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日本共産党の塩川鉄也議員の質問ー地方財源/市町村合併/公立病院/保育所整備-

2010-02-22 01:04:42 | 国内政治
地財3法案についての
塩川議員の質問
衆院本会議

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 16日、衆院本会議で日本共産党の塩川鉄也議員が地方財政計画、ほか2法案について行った質問は以下の通りです。

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 私は日本共産党を代表して地方財政計画、ほか2法案について関係大臣に質問します。

 地方自治体の役割は住民の福祉、くらしを守ることにあります。その役割を発揮するためには、自公政権が進めてきた「構造改革」路線と決別し、憲法がうたう地方自治に基づいた住民の生活を守る政策に転換することが必要です。

●地方財源

 第一に、「三位一体」改革によって大きく後退した地方財源の充実、回復をはかることです。

 自公政権は「構造改革」路線のもと、社会保障費削減とともに、「三位一体」改革による地方交付税の大幅削減を強行しました。これが地方の疲弊と住民生活の悪化をもたらしたことは明白です。いま行うべきは、地方交付税の復元、増額であり、交付税率の引き上げに踏み出すことです。

 原口一博大臣も「三位一体改革が地方をぼろぼろにした」と述べ、地方交付税の法定率引き上げが必要だと主張していました。それなのに、なぜ法定率を引き上げなかったのですか。答弁を求めます。

 一方で、原口大臣は地方財源確保のためと言って「地方消費税の充実」を主張しています。現行の消費税率での国と地方の配分を変えるということですが、鳩山政権では消費税増税の議論を3月にも開始するとしています。結局は、地方財源確保を口実に消費税増税を国民に押しつけようというものではありませんか。答弁を求めます。

 政府は、小規模自治体の財源確保に配慮したと言っています。段階補正・人口急減補正の見直しは当然ですが、小規模自治体の財源は具体的にどう保障されるのか、試算をお示しいただきたい。事業費補正の廃止は、小規模自治体の財源確保に新たな障害を持ち込むことになりませんか。具体的な答弁を求めます。

●市町村合併

 第二は、市町村合併推進にきっぱりと終止符を打つことです。

 自公政権が進めた市町村合併は、合併特例債に加え、地方交付税削減や県による圧力という「アメとムチ」によって押しつけられたことは明らかです。特に自民党、公明党などが市町村を1000にするという目標を示したことが合併を加速させました。

 原口大臣は「市町村合併を上から押しつけることはしない」と言います。それならば聞きたい。民主党は、07年参議院選挙マニフェストで「全国を300程度の基礎自治体で構成する」と掲げました。昨年4月の民主党分権調査会は「現在の市町村を当面700~800程度に集約」「最終的には300程度の基礎的自治体」とうたっています。こうした目標は撤回すると明言しますか。答弁を求めます。

 第三に、国から地方への「行政改革」の押しつけをやめることです。

 自公政権は、行政改革推進法に基づき、地方公務員の定数純減や給与削減、公共サービスの廃止、民営化、民間委託等の実施を地方に押しつけてきました。こうしたことが住民サービスを後退させてきたという認識がありますか。

 地方破壊をすすめた行革推進法は廃止すべきです。鳩山政権は、そのまま継続・継承するつもりですか。よもや、今年度末で期限切れとなる「集中改革プラン」の後継計画をつくるということはありませんね。

 また、行政改革推進法とあいまって、地方に行革の圧力をかける役割を果たしてきた「財政健全化法」をそのまま継続するのですか。答弁を求めます。

●公立病院

 地方行革の影響をもっとも深刻に受けたのが地域医療の拠点である公立病院です。「経営改善」の名のもとに診療科の縮小、病床数の減などが行われ、地域医療の崩壊につながりました。そういう認識をお持ちですか。政府は、今後、公立病院をどのように位置づけ、再生させていくつもりですか。

 公立病院再編を迫るテコとなってきた「公立病院改革ガイドライン」は引き継ぐのですか。廃止すべきだと考えますが、答弁を求めます。この際、公立病院に対する交付税措置を抜本的に拡充し、医師不足を解消する緊急対策を行うことを強く求めます。

●保育所整備

 最後に保育所の問題です。立ち遅れた保育環境の整備は住民の切実な要求です。そのためには、保育所整備について国が責任をもって計画をつくり、その財源を保障することが不可欠です。

 ところが政府は待機児童の解消を口実に保育所設置の最低基準を事実上廃止しようとしています。これでは、いまでも劣悪な保育環境をいっそう悪化させることになります。国が定めた最低基準の廃止は、ナショナルミニマムに対する国の責任を放棄するものであり、撤回すべきです。

 また原口大臣は、子ども手当の地方負担軽減に関連して、民間保育園の補助金廃止、一般財源化を主張しています。しかしこの間実施された公立保育園の補助金廃止、一般財源化が公立保育所運営費の減額につながり、保育サービス充実に逆行したことは、日本保育協会の調査でも明らかです。保育所運営費の一般財源化を見直し、補助金増額をはかるべきではありませんか。答弁を求め、質問を終わります。

(出所:日本共産党HP  2010年2月17日(水)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党の佐々木議員の質問ー庶民増税/大企業減税/消費税/所得税/所得控除/子ども手当/家計消費-

2010-02-22 01:04:03 | 国内政治
所得税法等「改正」案等についての
佐々木議員の質問
衆院本会議

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 16日、衆院本会議で日本共産党の佐々木憲昭議員が行った所得税法等「改正」案等についての質問は以下の通りです。

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 私は日本共産党を代表して所得税法等「改正」案等について質問します。

 議題となった法案は、政権交代後、初めて出された本予算関連の国税法案であります。問われているのは、自民・公明政権の政策を抜本的に切り替えることができているのかどうかであります。

●庶民増税

 まず税制の基本的な認識をお聞きします。

 過去10年の税制改正を振り返ると、自民・公明政権は国民に対して増税を押し付け、他方で大企業・大資産家には減税をおこなう政策を採用してきました。これが、経済格差を広げる大きな要因になってきたことは明らかであります。

 たとえば、年金生活者への課税強化をおこないました。公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止は、所得税・住民税の大増税となっただけでなく、保険料や各種高齢者サービスにまで影響し、「雪だるま式」の負担増を高齢者世帯に押し付けました。

 また、自公政権は定率減税の廃止によって、賃金が減り続けている現役世代の可処分所得を大きく目減りさせ、生活不安を増加させました。

 さらに消費税の免税点を年間売り上げ3000万円から1000万円に引き下げ、中小企業特例を縮小したことによって、小さな商店にまで消費税の実質負担が拡大し、多くの零細企業が廃業・倒産に追いやられました。庶民にとっては大増税と負担増が押しつけられ、暮らしと営業が大きな打撃を受けたのであります。

●大企業減税

 その一方、大手企業はどうか。研究開発減税が繰り返されるなど、次々と法人税減税がおこなわれてきたのです。これが、大企業の税引き後利益を大幅に増やし、内部留保金や株式配当を空前の規模に増大させる要因となりました。

 さらに証券優遇税制により、所得制限もなく株式譲渡や配当所得への税率を一律10%に軽減したのです。その結果、一部の資産家は億単位で減税の恩恵を受け、所得税の実効税率は「累進性を喪失している状態」となってしまいました。

 自民・公明政権が推し進めてきたこのような税制「改正」は、格差を拡大し、貧困を広げる要因のひとつとなったのです。

 菅直人財務大臣は先日の本会議の答弁で、自公政権が進めてきた「構造改革」路線について、「幾つかの政策が、結果として格差拡大するだけではなくて、日本の経済の成長路線への回復に必ずしも寄与していなかった」との認識を示しました。この「構造改革」の流れを根本的に切り替える決意があるのかどうか、鳩山総理の基本的認識をうかがいたい。

●消費税

 次は消費税の問題です。

 菅財務大臣は、消費税を含む抜本的な税制改定の議論を3月にも始める意向を繰り返し示しました。しかし鳩山総理は、昨年8月、選挙中の党首討論会で「4年間は上げる必要はない」と述べていたのです。

 昨年9月の「3党連立政権合意書」(09年9月9日)では、消費税率について「現行の消費税率5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限おこない、税率引き上げはおこなわない」としています。

 そこで確認します。消費税は4年間上げないという方針に変わりはないか、明確にお答えいただきたい。

 4年間上げないのであれば、自公政権が昨年の税制「改正」法に書き込んだ「付則104条」をどうするかが問われます。ここでは2011年度までに消費税の増税法案を国会に提出し成立させることが書き込まれているからです。

 藤井裕久前財務大臣は、昨年秋の臨時国会で、私の質問に答え、この付則は「修正するのがスジ」と答えました。菅大臣はどのようにお考えでしょうか。この「付則104条」は撤回・削除すべきではありませんか。そのうえで応能負担原則、生計費非課税原則に沿って、税制の民主的改革をすすめるべきではありませんか。

●所得税

 政府の「平成22年度税制改正大綱」は、今後の税制抜本的改革の指標とされています。そこでうかがいたい。

 「税制改正大綱」では、所得税の現状について、所得再分配機能や財源調達機能が低下しているとの認識を示しています。所得税率は累進性を持っていますが、実効税率は一定所得以上の高額所得者になればむしろ下降する状態となっており、改正は喫緊の課題であるとしています。累進性を取り戻すには、高額所得者に応分の負担を求め、所得税の最高税率を引き上げること、金融所得などを総合課税とすることがもっとも即効性があり有効であると考えます。

 リーマン・ショックを契機にアメリカやイギリスなどでは、すでに所得税の最高税率や配当の税率の引き上げを実行しています。日本では、なぜ実行できないのか、その理由を述べていただきたい。

●所得控除

 「税制改正大綱」では所得控除の抜本的な見直しが提起されています。そもそも所得控除、とりわけ人的控除は、「納税者本人とその家族の最低限度の生活を維持するための費用には課税しない」という考えにもとづくものです。日本の「最低限度の生活費」について菅大臣はどのようにお考えでしょうか。

 これまで、日本の課税最低限の水準は国際的に低いといわれてきましたが、大臣の認識をうかがいます。

●子ども手当

 こんどの税制改正では、子ども手当実施や高校授業料無償化の財源に充てるため、扶養控除のうち15歳以下の子どもを対象とする年少扶養控除と16歳から18歳までの特定扶養親族に対する特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されます。

 この結果、18歳以下の子どもを持つ子育て世代は、11年1月から所得税、12年6月からは住民税が増税となります。民主党は、すべての世帯で手当等の支給との差し引きで負担が減ると説明していますが、今のままでは、授業料負担の少ない定時制・通信制の高校生や特別支援学校にかよう子どものいる世帯および、すでに授業料の減免を受けている世帯では、負担増となるケースも発生するのではありませんか。さらに、先送りとなった配偶者控除も廃止となれば、15歳以下の子どものいる世帯でも負担増となるケースも出てくるのではないですか。お答えいただきたい。

 また、所得税・住民税の増税は、国民健康保険の保険料や保育料など他の制度の負担増にはね返るため、実質的に負担が増える世帯も出てくるのではありませんか。この点をどう考えているのか、うかがいます。

●家計消費

 日本経済の正常な発展のためにも、いまこそ家計負担を軽減し家計消費を拡大することが求められています。過去約10年間の平年度ベースの負担増の累積は実に13兆円にもおよんでいるのであります。庶民増税など政府の政策により国民負担がこれだけ増えれば、可処分所得は大幅に縮小し、家計の消費が大きく冷え込むのは当然ではないでしょうか。

 このため日本経済は消費の落ち込みなどを主因とする内需の低迷と景気悪化をまねき、需給ギャップは30兆円以上に広がりました。すでに、アメリカやイギリスでは、ブッシュ減税の廃止、付加価値税の期限付き引き下げなどが行われ、不公平税制の是正や家計を直接支援する施策が実施されています。

 消費の落ち込みを打開するには、家計を温める施策への転換が必要であります。そのためには、過去の負担増を国民に戻す政策の抜本転換が必要です。総理は、その必要性をどのように認識しているか、答弁を求めて質問を終わります。

(出所:日本共産党HP 2010年2月17日(水)「しんぶん赤旗」)
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2010年度予算の組み替えを要求する日本共産党の提案

2010-02-22 00:57:37 | 国内政治
旧来の悪政の根本にメスを入れ、政治の転換にふみだす予算に
2010年度予算の組み替えを要求する日本共産党の提案
2010年2月17日 日本共産党国会議員団

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 日本共産党国会議員団が17日に発表した2010年度予算の組み替え要求は次の通りです。

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 国民の暮らしはいま、底なしの悪化を続けている。失業率は急上昇して5・1%に達し、企業倒産は3年連続で増加している。昨年の消費者物価はマイナス1・3%と過去最大の下落を記録し、デフレの様相を強めている。2010年度の政府見通しでは成長率はプラスだが、雇用者報酬はマイナス0・7%とされ、家計の所得が改善する見通しはたっていない。

 この経済危機から国民の暮らしをまもるためにも、政治の根本的な転換が求められている。日本経済は、「リーマン・ショック以前」の10年間に、GDPの伸び率がわずか0・4%、雇用者報酬はマイナス5・2%と、G7(先進7カ国)のなかで、もっとも成長力のない脆弱(ぜいじゃく)な経済になっていた。そこに世界的な経済危機が襲いかかったことで、景気、経済の打撃は極めて深刻になっている。自公政権が「構造改革」、「成長戦略」の名ですすめてきた「強い企業をもっと強くすれば、経済が成長し、暮らしもよくなる」という路線は、完全に破綻(はたん)しており、この抜本的な転換こそが、経済危機打開の道である。

 鳩山首相は施政方針演説で「いのちを守る予算に」といったが、そのためには、大企業の巨額の内部留保と利益を社会に還元させて雇用・中小企業をまもること、自公政権が続けてきた社会保障費削減路線による「傷跡」を是正するために社会保障の拡充をはかること、軍事費と大企業・大資産家減税という「二つの聖域」にメスを入れて財源を確保し、庶民増税の不安を解消すること――この「三つの転換」が必要である。こうした政治の転換こそ、昨年の総選挙で自公政治に審判をくだした国民の願いにほかならない。

 政府予算案には、生活保護の母子加算復活や公立高校授業料無償化など、国民の要求と運動を反映した部分的前進もみられる。しかし、全体としては、旧来の政治の転換にふみだすものとはなっていない。「政治を変えたい」という国民の願いにこたえるために、以下のような予算の組み替えを行うことを要求する。

<1>自公政権の社会保障費削減路線がつくった「傷跡」をすみやかに是正する
改悪された医療・介護・福祉制度を元に戻し、拡充への第一歩を踏みだす

 国民の暮らしをまもるには、自公政権の毎年2200億円の社会保障費削減路線によって傷つけられた医療・介護・福祉制度などのすみやかな再建が不可欠である。この点で、政府予算案には、大きな問題点がある。

 後期高齢者医療制度の廃止を先送りしたうえに、政権獲得後の自らの言明にも背き、保険料値上げなど制度の被害をさらに拡大しようとしている。障害者自立支援法の「応益負担」を中途半端に残し、かつて引き上げに反対した医療費の窓口負担も温存しようとしている。こうした先送りや中途半端な対応ではなく、社会保障費削減路線がつくりだした「傷跡」をすみやかに是正し、社会保障を削減から拡充へと転換すべきである。

 ――後期高齢者医療制度をすみやかに廃止し、老人保健制度に戻す。それに伴う国保の財政負担を国が補填(ほてん)する。

 ――高すぎる窓口負担が、低所得者を中心に深刻な受診抑制を引き起こし、国民の健康を脅かす事態が拡大している。他の先進国では当たり前の“窓口負担ゼロ”の医療制度をめざし、その第一歩として高齢者と子どもの医療費を無料化する国の制度を創設する。国保料(税)を1人1万円、国の責任で引き下げ、保険証取り上げを中止する。

 ――自公政権が削減しつづけた診療報酬を引き上げ、病院も開業医も、急性期も慢性期も、地域医療を支えるすべての医療機関が十分な医療を提供できるようにする。

 ――介護保険の国庫負担割合を引き上げ、保険料・利用料の減免制度をつくる。介護サービスの取り上げを中止する。介護現場で働く人の賃金を、国の責任で月4万円引き上げる。

 ――障害者自立支援法による「応益負担」を福祉・医療ともに全面撤廃する。福祉労働者の賃金を国の責任で引き上げる。

 ――最低保障年金の早期実現による低年金・無年金の解消をめざし、まず、年金が受給できる加入期間の条件を25年から10年に短縮して、無年金者を減らす。

 ――生活保護の老齢加算を復活する。申請の門前払いなど、生活保護法にも反する保護行政を転換する。

総合的な子育て支援策、教育条件拡充を実行する 

 仕事と子育ての両立支援、子育てと教育の経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の解決など、「子育てがしにくい」という日本社会のあり方をかえる総合的な取り組みを推進する。

 ――保育所の施設基準の緩和による“つめこみ”の拡大をやめ、国の責任で認可保育所を大幅増設し、待機児童の解消をはかる。保育への公的責任の放棄や保育料への「応益負担」導入など、保育制度の改悪を中止し、公的保育をまもる。

 ――子どもの貧困の解消にむけ、就学援助の国庫補助の復活と拡充、ひとり親家庭への支援の強化などをはかる。

 ――特定扶養控除の縮減と一体となった政府の高校無償化案では、一部で差し引き負担増となる世帯が生じかねない。その救済策を講じるための予算を確保するとともに、私立高校生への支援金を大幅に増やして、私立高校についても実質的な無償化に向けてふみだす。奨学金の無利子化、返済免除制度の拡大、給付制奨学金の創設を行う。

 ――「30人学級」の実現にふみだすため、教員定数の改善を行う。

 ――自公政権のもとで削減されてきた国立大学運営費交付金の復元、私立大学助成の拡充をはじめ、高等教育や科学研究予算を増額する。舞台芸術や映画などの重点支援事業や、地域スポーツ振興の予算を拡充する。

<2>経済危機からくらしを守るため、雇用と営業の安定、地域経済の活性化をはかる 
大企業の内部留保と利益を社会に還元させ、雇用と中小企業の経営の安定をはかる 

 大企業がいくらもうけても、企業内部に蓄積されたままで国民の暮らしに回らない――これが日本経済のまともな成長力を大きく損なっている。大企業に雇用と中小企業への社会的責任を果たさせるルールを確立することを通じて、大企業の内部留保と利益を社会に還元させることが必要である。

 ――“非正規社員から正社員への雇用転換”を雇用政策の中心にすえる。「派遣法」改正にあたっては、製造業派遣の全面禁止、「専門業務」の抜本的見直しなどを行う。また、3~5年の先送りを行わず速やかに実施する。

 ――全国一律の最低賃金制度を確立し、当面、時給1000円以上に引き上げる。中小・零細企業には、そのために必要な賃金助成を行う。

 ――失業の長期化の実態をふまえ、失業手当給付期間の延長と、保険未加入と給付期間終了後の失業者への生活援助制度創設をはかる。

 ――中小零細企業の資金繰りを支援するために、信用保証協会の「緊急保証」制度を全業種対象にするだけでなく、信用保証を急減させた「部分保証」制度を廃止し、全額保証に戻す。

 ――下請代金法の厳正な執行を行い、大企業による不当な単価の引き下げ、仕事の一方的打ち切りなど、無法を一掃する。下請代金法の執行にあたっては、下請け企業からの申告や書面調査にのみ頼る方式をあらため、受け身でなく主導的に検査する態勢へと転換するとともに、下請検査官の抜本的増員をはかる。下請振興法を実効あるものとするために、下請振興法と振興基準にてらして取引の実態、労働条件の実態がどうなっているかをつかむ実態調査を行い、それにもとづく総合的対策をはかる。「日本の宝」である町工場を守るため、工場の家賃や機械のリース代などへの緊急の直接支援を行う。

 ――新製品開発などへの支援、中小企業向け官公需の拡充などで、中小企業の仕事を増やす。環境・福祉など地域経済をささえる中小企業を支援する。商店街・まちづくりへの支援を強化する。

農林漁業、地域経済の活性化、環境対策などの予算を拡充する 

 米価は低落を続けており、農家の打撃は深刻である。政府の戸別補償制度は、コメしか対象にしない、全国一律で生産費をきちんとカバーしない、減反の押し付けを条件としている、FTA(自由貿易協定)推進と一体などの重大な問題がある。

 ――農家が安心して農業にはげめるよう、主要な農産物の価格保障・所得補償にふみだす。米価の下支えのために、政府案の戸別補償の対象外となっている現在農家が販売中の2009年産米を対象に、生産費をつぐなう価格で、備蓄用のコメとしてただちに買い入れる。

 ――米の値崩れの要因となっている、不要なミニマムアクセス米の「義務的」輸入は中止する。日本農業に打撃を与えるFTA、EPA(経済連携協定)の交渉は、ただちに中止する。「食料主権」を保障する貿易ルールを追求する立場から、WTO農業協定を抜本的に見直す。

 ――木材の野放図な輸入を抑え、国産材を優先的に使う公共事業や住宅建設を進め、国産材の需要を拡大する。森林を保全するための作業道の整備を充実させる。

 ――漁業者の経営をささえるため、大手スーパーなどの買いたたきをやめさせ、魚価安定制度を創設する。

 ――スーパー中枢港湾や高速道路など、「競争力向上」を看板にした大型事業を抜本的に見直し、国民の生命の安全に直結する危険個所の維持・補修をはじめ、生活密着型の小規模事業を重視する方向に予算配分を切り替え、地域経済の活性化をはかる。

 ――2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するとした国際公約を果たすためには、産業界との公的削減協定の締結が不可欠である。住宅用太陽光発電パネルの設置補助金の増額にとどまらず、その他の再生可能エネルギーの利用に関する補助金も大幅に拡大する。自然エネルギーの利用拡大にあたっては、周辺住民に被害を及ぼす新たな公害を引き起こさないようルールを確立する。

<3>「二つの聖域」にメスを入れ、財源を確保する

 新政権は、「無駄を削れば財源はつくれる」と言ってきたが、44兆円もの巨額の国債発行と、9兆円近くもの1年限りの「埋蔵金」に依存する、先の見えない予算となった。これは、自公政権が「聖域」としてきた二つの分野――軍事費と大企業・大資産家優遇税制を、温存しているからである。この「二つの聖域」にメスを入れれば、軍事費削減で1兆円、税制で2~3兆円、あわせて3~4兆円の財源を確保することはすぐにでも可能である。これを社会保障や教育、中小企業、農林漁業など、国民の暮らしと営業を支える予算の拡充にあてる。

「米軍再編」と自衛隊の海外派兵体制づくりのための予算を抜本的に見直す 

 軍事費は、前年度より162億円増額されている。「米軍再編」経費が481億円も増額されるなど、「米軍再編」と自衛隊の海外派兵体制づくりをすすめる予算案となっており、これらを抜本的に見直す。

 ――沖縄の新基地建設計画を撤回し、普天間基地の無条件撤去を求める。グアムの米軍基地増強、キャンプ座間や横田基地における日米司令部機能の一体化、岩国基地への空母艦載機部隊の移転など、3兆円にもおよぶ「米軍再編」計画は、中止、撤回する。

 ――日米地位協定にてらしても日本に負担義務のない米軍への「思いやり」予算と、沖縄の米軍基地の「たらい回し」をすすめる「SACO(沖縄特別行動委員会)関係費」を全額削除する。

 ――「海賊対策」の名によるソマリア沖・ジブチへの派兵をやめる。「ヘリ空母」など、海外派兵型装備の導入・開発をやめる。アメリカの先制攻撃戦略の一翼をになう「ミサイル防衛」の経費や、宇宙の軍事開発利用を拡大するための関係予算、新型戦車導入費などを削除する。

大企業・大資産家優遇減税を改める 

 ――研究開発減税をはじめ、もっぱら大企業に利用されている租税特別措置を大幅に整理・縮小する。これまでに大幅に引き下げられた法人税率を、大企業については段階的に引き上げて元に戻す。

 ――アメリカやイギリスでも実施されようとしている所得税の最高税率の引き上げを日本でも実施して、98年以前の税率に戻す。

 ――欧米に比べて異常に優遇されている大資産家の証券取引への課税を強化するため、当面ただちに、株式配当や譲渡所得への税率を10%に引き下げている証券優遇税制を廃止し、本則の20%に戻す。資産家優遇の贈与税の減税を中止する。

あらゆる分野の無駄にメスを入れる 
 ――320億円もの税金を政党が分け取りする政党助成金、使途不明の内閣官房機密費をはじめ、歳出のあらゆる分野の無駄にメスを入れる。企業・団体献金をただちに禁止する。官僚の天下りを全面禁止し、政官財の癒着を断ち切る。

 ――雇用保険特別会計の積立金(10年度末4兆円)を雇用対策に、使われずにたまっている原発の周辺整備基金(1000億円)を自然エネルギー推進に活用する。

消費税増税へのレールを敷く動きに反対する
 ――消費税は、所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制であり、増税にむけてレールを敷こうとするあらゆる動きに強く反対する。

 ――消費税増税法案を成立させることを規定した昨年の税制改正法の付則104条は、ただちに廃止する。

(出所:日本共産党HP  2010年2月18日(木)「しんぶん赤旗」)
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朝日ニュースター番組「別刊!朝日新聞」で日本共産党の志位和夫委員長が語る

2010-02-22 00:53:56 | 国内政治
党大会・「政治とカネ」・経済危機・普天間問題
朝日ニュースター 志位委員長が語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は19日放映のCS放送・朝日ニュースター番組「別刊! 朝日新聞」に出演し、キャスターの早野透氏(朝日新聞編集委員)のインタビューに答えました。テーマは、日本共産党第25回大会、「政治とカネ」の問題、経済危機打開の道筋、米軍普天間基地問題など多岐にわたり、濃密な1時間のやりとりとなりました。

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党大会に注目
「今の時期は一つの転換期ですね」(早野氏)

 「(4年前の党大会決議には)自民党政治のゆきづまりはもう“危機的だ”と書かれている。予言的でしたね」。早野氏は冒頭、手元に置いた『25回大会決定集』を読みながら日本共産党の情勢分析をこう評し、「党大会にはJA中央会の専務理事の方も(来賓あいさつに)きたそうで。『保守の基盤』といわれたところが共産党大会にきたのはどういうことなんでしょうか」とたずねました。

 志位氏は、昨年10月のJA全国大会に初めて招待され、あいさつでのべた党の農業政策に共感の声が寄せられたことや、全国各地で党と農協、森林組合、医師会などとの懇談がもたれるようになった変化を詳しく紹介。「自公政権の壁が崩れ、見晴らしがよくなって“全方位”で見ると、一番近いところに立っていたのが共産党だったという感じです」とのべると早野氏は、「いまの時期は一つの転換期ですね」と感想をのべました。

 さらに早野氏は、「党大会の一番の基本的ないまの政治への見方は『過渡的な情勢』ですが、それはどういう意味ですか」と問いかけました。

 志位氏は、自公政権退場で、政治の大きな前向きの変化がおこったが、他方、自民党政治に代わる新しい政治をどうするかは国民は探求の途上にある、新政権にもそのことは反映していて、部分的には前向きの変化があるが、外交はアメリカ従属、内政は財界中心という「二つの異常」から抜け出せていない、そういう状況を踏まえて「過渡的な情勢」と特徴づけたと説明。そして、「国民が新しい政治を本格的に探求する時代が始まりました。共産党は前向きな変化を大いに促進する立場で奮闘します。とくに対米従属と財界中心から抜け出す大きな仕事をやる。そして、『過渡的な情勢』というのは悪い方向にいく危険もはらんでいますから、そういう逆流は許さない仕事もしっかりやります」と表明しました。

「政治とカネ」
国会の到達点踏まえ真相究明を

 鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長をめぐる「政治とカネ」の問題で、早野氏は「かつての自民党の悪いところを引きずっている」と問題視しました。

 志位氏は、小沢氏の資金管理団体の土地取引をめぐる事件では、公共事業を受注したゼネコンからの闇献金疑惑や、東北地方の公共事業受注で小沢事務所が「天の声」として強力な影響力をもっていた疑惑があると指摘。「公共事業は国民の税金でやる仕事ですから、その一部が還流していたことになると、税金を食い物にした疑惑です。かりに刑事的な訴追の対象にならないにしても政治的・道義的責任が問われる。国会の責任で究明すべきです」と力説しました。

 これに対し早野氏は「不起訴だからといってこれで一件落着とは到底思えないし、ジャーナリズムもちゃんといろいろ調べていかなければ」。

 志位氏は、1976年のロッキード事件では、国会が政治的・道義的責任の有無も含めて国政調査権を発動して真相究明をはかることが確認されたことにふれ、「いまもそういう立場できちんと各党が合意し、真相究明へのレールを敷くべきです」とのべました。

経済危機打開
内部留保と利益を社会に還元せよ

 早野氏が次に注目したのが、経済危機から国民の暮らしを守る政治の責任を真正面からとりあげた志位氏の衆院予算委員会での質問(8日)です。

 「すごく面白い、なるほどなと思ったのは、日本だけGDP(国内総生産)が伸びない。それはなぜかを考えると雇用された人にわたるお金が減っているわけですね。ほかの先進国はそれなりに伸びている」。早野氏はこうのべて志位氏の質問のポイントを、▽大企業の内部留保を社会に還元する▽“非正規社員から正社員への雇用転換”をすすめるルールをつくる▽大企業と中小企業との公正な取引ルールをつくる――ことだったと解説。志位氏は、大企業の内部留保がこの10年間で142兆円から229兆円へ急膨張した背景を指摘しました。

 志位 二つ仕掛けがありましてね。一つは、雇用の分野で、リストラ、賃下げ、非正規雇用への置き換えをやって、労働者から搾り上げた。もう一つは、下請け中小企業をいじめにいじめて、単価を引き下げて、搾り上げた。この二つの搾り上げで過剰な内部留保をつくったわけです。

 私たちは、この過剰な内部留保を全部崩せというつもりはない。過剰な部分を取り崩して社会に還元する。とくに雇用と中小企業に還元する政策転換が必要です。還元させるためには、大企業にカネを出せといっても出てきませんから、社会的な規制のルールをつくっていく。たとえば労働者派遣法を抜本改正して派遣社員を正社員にしていく。下請け中小企業についていいますと、下請代金法と下請中小企業振興法という二つの法律があるんですが、両方ともまともに機能しているとはいえません。無法が横行しています。それぞれをしっかり実効あるものにしていく。そういうルールをつくって、大企業がため込んだお金を吐き出させる。そして吐き出させるだけでなく、大企業に過剰なお金がたまらないような経済システムにしていく。つまり、もうけはちゃんと社会に還元されるような経済のシステムにつくり変えていく。それをやろうではないかというのが私たちの提案なんです。

 早野 志位さんにそういうお話をうかがうと、「あっ、そうなんだよね」と思うんですけれども、これがなかなか転換していかない。共産党に頑張ってもらわないといけないんですけれども、もう少し頑張りようがありませんか。

 志位 一昨日(17日)、鳩山首相との会談をやったんですが、その場でこの問題を提起しましたら、鳩山首相も、「内部留保については、検討すべきだと思う。課税するという方法も考えられる」ということも言っていましたよ。巨額の富を一部の企業だけが独り占めをしてしまっているシステムは何とかしなければならないというのは、これは多くの人々が認めざるをえなくなってきたのではないですか。

中小企業問題
政治の力で下請法を実効あるものに

 中小企業問題でもやりとりになりました。

 志位氏は、下請代金法で禁じられている「買いたたき」で公正取引委員会がこの5年半で行った勧告処分がたった1件、「下請け切り」での勧告処分にいたっては0件という実態を指摘しました。

 志位 なんで取り締まれないのか。いまの仕組みは中小企業の告発(申告)、あるいは書面調査を待って(公正取引委員会が)動き出すという格好になるんですね。

 早野 とてもできないな。昔から系列とかいわれていたけれども、依然としてそういうことなんですね。

 志位 (仕事を)切られちゃうから親企業に不利なことは書けないんです。よほどの覚悟がないかぎりできないんですね。

 早野 であれば、政治の力でやらなくちゃいけない。

 志位氏は、そのためにも政治の力で下請2法(下請代金法、下請中小企業振興法)を実効あるものにする重要性をあらためて強調。さらに、町工場を倒産・廃業の危機から守っていくために、工場の家賃や機械リース代など固定費の直接補助に踏み切るべきだとのべ、この問題では17日の党首会談で鳩山首相が機械のリース代支援について「検討する」と表明したことを紹介しました。

普天間問題
無条件撤去で米国と交渉を

 普天間基地問題で迷走を続ける鳩山政権の姿勢について早野氏は「どういうふうに大きくとらえたらいいでしょうか」と質問しました。

 志位 政府がゆきづまっているのは、普天間基地の移設先を決めなければという「移設条件付き返還」にしがみついているからです。この枠の中から出ようとしないから答えが出てこない。つまり(「移設条件付き返還」論は)普天間を返す代わりにどこか他のところを差し出しましょうと(なってしまう)。ですからこの問題は「移設先」探しをいくらやったって絶対にゆきづまるしかないんです。

 早野 それはそうだなあ。

 志位 (沖縄)県内のどこにもっていったって、もっていく場所はないでしょう。じゃあ日本の本土のどっかにもっていけるかと。みんな反対ですよ。ここは腹をすえて無条件撤去というところに行くべきです。それで沖縄全体が団結する、本土も連帯する、その世論をバックにしてアメリカと堂々と交渉をやるべきです。

 早野 たしかに普天間基地が無条件になくなれば、それはそれで日本国民はいいかなと思ったりもするんですけど、端的な話、やっぱり海兵隊が日本にいなくちゃ危ないというところに逢着(ほうちゃく)するわけだけれども。

 志位 私たちが無条件撤去ということを要求すると、いまの政権側は、そうはいっても海兵隊は日本の平和を守る「抑止力」だというんです。

 早野 北朝鮮もなんだかぶっそうだし、中国だって軍事力を増強してるじゃないかと。

 志位 そこまではっきりいえなくても、漠然と抑止しているということをいうわけです。しかし、実際に沖縄の海兵隊が果たしている役割というのは、ベトナム侵略戦争。

 早野 イラクにもいってますな。

 志位 アフガン戦争、イラク戦争。すべて、日本を拠点にして殴りこんだわけでしょう。だから私は「侵略力」だといっているんですけど、それが実態じゃないですか。日本を守る任務を与えられた海兵隊なんか、一兵たりともいませんよ。

 早野 うーん。

 志位 それが実態なんだから、やはり海兵隊は、沖縄はもとより日本のどこにも必要ないという立場に立って交渉する。だいたい海兵隊に基地を提供している国は世界に日本しかないんですから。

 早野氏は「『日米同盟』という言葉を民主党も平気でいっているが、僕ら長い政治記者は、『日米同盟』なんていう言葉が出てきたときはみんなびっくりした。鈴木(善幸)内閣のころは外務大臣が辞めたりしたような出来事もあった」と振り返りました。

 志位氏は「(軍事同盟は)日本では普通の言葉になっているが、世界では普通の言葉じゃないんですよ」とのべ、世界の軍事同盟で実態的に機能しているものは、NATO(北大西洋条約機構)、日米、米韓、米豪の四つしかないこと、これらの軍事同盟のもとにある国は世界人口の16%にすぎないことを示し、外部に仮想敵をもたない地域の平和共同体が広がっている時代になっているとのべました。

 また日米両政府がいう「対等な日米関係」という見方についても、在日米軍の実態、日米地位協定による特権、日本国憲法へのあからさまな改定要求のどれ一つをとっても対等な国家間の関係ではないとのべました。

法制局長官の答弁禁止
歯止めない解釈改憲に

 早野氏は、民主党が「政治主導」の名で内閣法制局長官の国会答弁を禁止しようとしている問題について、「勘ぐれば内閣法制局長官が一定の憲法解釈で世界に出ていって戦争しちゃいけないという歯止めにもなっていたが、政治主導で(法制局長官が)答弁するなと。明日からは海外に行ってもいいんだみたいなことになりかねないという危ぐはもちろんある」とのべました。志位氏は次のように応じました。

 志位 これは非常に大きな問題ですね。とくに官僚答弁の禁止ということのなかで、小沢さんは内閣法制局長官の答弁を禁止するというところに非常に大きな執念を燃やしているところが重大です。これは本当に危険な道なんです。

 もともとは内閣法制局というのは、私たちからすればあまり芳しくないことをやってきたわけです。すなわち憲法違反の自衛隊を無理やり合憲だと理屈を立てる。イラクやアフガンへの派兵も合憲だと理屈を立てる。いろいろへ理屈を立てて、海外派兵を進めてきた歴史があるんですね。しかしその内閣法制局も、彼らなりの一つの整合性をもって答弁しなくてはなりませんから、いくらなんでも憲法9条に照らして、ここから先は無理だということをいってきたのです。

 内閣法制局によれば、9条があるためにできないことが三つある。一つは、海外に武力行使を目的にして派兵することはできない。二つ目は、集団的自衛権の行使はできない。三つ目に、国連軍にも参加できない。こういうことをいってきたのです。これがどうしても邪魔だということで口をふさいじゃおうって動きは、とても危険です。つまり歯止めのない解釈改憲になる。これは絶対に反対です。

 最後に「民主党政権を一言でいうと」との質問に志位氏は、「国民は『政治を変えてほしい』という期待を寄せたと思うんですけれど、現状はかなり多くの部分で期待を裏切っていると思いますね」と答えました。

(出所:日本共産党HP 2010年2月20日(土)「しんぶん赤旗」)
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民主党・鳩山首相の「定昇困難」「内部留保」発言ー連合内からも批判の声ー

2010-02-15 11:19:05 | 国内政治
鳩山首相「定昇困難」「内部留保」発言
連合内からも批判の声
“自公政権でも賃上げ要請したのに”

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 今たたかわれている春闘で注目される「定期昇給」をめぐる鳩山由紀夫首相の発言に対し、民主党最大の支援組織である連合内からも「労働者の気持ちを分かっていない」との声があがっています。

 「連合のお考えは理解できるが、現在の経済状況はそう簡単ではない。経営者の皆さんにとって、簡単に昇給できる状況ではないと思う」

 鳩山首相は1月26日夜、連合が定期昇給確保を求めていることについて記者の質問に、こう答えました。

 定期昇給(定昇)とは勤続年数などに応じて給料が上がること。「賃金カーブ」ともいわれ、労働者と家族の人生設計の基盤となっているものです。

経団連に「理解」

 ところが、日本経団連は1月に出した経営労働政策委員会報告で「総額人件費の抑制」を理由に、ベースアップ(賃上げ)どころか「定昇の凍結もありうる」と賃下げをねらう異常な姿勢を打ち出しました。首相発言はこの経団連の立場に理解を示したと受け取れるものでした。

 財界の姿勢に対し連合は、鳩山発言と同じ日の朝に行われた経団連とのトップ会談で古賀伸明会長が「定期昇給の確保・賃金カーブ維持は最低限の方針であり、ここに手を付けることは労使関係を揺るがすことになる」と強調したばかりでした。

 鳩山発言を聞いた連合加盟の産別組合の幹部は「耳を疑った。経団連とのトップ会談当日にする発言か。労働者の気持ちを分かっていない。KY(空気が読めない)にもほどがある」と憤りを抑えきれない様子です。

 連合は翌27日、「首相が定期昇給を軽視するかのような発言をされたとすれば残念」と官邸に伝えました。官邸からは「懸念は理解した。与党議員の質問で首相に発言の真意をただす」と返答。さっそく同日の参院予算委員会で辻泰弘議員の質問に首相が「すでに経営側が主張していることを単に紹介しただけ」「自分の立場からどうこう言う立場ではない」と弁明しました。

 しかし、2008、09年の春闘では当時の福田康夫、麻生太郎首相が経団連の御手洗冨士夫会長を官邸に呼び、内需拡大のために賃上げを直接要請する異例の対応を行いました。産別幹部の一人は「介入しないという立場では弱い。自公政権でも経団連に賃上げ要請をしていたのに」と不満を漏らします。

企業責任問わず

 定期昇給問題だけではありません。首相は、大企業の内部留保の還元を求める質問に「企業がそれぞれの状況に応じて経営判断を下すべきだ」(2日)と、自公政権の麻生首相と同じ言い回しで、大企業の社会的責任を問わない答弁に終始。「大企業のぼろもうけを労働者と下請け企業に還元せよ」という世論に背を向けています。

 前出の産別幹部はこう語ります。「経済の底割れに歯止めをかけるためにも雇用と賃金を守ることが不可欠であり、政府もその立場にたって行動すべきだ。政治とカネの問題でけじめをつけることも含めて、それができないのなら参院選で厳しい状況になりかねないことを考えるべきだ」と話しています。(深山直人)

(出所:日本共産党HP 2010年2月14日(日)「しんぶん赤旗」)

大企業、巨額の内部留保
従業員1人あたり→トヨタ4178万円、NTTドコモ1億8755万円
全労連などが5000社を調査

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 大企業約5000社(資本金10億円以上、金融関係をのぞく)は世界的な不況下で売り上げも利益も減らすなかでも、巨額の「内部留保」をため込んでいることが、全労連と労働運動総合研究所の調査で明らかになりました。労働者と中小企業が雇用と経営の苦境に立たされるなか、大企業だけがひとり肥え太る異常な姿を示しています。

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 財務省の法人企業統計(08年度決算)や有価証券報告書をもとに算出し、『2010年国民春闘白書』として発表したものです。

 白書は、賃金や下請け単価の抑制、非正規雇用の拡大などに加えて、国民所得減で設備投資も増えず、不要不急の資金がたまる結果になっていると分析しています。

 白書によると、トヨタは内部留保を5306億円減らしたものの、それでも従業員1人あたり4178万円にものぼります。在庫調整や人減らしで総資産が減少したため、逆に内部留保が占める割合は上昇しています。

 全労連・労働総研では「大企業に社会的責任を果たさせ、内部留保の社会的還元で、内需拡大・生活充実の経済へ転換する第一歩とすることが重要」と強調しています。

雇用確保・賃上げ 体力十分

 『2010年国民春闘白書』から、主要企業の内部留保を見ると―。

 日産自動車は国内外で2万人の人員削減をすすめていますが、1人あたり2372万円もため込んでいます。

 ソニーも内外で1万8000人(正規8000人)を削減しますが、127億円増やし1人あたり2071万円にのぼっています。

 「非正規切り」で批判をあびた自動車や電機各社は内部留保を減らしているものの、巨額のため込みに変わりはありません。

 11万人リストラをすすめるNTTグループでは、NTTドコモが1人当たり1億8755万円と断トツ。ゼネコンでは、建設不況でも内部留保を増やしている清水建設をはじめ各社が大きなため込みを維持しています。

 ワンマン運転化をすすめている東京地下鉄は、1人あたり3284万円と高水準です。

 持ち株会社では、りそなホールディングスが1人当たり1億3663万円など、金融持ち株各社は巨額のため込みを抱えています。

 今春闘で大企業は、定期昇給の凍結までいい出していますが、雇用を守り、賃上げもできる十分な体力があることを示しています。

 内部留保について財界・大企業は、「工場など資産に形を変えており取り崩せない」などと主張しています。

 これに対して白書では、内部留保は預金など手元資金として保有したり、株式・公社債など換金性が高い証券投資に振り向けており取り崩すことは可能だと指摘。「内需拡大・生活充実の経済へ転換するために、内部留保を社会に還元することは大企業の社会的責任」だと強調しています。


 『2010年国民春闘白書』は、内部留保のほか経済、賃金、労働時間、雇用、社会保障、政治など33項目にわたって活用できる豊富なデータや課題などをコンパクトに掲載。定価1000円。発行・学習の友社03(5842)5641。

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 内部留保 利益から税金、株主配当など社外流出分を引いた残りのもうけをため込んだもの。国民春闘白書では、利益剰余金、資本剰余金、引当金などを総計しています。

(出所:日本共産党HP 2010年1月13日(水)「しんぶん赤旗」)

けいざいそもそも
内部留保ってなに

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 巨額にのぼる大企業の「内部留保」の活用が、雇用や下請けの営業を守るための「体力」として期待されています。この「内部留保」とはどんなものなのでしょうか。(吉川方人)

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社内に残った利益

 財務省の「法人企業統計年報」の担当者は、「『法人企業統計年報』では内部留保を『当期純利益』から『配当金』を差し引いたものと定義しています」といいます。

 つまり、それぞれの期間に企業が稼いだ利益から株主への配当金を除いたものです。配当金は社外に流出しますが、それ以外の部分の利益は社内に残されます。これは、利益の面から見た内部留保の定義です。

 また、「法人企業統計年報」では、資金調達の面からみた内部留保の定義もしています。

 財務省の担当者は、「資金調達には、株式、社債などの発行で外部からお金を調達する外部調達と、社内からの資金調達があります。内部留保は社内調達資金に分類されています」といいます。

狭義と広義がある

 資金調達の面から見た場合、財務省の内部留保の定義は、利益剰余金、その他資本剰余金、引当金、特別法上の準備金、土地の再評価差額金、金融商品に係る時価評価差額金、自己株式の増減額、その他の負債(未払金等)の増減額の合計とされています。

 このうち、利益剰余金は、繰越利益などを積み上げたもので「狭義の内部留保」といわれます。その他、実際には支出していないのに隠し利益として企業内に蓄えられている引当金や準備金などを加えたものが「広義の内部留保」といわれます。企業の決算で貸借対照表上のこれらの項目を合計すれば、内部留保の積み上げ額が計算できます。

大企業ほど大きい

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

(出所:日本共産党HP 2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」)

主張
経労委報告
企業の一人勝ちは許されない

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 日本経済団体連合会(日本経団連)が、企業側の春闘対策方針である「経営労働政策委員会報告」を発表しました。ことしのテーマは「危機を克服し、新たな成長を切り拓(ひら)く」ですが、危機をどう克服するのか、「報告」からまともな内容は見ることができません。

社会的要請に背いて

 日本の経済危機を深刻にしている最大の原因は、賃金の低下や不安定雇用によって生活の土台が崩れ、消費が冷え切っていることにあります。危機の克服にはまず、賃金、雇用の改善を思い切ってすすめ、輸出依存から内需主導の経済に切り替える必要があるという議論が広くおこっています。ことしの春闘は、この方向に向かう契機にすべきです。

 「経労委報告」は、こうした社会的な要請に完全に背を向けています。主張の中心は「アジア新興国」をターゲットにした相変わらずの輸出頼みです。そのための国際競争に勝つには「総額人件費管理の徹底」が必要だとして、ベースアップも賞与・一時金も困難だ、厳しいといい、定期昇給の凍結にも踏み込むなど、ひたすら賃下げとの考えが露骨に表れています。

 今回の「報告」では「雇用の安定・創出に向けた取り組み」という一章を設けています。「派遣切り」など大企業の無法行為にたいする社会的批判を気にしたとみられますが、内容は国の雇用調整助成金制度を活用して雇用確保に努力し「雪崩」を緩和したという類(たぐい)の、言い訳ばかりです。雇用保険制度の適用拡大など政府頼みの主張を並べるだけです。

 非正規雇用の増大についても「報告」は、サービス産業の成長や労働者側の意識の変化などを主な原因にあげています。さすがにそれだけではまずいと思ったか、国際競争の激化で企業の存続をかけて「非正規」を活用せざるをえない側面があったと認めています。しかし「非正規」の多寡を論ずるのは建設的でないとして「雇用は正社員中心に」という要求に応えようという姿勢はありません。

 大企業にはありあまるほどの体力があります。企業の内部留保は、この10年間で200兆円から400兆円に異常に増えています。一方、雇用者報酬は1997年から2009年の間に27兆円も減っています。経済の安定した成長のために、大企業はいまこそ巨額の内部留保を、賃金、雇用の改善、社会保障の充実に活用すべきです。内部留保は「会計上の概念」で現金などは手元にはないから「取り崩せない」などとする「報告」の弁明は、社会的責任をわきまえない情けない姿勢です。

国民的なたたかいこそ

 政府も「平成21年版労働経済の分析(労働経済白書)」で、企業の利益が株主配当と内部留保の増加に用いられる傾向が強まり、賃金の支払いに向かう部分は大きくなかったと指摘しています。そして、企業が賃金抑制傾向を強め、賃金水準の低い非正規の労働者の活用で抑制したことが「すそ野の広い消費と国内需要を生み出すという点で、大きな障害となった」と分析しています。

 賃上げも雇用もかたくなに拒否する姿勢からは危機克服の展望は出てきません。内需主導の経済への転換めざし、大企業に社会的責任を果たさせる国民的な共同のたたかいが重要です。

(出所:日本共産党HP 2010年1月21日(木)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党の志位和夫委員長が8日に衆院予算委でおこなった質問

2010-02-10 07:47:50 | 国内政治
労働者 中小企業 「使い捨て」から転換を
大企業の内部留保を還元せよ
衆院予算委 志位委員長が質問
首相 「派遣『専門26業務』見直し検討」

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 「労働者と中小企業を『使い捨て』、国民の犠牲のうえに一握りの大企業が巨額の内部留保をため込む。この道を続けては、国民生活も日本経済も未来はない」――。日本共産党の志位和夫委員長は8日、衆院予算委員会で質問に立ち、政府に、旧来の経済政策からの転換を強く迫りました。他党議員からも、何度も「その通りだ」の声、拍手がおこりました。(詳報)

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 志位氏はまず、大企業がもうけても国民の暮らしに回らず、過剰な内部留保となって蓄積されるシステムが、日本経済の成長力を損なっていることを強調。このシステムを変える必要性を力説し、二つの改革を具体的に提起しました。

 第一は、“非正規社員から正社員への雇用転換”をすすめるルールをつくることです。

 志位氏は、労働者派遣法をめぐり、政府が目指している改正の二つの“抜け穴”を指摘し、政府の姿勢をただしました。

 一つは、「製造業派遣の原則禁止」といいながら、「常用雇用」(常用型派遣)が「禁止の例外」とされている問題です。

 志位氏は、キヤノンなど大企業での派遣労働者の実態を示しながら、厚労省の調査では、派遣先が派遣会社との派遣契約を解除すれば、「常用型派遣」でも76・7%もの労働者が解雇されていると強調。「常用型派遣」を例外とすれば、労働者はいまの低賃金・不安定雇用から抜け出すことができないと述べ、製造業派遣の全面禁止を迫りました。

 もう一つの“抜け穴”は、「登録型派遣の原則禁止」としながら、現行の「専門26業務」を例外としていることです。

 志位氏が「専門26業務」で働く100万人の半数近くがパソコンなどを扱う「事務用機器操作」であり、「専門」業務を抜本的に絞り込む必要があると求めると、首相も「パソコンは誰でも使える。果たしてそのままにしておいていいのか検討する必要がある」と「26業務」の見直し検討を表明しました。

 志位氏が提起した第二の改革は、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくることです。

 志位氏は、大企業と中小企業の労働者の賃金格差が拡大しているが、その原因の一つに、下請け単価の切り下げがあると指摘。零細業者の悲痛な訴えを紹介し、大企業の無法を告発したのに対し、首相は「厳格な下請代金法の執行や下請振興法の振興基準の周知が大事だ」と答弁しました。

 そこで志位氏は、下請法の執行状況を質問。公正取引委員会は、この5年半で「買いたたき」として勧告処分を受けたのは1件しかないことなどを明らかにしました。

 志位氏は、大企業に立ち入って、公正な取引が行われているのか、受け身ではなく主導的に検査する態勢に抜本的に改めるべきだと強く迫りました。また、下請振興法にもとづく実態調査と本腰を入れた振興策を求めました。

 最後に志位氏は、「町工場は『日本の宝』。この灯を消してはならない」とのべ、貸工場の家賃やリース代などの固定費に対する直接補助の実現を求めました。首相は「補助は難しい」と答弁しましたが、「町工場は日本の宝であり、その灯を消してはならない」とものべました。

大企業に責任果たさせよ
志位委員長の質問 衆院予算委

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 日本共産党の志位和夫委員長が8日に衆院予算委でおこなった質問。日本経済の危機の根本的原因を明らかにし、雇用、中小企業という経済の要の問題で改革の方向を明快に指し示しました。首相はじめ多くの閣僚もうなずきながら聞き入った55分間の質問は――。

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なぜ暮らしも経済も豊かにならないか
首相 「市場万能経済に身ゆだねすぎた」

 「大企業が空前の利益をあげながら、暮らしも経済も豊かにならないのはなぜか」――。

 日本共産党の志位和夫委員長は8日の衆院予算委員会で、大企業が利益を上げても、少しも国民の暮らしに回らず、過剰な「内部留保」(注)という「ため込み金」となって蓄積されるシステムを告発し、鳩山由紀夫首相の認識を正面からただしました。

所得落ち込み脆弱な経済に

 志位氏は、2008年秋にアメリカの証券会社リーマン・ブラザーズが破たんする前の10年間(1997~2007年)における、G7(先進7カ国)のGDP(国内総生産)の伸び率と雇用者報酬の伸び率の推移を示すグラフを示しました。

 日本のGDPの伸び率は、わずか0・4%で、雇用者報酬(働く人の所得)の伸び率も日本だけがマイナス5・2%。国民の所得は落ち込み、経済全体も「成長」どころか、日本は「G7」で最も成長力がない脆弱(ぜいじゃく)な経済となっていました。

 志位氏は、この10年間、自公政権が推し進めてきた「構造改革」「成長戦略」―「強い企業をもっと強くすれば、国民の暮らしが良くなり、経済も成長する」―という考え方への認識をただしました。

 志位 旧来の経済政策からの転換が求められているがどうか。

 鳩山首相 弱肉強食型の市場主義万能経済に身をゆだねすぎた政治に原因があった。一人ひとりの雇用された給料は下がってしまった。人間のための経済に大転換させていくことが必要だ。

 鳩山首相も転換の必要性を認めました。

経済のゆがみ英国紙も指摘

 志位氏はさらに、大企業が空前の利益を上げながら、なぜ国民の暮らしも経済も豊かにならないかについて質問を続けます。

 この10年間の大企業の経常利益と内部留保、雇用者報酬の推移を示すグラフ(1面参照)を使い、大企業の経常利益が15兆円から32兆円に増えた一方、労働者の雇用者報酬が279兆円から262兆円(09年は253兆円)へ大きく落ち込んだことを指摘。問題は、大企業が増やした利益がどこへいったかです。志位氏が、大企業の内部留保がこの10年余で142兆円から229兆円へと急膨張した事実を示すと、他党議員席からも「その通りだ」と声が上がりました。日本経済のカラクリがここにあったのです。

 そこで志位氏は、イギリスの新聞フィナンシャル・タイムズ(1月13日付)の「日本の困難な数十年から何を学べるか」と題する論評を紹介しました。

 論評は、「なぜ日本経済が世界規模のショックにこれほどまでに脆弱だったのか」と問いかけ、「企業が過剰な内部留保」を蓄積したことを、日本経済の「基本的な構造問題」の一つと指摘。「内需主導の成長のために最も重要な案件は企業貯蓄の大規模な削減であり、新政権は、企業の行動を変化させる政策を実行すべきだ」と書いています。

 志位 国民がつくった富を、大企業のみが独り占めにする。日本経済をまともにしようと思ったら、このシステムを改める必要があると思うがどうか。

 首相 グラフを拝見すると内部留保が大変に増えている実態はあると思う。それをどうするか、一つの判断はありうるのではないか。

 しかし、首相は、「政府としてどのように政策によって取り崩させればよいかという判断は難しい」とも付け加えました。

 志位氏は、「富を一握りの大企業のみに集中している事実は明々白々であり、大転換が必要だ」と重ねて主張しました。

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 内部留保 企業の利益から税金、株主配当など社外流出分を引いた残りの「もうけ」をため込んだもの。

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非正規から正社員へ―雇用政策の中心に
首相 「26業務はあまりにも幅広い。検討が必要」

 “非正規雇用から正社員への雇用転換”をすすめる上で焦点となるのが、労働者派遣法の抜本改正です。鳩山首相は施政方針演説で「派遣労働を抜本的に見直し、登録型派遣や製造業への派遣を原則禁止します」とのべています。

 志位委員長が「製造業の工場でいっさい派遣労働者を使うことができなくなるのか」とただしたのに対し、長妻昭厚労相は「1年を超える雇用の見込みのない派遣は禁止する」とのべ、「常用型派遣」は「禁止の例外」となると説明しました。

 それでは「常用型派遣」の実態はどうか。志位氏は、パナソニックが兵庫県姫路市につくる液晶パネル工場の実態を取り上げました。募集している従業員はすべて派遣労働者で正社員はゼロ。「契約期間は3カ月。更新あり。最長3年」となっており、志位氏は、短期契約でも「常用型派遣」となり、「禁止の例外」となると強調しました。

 パナソニックの滋賀県草津工場で長期間働く常用型派遣労働者の実態も劣悪です。

 時給は1050円で上がらず、社会保険は本人が希望しなければ入れません。出勤日は生産計画にあわせて決められるため、月20日働いても16万8000円、月12日なら10万800円。寮費や水光熱費を引かれると手元には2万から9万円しか残りません。

 「いったいどこが雇用の安定性が高いのか」と志位氏がただしたのに対し、長妻氏は「一歩一歩理想に近づいていく」としか答えられませんでした。

 さらに志位氏は、大分県にあるキヤノンの子会社で「期間の定めなし」の雇用契約を結んでいた派遣労働者約100人が、「生産調整」を理由に解雇されているとのべ、「安定性などまったくない。これが実態だと分かっているのか」と力をこめました。

「常用型」でも解雇率76・7%

 「常用型派遣」に「雇用の安定性」がないことは、志位氏がパネルで示した厚労省の調査でも明らかです。同省は昨年5月、派遣先が派遣元との契約を中途解除した場合、常用型でも76・7%もの派遣労働者が解雇されているとの調査結果を発表しました。仕事のあるときだけ雇用契約を結ぶ不安定な「登録型派遣」の解雇率75・8%と違いがありません。

 志位 製造業で「常用型派遣」を残したら、大企業は今まで通り派遣労働者を使い捨てにできる。労働者は、「ワーキングプア」からも、いつクビにされるか分からない不安定な状態からも抜け出せない。これでは「原則禁止」ではなく、「原則容認」ではないか。

 首相 労使がギリギリの交渉のなかで決めてきたことだ。常時雇用は例外としながら簡単に解雇されない状況を見守っていくことが大事だ。法案をあげて一歩二歩前進の状況をつくりあげていくのが大事ではないか。

 志位氏は、「労使の合意といっても財界のごり押しに屈したものだ」と批判。製造業派遣のうち常用型は63%であり、「これを例外としたら原則容認になる。製造業は例外なしの全面禁止に踏み切るべきだ」と強く求めました。

 派遣法改正をめぐるもう一つの問題は、「登録型派遣は原則禁止」としながら、「事務用機器操作」など26の「専門業務」が例外とされていることです。

 「専門26業務」は派遣労働者399万人のうち100万人を占め、多くは事務系の派遣労働者です。専門業務は3年を超えたら直接雇用にしなければならない派遣期間の制限がなく、いつまでも使い続けることができます。

 志位氏は、「パソコンなどだれでも普通に使っている。これが『専門業務』となれば事務系の仕事はほとんど『専門業務』となってしまう」と指摘。現に、NTT東日本―北海道で直接雇用していた契約社員を「専門業務」だといって派遣労働者に置き換えている無法な実態を突き付けました。

 志位 専門業務という名の下に契約社員を不安定な派遣労働者にする逆の流れが起こっている。「専門26業務」を抜本的に見直し、規制を強化すべきだ。

 首相 26業務はあまりにも幅広く、だれでもパソコンは使える状況になっている。そのままにしておいていいのかしっかり検討する必要があると思う。

 志位氏は、「製造業派遣の全面禁止、専門26業務の抜本的見直しなど労働者保護法として真に実効あるものとし、その実施は3年~5年の先送りでなく速やかに行うべきだ」と強調しました。

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中小企業との公正な取引ルールをつくれ
首相 「(下請け検査の)執行体制強化が必要」

 中小企業の状況について志位委員長は、まず大企業との賃金格差をあげ、製造業で見ると、小規模な企業(従業員5~29人)の賃金はこの10年で大企業の半分にまで下がっていること、その大きな原因の一つが下請け単価が際限なく切り下げられていることを指摘しました。

 そこで志位氏は、東京・大田区、愛知・豊田市、東大阪市、広島市で調査した現実を示しました。

 愛知県内のある自動車関連下請け零細企業は、4次ないし5次の下請けで自動車のエンジンやシートをすえつける金属部品を溶接加工しています。部品単価は、10年前は1センチ1円が相場でしたが今では70銭に。しかも原材料費は1センチ当たり35銭から40銭に上がった結果、加工賃は65銭から30銭へと半分以下。社長は「従業員と話し合って雇用保険も、年金も払っていない。法律違反だとわかっているが、払ったら従業員が食べていけなくなる」と悲鳴を上げています。

 志位 日本を代表する自動車産業の土台を支えている下請け中小企業の社長さんと従業員をここまで追い込むほど単価の引き下げが進んでいる。こうした下請単価の水準が、公正、適正と思うか。

 首相 下請単価の一方的な切り下げなどは防止する必要がある。そのために下請代金法の厳格な執行や、下請中小企業振興法の振興基準の周知が大事だ。

「買いたたき」処分1件だけ

 その上で中小企業の危機的な現実が放置されている原因に切り込んだ志位氏。公正取引委員会は、下請代金法で禁じられている「買いたたき」で勧告処分を行った件数が04年4月の法改正以来わずか1件、発注した仕事を打ち切るなど「下請け切り」での勧告処分にいたっては0件という実態を答弁しました。

 同時に、公正取引委員会は、親事業者と下請け事業者の双方に違法取引の有無を調べる書面調査の回収率はわずか8・2%だと答弁しました。下請け企業が違法の申し立てをおこなえば、「特定され、仕事がなくなってしまう」ため、よほどの覚悟がなければできないからです。

 志位氏は、書面調査だけに頼ったり、下請け事業者からの申告を待って公正取引委員会が調査・検査に入るというやり方では、「下請代金法を生かすことはできない」と強調しました。

 志位 (公正取引委員会を)受け身ではなく主導的に検査する、必要な抜き打ち検査もおこなうなどの態勢に抜本的に改め、そのために下請検査官を抜本的に増員するなど体制もしっかりとるべきだ。

 首相 法律がきちんと執行されていない部分もある。執行体制の強化が必要だ。

 志位 これまでのあり方を転換して、(下請けいじめを)断固としてなくすという立場に立つべきだ。

 さらに志位氏は、「下請振興法」を取り上げました。同法は「取引対価」(取引単価)について立派な基準を示しています。(パネル)

 中小企業庁の実態調査をもとに「改善の方向だ」と述べる直嶋正行経済産業相に対し、志位氏は「認識違いだ。労働条件の改善、労働者の賃金の改善などはつかんでいない。実態調査を徹底してやるべきだ」と求めました。

 志位氏は最後に、町工場を倒産・廃業の危機から守るため、工場の家賃や機械リース代など固定費の直接補助に踏み出すべきだと力説。「労働者が働く町工場や機械がなくなってしまっては、景気が回復しても働く場がなくなってしまう。『日本の宝』――町工場の灯を消してはならない」と迫りました。

 鳩山首相は、直接補助には「難しい」と背を向ける態度を示しつつ、「日本の宝、町工場の灯は消してはならない」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2010年2月9日(火)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党の市田忠義書記局長が、3日の参院本会議でおこなった代表質問

2010-02-06 01:21:25 | 国内政治
市田書記局長の代表質問 参院本会議

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 日本共産党の市田忠義書記局長が、3日の参院本会議でおこなった代表質問は次の通りです。

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 私は日本共産党を代表して鳩山総理に質問します。

小沢氏の疑惑――刑事訴追の有無にかかわらず政治が解明すべき問題

 まず、小沢民主党幹事長の政治資金疑惑についてであります。総理は施政方針演説ではこの問題に一切触れませんでしたが、この問題が政治に突きつけているものは一体なんだとお考えですか。

 問われているのは、国民の税金でおこなわれている公共事業を食い物にした疑惑にどう立ち向かうかであり、刑事訴追されるかどうかにかかわらず、政治がけっして見逃してはならない問題です。あなたは刑事訴追を受けないなら何をやっても良いという立場なのでしょうか。そうでないなら、検察の捜査を見守るという傍観者的姿勢ではなく、政治的道義的責任の有無を政治の場で解明するために、あなた自身が指導性を発揮すべきではありませんか。

「いのちを守りたい」――脅かされる現実に応えているか
 経済危機から、いかに国民の暮らしをまもるか。それが今政治に課せられた最も緊急の課題です。

後期医療をめぐる約束ほごは許されない

 総理は「いのちをまもりたい」と何度も繰り返されました。

 そこで伺います。総理自身がかつては「姥(うば)捨て山」と言われていた後期高齢者医療制度について、施政方針演説では一言も触れなかったのはなぜですか。

 あなたの言葉とは裏腹に、実際にはいのちは一層脅かされています。

 いま年金で暮らすお年寄りは、年金から、税金はいうに及ばず介護保険料、国民健康保険料、75歳以上の方は後期高齢者医療保険料を差し引かれ、しかもその額は年々重くなります。

 総理は「お年寄りが…安らぎの時間を過ごせる環境を整備する」といわれましたが、これが「安らぎの時間を過ごせる環境」ですか。後期高齢者医療制度の廃止の約束ばかりか、保険料の負担をふやさないという約束まで反故(ほご)にするのは絶対に許されません。答弁を求めます。

世界でも異常に大きい医療費の窓口負担

 医療はどうか。あいつぐ医療費の窓口負担の拡大で、日本は、いまでは、「現役世代3割、高齢者1~3割」という世界でも、最も窓口負担の大きい異常な医療制度になってしまいました。その結果、医者にかかれないという「いのちの不安」が広がっています。

 日本医師会は「窓口負担の軽減」と「子どもの医療費の無料化」を提唱しましたが、いまや、高すぎる窓口負担の軽減は圧倒的な国民の声であります。総理はその声にこたえるべきではありませんか。

製造業派遣を認めれば使い捨ては続く

 労働者のいのちを危機にさらしたのが一昨年暮れから荒れくるった派遣切りでした。派遣切りのなにが国民から厳しく批判されたのか。それは、日本を代表するトヨタやキヤノン、パナソニックといった大企業が、生きた人間を必要なときだけ、安い給料でこきつかって莫大(ばくだい)な利益をあげ、後はモノのように使い捨て、職場からも寮からも追い出して恥じないという、横暴勝手な振る舞いでした。政府は、製造業への派遣を原則禁止するといいながら、常用型についてはその限りではないといいます。

 しかし総理、常用型なら大企業の派遣切りは起きないのでしょうか。直接雇用している期間社員でさえクビ切りが横行したのです。製造業への派遣を認める限り、それが何型であっても、必要なときに使い、いらなくなったら投げ捨てる大企業の横暴勝手をとめることはできません。製造業派遣の全面禁止へ決断を求めます。

農林漁業の再生――輸入自由化路線からの決別を

 農林漁業と農山漁村の再生は、日本国民の存亡がかかった待ったなしの課題です。

 自公政権のもと、この10年間で農林水産予算は約1兆円削減され、国の予算に占める割合も毎年のように引き下げられ昨年は4・9%になりました。ところが鳩山内閣ではさらに4・6%に引き下げられました。これでは、戸別所得補償による農林水産業の再生など絵に描いたモチではありませんか。農業を国の基幹産業に位置づけ、農林水産予算もそれにふさわしく抜本的に増額して、当面、米価下落の現状を改善するため、政府が、生産費を基準とする買い入れをおこなうことを求めます。畜産物価格や野菜・果実などについても、再生産が可能となるよう、必要な価格安定対策を講ずるべきではありませんか。

 民主党は、先の総選挙で、日米FTA(自由貿易協定)交渉の促進を公約に掲げ、農業関係者から強い怒りをよびました。交渉の相手、アメリカも、オーストラリアも、農業を除外したFTAなどありえないと再三言明しています。日豪EPA(経済連携協定)交渉をきっぱりと中止し、日米FTA交渉は断念すべきです。総理の答弁を求めます。

 日本農業をここまで落ち込ませた最大の原因の一つ、歯止めのない輸入自由化路線を根本から改め、関税の維持・強化をはかること、貿易拡大一辺倒のWTO(世界貿易機関)農業協定を根本から見直し、各国の食料主権を尊重する貿易ルールの確立を求めるものであります。

普天間問題――無法な土地強奪が原点、無条件撤去こそ

 つぎに普天間問題と日米関係についてです。

 普天間問題の原点はなにか。普天間基地がつくられた場所には、民家も役所も郵便局も墓地もありました。普天間だけではなく沖縄の米軍基地はその多くが、戦時国際法にも反して、銃剣とブルドーザーで米軍に無法に強奪された土地であります。それを、別のものをよこさなかったら返さないというこんな無理無体なことはないではありませんか。下地島だ、いや伊江島だ、徳之島だなどといって、別の土地を差し出して返してもらおうという態度はあまりにも無責任、卑屈な態度とは思いませんか。

 政府は答弁につまると「抑止力のためには仕方がない」といいます。しかしアメリカ自身、沖縄にいる海兵隊について、「迅速に、どこへでも、どのような任務にも対応する能力を備えた遠征介入部隊」とのべ、日本防衛のためとは一言もいってはいません。あなたは「侵略力ではない」と昨日の衆院本会議でいわれましたが、年がら年中イラクやアフガニスタンに派遣されている「侵略力」そのものではありませんか。移設条件付きでなく普天間基地の無条件撤去をアメリカに強く迫る決断をするべきであります。総理の答弁を求めます。

日米関係――異常な実態をただちに是正すべきだ

 今年は安保条約が改定されて50年目の年であります。総理は「日米同盟の深化」などといいますが、日米関係は一体どうなっているのでしょうか。

 まず在日米軍の実態です。アメリカ本国では許されないことが日本では起きています。なんといっても人口密集地、宜野湾市のど真ん中に沖縄の普天間基地はいすわっている。基地の周囲には学校や保育所、病院など公共施設がいっぱい。全国各地で低空飛行訓練も傍若無人にやられている。こんなことは米本国でも、野鳥に悪い影響を与えるとしてやられてはいません。日本国民はアメリカの野鳥以下なのか。こんなことが日本で許される道理はないと思いますがいかがですか。

 日米地位協定はどうか。同じ敗戦国のドイツでは、日本と違って必要な時には米軍基地への立ち入りもできます。警察権の行使もできます。演習や訓練では事前の政府の承認も必要になります。なぜ日本ではそれができないのか。こんなことを今後も許すのですか。

 そして日本国憲法への介入です。9条改定についての要求が、米政府高官からしばしば公然と出されています。憲法は日本の最高法規であって、それを変える権限を持っているのは日本国民だけではありませんか。今後こういうことは決して許さないという決意を明確に示していただきたい。

 安保条約のあるなしにかかわらず、少なくとも今述べた異常な関係はただちに是正されるべきだと考えますがいかがですか。

 日本共産党は、こうした異常な日米関係をつくりだしてきた安保条約を廃棄し、対等・平等の日米関係を築くために日米平和友好条約の締結を求めて質問を終わります。

主張
衆参代表質問
これでは「いのち」が守れない

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 各党の代表質問が一巡しました。日本共産党からは衆院で志位和夫委員長、参院で市田忠義書記局長が質問に立ちました。

 鳩山由紀夫首相は施政方針演説で、「いのちを守る」政治への転換を強調しました。

 雇用と賃金がかつてなく落ち込み、多くの中小零細企業の倒産・廃業が続いています。深刻な経済危機から国民の暮らしを守るために、抽象的な言葉ではなく現実の政治でどう応えるのか―。首相の答弁が注目されました。

前首相とそっくり同じ

 日本の景気悪化が欧米と比べても深刻なのは、長期にわたって大企業が国民の所得を吸い上げてきた結果、国内需要が弱り切っているためです。鳩山内閣は「新成長戦略」をアピールしていますが、問われているのは「成長」しても暮らしが少しも良くならないという経済のあり方そのものです。

 大企業が過去最高益を更新していた時期にも、1人当たり賃金は低下し続けました。この10年で雇用者報酬が27兆円も減る一方、企業の内部留保は200兆円から400兆円に倍増しました。増加の半分は大企業のため込み金です。

 政府も「新成長戦略」の中で、「構造改革」によって「選ばれた企業のみに富が集中」し、国民には「実感のない成長と需要の低迷が続いた」と分析しています。

 大企業の巨額の内部留保は、労働法制の規制緩和による正社員の非正規雇用への置き換え、下請け単価たたきなど中小企業へのしわよせで積み上げられたものです。

 政治に求められているのは「選ばれた企業のみ」に富を集中させている原因にメスを入れ、その富を社会に還元させることです。

 2日の衆院本会議で志位委員長は、大企業の内部留保と利益を雇用と中小企業に還元させる政策への転換が必要だとただしました。これに対して鳩山首相は次のように答えています。

 「内部留保の活用は本来、企業がそれぞれの状況に応じて経営判断を下すべきものだ」

 「その上で、労働者の雇用と生活をしっかり守るように最大限努力することは重要だ」

 「その上で」という接続詞も含めて、前政権の麻生太郎首相の1年前の本会議答弁とそっくり同じです。

 麻生内閣でも、例えば河村建夫官房長官は、雇用の維持に内部留保を活用するよう「積極的に経営者団体などを通じて要請を強くしていきたい」と答弁しています。鳩山首相が、せめてその程度の姿勢も示せないのでは、「働く人々のいのちを守る」という首相の言葉には、実体がまったく伴っていないと言わざるを得ません。

明確な転換こそ

 志位委員長が町工場の固定費への補助を求めたのに対しても、首相は「限られた予算の効率的な活用という観点からも望ましくない」と冷たく背を向けました。

 市田書記局長が日本農業を破壊する対豪、対米の自由貿易協定を断念するよう迫ったのに対して、首相は「国際交渉は前向きに推進する」と拒否しました。

 経済危機から国民の暮らしを守る焦点の問題で、自公政権からの転換が見られないのでは、何のための政権交代かと言われます。

 「政治を変えたい」という国民の願いに応え、旧来政治から明確に転換することが求められます。

(出所:日本共産党HP  2010年2月4日(木)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の力でNTTの転籍強要をやめさせろ/派遣法改正は労働者保護を徹底し大企業に厳しい規制を

2010-02-01 01:27:40 | 国内政治
NTTの転籍強要 是正は政府の責任
大門議員追及 首相ら「違法は正す」
労働者救う派遣法に

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 「政府のおひざ元・NTTでの無法を正せるかどうかが、鳩山政権が非正規雇用の改善に本気かどうかの試金石になる」―。日本共産党の大門みきし議員は27日の参院予算委員会で、NTT東日本―北海道で行われている契約社員から登録型派遣社員への転籍強要問題を怒りを込めて告発し、「現場の労働者を救える派遣法改正を」と求めました。

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 政府は派遣法改正で登録型派遣を「原則禁止」にする方針ですが、その政府が最大株主で、事業計画も認可するNTTで、逆行する事態が進行しています。

 NTT東日本―北海道が1日付で、契約社員700人のうち680人を同じグループの派遣会社に転籍(10人は退職、10人は転籍拒否)させた無法の実態を突きつけた大門氏。「転籍に同意しないと雇い止めにする」など、詐欺や脅迫まがいの手口を使っていることも明らかにし、「こういう違法行為を放置するのか」と迫りました。

 原口一博総務相は、「違法行為があれば、適切に是正をされるべきだ」と答弁しました。

 さらに大門氏が鳩山由紀夫首相に対して「NTT東日本には2兆円もの内部留保がある。契約社員の犠牲で利益を積み上げ、今度は使い捨ての登録型派遣にする、こんなことが許されるのか」とただすと、首相は「違法行為があれば、当然適切に対処しなければならない」と述べました。

 大門氏の重ねての追及に原口総務相は、「政府はNTTの3分の1の株を持っている。法律と正義に基づいて適切に措置したい」と答弁しました。

 大門氏は、同社のやり方が、登録型派遣の「原則禁止」の先送りや「グループ内派遣」の容認など「政府の派遣法改正案の抜け道を見越したものだ」と指摘。「広く現場の意見を聞き、抜け道のない改正案にすべきだ」と力説しました。

 鳩山首相は、まずは現方針で法改正を行った後、「さらによりよいものにするための努力がなされればいい」と答弁。大門氏は「また何年も大変な思いをする労働者が増える。わが党は抜け道のない改正を求めて全力をつくす」と表明しました。

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 登録型派遣 仕事のあるときだけ、派遣会社と雇用契約を結ぶもの。

NTT ウソと脅しで転籍強要
派遣法 抜け道ない改正を
参院予算委 大門議員の質問

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 27日の参院予算委員会で質問にたった日本共産党の大門みきし議員。目の前で進行する大企業の無法を告発し、政府の派遣法改正の問題点を浮き彫りにしました。

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拒否した労働者を雇い止め
労働局の指導も無視

 大門氏は自公政権下で進められた派遣法の規制緩和によって、派遣労働者、登録型派遣労働者、専門業務労働者の数がいずれも急増してきたことをパネルで紹介。政府が派遣法改正で行おうとしている、登録型派遣の原則禁止の趣旨をただしました。

 長妻昭厚生労働相は「一部の経済界の要望を丸のみした(派遣法の)緩和が今日の格差社会を生んだ」と述べ、その是正を目的としたものだとの認識を示しました。

 そこで大門氏が取り上げたのが、NTT東日本―北海道の転籍強要問題です。

 大門 契約社員という不安定な立場から、さらに不安定な登録型派遣に移しかえる。許していいのか。

 原口一博総務相 NTT東日本から説明を受け、問題がある場合にはNTT東日本において適切な対応がなされることを期待する。

 大門氏は、契約社員がこれまで、正社員の半分以下の給料で正社員と同じ仕事に就いてきたうえ、1年ごとの更新を5~8年も繰り返してきたと指摘。本来正社員にすべきケースであり、判例や厚労省の指導上も簡単に雇い止めできないことになっているのではないかとただしました。

 長妻厚労相は、「一定期間の契約にもかかわらず延長を繰り返し、ある日突然、今回は延長しないということには、一定の要件がなければいけない。あまりに雇用の安定を阻害する場合は問題がある」と認めました。

 大門氏は「まさにこの例がそれだ」と強調。「登録型派遣にすればNTTの雇用責任がなくなる。さらに専門業務にすれば派遣期間の制限なく、永遠に派遣として使える。NTTが自分たちの雇用責任を逃れるために移したというのが目的だ」と批判しました。

 しかも、転籍に「同意」させるため、派遣会社に移れば「正社員になる展望がある(実際に正社員になれるのは0・5%)」などと、うそやおどしまで使っていることを告発しました。

 大門 民法や過去の最高裁判例に照らしても、このような「同意」は無効、違法であり、転籍そのものを撤回させるべきだ。

 原口総務相 労働者が健全な環境のなかで労働契約を結べることを保障するのが私たちの務めだ。

 一般論に終始する原口総務相に対し、大門氏は「こういう労働者も救えないでなにが政権交代か」と批判。原口総務相は「違法行為があれば適切に是正されるべきだ」と述べざるを得ませんでした。

 さらに大門氏が問題にしたのは、NTT東日本―北海道が、転籍を拒否している労働者10人に対して、厚労省や北海道労働局が「慎重に対応すべき事例」と指導しているにもかかわらず3月末で雇い止めする姿勢を改めていないことです。

 「NTTは厚労省の指導に従おうとしていない。政府として指導しないのか」と迫る大門氏に対し、原口総務相は「政府はNTTの3分の1の株を持っている。法律と正義に基づいて適切に措置してまいりたい」と述べました。

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先送りせず 現場を救え
 同社の実態から見えてくる派遣法改正の問題点はどうか。

 大門氏は、NTTの行為は「政府の派遣法改正の抜け道を見越したものだ」と強調。いま政府が検討している改正の方向には、▽登録型派遣の「原則禁止」が最大5年先送りになる▽「専ら派遣」「グループ内派遣」の規制もゆるい―という問題があると指摘しました。

 長妻厚労相は、NTTが行っている「グループ内派遣」について「今度の改正案で一定の部分については禁止していきたい」と答弁。しかし、政府側がめざす改正は「派遣会社は8割超の人員を同じグループ内の企業に派遣してはならない」という派遣会社に対する規制であり、受け入れ先の企業にとっては何も変わりません。

 大門氏はいま、まがりなりにも禁止されている「専ら派遣」「グループ内派遣」を事実上容認する結果にならないかとただしました。

 長妻厚労相は「いままではそういうものに基本的に何も規制がなかった」との認識を示し、「今度の法案では数々の規制を入れた。派遣先には、いま派遣期間の制限があるが、この原則は変えない」などと答弁しました。

 大門氏は、「自公政権の規制緩和一辺倒よりましだといいたいのはわかるが、だからこそ現場を救う法改正にしなければならない」と力説。首相にこうただしました。

 大門 このままいくと今度の法改正は抜け道がいっぱいだと評価される。現場の意見をもっと聞いて、もっといい改正にすべきだ。

 首相 さまざまな意見があることは理解している。さらに改善部分も出てくる可能性もある。ただ公労使でまとめた答申があるので、まずはそれをスタート台として改正を認めていただき、その後またよりよいものにする努力がなされればいい。

 大門氏は、「このままだと、また何年も大変な思いをする労働者が増える」と「抜け道のない改正を」と重ねて求めました。

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 NTTの転籍強要問題 NTT東日本―北海道は昨年10月、契約社員700人に対し、年明けからグループ内の人材派遣会社に登録型派遣として転籍するよう通告。680人から「同意」を取り付け、転籍を拒否した契約社員に対しては、年度末で契約を打ち切るとしています。

 「専ら派遣」 派遣会社が労働者を特定の1社または複数社に限定して派遣すること。特定の企業に「専ら派遣」が利用されると、たんなる人件費の削減に使われ、正社員の雇用を阻害する恐れがあります。グループ内で行われる専ら派遣が「グループ内派遣」。

(出所:日本共産党HP 2010年1月28日(木)「しんぶん赤旗」)
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