[写真]立憲民主党の辻元清美国対委員長(中央)ら、きのう2018年5月29日、衆議院内で、宮崎信行撮影。
「腕縛っていい?」のセクハラ暴言で、財務事務次官が更迭されるという、常識が壊れる事態となった、第196回通常国会。きょうは女性議員の活躍が目立った一日でした。辻元清美国対委員長は、きのう、野党各党をまとめて、大島理森議長に対して「働き方改革関連法案」(196閣法63号)の委員会差し戻しを要求。これを受けてか、自民党の森山裕国対委員長は、同法案の本会議採決を先送りしました。正直言うと、辻元委員長も一杯一杯な風情でしたが、議会政治というものは必ず相手がありますから、大島議長、森山委員長、20年国対委員長をやっている共産の穀田恵二さんらが辻元さんを支えている構図だろう、と思われます。
参議院文教科学委員会は女性議員7人が連投する格好となり、日本相撲協会広報部長(横綱)に土俵の女性の立ち入り禁止について質問。参議院厚生労働委員会では、今井絵理子さんが「児童扶養手当は毎月支給にしてほしい」とひとり親世帯の声を代弁。その一方で、ある女性議員が「子供が中一。きょうは母親の立場を代弁して」としながら、私立開成中学校の入学試験が難しいと単なる愚痴にしか思えないことを文部科学大臣に問うなど、終盤国会らしい人間らしさがありました。
【衆議院本会議 平成30年2018年5月29日(火)】
「働き方改革関連法案」(196閣法63号)の採決は、緊急動議が出て、次回以降に延期することが全会一致で決まりました。これについては、今朝からの会期延長情報を裏付けたとの見方もできます。
本会議はまず、10月1日の京都市移転を前提にした「文部科学省・文化庁設置法改正案」(196閣法26号)を共産の反対、自民・公明・立憲・国民などの賛成多数で可決し、参議院に送りました。
「船舶リサイクル香港条約国内実施法案」(196閣法53号)は、500トン以上の船の解体時に有害物質一覧表をつくることなどを義務付ける法律案で、全会一致で可決し、参議院に送られました。
「民法18歳成年法案」(196閣法55号)。これは成立しても、施行日は2022年4月1日(金)とまだ先です。今国会は、政党再編があり、本会議での討論が少ないような気がしますが、この法案採決には、5会派が討論に登壇しました。自民党の藤原崇さんの賛成討論では、民主党が賛成していたとして、反対に回った、立憲や国民を批判しました。採決の結果、立国共などの反対、自公などの賛成多数で可決し、参議院に送られました。
【衆議院財務金融委員会 同日】
前日、予算委で、森友国有地のごみ1・5億円は財務省が持ち掛けた、という私としては衝撃的な「結末」がありました。国政復帰直後から理財局を追求してきた、立憲の川内博史さんは「廃棄したと答弁していた交渉記録があるんじゃないかな、とみんな思っていたけれど、やはり出てきて900ページの文書を目の前にして、当然だなという気持ちと、驚きで、複雑な気持ちだ」と、財務省主導による常識破壊の印象を代弁しました。一般質疑のみで散会。
【衆議院議院運営委員会 同日】
議長からの指示があり、議題の一部をあさってに延期することを決定。
【参議院内閣委員会 同日】
●PFI法改正案は後回しにして、地方分権一括法案を審議入り。
政府が参議院に先に提出した、「地方分権第8次一括法案」(196閣法54号参先議)が趣旨説明されました。前京都府知事の山田知事会長のもと、内閣府で第1次から第8次までまとめてきた、県から市への枠づけ紐づけの移譲法。今次改正法案は、一定の条件のみの認定こども園で、県から中核市に権限をおろす。そういった内容のようで、内閣府主導の改革もそろそろ、かえって複雑にするところに来たな、そろそろ打ち止めではないか、という気がしました。
2週前に衆議院から送られてきた「PFI法改正案」(196閣法18号)の審議入りは先送りされました。延長しなくても成立する公算と言えるでしょうが、PFI・水道・特区といった「新自由主義」法案は、延長しても一部が審議未了廃案になるとみられます。
●参議院総務委員会はありませんでした。
●参議院法務委員会もありませんでした。
【参議院外交防衛委員会 同日】
一般質疑のみ。きょねんの松野博一文部科学大臣といい、ことしの小野寺五典防衛大臣といい、部下を守りながら情報を出させる大臣を見ていると、政治主導が最も求められるのが、行政文書の公開であり、それこそ権力そのものだなと感じます。「TPP11」(196条約11号)は吊るされているんだろうと思いますが、きょうは一般質疑のみで散会。
【参議院財政金融委員会 同日】
一般質疑。
【参議院文教科学委員会 同日】
既に他のエントリー記事(
第62代横綱大乃国の芝田山親方、「青木参考人」として「女人禁制はけっして女性差別ではなくむしろ応援してもらっている」「アンケートをする時間を与えてほしい」と答弁)、
にも書きましたが、土俵の女人禁制について、太田房江元大阪府知事が、芝田山親方に質疑。これ数か月前だったら、ワイドショーが大変だったろうなと思います。9人が質疑して、うち7人が女性でした。国民の伊藤孝恵さんは、「ラン活」と呼ばれる、小学校入学前のランドセル調達などの学用品をめぐる環境の変化にふれました。
最後に、「文化財保護法改正案」(196閣法35号)が趣旨説明され、散会。
【参議院厚生労働委員会 同日】
「生活困窮者自立支援法改正案」(196閣法20号)がみっちり審査されました。上述の通り、自民党の今井絵理子さんが児童扶養手当の毎月支給を求めました。この法案の改正項目では2か月ごとの支給にとどまっています。私、たまたま、きのう児童扶養手当法の支給に収入の要件が無いということを調べていたので、今井さんの発言はすんなり受け止めました。
【参議院農林水産委員会 同日】
まず、一般質疑から。最後に、衆議院から全会一致で送られてきた「土地改良法改正案」(196閣法50号)が趣旨説明され、散会しました。衆議院からは「卸売市場法改正案」(196閣法40号)が与野党の賛否が分かれた対決法案として送られてきています。「新自由主義」系の法案が延長に前後した最終盤に審議されることになりそうです。
【参議院経済産業委員会 同日】
「省エネ法改正案」(196閣法51号)が審議入りしました。
【参議院国土交通委員会 同日】
まず、石井啓一国交相が、森友問題で、国交省は6・7億円と見積もったごみを、財務省から「将来にわたって瑕疵が無いようにしたい」と言われて、8・2億円にしたことを報告しました。
この後、「所有者不明土地の利用促進特別措置法案」(196閣法52号)が趣旨説明され、審議入りしました。
【参議院環境委員会 同日】
「気候変動適応法案」(196閣法27号)の各会派の質疑があり、次回も続けることにして、散会しました。
このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2018年、宮崎信行。
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Miyazaki Nobuyuki