまうと指摘しました。

 そのうえで潘氏は被爆者がみずからの体験を世界に語り伝えてきたことに「深い称賛」の意を表明。とりわけ核兵器保有国の指導者に対し、広島と長崎を訪れ、「核戦争が引き起こした、その激烈な現実をその目で見る」ことを強く求めました。

 そして「各国政府にとって、核なき世界を求める人々の意思に応える以外に選択肢はないという日がくるまで力を尽くそう」と呼びかけました。

(出所:日本共産党HP 2010年7月28日(水)「しんぶん赤旗」)

被爆証言語り継いで
学生前に国連総長、早大
核なき世界の実現は可能

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 被爆65周年に合わせて広島、長崎を訪問するために来日中の潘基文(パンギムン)国連事務総長は4日、早稲田大学(東京都新宿区)で講演しました。被爆国日本が核兵器廃絶で積極的役割を果たすよう呼び掛け、学生には「軍縮のリーダーとなり、被爆者の証言を語り継いでほしい」と訴えました。

 潘氏は、「私が1歳の時、広島と長崎に原爆が投下された。その後、朝鮮戦争で飢餓と破壊を体験した。それ以来、核兵器廃絶と軍縮のために活動しようと決心した」と語りました。

 また、「『核兵器のない世界』は理想だが、『抑止力』として必要だとか、自分たちが生きている間は不可能だという人たちがいる。しかし、私はそう思わない。『核のない世界』の実現は可能だ」と強調。核不拡散条約(NPT)再検討会議での「核兵器廃絶行動計画」への合意や、米国とロシアの戦略核兵器削減条約調印などに触れ、「核兵器廃絶と軍縮は世界の平和と繁栄のための最優先課題だ」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2010年8月5日(木)「しんぶん赤旗」)

潘基文国連総長あいさつ
(要旨)

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 6日広島市の2010年平和記念式典でおこなった潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のあいさつ(要旨)を紹介します。

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 私は初の国連事務総長として、被爆65周年にあたるこの平和記念式典に参加できたことを光栄に思います。そして今、深い感動に包まれています。

 広島と長崎に原爆が投下された当時、私は1歳でした。

 私は少年時代を朝鮮戦争のさなかに過ごし、炎上する故郷の村を後にして、泥道を山中へと逃れたことが、最初の記憶の一つとして残っています。

 それ以来、私は一生を平和のためにささげてきました。

 私が今日、ここにいるのもそのためです。私は世界平和のために広島にきました。

 私たちは65年前に命を失った人々、一生を永遠に変えられてしまったさらに多くの人々に対して哀悼と敬意の念を表すため、一堂に会しているのです。

 私は皆さんに、平和と希望のメッセージを送りたいと思います。より平和な世界を手にすることは可能です。

 被爆者の皆さん、あなた方の勇気で、私たちは奮い立つことができました。次の世代を担う皆さん、若い世代の皆さん、あなた方はよりよい明日の実現に努めています。皆さんは力を合わせ、広島を平和と希望の「震源地」としてきました。

 私たちはともに、グラウンド・ゼロ(爆心地)から「グローバル・ゼロ」(大量破壊兵器のない世界)を目指す旅を続けています。

 それ以外に、世界をより安全にするための分別ある道はありません。核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえながら暮らすことになるからです。

 私が核軍縮と核不拡散を最優先課題に掲げ、国連において5項目提案を出した理由もそこにあります。

 私たちの力を合わせる時がやって来たのです。最も強大な国々もリーダーシップを発揮し始めました。国連安全保障理事会でも、新たな取り組みが生まれています。市民社会にも新たな活力が見られます。

 ロシアと米国は新しい戦略兵器削減条約に合意しました。昨年4月、ワシントンでの核セキュリティーサミットで重要な進展を遂げることができました。2012年には次回のサミットが韓国で開催される予定です。

 私は9月にニューヨークの国連本部でハイレベルの軍縮会議を招集する予定です。そのためには、核軍縮に向けた交渉を推し進めなければなりません。それは、包括的核実験の禁止に向けた交渉です。また、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)に向けた交渉でもあります。

 65年前、この地には地獄の炎が降り注ぎました。今日、ここ平和記念公園には、一つのともしびがともっています。それは平和のともしび、すなわち、核兵器が一つ残らずなくなるまで消えることのない炎です。

 自分たちが生きている間、そして被爆者の方々が生きている間に、その日を実現できるよう努めようではありませんか。

 炎を希望の光へと変えようではありませんか。

 核兵器のない世界という私たちの夢を実現しましょう。私たちの子どもたちや、その後のすべての人々が自由で、安全で、平和に暮らせるために。

(出所:日本共産党HP  2010年8月7日(土)「しんぶん赤旗」)

反核の声をあげる「元米高官、政府首脳」とは?

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 〈問い〉 日本共産党の第6回中央委員会総会への志位委員長報告にある反核の声をあげる元米高官やNATOの政府首脳とは?(神奈川・一読者)

 〈答え〉 米国の国務・国防長官および上院議員の経験者4氏が今年1月、経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に「核兵器のない世界にむけて」と題した共同論文を寄稿、「核兵器のない世界という目標を諸国家間の実際的な事業にしていくこと」を呼びかけました。

 この4人とは、いずれも米国の核世界戦略を立案、推進してきた、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ジョージ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・ペリー元国防長官、サム・ナン元上院軍事委員長です。彼らは、2007年1月にも、同紙に「核兵器のない世界」と題した論文を発表しています。

 今年は、前年の論文でよびかけた「核兵器への依存を減らす地球規模の取り組み」に、内外から多くの支持が寄せられたとして、コリン・パウエル、マデレーン・オルブライト両元米国務長官、ウイリアム・コーエン元国防長官、アンソニー・レーク元国家安全保障問題担当大統領補佐官ら、共和・民主を問わず14人の国務・国防長官・大統領補佐官(国家安全保障担当)経験者らの名をあげ、「勇気づけられた」と評価しました。

 論文は、テロリストが核兵器を入手する可能性が広がっていると昨年と同様に警戒感を表明しながら、「抑止力は効果が薄れ、有害性が増している」と核抑止力論を批判。「ゼロへと進むビジョンなくして、悪循環を阻止するのに不可欠な協力を作り上げることはできない」と、世界の核弾頭の95%を保有する米ロの責任、核兵器廃絶の目標にむけた非核保有国も加えた国際的対話の必要を説いています。

 4氏のよびかけには、ロシアのゴルバチョフ元大統領が「核兵器はもはや安全保障を達成する手段でなくなったことが、ますます明白になっている」と支持を寄せ、英国のベケット外相(07年6月当時)が「必要なのは、核兵器のない世界にむけたシナリオ=構想と、弾頭の数を減らし安全保障政策における核兵器の役割を制限する進歩的な措置=行動、の両方である」と発言しました。4氏は、ベケット氏の発言について「英国政府としてよびかけを支持するシグナル」と評しています。

 米国の核世界戦略を推進してきた人たちの中にも、核兵器固執を批判する動きがおこり、そのよびかけへの支持が、米国内だけでなく、ロシア、欧州などにも広がっていることは注目されます。(遠)

(出所:日本共産党HP 2008年8月6日(水)「しんぶん赤旗」)

原水爆禁止世界大会
草の根の行動が世界を動かした
核兵器廃絶が現実的課題に
「抑止力」論の打破へ
記者座談会

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 2日から9日まで開かれた原水爆禁止2010年世界大会は、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が「核兵器のない世界」の実現を決議したことをうけた次のステップを議論し、核兵器廃絶条約のすみやかな交渉開始を各国政府に求める国際世論をいっそう広げる行動をよびかけるなど、大きな成果をあげました。大会取材にあたった記者が振り返りました。

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情勢が激変

 A 今年はNPT再検討会議を受けて、核兵器廃絶が国際政治の現実的課題となる中で、原爆の日を迎えた。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長や米政府代表が初めて広島の平和記念式典に出席するなど、様変わりだった。

 B 国際政治での変化のきっかけは昨年4月のオバマ米大統領のプラハ演説だったが、その後の核廃絶をめぐる情勢の変化は急激だ。

 C NPT再検討会議の際のニューヨーク行動に参加した人たちが、草の根の運動が世界を動かせることに自信をもち運動の先頭にたっていた。大会を通じて廃絶に向けた流れに確信をいっそう深めたようだった。

 B 国際会議の「宣言」は具体的な行動として、核兵器廃絶条約の交渉開始を各国政府に求めることを打ち出したが、次のステップが非常に明確になった。

 C 潘事務総長も、広島、長崎の両市長も廃絶条約の実現を強調していた。もはや国際政治の課題になりつつあるといってもいいだろうね。

 B 被爆者が生きている間に核兵器のない日を実現できるように努めよう、という潘事務総長の呼びかけは、感動をよんだ。

多面的議論
 A そのためにも「核抑止力」論、「核の傘」論の克服が重要な課題となっている。大会でもその点が多面的に論議された。

 C 大会に参加したアラブ連盟の代表は「『核抑止』は大ウソで、そんなものは存在しない」と発言した。

 A 韓国の代表は「『核抑止力』論は、核兵器による恐怖の迷路から脱出することのできない考え方だ」と論破したね。

 B その点で、菅直人首相が会見で、改めて「核抑止力は必要」と発言したのは重大だ。長崎での被爆者との懇談では「発言は取り消してほしい」と詰め寄られた。

 C 日本では北朝鮮の“脅威”を言い立てて「核の傘」を正当化する議論があるが、北朝鮮の核開発以前から日本は米国の「核の傘」のもとにあった。英海軍退役司令官の海外代表は「『核の傘』が日本に核攻撃の危険を呼び寄せる」と批判した。

 B 熊本の被爆者は「肝心の日本政府の姿勢を変えなくてはいけない」と語っていたが、その通りだ。

体験の継承

 A 被爆者の平均年齢は76歳を超えている。「二度とこんな悲劇が人類にないように」との願いに寄り添った運動はますます重要だ。

 B 国際会議の「宣言」は、被爆者や世界の核被害者の体験とたたかいを「人類的な事業」として継承するよう呼びかけた。

 C カナダ在住の被爆者の女性は「被爆体験の継承は被爆者だけの課題ではなく、みんなの課題だ」と発言した。なるほどと感じたね。

 A 大会で発言した国連のドゥアルテ軍縮担当上級代表は、「被爆者は核戦争の人道的影響を世界に教える最良の教師だ」と述べ、被爆体験を世界中の学校教育に取り入れることを提案したね。

政府と連帯
 A 世界大会に政府代表が参加するようになって10年、政府代表と反核・平和運動との共同が大きく発展していると実感した。

 B そうなんだ。国連事務総長とNPT再検討会議で議長をつとめたカバクチュラン氏が世界大会にメッセージを寄せた。大会が国際政治を動かす力をもっているんだと確信になった。

 C エジプト政府代表は「反核・平和運動と緊密に連携していくことが重要だと確信している」と述べ、ドゥアルテ氏も「核兵器よりも強力なのは、共通の大義のもとに結集した世界の人々の連帯です」と強調した。

 B 広島、長崎両市長の「平和宣言」でも市民社会の役割を強調しているね。

 A 核廃絶をめぐる情勢の急激な変化を生みだしたおおもとにはやはり草の根の運動がある。5月のニューヨーク行動で示されたような、反核・平和運動のパワーこそが各国政府を動かしている。

 C なかでも日本の草の根運動が大きな役割を果たしている。毎年、原水爆禁止世界大会を開き、日本全国を網の目で行進する平和大行進も続けてきた。この努力が国際政治を動かすことに貢献していると思う。

 A いま取り組まれている「核兵器のない世界を」国際署名は700万人を超えている。ニューヨークのNPT再検討会議には600万を超える署名が提出されたが、潘事務総長は世界大会に寄せたメッセージのなかで、「みなさんの努力は、世界的な核兵器廃絶支持の大波をつくり出しました」といっている。

 B 政府代表の発言を聞いて、「署名をこつこつと積み重ねることで(情勢が)変わっていくことが分かった」と語る参加者もいた。

 C 地道な努力を通じて、日本政府や各国政府への働きかけをいっそう強めていくことが大切だね

(出所:日本共産党HP 2010年8月11日(水)「しんぶん赤旗」)
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