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「ニコニコ動画(ββ)」の「ニコニコ生放送」に日本共産党の志位和夫委員長が出演し、大いに語る

2009-05-31 00:36:45 | 国内政治
「ニコニコ生放送」
核兵器廃絶・雇用問題
志位委員長が大いに語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は、二十七日夜、インターネットの動画サイト「ニコニコ動画(ββ)」の「ニコニコ生放送」に出演し、核兵器廃絶、雇用問題という国政の焦眉(しょうび)の課題について大いに語りました。志位氏の出演は三月十二日に次いで二回目。番組タイトルもずばり、「C(志位)リターンズ!」で、司会役の政治ジャーナリスト、角谷浩一氏の質問や、リアルタイムで届く視聴者の意見にも答えました。「延長して~」のたくさんの書き込みに、番組は予定時間の四十五分間を大きく超えて――。

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 冒頭、角谷氏が意見募集のメールアドレスが書かれたボードを掲げました。アドレスの頭には「CGJ」(志位・グッド・ジョブ)の文字。前回出演時に多くの視聴者から書き込まれたもので、すっかり、番組と視聴者の合言葉になっている様子です。

党首討論
全くなかった国民生活の話

 最初の話題は、番組の数時間前におこなわれた麻生太郎首相と民主党の鳩山由紀夫代表による党首討論でした。角谷氏が感想を求めたのに対し、志位氏は「やっぱり、国民の皆さんが生活で一番困っている問題、深刻さを増す国民生活の話がなかったですね。雇用の問題、社会保障の問題、税金の問題、それから大問題になっている核兵器の問題、そういう基本の問題が全然、やられていない」とのべました。

北朝鮮核問題
国際社会が一致協力して対応を

 そして、党首討論では「情報管理」の議論に終わってしまった北朝鮮の核実験問題では――。

 志位 北朝鮮の核兵器開発をいったいどうやってやめさせるのか。私たちは、国際社会が一致協力して対応する、北朝鮮に核兵器を捨てなさいという対応を国連安保理でもきちんとやるという、国際社会の一致した対応が大事だということをまずいいたい。

 それから、こういうときこそ、世界中から核兵器をなくす、核保有国が「私たちも捨てるから、あなたのところも捨てなさい」といってこそ、一番強い立場がとれますよね。そういう議論をもっと太くやる必要があると思います。

 角谷氏も、「本質論には踏み込めなかった感じがする」「(核廃絶問題という)このことだけでも四十五分間議論することができたのに」と応じました。

核兵器と文明は両立しない日本こそ廃絶の強いメッセージを
核兵器廃絶
米国大統領として国際交渉の呼びかけを

 そこで議論は、核兵器廃絶問題そのものに。角谷氏は、アメリカのオバマ大統領が四月五日におこなった「核兵器のない世界」をめざすとした演説をうけ、志位氏が同大統領あてに送った書簡について質問しました。

 志位氏は、「演説は歴史的で強い感銘を受けた」とのべ、その意義について、(1)アメリカという最大の核保有国が「核兵器のない世界」を追求すると歴史上初めて宣言した(2)アメリカはかつて核兵器を使用したことのある唯一の国として、(核兵器廃絶に向けて)行動する道義的責任があるとのべた(3)世界に向けて「核兵器のない世界」の実現への協力を呼びかけた――この三点を指摘。「アメリカ政府と日本共産党の立場は、たとえば米軍基地の問題とか大きな違いがたくさんありますが、これは心から歓迎したい、ぜひ、これは後押しして実際に実るようにしたいという思いで書簡を出したんです」と説明しました。

 そのうえで、オバマ演説がのべている核軍縮のためのさまざまな具体的な交渉について、「もちろんこれらの部分的な措置は大事です。同時に、それだけでは核兵器はなくなりません。これと一体で、核兵器廃絶を正面から主題とした国際交渉を呼びかける必要があります」「やる気になれば呼びかけることができますよね。合意、実行までには時間はかかるかもしれないけれども、まず呼びかけることはすぐにもできる。呼びかけて国際交渉をスタートさせてほしいということを私はオバマさんに要請したのです」とのべました。

 これをうけて角谷氏は、オバマ演説について、アメリカ国内で反発する世論もあるがと質問しました。

 志位 そうであるがゆえに、国際的な世論で後押しする必要があるんですね。世論が応援して、支えて、それでオバマさんが実際に前に向かって進めるように後押しするということが、国際社会にとって大事ですね。とくに被爆国日本からすれば、核兵器による惨害に、いまだに被爆者の方々が苦しんでいるわけです。そういう事態におかれているわけですから、核兵器と人類は共存できない、核兵器と文明は両立しないという被爆国日本から強いメッセージを送って、あなたが一歩前に踏み出したことを歓迎する、ぜひ実行してほしいという強いメッセージを日本こそ送る必要があると思っています。

日本政府の態度
核抑止力論にしがみつくだけ

 議論は日本政府の態度に移ります。

 「一番大きな問題は、日本政府が核抑止力論をいまだに信奉しているということです。核抑止力論というのは、平たく言うと、核兵器の脅しで相手を黙らせるという考えです」とのべた志位氏。

 かつてレーガン政権で国務長官を務めたシュルツ氏も、核兵器を落として無辜(むこ)の女性や子どもたちを無差別に殺傷することなど文明国にはできないとし、核抑止力論はいまや通用しないと表明していることを紹介。「核の脅しで相手を封じ込めるという論理に立つと、相手も同じ論理で核を持とうとするわけですよ。だから、核兵器の拡散を止めることを考えても、核抑止の考え方を捨てないといけない」「核兵器廃絶ということをみんなで確認する努力が大切です」と力説しました。

 角谷氏は、「核をまずなくす、これも大事だ。しかし一方で、通常兵器だけになったら、アメリカがまたそのなかで影響力を持つんじゃないかという声もあります」と質問しました。

 これに対して志位氏は、「核兵器というのは、特別に残虐な兵器だという認識を、私たち人類はしっかり持つ必要があると思います」「私も被爆者の方の話を聞きますと、生き残った方が、生き残って申し訳ないと、そんな気持ちすら思わせるくらいの死の世界がつくられたのですね。本当に都市を丸ごと抹殺したんですよ。もちろん、いろいろな兵器の問題はあります。しかし、核兵器がある限り、人類はいつ滅亡の危険にさらされるかわからないという淵(ふち)にいつづけなければなりません」「その時にオバマ大統領がああいう発言をした。ですから一つの大きな歴史的チャンスととらえて行動すべきだと思います」と表明しました。

 この議論の中で志位氏は、「若い方にぜひお勧めしたい」として、井上ひさし氏の戯曲、『父と暮せば』を紹介しました。広島で被爆し一人生き残り、死者への罪悪感から恋にも躊躇(ちゅうちょ)する若い女性の物語で、幽霊の父親が“恋の応援団長”として登場します。ここで視聴者からは「『はだしのゲン』は読みました」の書き込みも。角谷氏からは「『夕凪(ゆうなぎ)の街…』というあれは…」と。

 志位 『夕凪の街 桜の国』はもともとはマンガですね。その主人公の女性も同じです。生き残ったことにたいする罪悪感が…。最後は白血病で亡くなってしまう。核兵器は本当に子々孫々にわたって残酷な影響を残すものですから、これは人類と共存し得ないということを私はどうしても強く言いたい。若い人もぜひ、そういう絶対悪をなくそうということで一緒に頑張ってほしいなと思います。

泣き寝入りせず、たたかいでルールつくろう

 番組後半は、深刻な雇用問題がテーマになりました。

 志位氏はまず、「雇用の状況は、深刻さがいっそう広がっている」とのべ、いわゆる「非正規切り」が厚生労働省発表でさえ、二十数万人という規模になっていること、正社員のなかでも無法な退職強要による「クビ切り」が広がっていることを指摘しました。一方で、この間、一万人以上が新たに労働組合をつくったり、既存の組合に結集して立ち上がっていることを紹介し、視聴者に向けて、「ここにはとても未来があると思います。ここは泣き寝入りしないで一緒に立ち上がろう」と呼びかけました。

深刻な雇用
人類の歴史もたたかいがルールをつくった歴史

 そこで角谷氏から、たたかうと本当に雇用が守れるのかとの質問が。

 志位 そういう不安はあると思うけれども、ただ、たたかいをあきらめて泣き寝入りしてしまったら、これはどんどん崩されていきますよね。労働がいよいよ非人間的なものになる。たたかいによってこそ、人間らしい労働のルールをつくれるということをいいたいと思います。

 人類の歴史もそうなんです。一番最初に工場立法がつくられたのは十九世紀の中ごろのイギリスですが、それまでは一日十五時間という労働だったんです。(労働者の)寿命がどんどん縮んでいくという状況があって、労働者がものすごいたたかいをやって、そして最初の工場法で十時間労働になりました。このルールをつくってみたら、イギリスの資本主義は衰退するのではなく、発展したんですよ。ですから、そういうたたかいの歴史の中で労働のルールを人類はずっとつくってきたんですよ。いまも、たたかいでルールをつくる時だということをいいたいですね。

 たたかいのテーマについて問われた志位氏は、(1)非正規雇用は臨時的・一時的なもので合理的理由がある場合に限定し、それ以外はすべて正社員にするという、「正社員が当たり前のルール」(2)正社員も非正規社員も、同じ労働をすれば給料も休暇も同じという「均等待遇のルール」(3)残業時間の上限を法律で規制する(4)失業しても安心して時間をかけて次の仕事を探せるように雇用保険を抜本的に充実する――の四つの課題をあげました。

 「賛成」「当たり前だよな」「日本人働きすぎ」などの書き込みが相次ぎました。

サービス残業
犯罪行為にペナルティー科す根絶法案

 ここで角谷氏は、日本の労働者が「サービス残業」を受け入れやすいのは、同僚を気遣う「優しさ」にも原因があるのではないかと指摘し、「それをどう変えていくのか」と質問しました。

 志位 日本の場合、率直に言って、働いている人の権利が侵害された場合、社会の側から大ストライキが起こるかというと、そこがまだ弱いですよね。やはり国民的な闘争をつくってそこは変えていかなければならないと思います。

 フランスではバカンスも有給休暇も絶対に取りますよね。取り残しはありませんね。なぜかといえば自分たちでたたかいとってきたと考えているからです。フランスの場合は一九三〇年代に人民戦線政府ができて、はじめてバカンスがつくられたんですね。

 「サービス残業」問題について、志位氏は、日本共産党が「サービス残業」根絶法案を提案していると紹介。現在は違法が摘発されてもペナルティーがなく、不払い残業代を払えばそれで済んでしまうという、いわば企業の“やり得”の状況だと指摘し、犯罪行為にはきちんとペナルティーを科す、何倍もの残業代を払わなければいけないというルールをつくる必要性を強調すると、「その法案大賛成」とのコメントが書き込まれ、こんなやりとりになりました。

 角谷 (政府が)経済対策で(予算を)いくらかけていますよというよりはそういうものをつくってくれたらいいんじゃないかと思いますよ。

 志位 「サービス残業」根絶法は一円も国の予算はかかりませんから。

 角谷 それは、志位さんの声がもっと大きくならないとなかなかだめだということですから…。

 志位 ぜひ全力を尽くしてやっていきたいと思います。

 ひっきりなしに届く「CGJ!」「がんばってください」「面白かった~」などの書き込み。今回の番組の“訪問者”は一万一千人近く、視聴者コメント数は六万を超え、いずれも前回の約二倍に達しました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月30日(土)「しんぶん赤旗」)
コメント (36)
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自公政権がソマリア沖の「海賊対策」任務で海自のP3C哨戒機部隊を海外へ初出動させる

2009-05-30 00:20:50 | 国際政治
主張
P3C派遣命令
新たな段階迎える海外派兵

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 浜田靖一防衛相は十五日、「海賊対処」を名目に、海上自衛隊の艦艇二隻が活動しているソマリア沖に、海自のP3C対潜哨戒機部隊を派遣する命令をだしました。

 P3C二機は下旬に出発し、六月上旬から活動する予定です。とりあえず現行自衛隊法の海上警備行動として活動し、武器使用の権限を拡大する「海賊対処」派兵新法案の成立後は同法にもとづく活動を実施します。対潜爆弾をもつP3Cが自衛艦と合流し、「海賊対処」の海上作戦に参加すれば武力行使の危険をいっそう大きくさせることになりかねません。

ジブチとの地位協定

 P3Cは、潜水艦を探知・攻撃するのが主な任務の軍用機です。一九九九年三月能登沖でおきた「不審船」事件のさい、海上警備行動として、北方に向けて速度をあげる「不審船」の周囲に対潜爆弾を何度も投下しました。威嚇のためとはいえ、一歩間違えば重大な事態になるところでした。P3Cが参加すればソマリア沖でも同じことがおこりえます。

 とくに新法案は、他国の船舶に「著しく接近」「つきまとい」「進行を妨げる」「海賊」に対して自衛隊が発砲する権限を与えています。P3Cが爆弾を投下し、海賊船を撃沈するおそれもでてきます。海上の情報収集だけしかやらないと思い込むのは危険です。

 P3C部隊の派遣は海外での本格的な派兵強化につながります。

 見過ごせないのは、P3C部隊のジブチ駐留に伴い日本政府がジブチ政府と締結した自衛隊地位協定です。海自約百人、陸自約五十人の駐留と空輸任務を担う空自の特権を認めさせています。

 例えば、刑事裁判権について、日本は「すべての刑事裁判権及び懲戒上の権限をすべての要員について行使する」と規定しています。ジブチ国民に対する自衛隊の犯罪はジブチが裁くのが当然です。日本が裁くというのは、ジブチの主権に対する乱暴な侵害です。日本に駐留する在日米軍が公務中に日本国民に犯した犯罪について、すべてアメリカが第一次裁判権を握るとした屈辱的な米軍地位協定となんら変わりません。

 ジブチ国民を死亡させ、損害を与えた場合の賠償も、「協議を通じて友好的に解決」するとしか書いていません。「合理的な賠償」「損害・損失を賠償」と明記したクウェートとの自衛隊地位協定と比べてもひどい内容です。自衛隊の撤退について、クウェート地位協定は、クウェートが日本に「いつでも撤退を要請できる」としていましたが、ジブチとの自衛隊地位協定はその規定さえありません。

 中曽根弘文外相は国会で、「日本側に対する優位的なものを取り決め」たと自賛しました。日本側に優位ならジブチの主権を無視してもかまわないというのは重大です。政府は、「海賊対処」を名目にして外国の主権を侵すような態度をとるべきではありません。

派兵新法案は廃案に

 日本は戦争放棄、戦力不保持を明記した憲法をもっています。いかなる名目であれ海外派兵は憲法違反であり、許されません。「海賊対処」で必要なのは、荒廃したソマリアの復興とソマリア沖周辺国家の沿岸警備能力の強化です。その支援こそ日本の役割です。

 政府は海外派兵をやめ、政治・外交努力に徹すべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年5月18日(月)「しんぶん赤旗」)

P3C(海自の哨戒機)派遣は米軍支援
赤嶺議員 「海賊」法案の危険告発

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 日本共産党の赤嶺政賢議員は二十二日の衆院「海賊対処」特別委員会で、海賊情報を上空から収集するとして政府がソマリア沖への海上自衛隊のP3C哨戒機二機の派遣準備命令を出したことについて、「情報は海賊だけにとどまらない。ソマリア沖で活動している米軍の軍事作戦全体を支援する危険がある」と追及しました。

 赤嶺氏は、ソマリア沖に同機を派遣している国がアメリカなど四カ国しかなく、日本の派遣命令が世界でも突出していると批判。「『海賊対処』を目的に派遣したとしても、実際には海賊にとどまらない情報を収集できる。その情報を米軍に提供するのか」とただしました。

 浜田靖一防衛相は「情報は他国の艦船に流すことになる」と、米軍に情報提供することを認めました。

 赤嶺氏は、米軍がインド洋・アデン湾の海域で、海賊対処だけでなく「対テロ戦争」やソマリアへの軍事介入などを行ってきたと指摘し、「P3C派遣は、この海域で活動する米軍の軍事作戦の全体を支援することになる」と迫りました。

 また赤嶺氏は、日本がP3Cを派遣することによって、ソマリア沖で活動する米軍のP3Cがアフガニスタンの陸上偵察に回される可能性があることを告発。「自衛隊の活動は、『警察活動』どころか『戦争支援』そのものになる」と批判し、「海賊対処」派兵新法案の廃案を求めました。

(出所:日本共産党HP 2009年4月23日(木)「しんぶん赤旗」)

ソマリア沖派兵
「海賊」口実 新たな米軍支援
陸・海・空 そろい踏み

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 ソマリア沖アデン湾への自衛隊派兵問題で政府は、海上自衛隊の護衛艦に加え、P3C哨戒機や陸上自衛隊の中央即応連隊を今月中に派遣しようとしています。航空自衛隊もC130輸送機による人員・物資の輸送を計画。「海賊対策」を口実に陸・海・空そろい踏みで自衛隊の海外派兵を新たな段階に引き上げるものです。

 アデン湾には現在、自衛隊法が定める海上警備行動として護衛艦「さざなみ」「さみだれ」の二隻(乗員計約四百人)が展開しています。同湾は、「対テロ」戦争支援のためにインド洋に派遣されている海自艦船が米軍など他国艦船への補給活動を行う主要海域の一つでもあります。(現在、派遣されているのは護衛艦「あけぼの」と補給艦「ときわ」。乗員計約三百三十人)

 政府・防衛省はこれに加え、ソマリア隣国のジブチ(旧仏領ソマリランド)に海自のP3C二機を派遣する準備を進めています。ジブチ空港の一角を駐機場として借りることから警護要員が必要だとして中央即応連隊所属の隊員も派遣する計画。P3Cの整備要員などを加え、人員は約百五十人に上ります。

 その結果、アデン湾とその周辺に、全体で九百人近い大規模な自衛隊派兵が行われることになります。

 しかも、P3Cの派遣は海外での実任務としては初めてです。

 P3Cはアデン湾で警戒監視を実施。政府はすでに、同機が収集した情報を米軍に提供することを明らかにしています。これまで米軍はアデン湾で、「海賊対処」だけでなく、ソマリアへの軍事介入や「対テロ」戦争などを行ってきました。P3Cによる情報提供は、同海域で米軍が展開している軍事作戦全体を支援することにつながる重大問題です。

 中央即応連隊が実任務に就くのも初めてです。同連隊は、海外派兵への即応部隊として昨年三月に新設されたばかりの“精鋭部隊”です。

 日本政府がジブチ共和国と結んだ協定は、自衛隊の施設や艦船、航空機などを外部からの攻撃や侵入から守るため「必要な措置」をとることができるとしています。

 ジブチ空港には、米軍やフランス軍など複数の国の軍隊が哨戒機を置いていますが、「自前で機体警備を行わない軍もある」(「東京」四月二十四日付)とされます。中央即応連隊の派兵はその実績づくり自体に狙いがあるといえます。

 政府・与党は、衆院を通過させた「海賊対処」派兵新法案の連休明けの成立を狙っています。同法案は自衛隊の武器使用基準を大幅に緩和するなど、アデン湾への派兵をさらに危険なものにします。

 「海賊対策」を口実にした新たな米軍支援やそのための海外派兵拡大を許さず、新法案の成立を許さない世論と運動を広げることが必要です。(榎本好孝)

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 P3C哨戒機 P3Cは、潜水艦や水上艦を探知・監視する航空機。1999年の能登半島沖不審船事件への海上警備行動では、警告のため150キロ爆弾も投下しました。

 中央即応連隊 自衛隊の海外派兵主要任務化を受けて創設された部隊。宇都宮駐屯地にあり、連隊本部、3個の普通科中隊などで編成。隊員は全体で約700人。

(出所:日本共産党HP 2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」)

ソマリア沖
P3C派遣を命令
海外派兵 新たな段階に

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 アフリカ・ソマリア沖の「海賊対策」を強化するとして、浜田靖一防衛相は十五日、海上自衛隊のP3C哨戒機二機の派遣命令を出しました。十八日に先遣隊約四十人を現地に送り、本隊は今月下旬に出発します。自衛隊法の海上警備行動として実施するもので、P3Cが海外で実任務に就くのは初めてです。

 派遣部隊の規模は約百五十人。すでにソマリア沖アデン湾に展開している護衛艦二隻(計約四百人)と、「対テロ」戦争支援のためにインド洋に展開している護衛艦・補給艦各一隻(計約三百三十人)を加えると、規模は九百人近くに膨れ上がることになります。

 P3Cはソマリアの隣国ジブチの「ジブチ国際空港」に拠点を置き、ソマリア沖アデン湾で警戒監視活動を行います。政府はすでに、P3Cが収集した情報を米軍に提供することを明らかにしています。「海賊対処」に限らず、「対テロ」戦争など米軍が同湾で展開している軍事作戦全体を支援することになります。

 また、ジブチ空港での機体警備などを行うためとして、陸上自衛隊の海外派兵即応部隊である中央即応連隊などから陸自隊員も派遣し、拳銃や小銃のほか軽装甲機動車二台も持ち込みます。中央即応連隊は初の海外派遣で、P3Cの派遣と合わせ、自衛隊海外派兵を新たな段階に引き上げることになります。

(出所:日本共産党HP 2009年5月16日(土)「しんぶん赤旗」)

P3C派遣
米軍の軍事行動支援
参院外防委 井上議員が追及

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 日本共産党の井上哲士議員は参院外交防衛委員会で二十八日、「海賊対処」派兵新法案にたいする質問に立ち、同日アフリカ東部ソマリア沖アデン湾に出発した海上自衛隊P3C哨戒機の活動が、米軍の軍事行動を支援するものであることを明らかにしました。

 井上氏は、現在のP3C派遣の根拠は、自衛隊法の「海上警備行動」であり、情報収集の対象は「日本関係船舶の防護に必要な情報」だが、新法が成立した場合、「情報収集の対象は広がるのか」とただしました。

 防衛省の徳地秀士運用企画局長は、「新法案成立後の活動内容は今後検討していく必要がある。船舶の防護に必要な関連情報を幅広く収集することになる」と、活動内容が拡大することを明らかにしました。

 井上氏はまた、アデン湾を含むインド洋で「対テロ戦争」を行う米軍などの多国籍艦隊(CTF150)と情報交換を行うのかと追及。徳地局長は「関係国・機関と幅広く情報交換する」と述べ、否定しませんでした。

 井上氏は、「日本は『警察活動』だとして自衛隊を派遣しているが、アメリカは海賊対策を軍事行動だと位置付けている。日本の行う情報活動が軍事活動と一体化するのではないか。憲法九条の持つ日本がやることではない」と主張しました。

P3C 初の海外派遣
ソマリア沖の「海賊対策」口実
違憲行為を全面展開

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 海賊対策を名目に東アフリカ・ソマリア沖で行われている海上自衛隊・護衛艦の活動に参加するため、海自のP3C哨戒機部隊が二十八日、ソマリア隣国のジブチ共和国にむけて出発しました。実際の任務でP3Cが海外に出動するのは初めて。周辺地域には陸海空自衛隊九百人が派兵され、「海賊対策」を口実に、憲法違反の海外派兵が全面的に展開されることになります。

 浜田靖一防衛相が、海上警備行動に基づき十五日に派遣命令を出していました。二十八日午前、特別に編成された派遣海賊対処航空隊百人のうちの三十六人が、神奈川県綾瀬市の海自厚木基地からP3C二機で出動しました。残りの隊員は、チャーター機で現地に向かいます。六月上旬には、三月に派遣された護衛艦「さざなみ」「さみだれ」とともにソマリア沖アデン湾で活動を開始します。P3Cの任務は警戒・監視活動となっていますが、同機は攻撃能力も備えています。

 派遣拠点は、ソマリアの西隣に位置するジブチ共和国の国際空港。昨年三月に新設され、ゲリラ戦にも対応できる陸上自衛隊・中央即応連隊の五十人も、初めての海外活動として同地でP3C部隊を警護する任務にあたります。

 部隊の総勢は百五十人規模となります。これまですでに、アデン湾に護衛艦二隻(約四百人)と、インド洋に「対テロ」戦争への給油支援のため護衛艦、補給艦(約三百三十人)が派兵されています。

 政府は、P3Cが得た情報を他国に提供することを明らかにしており、同海域で米軍が展開している軍事行動を支援することになります。

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 P3C哨戒機 潜水艦や水上艦を探知・監視する軍用機。爆弾、ミサイル、魚雷などの攻撃兵器も搭載可能で、1999年の能登半島沖不審船事件での海上警備行動では、警告のため150キロ爆弾を投下しました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月29日(金)「しんぶん赤旗」)
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参議院で「海賊」派兵法案が審議入りー民主党は早期成立に協力しているー

2009-05-29 08:21:55 | 国際政治
参院
「海賊」派兵法案審議入り
民主は早期成立に協力

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 自衛隊海外派兵の武器使用を拡大し、派兵恒久法に道を開く「海賊対処」派兵新法案は二十七日の参院本会議で、趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。

 同法案は、アフリカ東部ソマリア沖の海賊問題を口実にして、「海賊対処」という名目で世界のどこの公海でも自衛隊を派兵できる恒久法です。また、海賊と見られる船が停船命令や警告射撃、威嚇射撃に従わず接近してきた場合などに船体への射撃を可能とし、自衛隊史上初めて海外での「任務遂行型の武器使用」を認めています。「保護対象」は外国船舶まで拡大しました。

 衆院審議では、同法案がソマリア沖の海賊減少の役に立たず、軍事対応の悪循環につながることが明らかになったにもかかわらず、わずか六日間の審議で自民、公明の与党は強行しました。

 麻生太郎首相は、同日の参院本会議の答弁でソマリア沖の海賊問題を口実に「緊急に対応すべき課題だ」と早期成立を求めました。

 民主党の風間直樹議員は質問で、「自衛隊でなければできない任務があるならば、国会で議論し承認の是非を決定すべきだ」と派兵自体には反対せず、派兵の際の国会事前承認規定を設ける「修正」を要求。「迅速な海賊対処を可能とすることにも十分留意し、法の制定と運用を行わなければならない」と早期成立に協力する姿勢を示しました。麻生首相は「修正」協議について「建設的な意見があれば真摯(しんし)に対応したい」と答えました。

 参院外交防衛委員会は同日の理事懇談会で二十八日に審議入りすることを決めました。

「海賊」派兵法案 参院審議入り
「警察活動」を理由に
武器使用拡大 成り立たぬ

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 海外での新たな武器使用を認める「海賊対処」派兵新法案が二十七日、参院で審議入りしました。会期末が六月三日に迫る中での審議入りです。与党は、来週冒頭にも会期延長を強行して、何が何でも成立をはかろうという姿勢です。

 政府・与党は、初めて海外で自衛隊による任務遂行上の武器使用を認めることについて、「海賊対処」は「警察活動」だから「(憲法九条の禁ずる)武力の行使に当たらない」と繰り返します。

 しかし、一般に「軍事的活動」より実力行使の程度が低い「警察活動」を理由に、これまでのどんな海外での軍事的活動よりも「拡大された武器使用」が認められるという「論理」は成り立ちません。

一気に撃沈

 使用できる武器の範囲には、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度において」(六条)という以外、「制限」はありません。派遣される自衛隊の護衛艦は、127ミリ砲、76ミリ速射砲、高性能20ミリ機関砲などのほか、対艦・対潜・対空ミサイルや魚雷なども搭載しています。「こうした艦載兵器は、『海賊船』への対処兵器にしては大掛かり(威力が過大)過ぎるもの…相手を一気に撃沈してしまう」(山田朗明治大学教授、『軍縮問題資料』五月号)という指摘もあります。

 軍事的活動はもちろんのこと「警察活動」だとしても、自衛隊の海外での武器使用は、政府の憲法解釈のもとにおいても慎重に議論すべき問題です。「警察活動」というマジックワードのもとで、何の問題もないかのような議論は全く通用しません。

 「海賊対処」は海上保安庁が行うべきだが、「海保保有の艦船では対応できないから自衛隊を出す」と「説明」されてきました。法案は、海上保安庁の海賊対処の権限が、自衛隊に「横滑り」(準用)する構造になっています。

 しかし、「軍を出す、最高のレベルにあるものを出すことが非常に大きなこと」「これはひとつの国家のメッセージだ」(中谷元・元防衛庁長官、四月十五日)というように、議論は初めから「自衛隊を出す」という“結論”に立って進められています。

民主は追認

 早期成立を目指す政府・与党に対し、民主党は代表質問で、国会の事前承認を盛り込むことなどで「修正」協議を提案。「迅速な海賊対処を可能とすることに十分留意」すると、協力姿勢を示しました。民主党の「修正」案は、自衛隊の派兵それ自体と武器使用の拡大を追認するものです。

 イラク戦争とアフガン戦争での泥沼を前に、「紛争解決」に軍隊を安易に出すことへの反省と、武力では紛争問題の解決はできないという流れが世界で強まっています。インド洋沿岸諸国からも、さまざまな「理由」をあげて各国軍隊が競い合って展開することに懸念の声も出されています。

 すでに法案の重大な問題点は明らかになっています。自衛隊の武器使用拡大で派兵恒久法に道を開く法案は、徹底審議のうえ廃案にするしかありません。(中祖寅一)

解散もてあそび悪法をごり押し
こくた国対委員長

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 日本共産党の、こくた恵二国対委員長は二十七日、政府・与党が国会の六月三日の会期を延長しようとしていることについて「解散時期のフリーハンドを握ろうということで解散をもてあそぶものだ。また、『海賊対処』派兵新法など悪法をごり押しする狙いからのもので、二重の意味で許しがたいことだ」と批判し、「すみやかな解散が求められている。国民の信を問うべきだ」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月28日(木)「しんぶん赤旗」)
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政党助成金をガッポリ巻上げながら、自民党と民主党が衆議院の比例定数削減を提起ー狙いは消費税増税ー

2009-05-27 11:32:06 | 国内政治
自民 民主 議員定数の削減論議
民意反映する比例標的

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 自民、民主両党が総選挙に向けた「マニフェスト(政権公約)」に国会議員の定数削減を盛り込もうとしています。「国会自ら血を流す姿勢が必要だ」(麻生太郎首相)、「税金の無駄をなくす」(鳩山由紀夫民主党代表)とのかけ声で狙っているものは―。

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 民主党は先の代表選で鳩山代表、岡田克也幹事長がともに「衆院比例定数の八十削減」を打ち出しました。衆院総定数四百八十のうち定数三百の小選挙区はそのままで、百八十しかない比例代表の定数を一挙に八十も減らそうというものです。

 自民党は今月中にも党改革実行本部(本部長・武部勤元幹事長)が結論を出す予定ですが、「衆院定数を三百人以下とし、比例区を廃止し、参議院を合わせた総定数を四百人以下とする案が大勢」(太田誠一・元同本部長のブログ)。党内には「衆院定数の三百以下削減」をマニフェストに盛り込むよう求める議員連盟も発足しようとしています。

改悪に次ぐ改悪
 国会議員は、国会と国民を結ぶパイプです。それを大幅に削減することは民意を削ることになります。日本の国会議員数は一九九〇年代からの相次ぐ選挙制度改悪で減少の一途で、他の先進国と比較しても決して多くはありません。

 それだけに自民、民主両党が定数削減の標的を比例代表に定めているのは重大です。

 どんなに得票率が低くても最大得票数の候補者一人だけが当選する「大政党本位」の小選挙区制に対し、比例代表は、政党の得票に応じて議席を配分するもので、いまの選挙制度では唯一民意を正確に反映する部分となっているからです。

 民主党は衆院比例定数の八十削減案を二〇〇三年の総選挙マニフェストから掲げてきました。「政権選択が可能な選挙を実現するためには、小選挙区選挙をより重視」(〇七年参院選マニフェスト)するためで、菅直人代表代行は代表を務めた〇三年時に「将来的に単純小選挙区だけの定数三百もありうる」とまで表明。比例代表廃止を検討する自民党と同じです。

 比例代表の削減・廃止はいっそう民意を削ることになり、比例代表で議席を得ていた少数政党が締め出されるおそれがあります。自分たちの思惑のために人為的に選挙制度を変え、少数政党を追い出すのは最悪の党利党略です。

政党助成廃止を
 「税金の無駄をなくす」「自ら身を切る」というなら、毎年三百二十億円にのぼる税金を山分けする政党助成金こそきっぱり廃止すべきです。政党助成金制度実施(一九九五年)から今年分を含めた十五年間の自民党の配分総額は二千二百七十七億円、民主党は一千百九十億円にのぼります。

(出所:日本共産党HP 2009年5月25日(月)「しんぶん赤旗」)

民意削る衆院比例80減
民主代表が政権公約へ

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 民主党の鳩山由紀夫代表は二十五日、自民党の菅義偉選対副委員長が衆院の議員定数(四百八十)を五十以上削減すべきだとの考えを示したことについて「私どもは八十減らすと提案しており、たぶんマニフェスト(政権公約)に書く。五十じゃ足りない」と述べました。東京都内で記者団に語りました。

 民主党は、旧自由党と合併して臨んだ二〇〇三年の総選挙マニフェスト以来、衆院議員定数のうち比例代表(百八十)を八十削減する方針を国政選挙で掲げています。鳩山氏の発言は、次期総選挙マニフェストでも同じ方針を盛り込むことを明言したものです。

 国民を代表する国会議員定数の削減は、民意の切り捨てにつながります。とりわけ、比例代表は政党の得票に応じて議席を配分するもので、いまの選挙制度では唯一民意を正確に反映する部分。その大幅な削減は、民意を正しく反映できないゆがみをいっそう高め、多様な民意を切り捨てることになります。

(出所:日本共産党HP 2009年5月26日(火)「しんぶん赤旗」)

民意(比例定数)削ってカネ(政党助成)温存
自民・民主競い合う

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 自民、民主両党が総選挙の「マニフェスト(政権公約)」に国会議員の定数削減を盛り込もうと競い合っています。自民党が「衆院総定数四百八十を少なくとも五十人以上削減すべきだ」(菅義偉選対副委員長)といえば、民主党が「私どもは八十減らすと提案している。五十じゃ足りない」(鳩山由紀夫代表)というなど、まるで“バナナのたたき売り”状態。これが「身を削る」ことになるのでしょうか。

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 議員定数削減の理由として、自民党や民主党は、「増税するにはまず身を切る姿勢をみせるべきだ」(伊吹文明元自民党幹事長)「(定数削減などを解決しなければ)消費税増税の議論は国民の理解を得られない」(鳩山民主党代表)などといいます。

 「身を切らなければ増税に国民の理解が得られない」というのは、二重三重にごまかしです。

 第一に、「身を切られる」のは国民の側だということです。国会議員は国民と国会を結ぶパイプであり、その大幅削減は民意を削ることになり、国民の声が届かなくなることを意味します。日本の国会議員の数は、国立国会図書館の各国調査でも人口比で先進十二カ国中、少ない方から二番目で、決して多くはありません。

 第二に、自民も民主も本当に「身を切る」ことになる政党助成金にはいっさい手をつけようとしていないことです。

 政党助成金は、国民一人あたり年二百五十円、総額三百十九億四千百万円の税金を、各党で山分けするもの。憲法が保障する思想・信条の自由に違反し、支持政党でもない政党に、税金が使われる仕組みです。

 約三百二十億円あれば、障害が重ければ重いほど負担が大きくなる障害者自立支援法の「応益負担」制度をやめさせることができます。

 結局、議員定数削減は、消費税増税に反対する少数政党を締め出し、国会を増税派一色にしかねません。いまの選挙制度で唯一民意を正確に反映する比例代表の定数削減は、少数政党排除を狙った最悪の議会制民主主義破壊です。消費税増税に一貫して反対し論戦を続ける日本共産党を排除すれば、消費税増税への「障害」もなくなります。

 自民も民主も消費税増税派という点では同じ立場です。三年か四年か、増税凍結期間に違いはあっても、将来は消費税増税を財源にと公言しています。

 消費税は所得の少ない人ほど重くのしかかる最悪の不公平税制。その増税は国民の購買力を奪い、景気をいっそう悪化させ、貧困と格差の拡大に追い打ちをかけることになります。

 自民や民主の議員定数削減論は、民意を削ったうえ、消費税増税に道を開こうというものです。

(出所:日本共産党HP 2009年5月27日(水)「しんぶん赤旗」)
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テレビ討論で日本共産党の市田忠義書記局長が主張ー大企業利益優先の金権腐敗から人間生活優先の政治へー

2009-05-26 07:01:39 | 国内政治
家計温める対策必要
補正予算案「バラマキで国民にツケ」
消費税頼み 自公も民主も同じ
テレビ討論 市田書記局長が主張

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 日本共産党の市田忠義書記局長は二十四日、NHK「日曜討論」、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に相次いで出席し、景気悪化をめぐる問題や消費税増税問題について与野党の幹事長らと討論しました。(詳細)

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 与党側は、二〇〇九年度補正予算案は「非常に広い分野で(経済を)かさ上げするもの」(自民党の石原伸晃幹事長代理)、「(野党側は)今の経済情勢に対する認識が十分でない」(公明党の北側一雄幹事長)などと述べました。

 これに対し、市田氏は「経済危機を認識していないのは、自公政権の方だ」と述べ、「今の景気悪化から国民を守る視点、外需主導でなく、国民の懐を温める経済政策に転換する哲学がまったくない」と反論。補正予算案は「総額十五兆円先にありきで、中身も一年限り、一回限りのバラマキがほとんどだ」と述べたうえで、住む家さえ失った派遣労働者への対策や、生活保護の老齢加算・母子加算の復活、後期高齢者医療制度の廃止、国民健康保険証の取り上げ中止など「一番、困っている人々に対して目を向けるべきだ」と指摘しました。

 また消費税の引き上げをめぐって、北側氏は「消費税の問題は社会保障(の財源)という関係で出てきている」「今回の経済対策と将来の消費税(引き上げ)とは、まったく関係ない」などと主張しました。

 これに対し市田氏は「大ウソだ」と反論。与謝野馨財務相が財政赤字の穴埋めに消費税を使えるよう税制「改革」の「中期プログラム」見直しまで言及していることをあげ、「十五兆円のバラマキをやって結局、ツケを国民にまわそうとしている」と指摘しました。さらに、「消費税は導入時にも、引き上げ時にも『社会保障の拡充』を名目にしていたが、これまで一つでも福祉、医療、介護が良くなったか」と批判しました。

 市田氏は、導入後計二百十三兆円の消費税に対し、法人三税の減税分は百八十二兆円分にのぼることをあげて「結局、社会保障のためといいながら、法人三税の減税の穴埋めに使われた」と指摘。「消費税というのは、収入の少ない人ほど負担が重い。逆に、大企業は価格に転嫁することができるから一円も負担しない。これほど不公正な税はない」と厳しく批判しました。

 また、民主党の岡田克也幹事長は「四年の任期の間に消費税をあげることはない」としつつも、「財政全体のなかで(消費税も含めて)議論していかないといけない」と主張。市田氏は「時期と手法が違うだけで、消費税に依存するという点では、与党も民主党も同じだ」と指摘しました。

NHK「日曜討論」での
市田書記局長の発言

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 日本共産党の市田忠義書記局長が二十四日のNHK「日曜討論」でおこなった発言の詳報を紹介します。

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政治とカネ――金権腐敗体質という点では、自民党と民主党はまったく変わらない
 民主党の岡田克也幹事長が、西松建設違法献金事件がらみで小沢一郎氏が代表を辞任したことについて、西松事件は裁判で解決されるべきであり、小沢氏に具体的説明を求めるのは「(筋が)違う」と発言。また、官僚支配から脱却して官僚を使いこなしていくなどと述べました。これに対し市田氏は次のように述べました。

 市田 小沢前代表の秘書が西松建設違法献金事件で逮捕、起訴されたことがきっかけで、国民の批判が高まり、その批判に耐えられなくなって(小沢氏が)代表を辞めた結果行われたのが今回の代表選挙です。ところが、(代表選での)岡田さんと鳩山さんとの議論を聞いても、鳩山新代表の就任あいさつを聞いても、西松の「に」もなかった。

 司法の手にゆだねるというが、政治家の政治的道義的責任というのは大事です。公共事業受注企業である西松建設から十年間で三億円ものお金をどうして受け取ったのか、何に使ったのかは、やはり小沢さん自身が明らかにすべきだし、民主党としても自浄作用を発揮すべきです。

 金権腐敗体質という点では、自民党と民主党はまったく変わらない状況が明らかになったと思います。

 「脱官僚」という話でしたが、(代表選では)「脱財界」「脱アメリカ」という言葉は、やはり出てきませんでした。雇用破壊や(毎年二千二百億円の削減による)社会保障の破壊も、財界・大企業の要望に応えた政治がもたらしたものですから、やはり政官財の癒着を断ち切る立場に立つ必要があると思います。

  西松事件について、自民党の石原伸晃幹事長代理は「(小沢氏は)何ら反省していない」と、また公明党の北側一雄幹事長は、「(民主党は)自浄能力があるのか」と批判。市田氏は、次のように指摘しました。

 市田 二階(俊博・経済産業相)さんは国会で(西松事件について)聞かれて、“お金を出した団体がどういう団体か、お金の出所はどこかといちいち調べる必要はない。それが常識だ”と答弁しました。これは小沢さんが三月四日の記者会見でいったこととまったく一緒です。その点では(自民も民主も)まったく同質です。

 北側さんは、自民党は“きちんとやっている”といいましたが、全然やっていませんよ。麻生首相には任命責任があるのに、「個別の事案には答えられない」と国会の公式の場でいったんです。自民党の国民政治協会自身が西松建設のダミー団体から献金を受け取った事実も明々白々です。これについても、自民党は自浄努力をしていないわけで、自民党に民主党を批判する資格はないし、同罪だと私は思います。

補正予算案――景気悪化から国民を守り、国民の懐を温める経済政策に転換を
 市田氏は政府の補正予算案について、「いまの景気悪化から国民を守るという中身はまったくない」と指摘。他の野党各党も同予算案を批判したのに対し、公明党の北側氏は「深刻な経済危機を認識していない」などと“反論”しました。市田氏はこう述べました。

 市田 自公政権のほうが認識していないと私は思います。総額十五兆円先にありきで、中身は一年限り、一回限りのばらまきがほとんどです。一般マスコミでさえ「選挙目当て」だと書かざるをえないのが実態です。

 国民健康保険料が高すぎて払えずに「資格証明書」に切り替えられてお医者さんにもかかれない人がいるのに、そういう人への手当ては一切ないし、生活保護の老齢加算、母子加算も打ち切られたままです。“おかあさん、ぼくは修学旅行は断念するよ”と子どもにいわせるような実態を放置しておいて…。

 やるのならば、やはり後期高齢者医療制度や障害者自立支援法による一割負担を廃止するとか、生活保護の母子加算や老齢加算をきちんと元に戻す、国民健康保険証の取り上げはやめる、国保料をもっと引き下げるということなどこそやるべきです。

 それなのに、一回切りのばらまきばかりで、その中身は贈与税などの減税や自動車を買ったら補助するといったものです。大型テレビを買えばエコポイントだというが、これは環境(保護)とも矛盾します。電力消費量の一番大きなものを買えばエコポイントがたくさんつくわけでしょう。

 いまの景気悪化から国民を守り、外需主導ではなく、もっと国民の懐を温めるという経済政策に転換するという哲学がまったくないと(思います)。

  岡田氏は、「官僚がつくった予算案は絶対に変えないという官僚政治だ」などと批判。北側氏は「生活対策が不十分というのはあたらない」などと述べました。

  市田氏は、次のように指摘しました。

 市田 個人消費が(一月―三月は前期比で)1・1%落ち込んでいますが、これは消費税を5%に引き上げた一九九七年以来の落ち込みです。GDP(国内総生産)は年率換算で15・2%の落ち込みです。

 主要な要因は、内需の落ち込みですが、最大の問題は雇用の破壊です。さきほど北側さんは、補正予算案にもセーフティーネットはいろいろあるといわれました。セーフティーネットは必要だと思います。しかし、“蛇口”を止めないままで、「派遣切り」や「期間社員切り」を野放しにしておいて、“安心して首切ってよろしい、セーフティーネットを”というのでは、まずい。

 大企業に社会的責任を果たさせて不当な「派遣切り」や「期間社員切り」をやめさせるための派遣法改正には、政権与党は真剣に取り組もうとしていません。

 もう一つは、やはり社会保障の切り捨てです。

 そういう切り捨てから拡充に転換し、国民の懐を温めて個人消費を拡大し、国内での物の売り買いを活発にすることで景気回復が軌道に乗っていくわけで、そこをきちんと手当てすることが大事です。

消費税増税――与党も民主党も依存する点では同じ、時期と手法が違うだけ
 民主党の岡田氏は、「(次期総選挙以降の)四年間の任期の間に消費税を上げることはない」と述べながら、「選挙で問わずに抜き打ち的に増税することはない」と発言し、四年後以降の消費税増税の可能性を示唆しました。北側氏は、今回の補正予算案と将来の消費税増税とは「まったく関係がない」などと述べました。市田氏は、北側氏の発言に次のように反論しました。

 市田 それは大ウソですね。(税制「改革」の)「中期プログラム」では、社会保障の財源として消費税問題を考えるといっていましたが、これはもう「見直す」と与謝野さん(財務相)がいっているんです。十五兆円のばらまきをやり、結局はそのツケを消費税増税で国民に押し付けるということです。

 それから、さかんに「社会保障のため」に“財源が必要だ”と北側さんはいいました。(消費税)導入のときも、3%を5%に上げるときも、「社会保障の拡充のために」というのが名目だったんです。しかし、導入からこれまでに二百十三兆円の消費税が取られましたが、福祉、医療、介護が一つでもよくなったのか。消費税の導入で、いかに福祉が削られたか、社会保障が削られたか、国民はみんな痛いほど実感しています。一方で、今日までに法人三税がいくら減税になったかというと、百八十二兆円です。結局、社会保障のためといいながら、法人三税の減税の穴埋めに使われたといわれても反論できないと私は思うんです。

 消費税というのは、収入の少ない人ほど負担が重い。いま十九年ぶりの国民所得の落ち込みです。持ち金が千円しかないような派遣労働者からも搾り取るものです。しかも、大企業は価格に転嫁することができるから、一円も負担しない税なんです。これほど不公正な税はありません。

 消費税増税を、岡田さんは四年後、(与党は)消費税を含む税の「抜本改革」を二〇一一年にやるという。時期と手法が違うだけで、消費税に依存するという点では、与党も民主党も変わりないと私は思います。

  最後に、衆院解散の時期について問われて市田氏はこう述べました。

 市田 三代にわたって国民の信を得ていない内閣が続いており、争点を明確にして一日も早く解散すべきです。悪法を通すための会期延長も論外だと思います。

自民・民主 違いなし
民放で市田氏 金権腐敗体質を批判

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 日本共産党の市田忠義書記局長は、二十四日のテレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」で、西松違法献金疑惑にかかわり、「金権腐敗体質をどう打破するかの問題で、自民も民主もまったく違いがない」と批判しました。

 討論の中で公明党の北側一雄幹事長は「政治とカネの問題が今度の(民主党の)党首選で語られなかった」と発言。これをうけて市田氏は、西松建設のダミー(隠れみの)の政治団体から、民主党の小沢一郎前代表だけでなく、自民党にも二階俊博経済産業相はじめ多数の議員が献金をうけていることを指摘。民主党が「第三者委員会」を設けて調査していることに対しても、「自らの党の代表が疑惑をかけられているのだから、政党として自浄作用を発揮すべきだ」とのべ、自民・民主両党とも自浄作用を発揮していないと強調しました。

 二十七日に行われる予定の党首討論が議論になり、問われた市田氏は「自民と民主だけの討論は率直にいっておもしろくない。多様な意見が反映される必要がある」と主張。司会の田原総一朗氏は「だからきょう、(番組に)よんでいる」とのべました。

 討論のテーマについて、両党が考えるべきものだとした上で、GDP(国内総生産)が年率換算で15・2%落ち込んだ原因はどこにあるのか、どのように立て直していくのか、オバマ米大統領が核兵器廃絶を国家目標とするとしたことなど、骨太な議論が必要だと強調しました。

 田原氏は「共産党はオバマ演説をほめたんだ」と発言。市田氏は「イラク戦争や日米関係ではいろいろあるが、核兵器廃絶は大きな視野にたって、とりくんでいくべき課題だ」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月25日(月)「しんぶん赤旗」)
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全労連非正規センターの主催で非正規労働者が交流集会ー京都市に派遣・パート・外国人勢ぞろいー

2009-05-25 03:15:44 | 国内労働
合言葉は「たたかって前進」
非正規労働者が交流集会
派遣・パート・外国人勢ぞろい

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 「パート・派遣など非正規ではたらくなかまの全国交流集会」が二十三日、二日間の日程で京都市で始まりました。全労連非正規センターの主催。「非正規切り」に対する反撃と連帯が広がるなか、十七回目の今集会は過去最多の約五百人が参加。パートや派遣、外国人などさまざまな非正規労働者が一堂に会し、たたかって前進しようと声を上げました。

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 全労連では昨秋以降、新たに百九十を超える労働組合が結成されています。

 初日の全体会では、いすゞやキヤノンなど大企業の「非正規切り」や奴隷労働とたたかう外国人研修実習生、「官製ワーキングプア」の自治体非常勤職員など、この間のたたかいの前進を反映して多彩な労働者・労働組合の代表がずらり勢ぞろいしました。

 参加者は、「人間として扱え」と使い捨て労働の実態を告発。「いい介護がしたい」「住民サービスを支えたい」と仕事に対する誇りを語りながら、「解雇無効の仮処分決定を勝ち取った」「泣き寝入りせず、勇気を出してたたかってよかった」「一人ではない。みんなの力で助け合おう」と発言するたびに、何度も拍手がわき起こりました。

 あいさつした全労連の大黒作治議長は、非正規労働者の反撃が太い流れになり、確実に成果を上げていると強調。「正規も非正規も、官も民も手を携えて人間らしく生き働ける社会をつくろう」と呼びかけました。

 神戸大学の二宮厚美教授が講演し、「雇用破壊と貧困の打開は、日本経済全体の再生に不可欠だ」とのべました。

 集会後、「貧困を生み出すな」などのプラカードを掲げて市内をパレード。「非正規切りは、あきまへん」と唱和しました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月24日(日)「しんぶん赤旗」)

全労連 雇用を守る運動前進
派遣法抜本改正へ
事務局長会見

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 全労連の小田川義和事務局長は二十一日、東京都内で記者会見し、非正規切りを許さないたたかいをすすめるとともに、労働者派遣法の早期抜本改正を求める運動をさらに広げていくとのべました。

 この間、非正規労働者が千二百六人加入し、新たに百九十一組合を結成、労働局申告は六十六件行われていると報告。各地の「派遣村・街頭相談」は、全国の約百六十カ所で四千三百五十六件の相談が寄せられ、生活保護申請は六百四十一件にのぼるとのべました。

 こうしたなかで、派遣労働者の中途解雇無効に続いて、いすゞ栃木工場での期間社員に対する解雇も休業も違法だとする仮処分決定などをあげ、「運動は前進してきている」と強調しました。

 失業者に対する救援活動や解雇撤回・正社員化を求めるたたかいをさらに広げるとともに、「雇用破壊の元凶である労働者派遣法の早期抜本改正を」との幹事会アピールを発表し、改正めざす運動を強めるとのべました。

 抜本改正には少なくとも、製造業派遣の禁止と登録型派遣の原則禁止、違法な派遣先への見なし雇用、均等待遇の四点を盛り込むよう指摘。労働組合はじめ国民的な共同をいっそう発展させること、全政党、国会議員が真しな協議で一致点を見いだし、早期に抜本改正するよう求めていくとのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月22日(金)「しんぶん赤旗」)

主張
景気の落ち込み
雇用守る対策がいよいよ急務

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 政府の経済統計で、国内総生産(GDP)が昨年十―十二月期に続いて今年の一―三月期も記録的な落ち込みとなる一方、大企業を中心にした鉱工業生産は下げ止まりの傾向が出てきたなどといわれています。そうしたなかで、いっこうに回復を見せないのが雇用の指標です。「完全失業者」数は三月まで五カ月連続の増加で、「完全失業率」は5%に迫り、求職者に対する求人数の割合を示す「有効求人倍率」も下がり続けています。

非正規も正規も削減
 雇用悪化の最大の原因は、大企業を中心に、非正規の労働者だけでなく正規の労働者に対しても、雇用破壊が続いていることです。

 厚生労働省は、非正規労働者の「雇い止め」等の状況を毎月調査していますが、昨年十月から今年六月までに解雇を実施または予定しているのは、三月の調査では十九万五千六十一人、四月調査では二十万七千三百八十一人と増え続けています。しかも離職者七万三千二百五十人の調査で、再就職できたのは一万五千六百十七人、21・3%という深刻さです。

 一方、同じ調査で正社員の離職状況を見ると、百人以上の離職を調査したというまったく不十分な中身でも、三月調査の一万二千五百二人が四月調査では一万八千三百十五人に増えています。文字通り「氷山の一角」ですが、雇用破壊が正社員に広がっていることはこれだけ見ても明らかです。

 これまでの不況期なら、雇用の悪化は景気の悪化より遅れることが多いといわれました。ところが今回の経済危機では、大企業が率先して「派遣」など非正規の労働者を切り捨てたため、雇用の悪化がこれまでより早く現れました。

 しかも今回の場合、大企業の生産などは下げ止まりが見られるといわれるようになっても、雇用の悪化にはいっこうに歯止めがかかりません。これまでの不況期でも、雇用の回復は景気の回復に遅れてあらわれるといわれました。今回の場合はそれに輪をかけて、落ち込みの始まりはこれまでより早く、下げ止まるのはさらに遅いといわれるほどです。

 大企業が景気のよいときには急速に拡大した非正規の労働者を、内部留保があり株主には配当を続けながら削減しているのは、文字通り労働者をもの扱いする不当なものです。正社員の解雇も、残りたければ遠隔地への配置転換を受け入れろと迫るなど、不当な退職強要が相次いでいます。

 日本共産党の仁比聡平議員が参院予算委員会で追及した、労働局の指導にも従わない東芝グループの違法な「派遣切り」や、パナソニックの関連企業が九州から関東や関西への転勤を計画し労働者をふるいわけして退職を迫っているなどはその際たるものです。さすがに舛添要一厚労相も、「企業は当然法律を守ってもらわねばならない」と答えざるを得ませんでした。

経済悪化との悪循環
 大企業の不当な雇用破壊を放置していては、労働者の暮らしが守れないだけでなく、日本経済を再生させることも不可能です。雇用破壊で国内消費が落ち込み、二期連続の大幅低下となった一―三月期のGDPはその証明です。

 国内需要を回復させ、日本経済を悪循環から立て直すためにも、大企業の雇用破壊をやめさせることが、いよいよ急務です。

(出所:日本共産党HP 2009年5月24日(日)「しんぶん赤旗」)

「ルールある雇用」の経済効果とは?

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 〈問い〉派遣労働者を正規労働者にしたり、サービス残業をなくしたりするだけで内需拡大になると聞きましたが、どういうことですか。その効果は微々たるものと思えるのですが、違いますか?(東京・一読者)

 〈答え〉「アメリカ発の金融危機」が“外需・輸出頼み”の日本経済を直撃し、景気が悪化しています。そのなかで、これまで、金融・住宅バブルにわくアメリカ市場に進出して大もうけをつづけてきたトヨタやキヤノンなどの大企業が、不況を口実にして「派遣切り」「非正規切り」をすすめています。

 大企業の横暴を放置していては、日本経済は、雇用悪化と景気悪化という際限のない悪循環におちいることになります。

 この状況を打開するためには、日本経済の体質を外需・輸出頼みから内需主導に抜本的に切りかえていくことが必要です。

 非正規雇用の正社員化、サービス残業根絶、年休完全取得など雇用の安定と働くルールの厳守、つまり「ルールある雇用」を実現することは、日本経済を内需主導の方向に転換させていくうえで大きな役割を果たし、経済効果も抜群です。

 そのことを具体的に明らかにしたのが昨年10月に発表された労働総研の試算です。この試算では、(1)ワーキングプアの解消のため非正規の正社員化363万人を実現する、(2)サービス残業を根絶すると118・8万人の雇用が生まれる、(3)完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得を保障すると153・5万人の新たな雇用が必要になる――という三つのケースを明らかにし、それによってどのような経済効果が生まれるかを算出しています。

 その結論は、労働者の賃金は21・3兆円増え、国内生産は24・3兆円増えるということです。その結果、日本のGDPは2・52%押し上げられます。日本の経済成長率は、景気拡大局面の時期で、04年度2・0%、05年度2・4%、06年度2・5%でしたから、それに匹敵する経済効果があることが明らかになりました。しかも、04~06年度のGDPを押し上げたのは大企業の設備投資が中心でしたが、今回は労働者の懐を直接あたためることになるので、大企業だけでなく、中小企業にも経済効果が波及することになります。

 労働者の賃金支払いは21・3兆円増えることになりますが、大企業がため込んだ内部留保は、02年度の167兆円から07年度には228兆円に増えています。5年間で61兆円も積み増しているので、その3分の1をあてれば「ルールある雇用」を実現でき、経済効果も生まれます。(藤)

(出所:日本共産党HP 2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」)
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東京・有明コロシアムで日本共産党の志位和夫委員長が総選挙・都議選勝利に向けた演説(その3)

2009-05-24 08:47:07 | 国内政治
核兵器のない世界、戦争のない世界を――平和の願いを日本共産党に

 第三にお話ししたいのは、「世界にどう働きかけるか」ということです。

 世界に目を向けますと、いま世界は大きな変化の中にあります。

 ブッシュ前政権がすすめた一国覇権主義――軍事でも経済でも、アメリカの政策を力ずくで世界に押し付けるやり方は、大きな破たんに直面し、終わりに向かいつつあります。

 国連に加盟する百九十二のすべての国々が、対等・平等の権利をもって国際政治の主人公となる新しい時代が到来しつつあります。

 これが二十一世紀の今日の世界の姿であります。

オバマ米大統領に核兵器廃絶の一点にしぼり書簡を送る

 こうした世界にあって、アメリカにも変化が起こっています。

 オバマ大統領が四月五日、プラハでおこなった演説は、世界に大きな問題を投げかけるものとなりました。大統領は演説のなかで、次のように述べました。

 「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、米国は行動する道義的責任がある。われわれは、この試みに単独で成功することはできないが、それを導き、始めることができる。それゆえ、きょう私は、核のない平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」

 私は、日米関係のあり方については米国政府と大きな立場の違いはありますが、オバマ大統領のこの言明は心から歓迎するものであります。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 私は、この演説はたいへん重要だと考え、四月二十八日、オバマ大統領に核兵器廃絶の一点にしぼって具体的行動を要請する書簡を送りました。米国大使館を訪問し、ズムワルト臨時代理大使に手渡しました。アメリカ大使館に行くのは初めてのことです(笑い)。書簡では、私の歓迎の気持ちを伝えるとともに、「同意するわけにはいかないこと」も率直に述べました。それは大統領が、「核兵器のない世界」を呼びかけながら、その実現は、「おそらく私の生きているうちには無理だろう」と述べていることであります。

 これに同意できないと言ったのには理由があるのです。核保有国が、核兵器廃絶を正面からの主題にして、国際交渉にとりくむということは、戦後六十四年たちますが、誰の手によっても、ただの一度もおこなわれたことがありません。交渉はおろか、交渉の呼びかけすらされたことがないのです。ですからこれにとりくむことは、前人未到の挑戦への最初の扉を開くことになります。交渉の呼びかけから開始、開始から合意、合意から実行までには、時間がかかるかもしれません。しかし、歴史上初めての仕事にどれだけの時間がかかるかは、とりくんでみないことにはわからないではありませんか。若い大統領が、とりくむ前から「生きているうちには無理」というのは気が早いのではないでしょうか。(拍手)

 その意思さえあれば、すぐにでもできることがあります。それは米国大統領として、核兵器廃絶を正面の主題にした国際交渉を呼びかけ、交渉を開始することです。これは意思さえあれば、すぐにでもできることではないでしょうか。(大きな拍手)

 ぜひ大統領のイニシアチブで、そうした国際交渉を始めてほしい。私は、書簡で、このことを強く要請いたしました。

米国政府から返書――大統領の熱意と真剣さをしめすもの

 書簡を送った後の情勢に進展が生まれています。

 五月五日、ニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会に、オバマ大統領が異例のメッセージを寄せ、「核兵器のない世界という平和と安全の追求」を訴え、「米国はNPTの約束を果たす」と言明しました。(拍手)

 そして、五月十六日には、米国政府から私の書簡に対する返書が届けられました(大きな拍手)。この返書は、オバマ大統領が、グリン・デイビス米国務次官補(代理)に指示し、次官補が大統領に代わって書いたものとなっています。ここで読み上げて紹介させていただきます。(拍手)

 「親愛な志位様

 あなたの四月二十八日付の書簡で、オバマ大統領のプラハ演説についての感想と、どうすれば私たちが最良の方法で核兵器のない世界を実現できるかについての考えを伝えていただきました。大統領は、その書簡に感謝する返書を、大統領に代わってしたためるよう、私に指示しました。

 この問題にたいするあなたの情熱をうれしく思うとともに、私たちは、この目標に向かって具体的な前進をつくりだすために、日本政府との協力を望んでいます。世界の国々が核不拡散条約の強化と、核兵器用の核分裂性物質生産禁止条約交渉の速やかな開始、包括的核実験禁止条約の発効を確約するならば、私たちは認識を変え、核兵器のない世界に向けて新たな機運をつくることができます。(拍手)

 思慮に富んだあなたの書簡に重ねてお礼を申し上げます」(拍手)

 こういう内容であります。(大きな拍手)

 これまでわが党から米国大統領にあてて書簡を送ったことは何度かありますが、先方から返書が返ってきたのは歴史上初めての出来事であります。(大きな拍手)

 私は、これは、アメリカ社会が大きく変化しつつあることを示していると思います。そして、この返書は、オバマ大統領の核兵器廃絶に対する真剣さと熱意を示すものであり、私は歓迎したいと思います。(拍手)

 さらに、この一連のやりとりを通じて、米国政府と日本共産党との間に公式の対話のルートが開かれたことは、たいへん重要であります(拍手)。これからは、たとえば米軍基地の問題なども、話し合うことができるようになるでしょう。(大きな拍手)

被爆国・日本で「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げよう

 私がこのやりとりを通じて実感していることがあります。それは私が書簡で提起したような内容は、本来は唯一の被爆国・日本政府の代表者である麻生首相が提起してしかるべき内容ではないかということであります。(「そうだ」の声、拍手)

 そう考えまして、実は今日の朝、麻生首相に党首会談を申し入れたところ、夕方に実現することになり、先ほど党首会談をやってまいりました(どよめきの声、大きな拍手)。私は、党首会談で、この間の米国政府とのやりとりについて首相に報告するとともに、首相にたいして次のような要請をおこないました。

 「唯一の被爆国の政府として、核兵器廃絶を正面の主題とした国際交渉を開始するためのイニシアチブを日本政府こそ果たしてほしい(「そうだ」の声、拍手)。それを果たす道義的責務と、そして権利が日本にはあるはずだ」(大きな拍手)

 私の提起に対して、首相からは定かな答えは返ってきませんでしたが、「オバマ演説は、すごい演説だった」(笑い)ということは繰り返し述べていました。

 みなさん。アメリカに前向きの変化を促した根本の力はなんでしょうか。それは平和を願う世界諸国民のたたかいの力だと、私は思います(「その通り」の声、大きな拍手)。そして核兵器問題という人類の死活がかかった大問題の帰すうを決めるのも世界諸国民のたたかいです。いまこそ唯一の被爆国・日本で、「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げに広げようではありませんか。(大きな歓声と拍手)

前向きの変化が目に入らず、変化していない部分ではいいなり政治

 麻生・自公政権は、この人類的課題にどういう態度をとっているでしょう。先ほど党首会談の話もしましたが、この政権にはアメリカの前向きの変化は、まともに目に入っていないようです。「すごい」ということはいいましたけれども。(笑い)

 オバマ演説を受けて、日本政府が繰り返し米国に求めているのは、「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止」の確認を迫ることです。米国大統領が「核兵器のない世界」への協力をよびかけているときに、米国の核戦力への依存を確認することを迫る。核兵器廃絶への逆流の先兵となり、足をひっぱっている。これは被爆国の政府として恥ずかしい限りではないでしょうか。(大きな拍手)

 一方、この政権は、アメリカが変化していない部分については、安心していいなり政治をつづけています。米軍基地を強化し、自衛隊海外派兵をすすめ、グアムにつくる米軍基地の強化にまで日本国民の税金を惜しげもなく注ごうとしています。

 オバマ政権は、いまのところ日米関係については変化がみられませんが、変化がみられない問題に限っては、日本政府は忠実そのものです。

 自民・民主の両党から、集団的自衛権――海外での武力行使容認の合唱が起こり、憲法改定原案をつくることをめざして憲法審査会を始動させようという動きがおこっていることも重大です。

 アメリカの前向きの変化は、まともに目に入らず対応ができない、悪いところにだけ追随する――こんな政治に未来がないことは明瞭(めいりょう)ではないでしょうか。(指笛、大きな拍手)

21世紀における日米関係――日米安保条約に代えて日米友好条約を

 二十一世紀における日米関係の未来をどうするか。わが党は、もとより反米主義者の党ではありません。本当のアメリカとの友情を望んでいる政党であります(拍手)。そしてみなさん、本当の友情とは支配・従属の関係ではつくれません。対等・平等でこそ可能になるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 アメリカいいなり政治の大本にある日米安保条約をなくし、それに代えて日米友好条約を結ぼう。これが日本共産党の立場であります。(大きな拍手)

 憲法九条を守り生かし、「核兵器のない世界」、「戦争のない世界」を願う平和の声は、党をつくって八十七年、命がけで反戦平和をつらぬいてきた日本共産党におよせください、よろしくお願いいたします。(指笛と大きな歓声、割れるような拍手)

「いまこそ日本共産党」――首都・東京が燃えに燃えて必ず勝利を

 今日は、「自公民か、日本共産党か」――これこそ総選挙と都議選をつうじての対決軸であることを、三つの角度からお話ししましたが、国民の利益に立っているのはどちらか、世界の大道に立っているのはどちらかは、すでに明瞭です。

 「自民か、民主か」といいますが、政治の中身の違いは、国政でも、都政でも、どこを探しても、見当たらないではありませんか(拍手)。「政権交代」といいますが、政治の中身を変えないままでは、誰が政権の担い手になろうが、希望ある日本の未来は開けてこない、このことを私ははっきりいいたいと思います。(指笛、大きな拍手)

 そしてみなさん、「政権交代」というのだったら、異常な財界中心、アメリカいいなりという「二つの政治悪」を正面からただし、「国民が主人公」の新しい日本を築く本物の政権交代、民主連合政府への政権交代こそ求められているということを、私は訴えたい(大きな拍手)。日本共産党の躍進でその第一歩を切り開こうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

 新しいポスターをつくりました。合言葉は「いまこそ日本共産党」です(大きな拍手)。首都・東京が燃えに燃えて、総選挙・都議選で必ず勝利を勝ちとり、誰もが安心し希望をもって暮らせる日本、平和な日本をつくろうではありませんか。(拍手)

 私も委員長として燃えに燃えております(拍手)。東京のみなさんと心を一つにし、全国のみなさんと心を一つにして、持てるあらゆる力を注いでこの政治戦を勝ち抜く決意を申し上げて、私の訴えとさせていただきます。(大きな拍手)

 みなさんともにがんばりましょう。(「よし」「がんばろう」の声、割れるような拍手)

(出所:日本共産党HP 2009年5月23日(土)「しんぶん赤旗」)
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東京・有明コロシアムで日本共産党の志位和夫委員長が総選挙・都議選勝利に向けた演説(その2)

2009-05-24 08:44:00 | 国内政治
福祉、医療、教育――都民の力で東京をふたたび全国の模範都市に

 自治体とは、「住民の福祉と暮らしを守る」ことが本業です。経済危機で多くの国民のみなさんが苦しんでいるとき、この役割はいよいよ大きなものがあります。石原知事と自公民「オール与党」による都政は、この本業にどういう態度をとっているでしょうか。

高齢者福祉の残酷な切り捨て――自公民「オール与党」の責任は重い

 まず福祉はどうなっているでしょう。石原知事は、「何がぜいたくかといえばまず福祉」と言い放ち、東京都独自の福祉の施策を片っ端から廃止していきました。そのもっとも残酷な切り捨ての対象とされたのが、高齢者の方々への福祉であります。

 老人医療費助成制度(マル福)が廃止されました。シルバーパスが全面有料化されました。特別養護老人ホームへの人件費補助が廃止されたうえ、用地費補助まで廃止されました。主なものだけでも十年間で十もの事業が廃止され、年間七百四十億円が削減されました。その結果、予算に占める老人福祉費の割合は、この十年間で東京都は全国二位だったものが四十七位まで、つまり最下位まで落ち込んでしまったのであります。

 この切り捨ての罪は石原知事一人にあるのではありません。そのすべてが自公民「オール与党」による「福祉切り捨て大合唱」のもとですすめられてきたことを、私たちは決して忘れるわけにはいきません。(大きな拍手)

 いま介護施設の不足が大問題になっています。特養ホームの待機者は四万人。所得の少ない人はどうなるか。貧困ビジネスの餌食にされています。群馬県の高齢者施設の火事で亡くなった十人のうち七人が都民でした。共産党都議団の調査で恐るべき実態が明らかになりました。世田谷区のある施設は、マンションの一室をベニヤで四つに区切り、一人分のスペースはベッドと残り一畳足らず、明かりは部屋全体四人で一つの電灯、廊下側の人には外の光も入らず、昼間でも本も読めない、狭い部屋にただじっとして過ごすだけという状態でありました。

 貧困にあえぐお年寄りを食い物にする貧困ビジネスは許せません。しかし、もっと許せないのは、特養ホームの増設こそ必要なときに用地費補助まで廃止して、地価の高い東京での特養ホーム増設の道を閉ざした自公民「オール与党」だということを私はいいたい(「そうだ」の声、拍手)。苦労して戦後の日本社会を支えてきたお年寄りを、こんな悲惨な境遇に追いやって、胸に痛みを感じない勢力に都政を担う資格なし、都民のきびしい審判をくだそうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

ふたたび東京から高齢者医療無料化の流れをおこそう

 この無慈悲な福祉切り捨てに正面から立ちはだかり、都民の声の代弁者となって、事実と道理の力で、石原都政を追い詰めてきたのは共産党都議団です。議事録を見ますと、火をはくような論戦の記録がつづられています。いまこそ日本共産党を伸ばして、最も無残に切られた東京の高齢者福祉をとりもどそうではありませんか。(「よし」の声、拍手)

 わけても六十五歳以上のお年寄りの医療費窓口負担を軽減し、七十五歳以上は無料にしようではありませんか(大きな拍手)。かつて革新都政時代に東京から始まった老人医療費無料化が全国の自治体に広がり、やがて国の制度となったことがありました。東京に福祉の心をとりもどし、ふたたび全国の模範になる福祉都市・東京をみんなの手で築こうではありませんか(拍手)。日本共産党へのお力添えを、よろしくお願いします。(「がんばれ」の声、大きな拍手)

子どもの命を危険にさらす小児病院つぶしは白紙撤回を

 医療はどうでしょうか。昨年十月、都内の八つの病院で救急の受け入れを断られた妊婦さんが亡くなるという痛ましい問題が起こりました。ところが石原都政は、「都立病院改革」と称して十六あった都立病院を半分に減らす計画を強行しようとしています。

 都民の怒りの焦点となっているのは、小児病院つぶしであります。三月議会で、自民・公明の賛成で、八王子、清瀬、梅ケ丘の都立三小児病院を廃止し、府中の病院に統合する条例が強行されました。未来を担う子どもたちを産み育てることを深刻な不安と危険にさらす、こんな政治は大本からたださなければなりません。

 共産党都議団が追及しますと、東京都と自公両党は、「医療人材不足だから病院存続は現実的でない」といいます。しかし私は問いたい。「人材不足」をつくったのは誰ですか。医療費と医師の抑制をすすめた自公政権と、都立病院への財政支出を減らし、都立病院のお医者さんの給与を全国の自治体病院のなかで最低にまで落ち込ませた石原・「オール与党」都政の責任ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。三つの小児病院は、「人材不足」のもとでもがんばっているではありませんか。医療スタッフの懸命な努力で子どもの命を守る仕事にとりくんでいるではありませんか。それを応援し、医療スタッフを増やすのが政治の責任ではないでしょうか。(「その通り」の声、大きな拍手)

 共産党都議団の追及で、病院つぶしを推進してきた自公民「オール与党」の一角が大動揺をはじめています。民主党は、三月議会での三小児病院つぶしの条例には一転反対に回りました。委員会の採決では、賛成七、反対六と、一票差にまで追い詰めました。しかし民主党の立場は、三小児病院つぶしそのものには賛成で、しばらく存続させるというものにすぎず、都民のみなさんが提出した存続を求める請願には反対、不採択の態度をとっています。

 ですからみなさん。子どもたちの命を守ろうとすれば、日本共産党を伸ばすしかありません(拍手)。共産党都議団は、都議選後の新しい都議会で小児病院存続条例を提出することを明らかにしています(拍手)。一票差まで追い込んだ。あと一歩まできました。共産党を伸ばして、小児病院つぶしを白紙撤回させ、安心して子どもを産み育てられる東京をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

三十人学級――教育予算を維持しただけで実現は可能

 教育はどうでしょうか。ここでも全国最低の大問題があります。少人数学級は、二〇〇六年度から全国四十六道府県ですでに実施され、これを唯一拒否しているのが東京都なのであります。ここでも全国最低という恥ずかしい状態になっているのであります。

 共産党都議団は、全道府県の調査を行いました。「少人数学級になってどうなりましたか」と尋ねましたらたくさんの回答がありました。生活面でも、学習面でも、良い効果が生まれていることがはっきりしました。その結果を突き付けて都議会で実現を迫りますと、都の教育長はこういったそうです。「教育にはお金がかかる」。しかしみなさん、教育にこそお金をかけなくてどうしますか(「そうだ」の声、拍手)。そんな社会では未来がなくなることは誰が考えても明らかではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)

 自公民「オール与党」は、三十人学級を求める請願や意見書にことごとく反対してきました。自民、公明などの議員が議会で言っていることは、少人数学級だと「サッカーができなくなる」(笑い)ということです。

 驚いたのは民主党です。少人数学級を求める共産党議員団の質問にたいして、「教育行政への介入」を求めたと非難し、「この党(共産党)の危険な体質を示した」(どよめきの声)との攻撃を加えてきたのであります。私は、この非難はそっくり民主党にお返ししたいと思います(歓声、拍手)。都立七生養護学校の性教育の内容に自民党議員とともに乱暴に介入し、東京地裁から「教育への不当な介入」として断罪されたのは誰か。民主党議員ではありませんか(拍手)。教育に対して政治が絶対にやってはならないのは、このような教育内容への権力的な介入であります。これは憲法違反だということを私はいいたい(「その通り」の声、拍手)。政治がやるべきことはそんなことではない。教育条件を良くすることです。この両者の区別もわからないような勢力に、私たちの大切な子どもたちの未来を託すわけには断じていかないということを訴えたいと思います。(歓声、大きな拍手)

 都の教育長は「教育にはお金がかかる」といいますが、都教育庁の二〇〇九年度予算が増えているかといえば、逆に百三十三億円も減らされています。そこで共産党都議団が、都内すべての小学校低学年を三十人学級にするのに必要な経費はたった九十一億円だ、予算を増やさなくても維持しただけで実現は十分可能でおつりがきますよと示しますと、教育長も知事も否定ができなくなりました。実現が強く求められる根拠ははっきりしている。お金の心配もありません。日本共産党を伸ばして、三十人学級をこの東京でも実現しようではありませんか。(大きな拍手)

福祉と暮らしを犠牲にして巨大道路に熱中――この「逆立ち」をただそう

 福祉、医療、教育など「暮らしを守る」という自治体の本業を投げ捨てて、石原都政と自公民「オール与党」が熱中しているものは何か。

新銀行東京――破たん処理でこれ以上の税金投入の道を断とう

 たとえば一千億円の税金を投入して設立された新銀行東京です。これは石原知事の文字通りの思いつきで始まった事業でした。それを、自公民「オール与党」は、「夢とロマンがある」などと天まで持ち上げました。「自治体が銀行業などに乗り出すべきではない」と最初から堂々と反対をつらぬいたのは日本共産党都議団だけでありました。(拍手)

 事態は私たちの警告どおりになりました。経営破たんが現実のものになりました。都民の税金で出資した一千億円の大半を失い、さらに自公の賛成で四百億円の追加出資がゴリ押しされました。それでも再建の展望がたたず、今年の三月議会では、乱脈融資の赤字穴埋めに税金投入ができる道を開く条例を、自公民「オール与党」で可決しました。こんなやり方で、都民のみなさんの大事な税金をドブに捨て続けるようなことを許すわけにいきません。日本共産党を伸ばしていただいて、破たんしたものは、ちゃんと破たん処理をさせて、これ以上の税金投入の道はきっぱり断とうではありませんか。(拍手)

オリンピックを看板にした巨大道路より、都民の暮らしに税金を使え

 さらに途方もない巨額の無駄づかいが進行中です。オリンピック招致を看板にした巨大道路づくりであります。

 ここに一つの文書があります。東京都が策定した『10年後の東京―東京が変わる』という文書です。東京都が二〇一六年オリンピックの国内立候補地に選定された二〇〇六年につくられた「長期的都市戦略」なるものであります。この「長期戦略」の最大の目玉はなにか。読んでいきますと、「三環状道路」――首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、圏央道、この三つの環状道路を何がなんでもつくると書いてあります。「三環状道路により東京が生まれ変わる」、バラ色の東京になると麗々しく述べられています。

 しかし都民のみなさんにもたらされるものは何か。三環状道路のなかでも、東京外かく環状道路の建設が、自公民こぞっての賛成で、急ピッチですすめられようとしています。これにかかる事業費は、地上・地下で何と一兆八千億円です。練馬区から世田谷区の十六キロを結ぶ道路ですが、この道路は並の道路じゃありません。地下四十メートルもの深さに、直径十六メートルものトンネルを上下線で二本掘り抜く。史上最大のトンネル計画といわれます。十六メートルといったら、五階建てのマンションがすっぽり入る。そして十六キロで一兆八千億円といいますと、一メートル一億円以上です。

 これはみなさん、都民が「つくってくれ」と頼んで始まった事業ではありませんね。みなさんの誰も「つくってくれ」といった覚えはないと思います(「そうだ」の声、拍手)。巨額の税金をつぎ込むだけではない。住民を立ち退かせ、地下水脈、農地、緑地を壊し、大気汚染をひどくする。笠井(亮衆院議員)さんが、先日の国会で具体的資料を示し、「この計画をつくったのも、これでもうけるのも大手ゼネコンだ、ゼネコンによるゼネコンのための事業ではないか」とただしました。私は、この無謀な計画はきっぱり中止すべきだということを強く訴えたいと思います。(「よし」の声、大きな拍手)

 三環状道路をはじめオリンピックを看板にしておこなわれようとしている巨大開発は、あわせて八兆円から十兆円におよびます。福祉をつぶし、病院をつぶし、教育を犠牲にして巨大道路づくり。この「逆立ち」政治はやめさせようではありませんか。(大きな拍手)

 一メートル一億円ならば、たった七百四十メートル分で削られた高齢者福祉を復活することができます。九十一メートル分で三十人学級を実現できます。これは楽しい計算ではありませんか(拍手)。腹も立ちますけれど(笑い)。オリンピックを看板にした巨大開発より、都民の暮らしに税金を使え――この声はどうかこぞって日本共産党にお寄せください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

日本共産党の提案には「四つの裏付け」がある

 日本共産党を伸ばせば、いまお話しした「逆立ち」都政をただし、都民の暮らし第一の都政への大きな道が開かれます。私は、それには「四つの裏付け」があるということを強調したいと思います。

財源の裏付け――予算の5%程度を動かせば要求は実現できる

 第一は、財源の裏付けです。東京都の財政規模は十三兆円とスウェーデンの国家予算なみのお金があります。都民のために使えるため込み金は一兆六千億円もあります。そのごく一部をあてれば都民要求の実現ができます。

 共産党都議団は、この十四年間、毎年予算組み替え動議を提出し、予算のわずか5%程度を動かすだけで、都民のみなさんの切実な要求を実現できることを明らかにしてきました。

 石原知事は、民主党が都知事選の直前にただ一度だけ予算案に反対したときに、こういいました。「反対するのだったら、対案として共産党のように組み替え動議を出すべきだ」。

 この発言は、いつも日本共産党攻撃をしてくる石原知事の発言だけに、「説得力」があるではありませんか。(笑い、拍手)

都政を動かした実績の裏付け――子どもの医療費無料化、認可保育所

 第二の裏付けは、都政を動かした実績の裏付けです。

 都の制度として、今年十月から、中学三年生までの医療費について、入院は無料、通院は一回二百円が実現しました。これは都民の運動と共同した共産党都議団の長年の努力の積み重ねの結果だということを私は強調したいのであります(拍手)。歴史をたどりますと、まず一九九四年に三歳未満の助成制度が実現しましたが、これは共産党都議団が、一九八七年から連続十二回質問し、四回にわたる条例提案をおこない、都民とともに勝ち取った成果でありました。さらに二〇〇一年に小学校就学前までの助成制度が実現しましたが、これは一九九七年の都議選で共産党が大躍進して、条例提案の表明をしますと、表明をしただけで他の党があわてて同調し、実現したものでありました。今回の中学三年生までの助成制度の拡大も、共産党都議団の繰り返しの条例提案がついに実ったものであります。こういう歴史の積み重ねがあるわけですが、共産党を伸ばしていただいて、完全無料の制度にしようではありませんか。(拍手)

 都政を動かしたという点では、保育園でも前進がありました。東京都では、営利企業が経営する認証保育所を増設の中心において、お庭もない、食べ物も粗末、保育料は高いなど、さまざまな問題が起こってきました。共産党都議団は、そうした問題点を具体的に指摘し、抜本的見直しを求める論戦をすすめてきた。そういうなかで、都の姿勢が変わってきました。とうとう東京都はこれまで軽視してきた認可保育所の定員を三年間で六千五百人増やす計画を決めました。これは大きな成果であります(拍手)。同時にまだ足りません。待機児はこれでは解消できません。待機児といいますが、子どもは待つわけにいかないのです。待ったらおとなになってしまいます(笑い)。共産党は六千五百人分の増設を前倒しで実現して、三年間で認可保育所を一万五千人分増やせと提言しております(拍手)。これも共産党を伸ばして実現しようではありませんか。(大きな拍手)

草の根の運動との共同――あらゆる提案実現の最大の裏付け

 第三の裏付けは、草の根の運動との共同という裏付けです。

 小児病院つぶしの問題で、石原・「オール与党」都政を追い込んだ力は、草の根でとりくまれた五十万もの署名と、寒い三月の都庁前にのべ六百人もの都民のみなさんが座りこんで抗議の声をあげたことにありました。

 築地市場の豊洲移転計画の着工を阻んでいる力も、仲卸業者、環境学会、消費者団体のみなさんなどと共同して、「食の安全を守ろう」と繰り返し反対デモにとりくんできたことにありました。

 つねに草の根の運動と力を合わせてというのが日本共産党のモットーでありますが、ここにこそ、共産党の提案を実現する最大の裏付けがあるということを私は訴えたいと思います。(大きな拍手)

政治姿勢の裏付け――都民の税金は一円たりとも無駄に使わせない

 第四の裏付けは、政治姿勢の裏付けです。

 この四年間を見ても、自民、公明、民主の都議会議員三十一人が、六回の豪華海外旅行をおこないました。まだやっているのか。懲りない人たちであります。フランスの海に浮かぶ修道院モン・サン・ミシェル。ブラジルのイグアスの滝。欠かせない観光スポットにはちゃんと行っています(笑い)。使った費用は一人平均百八十九万円。四年前の選挙でも問題になりましたが、あの時、平均いくらだったかと思って調べてみましたら、一人平均百四十八万円でした。豪華旅行のエスカレートはとどまるところを知りません。

 私は訴えたい。いったい都民のみなさんの税金を使って平気で豪華海外旅行をしているような勢力に、都民の苦しみに心を寄せ、福祉と暮らしを守ることができるでしょうか(「できない」の声)。自分自身の税金の無駄づかいすらただせない勢力が、どうして都政の巨額の無駄づかいをただすことができるでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。こういう勢力が口先でどんな立派なことをいっても、虚しいだけではないでしょうか(大きな拍手)。都民のみなさんの大事な税金は、一円たりとも無駄には使わない、使わせない。この政治姿勢をつらぬく日本共産党都議団を伸ばしてこそ、都政を都民の手にとりもどすことができます。(拍手)

 どんな問題でも都民の利益に立ってがんばりつづけ、どんな提案もそれを実行するたしかな裏付けをもっている、この素晴らしい日本共産党都議団を大きく躍進させてください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

(出所:日本共産党HP )
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東京・有明コロシアムで日本共産党の志位和夫委員長が総選挙・都議選勝利に向けた演説(その1)

2009-05-24 08:37:38 | 国内政治
自公民か、日本共産党か 総選挙と都議選の対決軸はここに
東京の大演説会 志位委員長の訴え

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 日本共産党の志位和夫委員長が二十日、東京・有明コロシアムでおこなった総選挙・都議選勝利に向けた演説は以下の通りです。

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 お集まりのみなさん、こんばんは(「こんばんは」の声、拍手)。ご紹介いただきました、日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 今日は、広い会場いっぱいの、こんなにたくさんの方がお集まりくださいまして、私も勇気百倍です(拍手)。大澤監督には熱い激励をいただきまして、心から感謝を申し上げます。(大きな拍手)

 総選挙と都議選が目前に迫ってまいりました。どちらの選挙も、ラストスパートのたたかいとなっています。みなさん、首都東京の革新と進歩の底力を発揮し、かならず勝利をつかみとろうではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

政党対決の構図はどうなっているか

 総選挙と都議選の政党対決の構図は、どうなっているでしょうか。

 この数年来、「自民か、民主か」のどちらかを選べというキャンペーンが続いてきました。しかし実態はどうでしょうか。

国政――自公と民主の間に政治の中身の違いなし

 国政を見ていただきたい。

 麻生・自公政権は、異常な財界中心、アメリカいいなりという「二つの政治悪」を特徴とする政治がすっかり行き詰まってしまい、やっていることといえば、党略を弄(ろう)して延命を図ることだけであります。その最たるものは、税金を使った選挙目当てのばらまきの繰り返しです。定額給付金のばらまきにつづき、今度は三歳から五歳の子どものいる家庭に限って、一回限りの“子ども版定額給付金”をばらまき、ともかくばらまけば人気が上がるだろうという党略を繰り返している。しかし、ばらまいているお金は税金ですよ。そして税金を使ったばらまきのツケは、消費税の大増税。こんな政治は願い下げではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 民主党は、小沢(一郎)代表が西松マネーに汚染され、代表辞任に追い込まれました。しかし、小沢さんは、「一点のやましいところもない」と開き直り、新代表になった鳩山(由紀夫)さんも、小沢さんを全面的に擁護し、筆頭代表代行という要職につけました。鳩山代表は、「政権交代で日本の大掃除を」と述べましたけれども、汚れたほうき(笑い)を使って掃除をしても、汚れが広がるだけであります(笑い、拍手)。「大掃除」というなら、まず民主党自身の「大掃除」をするのが先ではないかと思います。(拍手)

 そして、鳩山代表の口からは、「官僚支配の打破」という言葉は繰り返されますが、「財界支配の打破」はありませんし、「アメリカ支配の打破」もないじゃないですか。政治の中身では、自民党との違いが見えないではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。「自民か、民主か」のどちらかを選べといわれても、選びようがないよというのが、国民のみなさんの本当のところの気持ちではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

都政――自公民そろって石原都政を支える「オール与党」

 都政ではどうでしょうか。

 都政では、自民党と公明党だけでなく、国政では一応は野党の民主党も石原知事の与党、日本共産党以外は「オール与党」となっています。この四年間で石原知事が出した議案の総数は、一千百二十二件です。自民党と公明党はそのすべてに賛成です。民主党は、一千百十五件に賛成、反対は七件だけです。賛成率は99・4%。立派な与党であります(笑い)。三党そろって知事の提案には何でも賛成、国民いじめの政治の推進役になっているのが都政の実態なのであります。

 ところが選挙になって、いま民主党は、「自公過半数体制打破」を掲げ、ここに(予定候補者の)ビラを持ってまいりましたが、「石原知事と自民・公明与党から、いま都民の手に都政を取り戻すことが必要です」といっています。自分が与党であることを忘れてしまったのか(笑い)、それとも知らないのか(笑い)、あたかも野党であるかのような選挙をやっている。これは、都民を欺く卑怯(ひきょう)な態度ではないでしょうか(拍手)。与党なら与党らしく堂々と選挙をたたかうべきだと、私はいいたいと思います。(指笛、拍手)

 国政でも都政でも、間違った政治の流れに正面から対決して、国民の利益を守り抜いている政党は、日本共産党だけです。「自公民か、日本共産党か」――ここにこそ総選挙と都議選を通じての本当の対決軸があるということを、私は訴えたいと思うのであります。(指笛、大きな拍手)

国民の暮らしを守る「ルールある経済社会」をつくる

 今日は、三つの角度から、私たち日本共産党がめざすものは何かについて、お話ししたいと思います。

 その第一は、「日本経済をどのように改革するか」ということです。

 現下の世界経済危機は、日本経済のあり方を根本から問うものとなっています。経済危機のもとで、ヨーロッパでも失業が大問題になっていますが、首都のど真ん中に「派遣村」があらわれたのは日本だけであります。日本は、同じ資本主義国でも、国民の暮らしと権利を守るルールがない、あっても弱い、「ルールなき資本主義」の国といわれております。そのために、経済危機が起こっても、日本では特別に残酷な形であらわれているのであります。このゆがみを根本からただし、財界・大企業の横暴勝手を抑えて、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくろう――これが日本共産党の主張であります。(拍手)

雇用――大企業による雇用破壊を止め、人間らしい労働のルールを

 まず訴えたいのは、雇用破壊を止め、人間らしい労働のルールをつくることです。

 この間、経済危機のもとで、大企業は競い合って、「派遣切り」「雇い止め」をすすめ、雇用破壊の波は正社員にまで及んでいます。なぜ日本が、こんなにいとも簡単に首切りができる社会になってしまったのか。労働法制の規制緩和によって、正社員を減らし、派遣、請負、パートなど、非正規雇用労働者を四割近くにまで広げてしまった結果です。とりわけ一九九九年の労働者派遣法の改悪による原則自由化は、この流れを一気にすすめる転機となりました。この大改悪に反対したのは、日本共産党だけでありました(拍手)。ほかのすべての政党の責任が問われているということを、私はいわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

現代の奴隷労働ともいうべきこの非人間的実態は許せない

 私は、昨年から今年にかけて、衆院予算委員会で、三回連続で派遣労働の問題を取り上げました。派遣で働くたくさんの労働者のみなさんから、つぶさに実態を聞き、現代の奴隷労働というほかないあまりにも非人間的実態に、強い憤りを抑えることはできませんでした。

 懸命に働いても貧困から抜け出せない異常な低賃金。つねに首切りの不安におびえる究極の不安定さ。教育も訓練もなしの職場で多発する労働災害。数人で一室という寮に押し込められプライバシーも保障されない生活。そして何よりも人間として気遣われることもなく、モノ扱いされるつらさ。こういう働かせ方を労働者に強いて、景気のいいときは搾れるだけ搾り上げて大もうけをし、景気が悪くなったら「調整弁」のように平気で切り捨てる。こういう横暴勝手を、世界のトヨタ、キヤノン、パナソニックなどの巨大企業が競い合っておこなっていることは、絶対に許すわけにはいきません。(「その通り」の声、大きな拍手)

勇気をもって立ち上がった労働者に連帯してたたかいぬく

 同時に、私が何よりもうれしかったのは、全国で五千人を超える労働者が、二百数十の労働組合に結集し、雇用破壊に反対し、勇気を持って立ち上がっていることであります。

 先日、私たちは、職場でたたかう党支部と党員のみなさんの学習・交流講座を開きましたが、私は、参加者の発言を聞いて胸が熱くなりました。違法解雇とたたかうある労働者は、「無権利状態をこれから働く若者や子どもたちに残してはなりません。仲間のため、これからの若者のためと思ってたたかっています」と語りました。たたかいのなかで最近、日本共産党に入党したある労働者は、たたかう喜びをこう語りました。「世の中では貧困、貧困と騒がれています。たしかに僕は物質的には貧困です。でも、日本共産党に入党して、いまの気持ちは幸せです。心は貧困ではありません」(拍手)。うれしい言葉であります。

 私は、勇気を持って立ち上がった労働者のたたかいに、固く連帯して、最後までともにたたかい抜く決意を申し上げるものであります。(指笛、大きな拍手)

国会でも直接会談でも大企業の横暴を正面からただす

 日本共産党は、国会でも、大企業との直接会談でも、大企業の横暴勝手を正面からただしてきました。私自身も、日本経団連やトヨタなどと初めての会談をおこないました。トヨタとの会談は日本共産党の本部でおこないました。私は、その場で、「巨額の内部留保を積み増し、巨額の株主配当を続けながら、労働者の首切りとは、資本主義のあり方としても堕落ではありませんか」と、相手も否定できない事実と道理を突きつけて、雇用への社会的責任を果たすことを求めました。

 こういう仕事は、ほんらいは麻生首相がやるべき仕事ではないでしょうか(拍手)。私は、日本経団連やトヨタと話し合いながら、早く私たちも参画する民主的政権をつくって、首相官邸に大企業の代表を呼んで、政府として大企業に社会的責任を果たさせる指導ができるような世の中にしたいものだと決意したしだいであります。(歓声、大きな拍手)

日本共産党こそ労働者の味方の党 

 英国の政治学者のロナルド・ドーア氏が、東京新聞の論説でこう書きました。

 「いたるところで、フリーター組合をつくったり、不当解雇を法廷で争ったりする草の根の抵抗が起こっている。…その不満をくみ上げて地方の政党支部にその人たちを組み込もうとしているのは、今度天下を取るつもりでいる民主党でなくて、共産党だけである。なぜだろう」(拍手)。

 「なぜだろう」(笑い)といっていますが、それは日本共産党が大企業の横暴勝手とたたかう立場をもち、職場で不屈にたたかう仲間をもっているからであります。

 みなさん。日本共産党こそ労働者の味方の党です。日本共産党を伸ばして、労働者派遣法を抜本改正し、労働時間を抜本的に短縮し、最低賃金を大幅に引き上げるなど、人間が人間らしく働ける労働のルールを打ち立てようではありませんか。(歓声、大きな拍手)

社会保障――誰でも平等に必要な給付が受けられる社会を

 二つ目に訴えたいのは、社会保障を削減から拡充に転換させようということです。

 とくに、二〇〇二年以来、自公政権が毎年二千二百億円(初年度は三千億円)の社会保障予算を削減し続けてきたことが、あらゆる分野で「福祉破壊」を引き起こしています。私は先日、外国特派員協会で講演する機会がありましたが、世界と比べてみますと、日本にしかない異常な事態が、社会保障の分野でもいくつも引き起こされているということを痛感いたしました。

医療費の窓口負担――無料が当たり前、まず軽減をめざそう

 第一に、医療費の窓口負担が通院・入院とも三割などという国は、主要国には存在しません。ヨーロッパの多くの国では窓口負担は無料です。

 アメリカの医療の悲惨を描いた「シッコ」という映画がありますでしょう。あの映画の監督のマイケル・ムーア氏はアメリカ人ですが、「イギリスは医療費が無料だというがうそだろう。絶対に病院にいけば医療費を払うところがあるはずだ」と、イギリスに行って病院で会計窓口を探した。すると、「会計窓口」がありました。「やっぱりあるではないか」と思ったら、この窓口は、患者さんがお金を払う窓口ではなくて、病院に行くまでのタクシー代などの交通費を病院の側が払う窓口だった。

 みなさん。医療費の窓口負担というのは、ほんらいは無料が当たり前なのです。なぜなら、万一の病気のときのために、普段から高い保険料を払っているわけでしょう(拍手)。それなのに病気になったら三割負担が重くてお医者さんにかかれないというのでは、医療保険といえないではないですか(大きな拍手)。私たち日本共産党は、三割負担の方は二割に、二割負担の方は一割に、一割負担の方は無料へと、窓口負担の軽減を求めて、この選挙をたたかい抜きたいと思います。(指笛、大きな拍手)

世界に恥ずべき高齢者差別制度を廃止しよう

 第二は、後期高齢者医療制度の問題です。高齢者を年齢で区分し、別枠の医療制度に囲い込んで、重い負担と給付の削減という差別医療を強いる。こんな制度をつくっている国は世界に存在するでしょうか。

 私が、昨年一月の衆院本会議で当時の福田首相に質問したところ、首相は答弁でしぶしぶ「国民皆保険のもと、高齢者を特別な制度としている他国の例は把握しておりません」と答えました。日本共産党を伸ばして、世界で日本だけのこの恥ずかしい制度は撤廃させようではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

高すぎる国保料と保険証取り上げをただせ

 第三は、高すぎる国民健康保険料と保険証の取り上げの問題です。

 国保料が高すぎて払えない滞納世帯が全国で四百五十三万世帯、21%にのぼります。うち三十四万世帯からは保険証を取り上げて資格証明書に置き換えています。資格証明書というのは残酷な制度です。病院の窓口でいったん十割全額自己負担をしなければなりません。しかしみなさん、十割払えるお金があったら保険料を払っていますよね(「そうだ」の声)。それができないから苦しんでいるのではありませんか。(「その通り」の声、拍手)

 世界の主要国でこんなことをやっている国があるかどうかを調べてみました。少なくともヨーロッパでは一つも見当たりません。ドイツでは生活苦で医療保険に入れない人には国が保険料を拠出しています。カナダでは保険料の支払いの有無で加入者を排除することを法律で禁止し、患者に自己負担を求めた州には国が罰則を科しています。日本とはまったく反対です。生活苦にあえぐ人々から保険証を取り上げて恥じない政治は、断固として変えなければなりません。(大きな拍手)

障害者福祉にまで応益負担もちこむ異常をただそう

 第四は、「障害者自立支援」の名で障害者福祉にまで応益負担を持ち込んだことです。障害が重くなるほど負担が重くなる。こんな制度をやっている国が世界にあるでしょうか。この問題についても、政府は答弁でしぶしぶ「承知をしておりません」と答えざるを得ませんでした。

 ヨーロッパに行きますと、障害者ケアは応能負担、無料がほとんどです。日本の障害者団体が北欧の視察に行ったさいに負担について質問したそうです。ところが、北欧ではケアが完全無料のために、何を聞かれているかわからない(笑い)。「現地では質問の意味が理解されなかった」ということです。日本の制度は本当に異常なものです。この制度もみんなの力で撤廃させようではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

生活保護の水準を引き上げ、誰でも権利行使が当たり前の社会に

 第五は、最後のセーフティーネットである生活保護の問題です。生活保護を受ける資格のある生活水準の人が実際に保護を受けている割合(捕捉率)は、ヨーロッパ諸国が七割から九割に対して、日本ではわずか一割から二割です。この背景には、自治体の窓口で保護の申請書すら渡さず、追い返す「水際作戦」の横行があります。北九州市で餓死に追い込まれたことが大問題になりました。

 それではヨーロッパではどうかと調べてみますと、申請書は役所の窓口に置いてあって誰でもすぐ申請できます。イギリスでは申請書が郵便局の窓口に置いてあって、郵便局で書いて郵便ポストに入れるだけで申請が受理される。生活保護の水準を抜本的に引き上げ、廃止された老齢加算、母子加算を復活するとともに、誰でもこの権利を行使することが当たり前の社会をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

社会保障は「金次第」であってはならない

 みなさん。社会保障というのは、国による施しではありません。憲法二五条に保障された国民の権利であります(拍手)。毎年二千二百億円の社会保障費削減路線を中止し、削った予算を復活させようではありませんか(拍手)。よく「地獄の沙汰(さた)も金次第」といわれますが、社会保障は「金次第」であってはなりません。お金があるなしで給付に格差をつけることを絶対に許さない(拍手)、誰でも平等に必要な給付を受けられる、こういうルールをこの日本でも築こうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

税制――消費税増税許さず、大企業と大金持ちに相応の負担を

 三つ目に訴えたいのは税金のあり方の問題です。

「消費税増税は大企業減税のため」がことの真相

 今年は消費税が導入されて二十周年の「記念」の年であります。うれしくない「記念」であります(笑い)。この税金は導入されたときも5%へ値上げされたときも、「社会保障のため」だといわれました。しかし、「消費税のおかげで良くなった」といえる福祉が一つでもあるでしょうか(「ない!」の声)。「ない」という声がたくさん(笑い)でありますが、一つもありません。切り捨ての連続でした。この間に国民が払った消費税は二百十三兆円、大企業減税などのため法人税等の税収は百八十二兆円減りました。何のことはない。みなさんが払った消費税は、大企業減税の穴埋めに使われたというのがことの真相であります。(「ひどい」の声)

 麻生・自公政権は、二〇一一年度までに消費税増税法案を成立させる計画を明記した法律を強行しました。この計画も実は法人税減税とセットのものです。民主党も「将来の消費税の引き上げ」をいいますが、この党も法人税の減税をセットで要求しています。苦しい生活を強いられている庶民のみなさんから吸い上げて、大企業にお金を流す、こんなやり方は許されるものではありません。(「そうだ」の声、拍手)

 消費税は、所得の少ない方ほど重くのしかかる最悪の貧困促進税であります(拍手)。販売価格に転嫁する力を持っている大企業は一円も負担しなくてすむ最悪の不公平税制であります(拍手)。消費税増税は絶対に反対、せめて食料品は非課税に――この声は日本共産党にたくしてください。がんばります。(歓声、大きな拍手)

大企業と大金持ちに相応の負担をという主張は、世界の流れにも

 日本共産党は、社会保障を支える財源については、まず軍事費をはじめとする無駄づかいに抜本的にメスを入れます。そして大企業と大金持ちにもうけ相応の負担を求めます。大金持ちと申しましても、本当の大金持ちですから(笑い)、どうかご安心ください(爆笑)。そうすれば財源を立派にまかなえることを具体的に提案しています。

 ここでみなさんに見ていただきたいのは、いま世界はどうなっているかということです。経済危機のなかで、世界各国が税制の見直しをはじめています。イギリスをはじめEU諸国では付加価値税(消費税)の減税をすすめています。アメリカでも勤労者向け所得税減税の恒久化をすすめています。一方、アメリカでもイギリスでも、所得税などの最高税率を引き上げて大金持ちに税負担を求めています。さらに、アメリカでもドイツでも、多国籍企業などの税金逃れを許さず課税を強化する措置をとっています。このように大企業と大金持ちに相応の負担をという主張は、世界の流れにもなりつつあるということを、みなさんにご紹介したいと思うのであります。(拍手)

「財界・大企業にモノがいえる党」、企業・団体献金をきっぱり拒否する党でこそ

 みなさん。雇用、社会保障、税金の問題についてお話しいたしましたが、実はどの問題も根っこをたどると財界・大企業の横暴勝手にぶつかります。「働く貧困層」がここまで広がった根源をたどりますと、一九九五年に日経連の報告書で「使い捨て」自由の不安定雇用を増やせという号令をかけたことが始まりでした。二〇〇二年度以来の社会保障費切り捨て路線の号令をかけたのも「経済財政諮問会議」のメンバーであった経団連会長でした。消費税増税の一貫した旗振り役も経団連です。

 ですから、国民の暮らしを本気で守ろうとすれば、「財界・大企業に正面からモノがいえる党」でなければなりません(「そうだ」の声、大きな拍手)。そしてそのためには企業・団体献金をきっぱり禁止することが絶対の条件だということを、強調したいと思うのであります。(大きな拍手)

 民主党は、違法献金疑惑への批判にさらされて、「企業献金を三年後に禁止する」といいだしました。しかし、企業献金が悪いものだから禁止するというのであれば、これまであんなにもらい続けてきたことへの反省が必要ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。「三年後」などといわず、即時禁止すべきではないでしょうか(「その通り」の声、大きな拍手)。さらに法律で禁止しなくても自分で決めれば(笑い)、受け取りをやめることはできるんです(拍手)。共産党はそれをやっています(大きな拍手)。まず受け取りを直ちにやめることから始めたらどうでしょうか(拍手)。そのぐらいの覚悟がなければ、まじめな提案とは受け取れないということを、私ははっきりといっておきたいと思います。(「よし」の声、拍手)

 みなさん。「いまこそ日本共産党」です。党をつくって八十七年、企業・団体献金をびた一文受け取ってこなかった党、政党助成金の受け取りをきっぱり拒否し撤廃を求める党、この日本共産党を伸ばすことこそ、国民の暮らしを守る最もたしかな力となります。どうかよろしくお願いいたします。(指笛と歓声、大きな拍手)

(出所:日本共産党HP  2009年5月23日(土)「しんぶん赤旗」)
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パナソニックが退職強要リストで執拗な退職強要ー参院予算委で日本共産党の仁比聡平議員が追及ー

2009-05-23 02:25:16 | 国内労働
「余力」「必要」 社員選別
パナソニック 退職強要リスト
参院予算委 仁比議員が追及

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 日本共産党の仁比聡平議員は二十一日の参院予算委員会で、正社員リストラを進める電機大手パナソニックのグループ企業が、労働者一人一人をあからさまに選別するリストをつくり、執拗(しつよう)な退職強要をしている実態を告発しました。仁比氏は麻生太郎首相に、「自ら乗り出して雇用破壊をくいとめよ」と迫りました。

 仁比氏がとりあげたのは、パナソニック・ファクトリー・ソリューションズの佐賀県鳥栖市の工場(社員九百人)。パナソニックグループは、一万五千人の人員削減を計画し、同工場を閉鎖し、甲府市や大阪府門真市の工場に広域配転しようとしています。同社は表向き「雇用の確保を図る」と述べていますが、鳥栖工場では「選別リスト」(図)を作成。「五百人を切る」と公言し、労働者一人一人について「余力」「必要」などと記載し、「五月二十八日までに決めなければ退職金の上積みはない」などと退職強要の個別面接を行っていることを明らかにしました。

 仁比氏は「労働者の自由な意思決定を妨げる退職強要は違法だ。直ちにやめさせるべきだ」と要求。舛添要一厚生労働相は、「個別の案件については申し上げない」としつつも、労働法は「国権の最高機関の国会で決めた法律であり、守ってもらわないと、企業としての資格がない」と答弁しました。

 仁比氏は、「そのとおりだ」と述べ、退職強要について最高裁は、労働者の「自由な意思決定が妨げられる状況にあった場合には、違法な権利侵害」だとの判決(一九八〇年)を出していることを指摘。パナソニックの退職強要を「直ちにやめさせるべきだ」と重ねて要求しました。

 仁比氏は、雇用破壊を続ける大企業、財界の代表を予算委員会によんで集中審議を開催するよう改めて要求しました。

論戦ハイライト
“雇用破壊止め”は政治の責任
参院予算委 仁比議員迫る

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 「雇用破壊をくいとめるのは政治の責任だ」。日本共産党の仁比聡平議員は二十一日の参院予算委員会で、労働者をモノのように扱い、大量解雇をすすめる大企業のやり方を厳しく告発しました。

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東芝グループ
「業務偽装」 指導も無視
厚労相 企業は法律守らねばならぬ

 派遣元と派遣先が一体となって「業務偽装」をおこなっている―。

 仁比氏が取り上げたのは、東芝グループの派遣会社・東芝オフィスメイトに登録し、東芝デジタルメディアエンジニアリングに三年五カ月間、派遣されてきた労働者の実態です。

 労働者派遣法は、上限三年の派遣期間制限を設けています。一方、「専門業務」といわれる機械設計やセールスエンジニア(製品に関する技術的な専門知識を備えた販売員)の営業などには、期間制限がありません。

 オフィス社とデジタル社は求人案内で、「内勤、PHS基地局の工程管理」としていたにもかかわらず、実際には、法律が「専門業務」と認めていない基地局建設のためのあらゆる業務を、派遣労働者に強いてきました。

 仁比 これは、「専門業務」を偽った「業務偽装」だ。

 舛添要一厚生労働相 「専門業務」と関係のないことをやり、(労働時間の)一割を超えれば法令違反だ。

 舛添氏も一般論としながらも、二社のやり方を違法だと認めざるをえません。

 今年三月、この労働者は、「専門業務は偽装。ならば三年の上限を超える」として愛知労働局に直接雇用を求めて申告しました。

 同労働局は、二社にたいし違法派遣を指摘し、「雇用の安定を図るよう」指導・助言しました。

 ところが、二社はこれに従わず、「ほかの地域の労働局はそんなことはいわない」などと開き直りました。デジタル社は、この労働者の派遣契約を四月末で解除しました。

 仁比 このままでは派遣元からも五月に解雇されかねない。申告者を見殺しにしていいのか。

 舛添厚労相 指導に従わねば勧告し、企業名を公表する。派遣元には事業停止命令・事業許可の取り消しをおこなっている。

 「指導に従わないのは明白な違法だ。雇い入れ勧告を絵に描いたもちにするな。断固として大企業の社会的責任を果たさせよ」と厳しく迫る仁比氏。舛添氏も「企業は当然、法律を守らねばならない。仁比議員との議論で、その成果は相当上がっている」と答えました。

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パナソニック人員削減計画
配転か退職かの理不尽
首相 個別事案のコメント控える

 「労働者には家族も家も、そのローンもある。子どもの学校だってある。おじいちゃんやおばあちゃんの介護もあるんですよ」

 仁比氏は、パナソニックグループが一万五千人の人員削減計画の中で、労働者の生活を無視した遠距離配置転換を強いている理不尽さを告発しました。

 パナソニック・ファクトリー・ソリューションズは、佐賀県鳥栖市の工場閉鎖を発表。九百人の正社員に対し、八百人は甲府市へ、百人は大阪府門真市への配置転換を命令し、できなければ自主退職を迫るという二者択一を強要しています。

 閉鎖される鳥栖の工場の隣には、同じパナソニックグループのパナソニックコミュニケーションズの工場があります。同社は宇都宮市と新潟県小千谷市の工場を閉鎖し、そこから八百五十人を鳥栖の工場に配置転換させます(図)。「近くの関連工場で働かせるようにすらしない」(仁比氏)やり方に、委員会室から「それはおかしい」という声が上がりました。

 仁比 卑劣なやり方で労働者を追い詰める。おかしいと思わないのか。

 麻生太郎首相 個別の事案にコメントすることはさしひかえる。

 仁比 個別企業については言えないという姿勢がこういう事態をつくっている。その姿勢を改めて自ら乗り出して雇用破壊をくいとめるべきだ。

 仁比氏は労働者の「なんでこんな会社におったんやろ。悔しくて、寝ていても何度もうなり声が出て嫁さんに苦労かけとる。技術は負けんのに、まるで会社を私物化した経営者に家族までつぶされるのが悔しい」という声を首相に突きつけました。

 パナソニックの株主配当は年間六百二十一億円、雇用を守る体力は十分にあります。日本経団連の副会長も務める世界的大企業の同社が、営業利益はなお黒字でありながら、大量解雇を進めている実態が浮き彫りになりました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月22日(金)「しんぶん赤旗」)

パナソニックに正社員化を要求
安定して働き続けたい
福井地裁 元派遣の河本さん陳述

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 パナソニックのグループ会社「パナソニックエレクトロニックデバイスジャパン」(本社大阪府)で派遣で四年以上働いてきた河本猛さん(31)=福井県敦賀市=が同社に正社員同様の地位の確認を求めて訴えた裁判の第一回口頭弁論が二十日、福井市の福井地裁二号法廷(坪井宣幸裁判長)で開かれました。

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 原告側が意見陳述を行い、河本さんは「正社員以上に長時間の残業も休日出勤もしてきた」「私が求めているのは、パナソニックで安定して働き続けたいということだけ。それによってパナソニックに貢献したいのです」とのべました。

 弁論後、河本さんの支援者らが福井市内で報告会を開き、全国のたたかいと連帯したいっそうの奮闘を確認し合いました。大阪から応援に駆け付けた、パナソニックプラズマディスプレイ偽装請負事件訴訟の原告、吉岡力さん(35)があいさつしました。

 河本さんは派遣請負会社の日本ケイテムを通じ、敦賀市内のパナ社の工場で四年近く勤務した昨年十月、「派遣切り」にあい、福井労働局に申告。これがきっかけで、過去の「偽装請負」や、派遣期間制限違反が発覚し、パナ社には、河本さんらに直接雇用を申し込む義務が生じました。しかし、パナ社が、時給八百十円のアルバイトという劣悪な直接雇用案などしか示さないため提訴に至りました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月21日(木)「しんぶん赤旗」)
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