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大企業の内部留保を雇用のため使えないのかー大企業の言い分を検証するー

2010-06-29 17:18:04 | 国内経済
けいざいそもそも
内部留保ってなに

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 巨額にのぼる大企業の「内部留保」の活用が、雇用や下請けの営業を守るための「体力」として期待されています。この「内部留保」とはどんなものなのでしょうか。(吉川方人)

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社内に残った利益

 財務省の「法人企業統計年報」の担当者は、「『法人企業統計年報』では内部留保を『当期純利益』から『配当金』を差し引いたものと定義しています」といいます。

 つまり、それぞれの期間に企業が稼いだ利益から株主への配当金を除いたものです。配当金は社外に流出しますが、それ以外の部分の利益は社内に残されます。これは、利益の面から見た内部留保の定義です。

 また、「法人企業統計年報」では、資金調達の面からみた内部留保の定義もしています。

 財務省の担当者は、「資金調達には、株式、社債などの発行で外部からお金を調達する外部調達と、社内からの資金調達があります。内部留保は社内調達資金に分類されています」といいます。

狭義と広義がある

 資金調達の面から見た場合、財務省の内部留保の定義は、利益剰余金、その他資本剰余金、引当金、特別法上の準備金、土地の再評価差額金、金融商品に係る時価評価差額金、自己株式の増減額、その他の負債(未払金等)の増減額の合計とされています。

 このうち、利益剰余金は、繰越利益などを積み上げたもので「狭義の内部留保」といわれます。その他、実際には支出していないのに隠し利益として企業内に蓄えられている引当金や準備金などを加えたものが「広義の内部留保」といわれます。企業の決算で貸借対照表上のこれらの項目を合計すれば、内部留保の積み上げ額が計算できます。

大企業ほど大きい

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

(出所:日本共産党HP 2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」)

内部留保 雇用のため使えないのか
大企業の言い分を検証する

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 「減益」や「赤字予想」を理由に、輸出大企業を中心とした「非正規労働者切り」が横行しています。「これまで空前の利益をあげてきた大企業のもうけはどこにいったのか」「ため込んだお金の一部を使えば雇用は守れるはず」という声が、世論となっています。しかし、財界・大企業は、内部留保を取り崩すことは難しいという姿勢です。一部の商業メディアも財界・大企業の言い分に同調しています。内部留保は、本当に取り崩せないものなのでしょうか。(吉川方人)

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経営が大変になる?

 Q 内部留保を取り崩すと経営が大変になる?

 A 雇用を維持するためには、内部留保のほんの一部分を取り崩すだけで十分です。経営に影響するような額ではありません。

 今、人間を使い捨てにする「非正規労働者切り」や解雇・リストラをくり返している輸出大企業はこれまで、非正規労働者を安く使うことで、バブル期を超えるばく大な利益をあげてきました。

 このもうけは、巨大な内部留保としてため込まれています。

 その額は、製造業の大企業(資本金十億円以上)だけで、一九九七年度末の八十七・九兆円から二〇〇七年度末までの十年間に三十二・一兆円も増え、積み上がった額は百二十兆円に達しています。

 派遣業の業界団体は、三月末までに職を失う非正規労働者を約四十万人と推計しています。非正規労働者の平均年収を三百万円とすると、四十万人分で一兆二千億円です。

 製造業大企業の内部留保のわずか1%にすぎません。

 これだけで経営が大変になるとは考えられません。それなのに大企業経営者は、内部留保を使うことをかたくなに拒み、無情に非正規労働者の解雇を続けているのです。

設備投資に回ってる?

 Q 設備投資に回っている?

 A 内部留保は設備投資などに使って機械などになっているし、内部留保がなければ設備投資ができないという主張もあります。

 しかし、実際に大企業の内部留保などを使った新規投資の動きを見ると、新しい機械などへの設備投資よりも、投機を含む有価証券などへの投資に多くの金額が回されているのが実態です。

 製造業の大企業の内部留保が九七年度から十年間で三十二・一兆円も増えているのに、工場や設備などの資産は逆に減少しています。

 機械や土地、建物などの「有形固定資産」は、九七年度の六十八・七兆円から〇七年度の六十七・二兆円と一・五兆円減少しています。

 これに対して、「投資有価証券」は、九七年度の三十二・七兆円から〇七年度の六十六・七兆円に倍増しています。

 設備投資に必要な額よりもはるかに多くの資金が企業内部にたくわえられ、その多くが金融資産への投資に使われているのです。

 内部留保を多少取り崩したとしても、設備投資ができないなどということはありません。

手元資金は少ない?

 Q 手元資金は少ない?

 A 大企業の内部留保は、現金などの流動性の高い形では保有していないので、資金繰りが困るという主張もあります。

 確かに現金や預金などの「手元資金」は、製造業の大企業で〇七年度末に二十一・一兆円と十年前の三十四・八兆円から減少しています。しかし、これは、「手元資金」を投資有価証券などの金融資産への投資に振り向けてきた結果です。

 投資有価証券は、〇七年度の六十六・七兆円に十年間で二倍にまで膨張しています。

 今ある「手元資金」だけでも、非正規労働者四十万人の雇用維持分の一・二兆円などは、十分捻出(ねんしゅつ)できるはずです。どうしても足りないというのであれば、公社債など現金化できる金融資産も多く、金融資産などを担保に資金を調達することもできるはずです。

 巨大な資産を持つ大企業が、手元資金がないからと立場の弱い非正規労働者の解雇を強行するのは、豪邸に住む資産家が、現金を株式などへ投資しておきながら、現金が手元にないからと家政婦を解雇するようなものです。

労働者使い捨て 株主配当は急増

 大企業が労働者の使い捨てをする一方で、株主への配当は急増しています。

 東京証券取引所の統計によると、上場企業製造業の配当総額は、九七年度の約一・三兆円から、〇七年度の約三・七兆円に急増しています。

 新光総合研究所のまとめによると、〇八年度は製造業の経常利益が前年度よりも82・4%の減少となることが予想されています。しかし、年間の予想配当金総額は前年度より一割程度しか減っていません。

 ソニーのように一万六千人ものリストラを計画し、赤字を予測しているのに、配当は増額する計画の大企業まであります。

 株主への配当ばかりが増えていることでは、「貯蓄から投資へ」などといって、投機をあおった政府の責任も重大です。

 政府は、〇三年五月十四日の証券市場活性化関係閣僚等による会合で、企業自らによる「配当性向の向上」を求め、同年の「骨太方針」で、その着実な実施を閣議決定しました。また、証券優遇税制で、配当にかかる税金を本則20%から10%に軽減しました。こうした政府の旗振りのもとで企業は配当ばかりを優先して増やす一方、賃金や下請け単価は抑え付けてきました。異常に増えた配当をもとに戻すだけでも、雇用を維持する資金は十分にできます。

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 内部留保 企業が年々のもうけをため込んだもの。各年の利益から配当を引いた部分をため込む「利益剰余金」、資本取引などでのもうけをため込む「資本剰余金」、実際には支出していないのに隠し利益としてため込む各種引当金などが含まれます。

 これらは、企業の財務諸表の中の貸借対照表の「純資産の部」「負債の部」で計算することができます。しかし、内部留保をどのような形の資産で持っているかはこれだけでは分かりません。

 しかし、同じ貸借対照表の「資産の部」に示されている企業資産全体での内訳を見れば、設備や現金、金融資産の増減の傾向から、ため込みがどのような資産で増えているのか分かります。

(出所:日本共産党HP  2009年2月13日(金)「しんぶん赤旗」)
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失業給付切れの人間が年末までに100万人の恐れ/超不況下でも ため込む 企業の内部留保

2009-11-22 08:41:54 | 国内経済
失業給付切れ100万人
年末までの試算 小池議員、全国延長給付を要求

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 日本共産党の小池晃政策委員長は19日の参院厚生労働委員会で、毎月15万人ずつ失業給付が切れ、年末までに100万人近くに達する恐れがあるという深刻な事態を示し、政府が雇用保険の「全国延長給付」を発動するよう求めました。

 政府発表によると、今年6月から12月までに失業給付が切れる人は非自発的離職者で最大39万人、自発的離職者で最大54万人に上ります。

 雇用保険法は、失業の悪化が「政令で定める基準」に該当する場合、厚生労働相は所定日数を超えて給付を行う措置(全国延長給付)を決定できると定めています。「基準」は閣議決定で変えられ、現行でもすべての受給資格者を対象に最大90日延長できます。

 小池氏が「政府は『財源が大変』だというが、失業給付の積立金はどれだけあるのか」と質問すると、厚労省側は「2010年度末の残高が4兆4000億円の見込み」と回答。小池氏は「それだけお金がある。アメリカでは11月5日に失業給付期間を最大20週間140日延長する法案が可決された。全国延長給付は政治決断で実施できる」と迫りました。

 長妻厚労相は「年末が心配だという気持ちは同じだ」としつつ、「限られた財源の中で慎重な判断が必要だ」とのべるにとどまりました。

 小池氏は、ハローワークで職業紹介だけでなく生活支援など複数の手続きができる「ワンストップサービス」について、11月30日だけの開催予定になっているとし、「到底1日で解決するとは考えられない」と質問。長妻厚労相は「実施状況をみて、1日に限らずどう開催していくのか決定していく」と答えました。小池氏は「あらゆることをやる立場で臨むべきだ」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月20日(金)「しんぶん赤旗」)

企業の内部留保 10年で倍増429兆円
超不況下でも ため込む
社会還元し 内需拡大急げ
労働総研調査

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 昨年来の深刻な不況にもかかわらず、企業がため込み利益である「内部留保」を依然として増加させていることが、労働運動総合研究所の調査で分かりました。18日発表した経済危機打開の緊急提言で明らかにされたものです。この10年で内部留保は倍加し、428・6兆円にも達しており、労働総研は「労働者と中小企業を犠牲にしてため込んだ内部留保を還元し、内需拡大をはかることが急務だ」と指摘しています。

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 内部留保は、剰余金や積立金などの名目でため込まれている利益です。企業の売上高は2008年10~12月期が11・6%減、経常利益も同64・1%減など3期連続で激減する一方で、内部留保は1・7%増、0・6%減、1・4%増と増加傾向が続いています。

 内部留保が急増したのは派遣労働が原則自由化された1999年以降で、209・9兆円から218・7兆円も増加(グラフ)。このうち69・3%は資本金1億円以上の企業がため込んだものです。

 この急増分を労働者などに還元した場合の経済効果について、最低賃金の時給1000円への引き上げや、非正規雇用者の正規化をはじめ働くルールの確立など五つのケースで試算(表)。国内需要総額の半分に相当する国内需要の拡大で国内生産などが誘発され、3%を超える経済成長が上積みされると指摘。税収増も今年度補正予算の公債発行額にほぼ匹敵します。

 最賃時給1000円に必要な財源は、急増分のわずか2・7%。非正規の正規化も3・5%あればできるもので、異常な内部留保を取り崩すだけで可能だと強調しています。

 都内で会見した牧野富夫代表理事、木地孝之研究員らは、内部留保の異常なため込みが内需を縮小させ、国際的にも落ち込みが著しい日本経済の危機の原因となっていると指摘。内部留保を労働者と社会に還元し、内需を拡大することは急務だとのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月19日(木)「しんぶん赤旗」)

主張
失業者支援
寒空のもと、路頭に迷わすな

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 厚生労働省の調査で、解雇や雇い止めで仕事を失った人のうち、年末までに雇用保険の失業給付が切れるのは約39万人、そのうち約6割は再就職できず収入が途絶える見込みで、年末年始に約23万人への支援が必要なことが明らかになりました。直近の9月の「完全失業者」は363万人、失業給付を受け取っているのは失業者の4人に1人で、もともと失業給付が受給できない人もたくさんいます。失業者が寒空のもと路頭に迷うことが絶対にないよう、支援を強めることが急務です。

失業しても仕事がない

 雇用保険の失業給付は最長330日ですが、派遣労働者や契約社員など「非正規」の労働者の場合は、90~180日が大半です。昨年末から今年にかけ無法な「派遣切り」などで「非正規」の労働者が仕事を失う事態が相次いだため、失業給付が切れる人は7月以降毎月6万人前後に上るというのが厚労省の推計です。この水準は、たとえば6月に失業給付を打ち切られた人の、2倍以上です。

 「非正規」「正規」を問わず雇用を削減する動きは、一部の大企業の生産が拡大に入った現在も変わっておらず、「完全失業者」は昨年秋から1年近くにわたって増え続けています。求人の動きも鈍く、求職者に対する求人の割合を示す有効求人倍率は、史上最悪の水準を続けています。

 このため失業しても仕事を見つけることができず、長期にわたって失業状態を続けなければならない人の問題が深刻化しており、そうした人の失業給付が打ち切られれば、ただちに生活に窮することになります。厚労省が失業給付を打ち切られ、支援が必要になる人の推計を発表したのは初めてで、それほど事態が深刻なことを浮き彫りにするものです。

 昨年の年末には、急激な雇用の削減の中で、仕事とともにそれまで暮らしていた派遣会社の寮などの住まいも奪われた人が路頭にあふれ、東京・日比谷公園での「年越し派遣村」など、緊急の炊き出しや生活支援に頼る事態が出現しました。ことしもこうした事態を繰り返さないためには、失業給付の延長や失業者への衣食住の支援など、緊急の支援を強めることが待ったなしです。

 支援が必要なのは、失業給付が打ち切られる失業者だけではありません。全国労働組合総連合(全労連)が全国のハローワークで行った失業者へのアンケートでは、失業期間が3カ月以上という人が62・9%を占めました。約半数はすでに給付を打ち切られた人やもともと受給資格がないなどの理由で失業給付を受けていない人です。失業給付を改善するとともに、生活や就労への支援を拡大することが不可欠です。

心のこもった緊急対策を

 鳩山由紀夫内閣も「緊急雇用対策」に取り組んでいます。しかし、日本共産党の小池晃参院議員が指摘したように、失業給付の期間を延長する「全国延長給付」の実施には否定的で、失業者が1カ所だけで仕事と生活、住宅などの相談ができる「ワンストップ・サービス」も一部地域だけで実施する計画です。

 重要なのはことばだけでなく、心のこもった対策です。一人の失業者も路頭に迷わせないため、必要な対策を必要な規模で、急いで行うことが求められます。

(出所:日本共産党HP 2009年11月20日(金)「しんぶん赤旗」)

主張
7-9月期GDP
暮らしと雇用立て直しが急務

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 7~9月期の実質GDP(国内総生産)は1・2%増で、このペースが1年続いた場合の年率換算では4・8%のプラスです。

 実質GDPは年間の数字に換算して531兆円、前期比では6兆円余り増加したことになります。

輸出大企業中心では

 伸びが大きかったのは大企業関連の指標で、年率で輸出が28%増、設備投資が6・6%増、在庫投資も減少から増加に転じました。

 これに対して家計消費は年率2・9%増にとどまり、住宅建設はマイナス27・5%となっています。最悪の雇用水準が続いて、雇用者報酬(名目)は6期連続の減少となり、落ち込みに歯止めがかかっていないためです。

 経済成長率が前期と比べてプラスになったと言っても、相変わらず輸出大企業中心の成長であり、内需主導への転換のきざしはまったく見られません。

 マイナス成長に陥る前の2008年1~3月期と比べると、実質GDPは38兆円も減り、設備投資は20兆円、輸出は26兆円のマイナスとなっています。名目の雇用者報酬も12兆円のマイナスです。

 日本経済は、底をはうような景気の水準の面でも、ゆがんだ成長の中身の面でも、とても「底打ち」や「回復」を論じられるような状況ではありません。

 いま何より重要なのは、深刻な景気の悪化から国民の暮らしと営業を守ることです。

 つぎつぎと期限切れを迎えている失業給付の緊急延長や、求職活動がうまくいかずに生活に困窮している失業者らへの、生活と住居の支援は一刻を争います。

 日本の雇用と技術を支えている中小零細企業の危機への対応では、仕事の確保も含めた総合的な緊急対策が急がれます。雇用調整助成金を抜本拡充するとともに、大銀行に貸し渋りをやめさせ、かつての「貸し渋り特別保証」のように、実効性のある資金繰り対策を取るべきです。

 大企業の「下請け切り」をやめさせるとともに、仕事の急減による倒産・廃業を防ぐ休業補償・直接支援が重要です。公共事業を大型工事中心から学校耐震化など生活密着型に切り替え、官公需の発注を増やすなど実際に中小企業の仕事を増やしていくことが求められます。

 緊急対策の実行と同時に、大企業中心の経済のゆがみをいっそうひどくした「構造改革」路線を、根本から転換していく必要があります。

 社会保障の抑制路線は日本の社会保障をますます貧弱にしてきました。特に雇用保険や生活保護など暮らしを支える制度の貧困は、失業したら生きていけない土俵際に国民を追い込んでいます。劣悪な労働条件でも仕事をせざるを得ない境遇と派遣労働の原則自由化は、劣悪な雇用を大きく広げる双発エンジンとなってきました。

 社会保障の削減から拡充への転換と労働法制の抜本改正とは、雇用と暮らしを守る日本に進んでいくための車の両輪です。

内需主導の経済へ

 暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくるためには、大企業に相応の社会的責任と負担を求めることが不可欠です。

 政治がこの仕事に取り組むことなしには、輸出依存から内需主導の経済体質へと日本経済のかじを切ることもできません。

(出所:日本共産党HP 2009年11月17日(火)「しんぶん赤旗」)
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日本農業を壊滅に導く日米FTA(自由貿易協定)に断固反対する-日本共産党の志位和夫委員長が会見-

2009-08-05 15:02:02 | 国内経済
農業壊す日米FTAの締結
実は民主党の“持論”

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 民主党がマニフェストで「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と明記したことが農業関係者を中心に衝撃を与えています。

広がる批判に声明出したが

 自由貿易協定(FTA)とは協定を結んだ国を対象として、関税の引き下げ・撤廃などで優遇する仕組みです。FTAによって米国の安い農産物が日本の市場に流入すれば、米や牛肉などの価格の暴落は避けられず、農業に壊滅的な打撃を与えることは必至です。

 民主党は「日本の農林漁業、農山漁村を犠牲にする協定締結はありえない」とする緊急声明を出し、広がる疑問、批判の声への対応に追われています。

 しかし、貿易自由化は、今度のマニフェストで突然出てきたものではなく、民主党の一貫した路線です。

 2006年末に小沢一郎代表(当時)のもとでまとめられた「政権政策の基本方針」では「真の日米同盟の確立を促進するために、米国と自由貿易協定(FTA)を早期に締結し、あらゆる分野で自由化を促進する」と明記。07年の参院選マニフェストでは「農産物の国内生産の維持・拡大と、世界貿易機関(WTO)における貿易自由化協議及び各国との自由貿易協定(FTA)締結の促進を両立させます」としていました。08年版の政策集でも同じ文言を掲げています。

 今回の総選挙マニフェスト発表の直前にまとめた09年版政策集でも「米国との間で自由貿易協定(FTA)を推進し、貿易・投資の自由化を進めます」としていました。ここで「推進」とされていたのが、マニフェストで一気に「締結」という表現に変えられたため反響が大きくなったわけですが、流れの中で見れば、同党の基本的立場を示したものです。

 自由貿易協定の早期締結を求めているのは米国の巨大農業資本と日本の大企業です。米側は日本の農産物市場の開放を求め、日本の企業は、農産物市場の明け渡しと引き換えに工業製品の輸出における関税引き下げのメリットを享受したいというわけです。

最大の責任は自民党農政に

 自民党はこの問題で「日本農業を売り渡すに等しい」(声明)などとして民主党攻撃を強めています。

 しかし、自民党にそんなことを言う資格はありません。アメリカ・大企業言いなりで、食料自給率40%という深刻な状況に、日本の農業を突き落としてきた最大の責任は自民党農政にあります。広範な農業従事者の批判を無視して、農畜産物の関税が焦点であるオーストラリアとのEPA(経済連携協定)交渉を推し進めているのは自公政権です。(中祖寅一)

(出所:日本共産党HP 2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」)

日本農業を壊滅に導く日米FTAに断固反対する
志位委員長が会見

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 日本共産党の志位和夫委員長は4日、遊説先の富山市内で記者会見し、日米FTA(自由貿易協定)問題について次のように述べました。

 一、日本農業をどう再生するかは総選挙の大きな争点だ。日本共産党は、第一に、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせ、農家の方々が安心して農業に励める日本をつくること、第二に、国境措置を維持・強化して、歯止めのない輸入自由化にストップをかけることを提案してきた。同時に、米価の大暴落の危険性が高まっているもとで、いまただちに政府が決めている備蓄米100万トンまでの緊急買い入れが必要だということも求めている。

 一、いま急浮上してきた日米FTAの問題で、日本共産党は総選挙政策で、「わが国が諸外国と結ぶFTA・EPA(経済連携協定)について、日本の農業と食料をはじめ国民の利益に重大な打撃をあたえるものには反対します」と述べている。この見地から、わが党は日米FTAにきっぱり反対する。

 また安倍政権のもとで交渉が開始されている日豪FTAにも反対を貫く。交渉の中止を求める。

米を含むすべての農業が日米FTAの中心課題

 一、日米FTAを考える際に、二つ大事な点がある。

 第一は、米を含むすべての農業が日米FTAの中心課題とされているということだ。

 2007年2月16日にアーミテージ元米国務副長官らの超党派グループが発表した「日米同盟に関する報告書」(第2次アーミテージ報告書)で「米を含むすべての部門を交渉対象として、農業は米国と日本のFTAの中心になれるし、なるべきである」と、農業こそ日米FTAの中心だということをアメリカ側ははっきり述べている。

 さらに、この報告書の直後、在日米国大使館のハンス・クレム経済担当公使は、日本経団連で行った講演(07年4月25日)で次のように述べている。

 「FTAまたはEPAに向けた交渉を、政治的に実現可能なものとするためには、…農業を含まないわけにはいきません」。そしてFTA推進を求めている日本経団連に対して「日本経団連は、アメリカとのFTA締結のため、日本の農業分野の改革の必要性を日本の政治指導者に納得させる用意ができていますか」と、その覚悟まで求めている。

日本の米は82%激減・大打撃を受ける

 一、第二は、この日米FTAが仮に締結されるとなると、とりわけ米が壊滅的な打撃を受けることになるという問題だ。

 日米経済協議会の委託研究「日米EPA 効果と課題」と題するリポートが08年7月に出されているが、このリポートでは日米EPAの経済効果を分析し、「関税率が比較的大きく保護された産業において、FTAによる自由化に伴う生産縮小が観察される。日本においては、コメ、穀類、肉類で生産減少が顕著である」と結論づけている。具体的な減少量として、米で82・14%、穀物で48・03%、肉類で15・44%が減少するとしている。

 すなわち、日米FTAを締結すれば、日本農業の土台を支える米が文字通り壊滅的な打撃を受けることになる。この事態に照らして日本共産党は日米FTAに断固反対し、それを許さない防波堤となってがんばりたい。

民主の「FTA締結」方針は絶対に容認できない

 一、この点で、民主党がマニフェスト(政権公約)に「日米FTAの締結」と述べていることは、絶対に容認しがたいことだ。まさに日本の農業、とりわけ米を壊滅に追い込むということにならざるをえない。民主党は、農業関係者のきびしい批判を受けて、「農業は守る」と言い訳をしているが、すでにのべてきたように農業・米を除外した日米FTAの締結などありえないことだ。

自民は日豪FTA交渉中止、自由化路線への反省を

 一、同時に、自民党が、民主党のマニフェストに「日米FTAの締結」を掲げたことをとらえて、「日本の農業、農村社会を崩壊に導くものだ」と批判しているが、そういう批判をするならば自民党にもいいたい。

 北海道だけでも1兆3700億円の損失を被る日豪FTA交渉はただちに中止すべきだ。さらに牛肉、オレンジをはじめ、次つぎと輸入自由化をすすめ、米についてはまったく必要でないミニマムアクセス米をどんどん輸入し、汚染米の問題までひきおこしてきた自らの失政に対する反省が必要だ。

主張
農業再生
財界と米国にモノ言う党こそ

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 日本の食料と農業が重大な危機に直面しています。先進国中最低水準の食料自給率、埼玉県の総面積にも匹敵する耕作放棄地、「高齢化」する農業者―。農産物価格は下がり続け、大規模農家でさえもやっていけないのが現実です。総選挙では自民党まで含めた各党が、食料自給率の引き上げを掲げています。

落ち込む食料自給率

 日本の食料自給率は低下の一途をたどっています。約20年前に50%(カロリーベース)を割り、2007年は40%に落ち込みました。食用と飼料用を合わせた穀物自給率はわずか28%です。歴代自民党政権の農業破壊の結果です。

 自民党政権は、財界の要求に沿って工業品の輸出拡大と引き換えに農産物の市場開放を進め、日本農業を危機に追いやってきました。一方で米政府はアグリビジネスと呼ばれる米系多国籍企業と一体で、食料供給を通じて他国を支配する食料戦略を推進し、日本に市場開放を迫ってきました。自民党政権は米国の言いなりに日本農業に犠牲を強いてきたのです。

 貿易をめぐる多国間交渉も日本の市場開放に拍車をかけてきました。世界貿易機関(WTO)農業協定によるミニマムアクセス(最低輸入機会)米の不当な押し付けを受け入れ、国境措置を引き下げ、価格政策を放棄するなど農業切り捨てを進めてきました。

 世界的な飢餓人口の増大と食料価格の高騰は食料を海外に依存する危険を浮き彫りにしています。食料は海外から買えばいいという立場はもはや通用しません。農産物市場を際限なく外国に開放し農業つぶしを進めてきた自民党農政を根本的に転換し、日本農業を再生させ、食料自給率を抜本的に引き上げることが急務です。

 日本共産党は総選挙政策で「ルールある経済社会」を築く柱の一つとして農業再生の方針を明らかにしています。農業者が安心して農業にはげめるよう価格保障・所得補償を実施します。農林漁業の担い手を育成し、後継者確保のために就業援助を強めます。

 同時に、関税など実効ある輸入規制をはじめ、農業政策を自主的に決める「食料主権」を保障する貿易ルールを確立します。WTO農業協定の根本的な見直しを求め、外国とのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)では、日本農業に重大な打撃をあたえるものには反対をつらぬきます。

「建設的野党」として

 こうしたなか、自公政権が従来「将来の課題として検討する」としてきた米国とのFTAを、民主党が「締結」するとマニフェスト(政権公約)に明記し、農業者と国民の批判を呼んでいます。

 米国とFTA交渉に入れば、日本の農産物市場開放が主要議題になることは必至です。日本はすでに米国からトウモロコシや大豆、小麦、牛肉など大量の農産物を輸入しています。関税を撤廃する日米FTAは日本農業に壊滅的な打撃を与えるものとなります。

 日本共産党の志位和夫委員長は米国とのFTAに強い反対を表明するとともに、民主党の態度を批判しました。民主党の政権になっても、財界と米国に対して堂々とモノが言え、よいことは推進するが悪いことには反対をつらぬく「建設的野党」としての日本共産党の役割が重要です。

(出所:日本共産党HP  2009年8月5日(水)「しんぶん赤旗」)

農業守る議席必ず
志位委員長、中林氏と訴え
鳥取・島根

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 総選挙投票日(30日)まで4週間と迫った2日、日本共産党は、志位和夫委員長が鳥取、島根で、市田忠義書記局長が大阪、兵庫で、「『国民が主人公』の日本の進路を描くのが日本共産党です」と力強く支持をよびかけ、全国の支部・後援会も、草の根から政策を語った宣伝、対話を行い、「比例は共産党に」の訴えをひろげました。一方、麻生太郎首相は愛知県内5カ所で、民主党の鳩山由紀夫代表は千葉県内の4選挙区で訴えるなど各党必死で支持を訴えました。

 衆院中国ブロック(定数11)に、暮らしを守る日本共産党の議席を取り戻そうと、志位和夫委員長は2日、鳥取市と島根県の松江市・江津(ごうつ)市を駆け巡り、3カ所で中林よし子比例予定候補と力強く訴えました。

 志位氏は「中林さんは中国地方のみなさんにとって、暮らし・福祉・農業を守る“太陽”のような政治家。とっても優しいけれど、国会論戦にはめっぽう強い人です」と述べ、中林予定候補の農業問題での抜群の論戦力を紹介。「比例代表で日本共産党と書く方を広げに広げていただいて、中林さんを再び国会に押し上げ、みなさんの代表として存分に働かせてください」と訴え、大きな拍手を受けました。

 そのうえで新しい日本の将来像――「二つの旗印」を大いに語った志位氏は、農産物の歯止めのない輸入自由化にストップをかけようと力説。民主党が公約する日米自由貿易協定(FTA)の締結が具体化されると、自給率は12%まで落ちるといわれていると警鐘を鳴らし、「“安全・安心な食料は日本の大地から”の願いは日本共産党にお寄せください。この仕事を任せるのに中林さんはまさに最適の方です」と訴えました。

 中林予定候補は、「就職先がなく人生のスタート台にもたてない」という若者や、「農業はもうどん底です」と訴える農家、「水だけで3日すごした」という業者の声を紹介。「こんなにも国民を苦しめてきた自公政権は今度の選挙で終わらせましょう。人間らしい暮らしができる日本へなんとしても切り替えましょう」と訴え、力強い拍手を受けました。

 鳥取で演説を聞いた女性(61)は、「税金の取り方を本当に変えて、大企業や大金持ちにまけている分を国民の医療・暮らしに回してほしい。介護の仕事をしているのですが、寝たきりの人を救うために頑張ってください」と切実な思いを話しました。

(出所:日本共産党HP 2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」)
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労働経済白書が異例の指摘ー大企業は内部留保や株式配当を増やしたが、賃金は増やさなかったと分析ー

2009-07-01 19:49:59 | 国内経済
大企業が内部留保増
労働経済白書異例の指摘 賃金に向けられず

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 厚生労働省が30日公表した2009年版労働経済白書は、日本の大企業(資本金10億円以上)は内部留保や株式配当を増やしたが、賃金は増やさなかったと分析しました。同白書が内部留保に言及してこうした指摘を行うのは異例。

 白書は、昨年秋からの景気後退が深刻化した理由について、外需主導の成長が所得向上につながらないままだったことに加え、アメリカの金融不安で大きな経済収縮が引き起こされたと指摘。今後の展望として、経済収縮のもとでも雇用の安定を確保する「長期雇用システム」が基本だとの認識を示しました。

 白書は、日本の大企業では、利益剰余金が2000年度の88兆円から07年度の135兆円に増えるなど、内部留保が増加していることを指摘。同時に、株主への配当は増やしながら、「賃金の支払いに向かう部分はあまり大きくなかった」と述べています。

 こうした賃金低下傾向の原因として、小規模事業所(5人~29人)で05年から連続で賃金が低下するとともに、低賃金の非正規労働者が増加していると分析。国内需要を回復させるために、所得増加と格差縮小などが必要だとしています。

 また、非正規労働者の解雇、雇い止めについて、「増加テンポは、過去の景気循環と比較しても著しく大きい」と述べ、若年不安定就業者の正規雇用化が労働政策の主要課題だとしています。

景気“底打ち”いうけど
求人倍率最低0.44倍
失業率悪化5.2%

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 麻生自民・公明政権は景気「底打ち」を宣言したものの、雇用情勢が一段と悪化しています。政府が30日発表した雇用関係の統計で明らかになりました。

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 政府統計によると、5月の有効求人倍率は0・44倍で、調査開始以来の最低を更新しました。正社員の求人は0・24倍で、1年前の半分以下に低下しました。一方、5月の完全失業率は5・2%と前月比0・2ポイント悪化。失業率の悪化は4カ月連続で、過去最悪の5・5%に迫っています。完全失業者数は前年同月比77万人増の347万人。増加幅は過去最大となりました。解雇など勤め先の都合や雇い止めによる失業が増えたためです。

 非正規労働者の失職は依然として増えています。昨年10月から今年9月までの失職者(予定を含む)は22万人を超えました。

 給与は減少しています。5月の現金給与総額は前年同月比2・9%減の26万7395円と12カ月連続のマイナスとなりました。

 政府は6月の月例経済報告で景気の基調判断から7カ月ぶりに「悪化」の表現を削除。「(景気は)底を打ったと強く推定できる」(与謝野馨経済財政担当相、6月17日)と事実上の「底打ち」を宣言しました。理由は、輸出と生産が上向きになったことでした。しかし、製造業を中心に輸出大企業は一段と「雇用調整」を進めており、「(雇用情勢は)さらに厳しさを増している」(厚生労働省)状況です。労働者にしわ寄せすることで、収益改善を図ろうとする大企業の身勝手さに歯止めをかけ、雇用を守る社会的責任を果たさせることこそが求められています。

(出所:日本共産党HP 2009年7月1日(水)「しんぶん赤旗」)

けいざいそもそも
内部留保ってなに

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 巨額にのぼる大企業の「内部留保」の活用が、雇用や下請けの営業を守るための「体力」として期待されています。この「内部留保」とはどんなものなのでしょうか。(吉川方人)

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社内に残った利益

 財務省の「法人企業統計年報」の担当者は、「『法人企業統計年報』では内部留保を『当期純利益』から『配当金』を差し引いたものと定義しています」といいます。

 つまり、それぞれの期間に企業が稼いだ利益から株主への配当金を除いたものです。配当金は社外に流出しますが、それ以外の部分の利益は社内に残されます。これは、利益の面から見た内部留保の定義です。

 また、「法人企業統計年報」では、資金調達の面からみた内部留保の定義もしています。

 財務省の担当者は、「資金調達には、株式、社債などの発行で外部からお金を調達する外部調達と、社内からの資金調達があります。内部留保は社内調達資金に分類されています」といいます。

狭義と広義がある

 資金調達の面から見た場合、財務省の内部留保の定義は、利益剰余金、その他資本剰余金、引当金、特別法上の準備金、土地の再評価差額金、金融商品に係る時価評価差額金、自己株式の増減額、その他の負債(未払金等)の増減額の合計とされています。

 このうち、利益剰余金は、繰越利益などを積み上げたもので「狭義の内部留保」といわれます。その他、実際には支出していないのに隠し利益として企業内に蓄えられている引当金や準備金などを加えたものが「広義の内部留保」といわれます。企業の決算で貸借対照表上のこれらの項目を合計すれば、内部留保の積み上げ額が計算できます。

大企業ほど大きい

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

(出所:日本共産党HP 2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」)

内部留保 雇用のため使えないのか
大企業の言い分を検証する

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 「減益」や「赤字予想」を理由に、輸出大企業を中心とした「非正規労働者切り」が横行しています。「これまで空前の利益をあげてきた大企業のもうけはどこにいったのか」「ため込んだお金の一部を使えば雇用は守れるはず」という声が、世論となっています。しかし、財界・大企業は、内部留保を取り崩すことは難しいという姿勢です。一部の商業メディアも財界・大企業の言い分に同調しています。内部留保は、本当に取り崩せないものなのでしょうか。(吉川方人)

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経営が大変になる?

 Q 内部留保を取り崩すと経営が大変になる?

 A 雇用を維持するためには、内部留保のほんの一部分を取り崩すだけで十分です。経営に影響するような額ではありません。

 今、人間を使い捨てにする「非正規労働者切り」や解雇・リストラをくり返している輸出大企業はこれまで、非正規労働者を安く使うことで、バブル期を超えるばく大な利益をあげてきました。

 このもうけは、巨大な内部留保としてため込まれています。

 その額は、製造業の大企業(資本金十億円以上)だけで、一九九七年度末の八十七・九兆円から二〇〇七年度末までの十年間に三十二・一兆円も増え、積み上がった額は百二十兆円に達しています。

 派遣業の業界団体は、三月末までに職を失う非正規労働者を約四十万人と推計しています。非正規労働者の平均年収を三百万円とすると、四十万人分で一兆二千億円です。

 製造業大企業の内部留保のわずか1%にすぎません。

 これだけで経営が大変になるとは考えられません。それなのに大企業経営者は、内部留保を使うことをかたくなに拒み、無情に非正規労働者の解雇を続けているのです。

設備投資に回ってる?

 Q 設備投資に回っている?

 A 内部留保は設備投資などに使って機械などになっているし、内部留保がなければ設備投資ができないという主張もあります。

 しかし、実際に大企業の内部留保などを使った新規投資の動きを見ると、新しい機械などへの設備投資よりも、投機を含む有価証券などへの投資に多くの金額が回されているのが実態です。

 製造業の大企業の内部留保が九七年度から十年間で三十二・一兆円も増えているのに、工場や設備などの資産は逆に減少しています。

 機械や土地、建物などの「有形固定資産」は、九七年度の六十八・七兆円から〇七年度の六十七・二兆円と一・五兆円減少しています。

 これに対して、「投資有価証券」は、九七年度の三十二・七兆円から〇七年度の六十六・七兆円に倍増しています。

 設備投資に必要な額よりもはるかに多くの資金が企業内部にたくわえられ、その多くが金融資産への投資に使われているのです。

 内部留保を多少取り崩したとしても、設備投資ができないなどということはありません。

手元資金は少ない?

 Q 手元資金は少ない?

 A 大企業の内部留保は、現金などの流動性の高い形では保有していないので、資金繰りが困るという主張もあります。

 確かに現金や預金などの「手元資金」は、製造業の大企業で〇七年度末に二十一・一兆円と十年前の三十四・八兆円から減少しています。しかし、これは、「手元資金」を投資有価証券などの金融資産への投資に振り向けてきた結果です。

 投資有価証券は、〇七年度の六十六・七兆円に十年間で二倍にまで膨張しています。

 今ある「手元資金」だけでも、非正規労働者四十万人の雇用維持分の一・二兆円などは、十分捻出(ねんしゅつ)できるはずです。どうしても足りないというのであれば、公社債など現金化できる金融資産も多く、金融資産などを担保に資金を調達することもできるはずです。

 巨大な資産を持つ大企業が、手元資金がないからと立場の弱い非正規労働者の解雇を強行するのは、豪邸に住む資産家が、現金を株式などへ投資しておきながら、現金が手元にないからと家政婦を解雇するようなものです。

労働者使い捨て 株主配当は急増

 大企業が労働者の使い捨てをする一方で、株主への配当は急増しています。

 東京証券取引所の統計によると、上場企業製造業の配当総額は、九七年度の約一・三兆円から、〇七年度の約三・七兆円に急増しています。

 新光総合研究所のまとめによると、〇八年度は製造業の経常利益が前年度よりも82・4%の減少となることが予想されています。しかし、年間の予想配当金総額は前年度より一割程度しか減っていません。

 ソニーのように一万六千人ものリストラを計画し、赤字を予測しているのに、配当は増額する計画の大企業まであります。

 株主への配当ばかりが増えていることでは、「貯蓄から投資へ」などといって、投機をあおった政府の責任も重大です。

 政府は、〇三年五月十四日の証券市場活性化関係閣僚等による会合で、企業自らによる「配当性向の向上」を求め、同年の「骨太方針」で、その着実な実施を閣議決定しました。また、証券優遇税制で、配当にかかる税金を本則20%から10%に軽減しました。こうした政府の旗振りのもとで企業は配当ばかりを優先して増やす一方、賃金や下請け単価は抑え付けてきました。異常に増えた配当をもとに戻すだけでも、雇用を維持する資金は十分にできます。

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 内部留保 企業が年々のもうけをため込んだもの。各年の利益から配当を引いた部分をため込む「利益剰余金」、資本取引などでのもうけをため込む「資本剰余金」、実際には支出していないのに隠し利益としてため込む各種引当金などが含まれます。

 これらは、企業の財務諸表の中の貸借対照表の「純資産の部」「負債の部」で計算することができます。しかし、内部留保をどのような形の資産で持っているかはこれだけでは分かりません。

 しかし、同じ貸借対照表の「資産の部」に示されている企業資産全体での内訳を見れば、設備や現金、金融資産の増減の傾向から、ため込みがどのような資産で増えているのか分かります。

(出所:日本共産党HP 2009年2月13日(金)「しんぶん赤旗」)
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政府は中小企業への税制・金融・予算対策の対象と規模を拡充せよ

2009-06-03 00:12:52 | 国内経済
08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

中小業者の融資改善を
全商連が緊急集会
政府側「税滞納理由に断らない」

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 全国商工団体連合会(全商連)は二十七日、「中小業者の融資改善を求める緊急集会」を衆院第一議員会館で開きました。

 金融・経済危機がすすむなか融資を受けられず困っている各地の中小業者や新型インフルエンザの影響・被害を受けている中小業者が参加しました。政府側から財務省、中小企業庁、日本政策金融公庫の担当者が参加しました。

 業者側から、「金融機関や信用保証協会が税金や社会保険料の滞納を理由に保証や融資を断るケースがある」と共通して発言したのに対して、政策金融公庫の担当者は「税、社会保険料の滞納だけをもって、融資を断ることはしない」などと回答しました。

 集会では、四十年間営んできた運送業者が、手形決済の資金が必要になり、政策金融公庫に融資を申し込んだところ社会保険料や税金の滞納を理由に断られたと発言。滞納分について社会保険事務所に支払いを約束したことをのべ、融資を求めると、「この制度は助成金ではない」などと追加の条件を示したうえで結局、断ってきた、と怒りを込めて報告しました。この後、次々に税金や社会保険料滞納を理由に融資を断られた事例の発言がされました。

 政策金融公庫の担当者は「職員の接し方がつらい思いをさせたことをおわびしたい」とのべたうえで、対策を話しました。

 京都、兵庫の代表は、新型インフルエンザの影響で、修学旅行のホテル、旅館への宿泊契約のキャンセル、飲食店客の減少などで被害は甚大だとして対策を求めました。

 集会には日本共産党の佐々木憲昭、吉井英勝両衆院議員が出席し、国会質問の内容を紹介しながら中小業者の苦境打開へ全力で取り組む決意を語り、あいさつしました。

政策金融公庫
中小企業金融強化を
佐々木議員に 総裁「最大の努力」

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 日本共産党の佐々木憲昭議員は二十六日の衆院財務金融委員会で、政府系金融機関として中小企業融資を担っている日本政策金融公庫に対し、「中小企業金融の機能を強化せよ」と求めました。

 佐々木氏は、日本政策金融公庫による中小企業向け貸出残高が合計で約四兆円も減少(二〇〇九年三月末速報値と〇五年三月末との比較)していることを告発。深刻な経済情勢で中小企業が苦境に陥っているもとで、「中小企業向けの融資が軽んじられている」と批判しました。

 佐々木氏は、公共料金の滞納や納税の遅れなどを理由として、同公庫に融資を拒否されるという声が中小企業の経営者から相次いでいることを指摘。「深刻な経済情勢のもと、経営が大変なのが中小業者だ。相手の経営実態をよく掌握し、親切に対応するのが日本政策金融公庫の役割ではないのか」とただしました。

 同公庫の安居祥策総裁は、「公共料金や税金の滞納だけで判断してはいない」「事業者に、きちっと役割を果たすことが当然であり、最大の仕事だ。事業者ががんばれるよう最大の努力をしていく」と答弁しました。

なぜ消費税増だけ議論
佐々木氏 民主の姿勢ただす

 日本共産党の佐々木憲昭議員は二十六日の衆院財務金融委員会で、税制上の例外として設けられた「租税特別措置」を整理・効率化するための法案を提出した民主党議員に対し、消費税増税についての同党の姿勢をただしました。

 民主党の岡田克也幹事長は二十四日のNHK番組で、「(衆院議員の)四年の任期の間に消費税をあげることはない」とし、「財政全体のなかで(消費税も含めて)議論していかなければならない」と述べています。

 佐々木氏は、「財源確保のためとして、なぜ、消費税だけが議論の対象になるのか」と指摘。消費税増税は「(民主党が主張する)所得格差の解消にも逆行する」とただしました。

 答弁に立った民主党の尾立源幸参院議員は「消費税は最後の手段だ」と強調。「歳出、歳入の改革を行い、どうしても足らない場合は、消費税の引き上げをお願いする。その場合、総選挙で国民の信を問う」と述べました。

 佐々木氏は、「自民、公明両党は三年後、民主党は四年後に消費税増税という考えだ」と指摘。「日本共産党は消費税増税に反対だ。財源確保をいうなら、庶民に犠牲を押し付けるのではなく、大企業、大資産家など力のあるところに応分の負担を求めるべきだ」と主張しました。

(出所:日本共産党HP 2009年5月28日(木)「しんぶん赤旗」)

中小企業へ支援強化を
佐々木・吉井議員 中同協と懇談

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 日本共産党の佐々木憲昭、吉井英勝両衆院議員は1日、国会内で、中小企業家同友会全国協議会(中同協、鋤柄修会長)から「2010年度国の政策に対する中小企業家の重点要望・提言」について説明をうけ、懇談しました。中同協側から、非常時の金融環境に対応するセーフティーネットの金融機能の拡充や仕事づくりへの支援の抜本的強化についての要望が示されました。

 懇談には、中同協から国吉昌晴専務幹事、松井清充事務局長、大橋正義政策委員長、瓜田靖政策局長が参加。大橋氏は「国の経済対策の対象の大半は大企業だ。仕事を増やす手だてを考えねば、中長期的には中堅・中小企業は総崩れになる」と指摘しました。

 佐々木氏は、政策金融機関が“中小企業の駆け込み寺”としての本来の役割を果たすよう国会で追及してきたことを紹介。「政策が中小企業のためになるよう全力をつくす」と述べました。

 吉井氏は、「基盤的技術の集積地を守らなければならない。現場の声を聞き実態を把握するよう政府にさらに求めたい」と語りました。

 中同協側からは、「『緊急保証制度』の全業種への適用を強く打ち出してほしい」「新しい産業をおこす戦略を大胆に打ち出してほしい」などの意見が出されました。

所得税法第56条廃止を
全婦協が財務省に要請

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 全商連婦人部協議会(全婦協)は1日、財務省に、業者婦人の社会的・経済的地位向上のため、所得税法第56条を廃止するよう要請しました。

 要請したのは大石邦子全婦協会長、牧野由子同事務局長、千葉、東京、神奈川、埼玉の女性会員ら12人。星野次彦主税局税制第1課長らが応対しました。

 日本共産党の大門実紀史参院議員が同席しました。

 大石会長は、中小業者とともに働く妻、家族の働き分を必要経費として認めない56条は、戦前の家制度・世帯単位課税制度の名残であり、人権を尊重する憲法違反の問題であることを指摘。参院財政金融委員会で大門議員の質問に対し、財務相や主税局長が研究したいと前向きに答弁したことを話しました。

 牧野事務局長は、世界主要国の中でも遅れた制度であることをのべ、憲法に基づく自営業者を応援する税制度の確立を求めました。

 神奈川県の会員は、「夫と青果店を営み、1日14時間働いていたときの私の働き分は1時間173円。夫の死後、借金返済のため弁当販売店に働きに出たときの時給は800円。配偶者の人権を無視する制度です」とのべました。千葉県市川市内で工務店を営む女性は、「息子が後を継いだが、働き分とされるのは年50万円。こんな低額では商売への意欲も失ってしまう」と話しました。所得証明がとれないことで、保育所入所が困難となる、車や住宅などのローンが組めない問題も訴えられました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月2日(火)「しんぶん赤旗」)

中小企業の倒産をどう救う?

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 〈問い〉 中小零細企業の自主廃業・倒産があいついでいますが、どう救済していったらよいと考えますか。(富山・一読者)

 〈答え〉 中小零細企業の廃業・倒産が増加しているのは、売り上げの大幅減による経営の赤字が深刻化し、運転資金も銀行の「貸し渋り」でままならず、商工ローンの被害にあうなど追いつめられ、未来にも展望がもてない事態となっているからです。これは、自民党政治が「規制緩和」の名で大企業の横暴を野放しにする一方、消費税増税や社会保障の改悪、雇用悪化を促進し、消費不況を深刻化してきたことに最大の原因があります。そのうえ政府の中小企業対策費は、長銀一行への支援額、四兆五千億円のわずか二十三分の一です。

 中小零細企業の廃業・倒産をおさえるには、大企業中心で中小業者いじめの悪政に歯止めをかけ、一日も早くあらためる必要があります。

 いまとくに切実な課題は、中小企業の売り上げの回復のために、まず国民のふところをあたためる対策―消費税の減税、介護・年金・医療福祉の拡充措置をとるとともに、大企業の身勝手なリストラの規制と雇用の拡大をはかる対策の実行です。公共事業を、ゼネコン奉仕型から住民生活密着型にあらため、国や地方自治体の官公需を中小企業むけに拡大することも大切です。商工ローンの利息制限法を超える高利や根保証という悪質な手口を、きびしく規制するとともに、国民生活金融公庫や自治体の制度融資への借り換えを認めること、「特別信用保証制度」の継続と拡充、銀行の「貸し渋り」の是正など、中小企業の金融問題を打開する緊急対策をとることです。

 このためにも、日本経済の主役の中小企業を支援する予算を抜本的に増額する必要があります。そして新製品の開発や販路開拓などを求める中小企業の経営努力にたいし、情報・資金・設備・技術・人材など多面的な支援を拡充することです。

 同時に、大企業の横暴をおさえ中小企業の経営をまもる民主的ルール―大型店の無秩序な進出、大企業の海外移転による空洞化、下請けへの発注の打ち切りや単価の切り下げ、地場産業を崩壊させる野放図な輸入などの大企業の横暴をおさえる―の確立が急務です。(吉)

(出所:日本共産党HP 「しんぶん赤旗」1999・11・18(木))
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独占禁止法改悪を主張する日本経団連の歴代役員企業は、どこまで腐敗しているのか?

2009-04-27 02:10:47 | 国内経済
談合・カルテルの違法行為
経団連歴代役員企業の57%に
一方で独占禁止法改悪を推進
衆院委 吉井議員が追及

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 談合・カルテルや不公正な取引を取り締まる独占禁止法改悪を主張する日本経団連の歴代役員企業の約六割が、談合やカルテルなどを繰り返している実態が二十四日の衆院経済産業委員会で明らかになりました。日本共産党の吉井英勝議員が追及したものです。

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 吉井氏は、「日本経団連は、独禁法を変えることを求める前に、自ら違反や課徴金を課せられていることを反省し、姿勢を改めるべきだ」と強調しました。

 吉井氏が明らかにしたのは、日本経団連の歴代役員企業のカルテル・談合事件と、その課徴金の一覧です。一九九一年以降、のべ四十二社の経団連役員(会長・副会長)企業のうち、二十四社(57%)がカルテルや談合という違反行為によって課徴金を課せられていることが分かりました。関連会社も含めると、八十三社に達します。

 現副会長企業のうち、新日鉄は九九年以降に三回も違法行為を繰り返し、二〇〇八年の二回にはそれぞれ三億円を超える課徴金を課せられています。日立製作所は九五年以降五回、三菱重工業は九九年以降六回、違法行為を繰り返しています。

 日本経団連は、公取委の存在意義を骨抜きにする審判制度の廃止や課徴金減免制度の拡充などを主張。独禁法改悪を強く求めてきました。

 吉井氏は「政府はこうした経済犯罪を是正させることが第一の仕事ではないか」と追及しました。

 河村建夫官房長官は「残念なことだ。より厳正な法執行が必要だ」と答弁しました。

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 課徴金 カルテルや談合によって企業が不当に得た利益に相当する金銭を政府が徴収する金銭のこと。違反企業への行政処分として一九七七年に導入されました。対象商品の違反期間の売上高の一定率を課徴金として国庫に納付します。課徴金の算定率は一九九一年に6%(大企業製造業)に引き上げられました。その後、二〇〇五年以降、10%(同)に引き上げられましたが、欧米諸国に比べてけた違いに低いままです。今国会に提出されている改定案では対象範囲を広げ、私的独占で6%、不当廉売・差別対価等で3%にすることを盛り込んでいます。

 独禁法改定で参考人質疑
公正取引の重要性ただす
吉井議員

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 衆院経済産業委員会は二十四日、独占禁止法改定案にかかわる参考人質疑を行いました。日本共産党の吉井英勝議員は、大手家電量販店の出店で経営難におちいった地域の電器小売店の現状を指摘。公正取引の重要性などについてただしました。

 全国電機商業組合連合会の北原國人会長代行は、「大規模小売店舗法の廃止によって家電量販店の地方への出店が相次いだ。技術で生きのびてきた電器小売店も、価格面で太刀打ちできず減ってきた」とのべ、「何としても価格の公正を図ってほしい」と主張しました。

 吉井氏は、家電量販店と電器小売店間の差別価格が「地域を疲弊させ、地域小売店の経営を壊してきた」と強調。公正取引委員会の指導のあり方について参考人に聞きました。

 北原氏は「公取委の調査は実態にそくしていない。適正、厳格な調査を」とのべました。

(出所:日本共産党HP 2009年4月25日(土)「しんぶん赤旗」)

企業の社会的責任とは?

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 〈問い〉 最近、「企業の社会的責任」という言葉をよく聞きます。どんな意味なのでしょう。また、日本共産党は、このことをどう考えていますか?(和歌山・一読者)

 〈答え〉 企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility=CSR)とは、企業は、短期的な利潤追求だけでなく、経済社会の「持続的発展」のためには、社会の一員であることを自覚して環境や雇用、地域経済、消費者保護など社会全体に対する責任をはたすべきだという考え方です。

 欧米を中心に90年代からCSRへの関心が高まり、昨年のエビアン・サミットでは「企業の社会的責任を重視する」という経済宣言が採択され、国際標準化機構(ISO)も6月にストックホルムで開いた会議で「CSRの指針」づくりを決めており、いまや世界の新しい流れになっています。

 経済同友会、日本経団連も相次ぎ、CSRの新しい“評価基準”や“行動憲章”を発表しています。しかし、財界の態度は「総論賛成」にとどまり、くらしや雇用などをまもるルールが極端に弱いのが現状です。政府の態度も「(欧州の特徴は)米国と異なり、政府が積極的に関与し、CSRを進めている」(経済産業省CSRに関する懇談会の中間報告、04年9月)ことを認めながら、逆に、規制緩和で大企業の身勝手さをいっそうやりやすくさせています。

 日本共産党は、大企業に社会的責任をきちんとはたさせ、安定した雇用、環境との共生、人間らしい生活と社会など、「ルールある経済社会」への前進をめざしています。そのために、先の参院選では、「リストラ規制、長時間労働、パート・派遣労働者への差別をなくす」「金融機関に、中小企業・地域経済への資金供給というあたりまえの責任をはたさせる」「大型店の出退店規制、親企業と下請け企業の対等・平等の関係」「産業界に二酸化炭素排出削減計画を義務づける、廃棄物での製造者責任をより明確にする」などを政策で掲げました。(喜)

(出所:日本共産党HP  2004年10月6日(水)「しんぶん赤旗」)
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農地法等「改正」案に対する日本共産党の見解ーもうけ本位の農外企業に農地をゆだねるな(下) ー

2009-04-24 00:13:01 | 国内経済
列島だより
人と環境に優しい稲作

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 食料自給率が四割を切り、食べものの安全も心配と「食」をめぐる不安が強まっています。そんな中、山間地で規模は小さくても地域が育てる米作りや、人と環境に優しい米作りをすすめている取り組みがあります。二つの例を紹介します。

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コウノトリとの共生
兵庫・豊岡

 環境にやさしい農業を実践する農業者として二〇〇三年に兵庫県からエコファーマーに認定されたのを契機に、「おいしくて安全な米作り」をと専業農家五人で豊岡(とよおか)エコファーマーズを結成しました。折しも、野生のコウノトリの生息地だった豊岡市では、〇五年九月にコウノトリ野生復帰の取り組みとして放鳥を開始する計画で、えさ場として水田の管理が重要なポイントでした。これを米作りと両立させようとする試みでした。

■38年前に絶滅

 一九五五年代、水田の圃場(ほじょう)整備や河川改修によって湿田は姿を消し、川と水路が分断され生き物は激減しました。農薬でえさになる生き物はいなくなり、コウノトリの体もむしばまれ、七一年に野生のコウノトリは絶滅しました。

 一度絶滅したコウノトリを野生に帰すわけですから、農業を通して多様な生き物を育(はぐく)む農業の方法を模索、実践する必要がありました。農業者は兵庫県、豊岡市をはじめ各機関と連携してコウノトリと共生するために試行錯誤を重ね「コウノトリ育む農法」として環境にやさしい米作りに取り組みはじめました。

 そのため、冬には田んぼに水を張り、七月中旬まで水を残し田んぼのなかの生き物を育みます。殺虫剤を使わなくとも、害虫にはカエルやカマキリ、クモ、トンボといった益虫が活躍し、被害を最小限におさえてくれます。

■微生物も大切

 現在、コウノトリ育む米作りをしている農家は法人も含めて百十農家、百八十ヘクタールです。当地域の平均的な収量は十アール当たり約八俵、コウノトリ米は五―六俵くらいです。

 消費者とのつながりは、量販店や米屋を通して、豊岡エコファーマーでは各々が直接全国の消費者に、また兵庫農民連では遠くは秋田県の米屋にまで及んでいます。消費者のみなさんからは「コウノトリとの共生ができる環境のおかげで、安全で安心できるとともに、大変おいしい」と好評を得ています。

 田んぼの中の目に見える生き物だけでなく、微生物やミジンコ、イトミミズなどの大切さ、それを育む田んぼの大切さや可能性に気づきました。まだまだ収量も少なく、害虫の被害もないわけではありませんが、田んぼの面白さを実感しながら、また人間をはじめ生き物にとって良い自然環境とは何かを考えながら楽しい米づくりをしていきたいと思います。(豊岡エコファーマー・田中定)

地域で守る農村風景
宮城・大崎

 現在、一般的な米の価格は農業を続けていける価格を大幅に下回っています。このままでは日本の風景だけでなく、暮らしそのものが失われかねません。宮城県大崎(おおさき)市の「鳴子の米プロジェクト」は、県内最北の小さい「鳴子」という地域にこだわり、無理せず鳴子ができることをやろうと地域の力を集めて二〇〇六年に始まりました。

■新品種が誕生

 このプロジェクトをモデルにNHK仙台局がドラマ「お米のなみだ」を制作し、放送されました(二〇〇八年)。全国の若者から食や農を考え直したいという大きな反響がありました。

 プロジェクトの目標は(1)農を地域全体で考え、農家と地域住民が協力し合う(2)市場経済の価格に合わせるのではなく、作り手の再生産可能な価格を食べ手が支える―です。現在、生産者米価は一俵約一万二千円。それを約十年前の価格の一俵約一万八千円を作り手に保障し、プロジェクト事業や若者の受け入れなどの経費六千円をプラスし、一俵二万四千円で販売することです。

 実践行動として、山間地の適地適作の米を探し、「東北181号」に出合いました(新品種登録され「ゆきむすび」と命名)。〇六年に三人三十アールから試験栽培を始め、三年目は三十五人十ヘクタールに広がりました。収穫された六百俵の「ゆきむすび」はプロジェクトが活用する分を除き、地元鳴子をはじめ全国各地の人々にすべて届けられました。地域のお母さん方が五十種類のおむすびを試作したり、くず米の米粉を使って団子屋、パン屋がお菓子やデザートを作り、漆職人やおけ職人が器を作ってくれました。お米から、地域の力で「鳴子ならではの食」になりました。また、暮らしや食文化の聞き取りや「鳴子の米通信」を発行してきました。

 お米を農家だけでなく地域のみんなで育てるという、この取り組みに賛同の輪が広がっています。販売を予約のみにしているのも、お米を食べる支え手の“安心して作ってください”という思いと“おいしいお米を届けます”という作り手との「信頼」がプロジェクトの柱にあるからです。

■関心持つ若者

 これからの大きい目標は、若者と向き合っていくことです。食や農がどうなるのか、どうしたらいいのかと、鳴子に話を聞きに来る大学生などの若者が多くなりました。希望の持てる思いが、若い人たちの中に芽生えているのを感じます。

 そういうきっかけを通して、一人ひとりの気持ちの変化がとても大事なことと思っています。

 三年目を迎え、二〇〇八年十月一日に「特定非営利活動法人 鳴子の米プロジェクト」に発展させ、持続できる取り組みへ新しい挑戦を始めました。この鳴子温泉地域で、NPO法人鳴子の米プロジェクトは農と食、地域を大切に、鳴子の田んぼや米作りをあきらめず、じっくり行動していきたいと思います。(大崎市鳴子総合支所観光農政課 安部祐輝)

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 コウノトリ 翼を広げると二メートルにもなり、体は白、風切羽とくちばしは黒、目の周りと足が朱色で肉食の鳥です。野生で生息するには里山や田んぼ、川や水路にバッタ、ドジョウ、フナ、カエル、ミミズなど多様で膨大な生き物が生息する自然環境が必要です。

(出所:日本共産党HP 2009年2月16日(月)「しんぶん赤旗」)

農地法等「改正」案についての見解
もうけ本位の農外企業に農地をゆだねるわけにはいかない(下)
日本共産党国会議員団

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企業参入で地域農業は活性化し、耕作放棄地はなくなるか

 政府は、耕作放棄の広がりを強調し、「意欲」ある担い手に農地利用を広げれば、解消できるかのようにいいます。しかし、耕作放棄が広がる最大の原因は、輸入自由化や価格暴落の野放し、減反の押しつけなど農家経営を成り立たなくしてきた歴代自民党政府の農政ではありませんか。農地制度に原因を転嫁するのは、無責任な議論です。大多数の農家の「意欲」を奪ってきた農政をそのままにして耕作放棄の解消はありえません。

 まして、農外企業の参入で地域農業が活性化するなどというのは幻想です。全国農業会議所が行った農外法人・企業の調査(二〇〇八年八月)によれば、黒字の法人は11%にすぎず、63%が赤字です。〇八年九月の農水省調査では、農業に進出した三十一企業・法人がすでに撤退しています。オムロンやユニクロといった有数の企業が、最先端の農業経営ともてはやされながら数年であえなく撤退したのも、農業の厳しさと企業経営の無責任さを物語るものです。

 地域に密着した土建業や食品会社などで、雇用対策や原材料の確保のために農業に進出し、住民の雇用、就業の場の確保などに一定の役割をはたしている例があるのも確かです。しかし、もうけ第一の株式会社が農業に進出するとすれば、耕作放棄地は敬遠し、平場の優良農地に集中し、そこで営農する認定農業者などと競合する形になるのが一般的でしょう。実際にも、企業参入の多くは、施設園芸など「もうけの見込める分野」であり、環境保全の役割が大きいのに収益性の低い水田や畑作では少ないのが現状です。地域の共同の財産として将来にわたっての利用が求められる農地を、目先の利潤追求が第一の農外企業に無制限に“解放”すれば、農業の活性化どころか、農地利用や農村社会に重大な混乱と障害を持ち込むものになるでしょう。

参入意思が真剣ならば道は開けている

 財界などは、農外からの参入規制の厳しいことが農業衰退の原因とさかんにいいます。新規参入にとって、資金や技術、住宅の確保などの負担が重いのも確かですが、最大の障害は、現役の農家でさえ続けられない劣悪な経営条件にこそあります。それらを除くために政治や社会が力を尽くすのは当然です。しかし、農地取得に関していえば、個人に求められるのは「みずから農作業に従事する」ことです。農業への参入意欲が真剣なものならば、当然に満たせる条件です。

 企業についても、農業生産法人に参加するか、特定法人貸付事業(耕作放棄地の多い地域で自治体とリース契約する)という形ですでにかなり道は開けています。後者の場合、役員の一人が農作業に従事すればよく、個人の参入条件と比べても緩やかです。にもかかわらず、いっそうの規制緩和を迫るのは、農業の振興などより、農業と農地を対象にしたビジネス機会の拡大や農地にたいする大企業支配の自由化にねらいがあるとみないわけにはいきません。

 「改正」案は、そうした財界の意向にそったものにほかなりません。

農地の有効利用は大多数の農家経営が成り立ってこそ

 食料自給率の回復がまったなしのわが国で、耕作放棄地の解消や農地の有効利用が不可欠であることはいうまでもありません。国土や環境の保全にとっても欠かせません。「改正」案に盛り込まれた農地転用の規制や違法転用への罰則の強化、遊休農地対策の強化などは、そのために必要とされる面もあります。さらに、農業者の高齢化が極端に進むなかで、農外からの新規参入者の確保・定着に社会全体が真剣に取り組むのは当然です。そのなかで、自治体や農協などとともに地域に密着した食品企業などの協力・共同を強めるのも必要でしょう。

 国政にいま求められるのは、条件不利地を含めて大小多様な農家が、そこで暮らし続け、安心して農業にはげめる条件を抜本的に整えることです。それと地域の努力が結びついてこそ耕作放棄の解消もすすむのであり、農地をもつ人は「適正に利用する責務」があるなどとするだけでは、問題の解決にはなりません。

 日本共産党は、その立場から昨年、農業を国の基幹的生産部門に位置づけ、食料自給率50%台回復を国政の最優先にする農政への転換、価格保障や所得補償の抜本的な充実、輸入自由化ストップなどを柱とする総合的な農業政策「農業再生プラン」を発表しています。その実現をめざしながら、当面する農地問題、農業の担い手対策について、以下の提案をするものです。

 ●日本農業の担い手は、現在も、将来も、みずから耕作に従事する人と地域に基盤をもつその共同組織を基本にする。農村社会や文化、国土や環境の保全という観点からも、現在の農家戸数を減らさず、できるだけ維持することに努める。

 ●集落営農や農業生産法人、農作業の受委託組織、NPO法人、農協などさまざまな形で生産や作業を担っている組織も家族経営を補い、共存する組織として支援する。地域に密着し、地場農産物を販売し、または原材料とし、住民の雇用、地域経済の振興にもつながる食品企業なども家族経営を補完する農業の担い手として位置づける。

 ●農地に関する権利(所有権、貸借権など)は、「耕作者主義」の原則を堅持し、農業生産法人の構成員・役員・事業などの要件は、現行以上に緩和しない。特定法人貸付事業については、地域に基盤を置いた企業に限定し、県外からの参入申請は認めない。

 ●農地転用の規制を強めるために、病院・学校等の用地だけでなく公共事業用地の多くを転用許可の対象に加える。国土開発政策の一環として制度化された転用許可の例外規定を抜本的に見直す。

 ●定年後のいきがいや市民農園など小規模な農地取得の希望が広がっている地域に限定して、農地取得の下限面積(現在は原則五十アール)制限を「利用権」に限って緩和できるようにする。

 ●都会に移転した人や相続により不在村地主となった人の遊休農地・耕作放棄地について、現状より容易に利用権を設定できる制度や事業、農地保有合理化法人による買い取り制度を創設する。

 ●農地の権利移転や転用、利用状況などについて、農業委員会が的確な判断や監視、必要な指導が可能になるよう、関係予算や体制を抜本的に強化する。(おわり)

(出所:日本共産党HP  2009年4月23日(木)「しんぶん赤旗」)
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農地法等「改正」案に対する日本共産党の見解ーもうけ本位の農外企業に農地をゆだねるな (上)ー

2009-04-23 00:17:52 | 国内経済
ゆうPRESS
大地に平和の種まこう
若者と農家 田んぼで交流
コメと9条守る思い込め
千葉

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 「農作業を通じて、若い人に食への関心を持ってもらいたい」と、千葉市の農家が地域の青年たちと、田畑でいっしょに作物をつくる交流イベントを開いています。農民運動千葉県連合会(千葉県農民連)青年部と、うたごえサークル「わかちばーず」が共催。取り組みは今年で7年目を迎えています。(平井真帆)

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 よく晴れた3月末。この日は今年、初めての作業日で「田んぼの整地」を行いました。

 農地に「鶏ふん」をまき、耕耘機(こううんき)で土を耕していきます。

“農民”に変身
 参加者は、長靴や軍手、麦わら帽子を借りて「農民ルック」に変身し、作業がスタートしました。

 田んぼに1歩踏み込むと、初心者は足を取られて歩けません。「予想以上に大変! こんなに初歩的なことまでできないとは」と参加者は汗だくです。

 「農作物っていうのは、種まけばできるってもんじゃない」

 こう話すのは農業を営む熊手正幸さん(43)です。イベントを主催し、自身の田畑を提供しています。

 熊手さんたちは、「農作物ができる過程を自分の目で見てもらえば、食や農業に対する考えも変わってくるのでは」と考え、仲間とこの取り組みを始めました。

 イベントのタイトルは「大地に平和の種をまこう」。憲法9条は国民の宝、米は国民の命。平和と農業を、ともに守っていこうと名づけました。

 参加者は田畑の整地から種まき、田植え、収穫祭と、年間を通じていつでも農作業にかかわることができます。

 収穫時には毎年、20~30人の若者が集まり、取れたてのトウモロコシや枝豆などを、その場で調理して食べたりします。

 この日、友人に誘われて初めて参加した山田学さん(27)=仮名=は、都内の税理士事務所に勤めています。「普段は農業とは全く無縁」だといいます。

 「毎日お金の計算をして、仕事だけで人生終わってしまうのはつまらない。自分が住んでいる街をもっと知りたいし、自然の楽しさを再発見したい」とやって来ました。

国産買い応援
 「この田んぼも3、4年前までは草が生い茂る荒地でした。取り組みを通じて、米や、もち米が収穫できるまでになりました」と話すのは、うたごえサークルの眞船(まふね)光子さん(40)です。子どもたちを連れて参加しています。

 以前は「安ければいい」と、産地にはこだわっていなかったという眞船さん。毎回の農作業に触れ、「多少高くても国産の農作物を買って、農家を応援したいと思うようになりました」と話します。

 鍬(くわ)を持つのも初めての体験だった山田さんは、汗をぬぐいながら言いました。

 「やってみて大変さを痛感しました。こんな重労働なのに、農家は高齢化しているんですよね。(参加して)本当に楽しかった。農家の人たちと知り合えたのも収穫。週末、時間があったら絶対、また来たいです!」

 主催者の熊手さんたちは、「収穫祭だけの参加も大歓迎。1人でも多くの若い人に参加してほしい」と期待を寄せています。

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農業のイメージ変えたい
千葉県農民連青年部事務局 小林千佳子さんの思い
 千葉県農民連青年部事務局で働き、「大地に平和の種をまこう」のイベントにかかわる小林千佳子さん(27)に思いを聞きました。


 両親は専業農家で、スイカやニンジンを作っています。

 周りも農家ですが、親の後を継いで農業をやる人はすごく少ないです。

 「自分たちの大変さを子どもには味わわせたくない」と、子どもには収入の安定した、ほかの仕事につくよう勧める人が多いです。

 でも、本心は継いでほしいのだと思います。自分の畑を手放したくはないし、親は野菜を作ることに誇りを持っています。

 そんな両親の姿を見て、私も何かしら農業にかかわることをやりたいと思っていました。

 実は、私の20歳の妹が農家を継ぐことを選び、両親と一緒に農業をしています。

 今、農家はほんとうにギリギリのところで生活し、何とか経営を守っています。

 政府の、農産物価格を市場任せにするやり方では、とてもやっていけません。

 国は、農業に誇りを持って一生懸命やっている家族経営農家を切り捨てるような政策をすすめるのではなく、応援してほしいと、心から願っています。

 大変な面もあるけれど、物作りは楽しいし、収穫の喜びはとても大きいです。

 多くの青年にこのイベントを通じて、農業のイメージを、良い意味で変えていってもらえたらと思っています。

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「大地に平和の種をまこう」今年の日程
4月12日(日)
 枝豆・トウモロコシの種まき
 ナス・かぼちゃの植え付け
 ※雨天時は19日(日)に延期

5月10日(日)
 田植え
 ※雨天時は17日(日)に延期

7月18・19日(土・日)
 夏の収穫祭

9月27日(日)
 稲刈り(予定)

11月28・29日(土・日)
 冬の収穫祭
 ※種、苗代として参加費500円
 収穫祭は3,000円

 問い合わせ=千葉県農民連
 電話 043(443)9260
 電子メール [email protected]

(出所:日本共産党HP 2009年4月6日(月)「しんぶん赤旗」)

農地法「改正」案
利益本位企業に委ねるな
共産党国会議員団 廃案求め見解

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 日本共産党国会議員団は二十一日、今国会で審議されている農地法等「改正」案について「もうけ本位の農外企業に農地をゆだねるわけにはいかない」とする「見解」を発表しました。

 見解は、同法案が家族経営中心の農業を解体し、食料の自給率向上や環境の保全などに重大な障害を持ち込むとして強く反対し、廃案を求めています。

 同法案の中心は、地域に住み自ら農作業をする者に農地に関する権利(所有権、賃借権)を認めている「農地耕作者主義」をやめ、「効率的な利用」をはかる形式を整えるならば、だれにでも農地を利用できるようにすることにあります。

 党国会議員団農水部会長の紙智子参院議員と「食料・食の安全・農林漁業対策委員会」責任者の高橋ちづ子衆院議員が農水省内の農政クラブと農林記者会で会見、有坂哲夫党農・漁民局長が同席しました。

 紙、高橋両氏は、農村現場視察した経験もふまえ「農地耕作者主義の廃止は、家族農業が果たしている地域農業の維持や環境保全をそこね、時代の要請に逆行している。現在の農地法でも、農業を本気にめざすなら企業をふくめ参入できる。しかし63%は赤字だ。それでも自由化をいうのは農地を別に利用するとの考えがあるからだ」と指摘しました。

 また、耕作放棄地の解消、農地の有効利用のためには多様な農業が必要だとのべ、価格保障と所得補償の充実を柱にした日本共産党の「農業再生プラン」を紹介しました。

農地法等「改正」案についての見解
もうけ本位の農外企業に農地をゆだねるわけにはいかない (上)
日本共産党国会議員団

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 日本共産党国会議員団が二十一日に発表した「農地法等『改正』案についての見解」はつぎのとおりです。

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 いま農地法等の「改正」案が国会で審議されています。農地法の目的まで見直し、農地の貸借を全面自由化し、企業の農業参入に大きく道を開く、一九五二年農地法制定以来の大転換です。

 日本共産党は、法案が、家族経営中心の農業を解体し、食料の自給率向上や環境の保全などに重大な障害を持ち込むものとして、強く反対し、廃案を求めます。あわせて、農地の荒廃をくいとめ、全面的な活用が可能となる農政の実現にむけて国民的な運動を呼びかけます。

“農地は耕作者のもの”という原則を放棄して農地は守れない

 「改正」案の最大の問題は、農地法の根幹である“農地は耕作者のもの”という原則(耕作者主義)を解体するところにあります。みずから農作業に従事するものにのみ農地に関する権利を認めるこの原則は、農家が安心して営農に取り組める基盤となり、農外企業による農地の投機や買い占め、農地の他用途転用にたいする防波堤の役割を果たしてきました。戦後民主主義の原点の一つである農地改革を具体化し、農業と農村社会の安定の土台となってきたものです。

 「改正」案は、第一条の目的から、「耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、…地位の安定…を図る」を外し、「農地を効率的に利用する者…の権利の取得の促進」に置き換えています。「耕作者」という文言をいっさい削除し、「耕作者」の権利を重視する法制度から、「効率的な利用」が図れれば農外企業でも誰でもいいという考え方への転換です。

 今日、農地には食料生産の基盤であるとともに環境や国土の保全、住民の暮らしや就業の場の確保、伝統や文化をはぐくむ地域の共有財産としての役割も求められています。そうした多面的な役割を担ううえでも、もっともふさわしいのが耕作者主義の原則です。「改正」案は、そうした時代の要請に逆行するものといわなければなりません。

「所有権」の自由化に連動するのは必至

 政府は、今回自由化するのは農地の「貸借」に限り、「所有権」については従来の規制を維持するといいます。確かに、農地の権利移転の要件を定めた第三条には「農作業に常時従事する者」以外には許可しないという規定を残しています。しかし、その根拠となる第一条の理念を放棄して、個別条項でいつまでも維持できるのでしょうか。第一条で「農地は耕作者みずから所有がもっとも適当」とする規定を削除したことも、「誰が所有してもいい」という議論になるのは必至です。貸付農地(小作地)の所有を制限する規定を廃止することも、地主的な農地所有や貸出目的による農地取得も自由となりかねません。「改正」案は、農地の「利用権」にとどまらず、「所有権」の自由化に道を開くものとみないわけにはいきません。

“適正利用の監視”で農地は守れるか

 「改正」案では、「必要な機械を保有し」「農作業に従事する人の数」を確保すれば、外資系を含めてどんな企業でも、「貸借」を許可することにならざるをえません。そうした企業は、当面の農業経営は維持しても、利益がでなければ、容易に撤退を選択するか、農地利用を放棄するのは予測できます。政府は、「貸借」は、「適正利用」に反すれば貸借解除する旨の契約を結んだ企業などに限定する、といいます。しかし、貸し手と借り手の双方が貸借の継続を望めば、そうした契約が「不適正利用」の実効ある歯止めにはなりえません。そして、「適正利用」に反する事態が大規模に発生すれば、その解決に多大な時間とコストが必要になるでしょう。

 今回、農業委員会に、農地の利用状況を調査し、「適正」かどうかを判断し、必要な措置をとる役割を与えています。しかし、近年、大規模な市町村合併や委員定数の大幅削減、予算の削減などで農業委員会を弱体化させてきたのも政府です。その現状をそのままに、“入り口”を開放し、「違反したら事後に是正させる」などといっても“絵に描いたもち”になるのは必至です。

農業生産法人への企業参加もいっそう容易に

 「改正」案は、農外企業の農業生産法人を活用した農地進出の窓口も一段と広げています。農業生産法人の制度は、「みずから農作業に従事する」性格が保たれる法人に限って農地取得の道を開いたもので、今日その大半は、農家の共同組織として地域農業で重要な役割をはたしています。ところが近年、「耕作者主義」を貫くために厳格に定められた法人の要件が、財界の要求でたびたび緩和されてきました。関連企業が構成員になる場合、運営・方針などの議決権を一企業10%以下、合計でも四分の一以下に広げられてきたのもその一つです。今回はそれをさらに、一企業10%以下の制限を外し、特定の関連企業の場合には議決権を50%未満まで認めるとしています。農業生産法人にたいする農外企業の実質的な支配をいっそう容易にするものです。

借地農業の実態や関係者の要求とも矛盾

 「改正」案は、標準小作料の制度を廃止しています。農業委員会が地域の実態に即して定める標準小作料は、借地料の目安として借り手・貸し手の双方から高く評価されてきました。その廃止は、農外企業がより高い借地料で農地を集めることを可能にします。賃貸借期間の制限も、「二十年以下」から「五十年以下」に延長しています。所有権に限りなく近い期間です。いずれも、企業参入自由化と一体で財界が要求してきたもので、「利用」重視といいながら、農地を借りて営まれている農業の実態や関係者の要求とは矛盾するといわなければなりません。(つづく)

(出所:日本共産党HP  2009年4月22日(水)「しんぶん赤旗」)
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国と自治体は大企業の内部留保を活用し、製造業を下支えする中小企業支援の政策を

2009-04-22 01:19:28 | 国内経済
中小業者ら悲鳴
仕事パタッと止まった
笠井議員「製造業への支援必要」
東京・大田区

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 経済危機のもとかつてない苦境に立たされている東京都大田区の中小の機械・金属加工業の工場を、日本共産党の笠井亮衆院議員が二十日訪問し、実態を調査しました。これには渋谷要・衆院東京4区予定候補、かち佳代子都議、黒沼良光都議予定候補、藤原幸雄、清水菊美両区議が同行しました。

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 同区の機械・金属加工業は世界のテクノポリス(技術都市)ともいわれてきましたが、経済危機のもと大手の自動車産業、電機産業は仕事の発注を激減させています。下請け中小業者は「経営がどれだけもつかわからない」と訴えています。

 笠井議員らの訪問に、五人の従業員がいる機械加工業者は「昨年十二月から仕事がパタッと止まった。金、土、日曜日と休んでいる。仕事がある日でも目いっぱいはない。仕事が出てくる見通しもたっていない。こんなことはじめてだ」と訴えました。

 従業員六人の機械加工業者も「何とも言葉で言い表せないひどさだ。下請けは必要ないというのか。下支えしているわれわれがだめになるときは日本経済の回復もないということだ」と憤ります。

 「二、三月と仕事はゼロ。それでも工場の家賃とか固定費用は払わなくてはならない。経営の維持に固定費用への補助とか対策を緊急にとってほしい」と研磨加工業者が訴えました。

 聞いていた笠井議員らは、「政府の経済危機対策は大手向けで、中小企業のところには回ってこない。今必要なのは、製造業を下支えする中小への支援だ」と語りました。そして「国会でも自治体でも正面から問題を取り上げ全力で取り組みたい」とのべました。

けいざいそもそも
内部留保ってなに

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 巨額にのぼる大企業の「内部留保」の活用が、雇用や下請けの営業を守るための「体力」として期待されています。この「内部留保」とはどんなものなのでしょうか。(吉川方人)

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社内に残った利益

 財務省の「法人企業統計年報」の担当者は、「『法人企業統計年報』では内部留保を『当期純利益』から『配当金』を差し引いたものと定義しています」といいます。

 つまり、それぞれの期間に企業が稼いだ利益から株主への配当金を除いたものです。配当金は社外に流出しますが、それ以外の部分の利益は社内に残されます。これは、利益の面から見た内部留保の定義です。

 また、「法人企業統計年報」では、資金調達の面からみた内部留保の定義もしています。

 財務省の担当者は、「資金調達には、株式、社債などの発行で外部からお金を調達する外部調達と、社内からの資金調達があります。内部留保は社内調達資金に分類されています」といいます。

狭義と広義がある

 資金調達の面から見た場合、財務省の内部留保の定義は、利益剰余金、その他資本剰余金、引当金、特別法上の準備金、土地の再評価差額金、金融商品に係る時価評価差額金、自己株式の増減額、その他の負債(未払金等)の増減額の合計とされています。

 このうち、利益剰余金は、繰越利益などを積み上げたもので「狭義の内部留保」といわれます。その他、実際には支出していないのに隠し利益として企業内に蓄えられている引当金や準備金などを加えたものが「広義の内部留保」といわれます。企業の決算で貸借対照表上のこれらの項目を合計すれば、内部留保の積み上げ額が計算できます。

大企業ほど大きい

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

(出所:日本共産党HP  2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」)

中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを
全商連 5つの緊急要求

 全国商工団体連合会は十六日、「中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを」との緊急要求を発表しました。

 従来の経済対策を抜本的に転換させ、「草の根から地域経済再生」を図る五項目を提案しています。(1)個人消費を拡大するため消費税を直ちに減税し、社会保障予算を大幅に増やし雇用を守る(2)中小業者に必要な資金をまわす緊急対策(3)自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し仕事を増やす(4)大企業の一方的な下請け切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請製造業を支援する(5)不公平税制の是正、大企業の内部留保の活用。

 とりわけ、緊急保証を全業種に広げ返済・据置期間を延長する。「貸し渋り」「貸しはがし」の防止。工場家賃など固定費補助、休業補償の制度創設。仕事おこしでは学校関連施設の耐震化など分離分割発注で地元中小業者にまわす。商店、飲食店の消費拡大のためプレミアム付商品券の普及支援―などを示しています。

 西村冨佐多(ふさお)副会長、中山真常任理事が記者会見。西村氏は、「百年に一度の経済・金融危機で苦境にたつ中小業者の切実な要求をまとめた」と述べました。会見に先立ち、「緊急要求」を中小企業庁、金融庁に提出。今後、関係省庁、各政党に要請するとしています。

(出所:日本共産党HP 2009年4月17日(金)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

賃上げといっても中小企業は大変では?

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 〈問い〉春闘で組合が「賃上げこそ景気回復の道」と訴えていますが、企業経営を圧迫しませんか。中小企業は大変では?(兵庫・一読者)

 〈答え〉労働組合が「雇用と賃上げ」が景気回復の道と要求しているのは、今日の貧困と雇用破壊、経済の落ち込みの元凶が、「構造改革」路線による賃金抑制と、増税や社会保障などの負担増で国民生活が圧迫されてきたからです。

 この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。賃上げをしたからといって、経営を圧迫し、経済が立ち行かなくなるわけではありません。不況を打開し、経済を立て直すうえでも、いまこそ大企業が内部留保を活用して賃上げも雇用も確保することが不可欠です。

 体力のない中小企業は、大企業のようにいきませんが、賃上げで国民の懐を温め、雇用を安定させることが内需を拡大し、経営改善にもつながることは明らかです。むしろ大企業による単価の買いたたきなどの下請けいじめや大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、資金供給への責任を果たさせることが政治に求められています。

 日本共産党は、大企業による中小企業いじめや規制緩和の是正、金融や税制の改善、中小企業への賃金助成など緊急対策を政府に提案しています。全企業の99%を占める中小企業への支援を手厚くすることは、経済を活性化させる原動力にもなります。大不況のときこそ、国と地方の税金の使い方を、労働者の雇用やくらしを守る方向に改めることが求められています。

 全労連に参加する中小企業の労働組合も、こうした考えから「たたかう提案型運動」(全労連全国一般)、「合意協力型労働関係」(JMIU)、「トラック労働者の賃金・労働条件改善と一体で輸送の安全と業界秩序の確立、中小企業の経営環境改善追求」(建交労)などの方針でたたかっています。(加)

(出所:日本共産党HP 2009年3月25日(水)「しんぶん赤旗」)
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大企業と中小企業が共存共栄するルールある経済社会をー全商連が志位委員長に要請ー

2009-04-19 00:34:27 | 国内経済
中小企業が主役の経済対策を
全商連が志位委員長に要請

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 全国商工団体連合会(全商連)の国分稔会長、西村冨佐多(ふさお)副会長、岡崎民人事務局長らは十六日、経済・金融危機突破へ全商連がまとめた五つの緊急要求について、国会内に日本共産党の志位和夫委員長を訪ね、実現へ協力要請をし懇談しました。

 国分会長らは仕事量の減少が深刻な埼玉県川口市内の製造業の中小業者の実態調査の結果も示しながら、「全事業所数の九割、雇用の七割を占め、わが国経済の中心的役割を担う中小企業が元気になることなしに危機打開と地域再生はありえない」と強調。「個人消費を拡大するため、消費税の減税と社会保障予算を増やし、雇用を守る」「自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し、中小業者の仕事を増やす」など五つの緊急要求について協力を要請しました。

 志位委員長は五項目の要求一つひとつにふれながら「要求については全面的に賛成です」と応じました。そして政府の「経済危機対策」は従来型の巨大開発優先であり、これを切り替え、中小企業対策に財政出動をし、国民の懐をあたためる経済対策を提起していきたいとのべました。

 その上で志位委員長は、下請製造業への「緊急休業補償制度」の実施や工場の家賃補助などの固定費補助、さらに雇用調整助成金制度の拡充、消費税の減税と免税点をもとに戻すなど具体的な「緊急要求」の内容にふれながら、実現に奮闘したいとのべました。そして「経済の主役である中小企業が元気になる経済対策実現へともに頑張ろう」とよびかけました。

 懇談には吉井英勝衆院議員が同席しました。

 全商連は十七日も引き続き各党に要請します。

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中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを
全商連 5つの緊急要求

 全国商工団体連合会は十六日、「中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを」との緊急要求を発表しました。

 従来の経済対策を抜本的に転換させ、「草の根から地域経済再生」を図る五項目を提案しています。(1)個人消費を拡大するため消費税を直ちに減税し、社会保障予算を大幅に増やし雇用を守る(2)中小業者に必要な資金をまわす緊急対策(3)自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し仕事を増やす(4)大企業の一方的な下請け切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請製造業を支援する(5)不公平税制の是正、大企業の内部留保の活用。

 とりわけ、緊急保証を全業種に広げ返済・据置期間を延長する。「貸し渋り」「貸しはがし」の防止。工場家賃など固定費補助、休業補償の制度創設。仕事おこしでは学校関連施設の耐震化など分離分割発注で地元中小業者にまわす。商店、飲食店の消費拡大のためプレミアム付商品券の普及支援―などを示しています。

 西村冨佐多(ふさお)副会長、中山真常任理事が記者会見。西村氏は、「百年に一度の経済・金融危機で苦境にたつ中小業者の切実な要求をまとめた」と述べました。会見に先立ち、「緊急要求」を中小企業庁、金融庁に提出。今後、関係省庁、各政党に要請するとしています。

(出所:日本共産党HP 2009年4月17日(金)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

賃上げといっても中小企業は大変では?

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 〈問い〉春闘で組合が「賃上げこそ景気回復の道」と訴えていますが、企業経営を圧迫しませんか。中小企業は大変では?(兵庫・一読者)

 〈答え〉労働組合が「雇用と賃上げ」が景気回復の道と要求しているのは、今日の貧困と雇用破壊、経済の落ち込みの元凶が、「構造改革」路線による賃金抑制と、増税や社会保障などの負担増で国民生活が圧迫されてきたからです。

 この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。賃上げをしたからといって、経営を圧迫し、経済が立ち行かなくなるわけではありません。不況を打開し、経済を立て直すうえでも、いまこそ大企業が内部留保を活用して賃上げも雇用も確保することが不可欠です。

 体力のない中小企業は、大企業のようにいきませんが、賃上げで国民の懐を温め、雇用を安定させることが内需を拡大し、経営改善にもつながることは明らかです。むしろ大企業による単価の買いたたきなどの下請けいじめや大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、資金供給への責任を果たさせることが政治に求められています。

 日本共産党は、大企業による中小企業いじめや規制緩和の是正、金融や税制の改善、中小企業への賃金助成など緊急対策を政府に提案しています。全企業の99%を占める中小企業への支援を手厚くすることは、経済を活性化させる原動力にもなります。大不況のときこそ、国と地方の税金の使い方を、労働者の雇用やくらしを守る方向に改めることが求められています。

 全労連に参加する中小企業の労働組合も、こうした考えから「たたかう提案型運動」(全労連全国一般)、「合意協力型労働関係」(JMIU)、「トラック労働者の賃金・労働条件改善と一体で輸送の安全と業界秩序の確立、中小企業の経営環境改善追求」(建交労)などの方針でたたかっています。(加)

(出所:日本共産党HP 2009年3月25日(水)「しんぶん赤旗」)
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