[画像]きょうの官報号外から一部をスクリーンショット、赤線は筆者が加筆。
政権再交代後の「特定秘密保護法」「労働者派遣改悪法」「安保法」との相対的な比較では、さしたる重要法案はない国会ですが、森友加計の2年越しの炎上で、構造改革系の法案の審査が大幅に遅れています。
特区はもうやめましょう。
下述しますが、きょうの参議院内閣委員会では「地域再生法改正案」(196閣法7号)が審議入り。偶然ですが、きょうの官報では現行の地域再生法にもとづく、計画の変更が安倍晋三内閣総理大臣の名で告示されました。総理大臣が官報で「地域再生法第7条第2項にもとづく特例だ」と発表したわけですから、完全に合法です。たくさんある中で、一つ見つけたのは、大分県別府市全域が「特区」となった、「日本中の癒しをすべて集めたまち‐温泉と医(いや)しと学びの誘い‐」。この「‐(ハイフン)」を使った副題や、「医し」と書いて「いやし」と読ませるところ。手が凝っていますが、「癒し」と「医し」を集めた温泉のまち、って合法な自治体の特区としてはスレスレですよ。四半世紀前の「野菜スープを飲めばがんが治る」並みの怪しさで、病気に悩む親子が行くようなことがないよう望みたいところです。地方創生推進交付金(ひと・まち・しごと交付金)が支給されるようですが、こんなのは、基幹税の法定譲与率を1%上げろと市長会が働きかければ済むような金額でしょう。
衆議院では、TPP11の審議が大詰めに近づきつつあり、参考人は賛否両論、首相入り質疑もありました。参議院では、1か月かけて審議した参議院先議の法案が可決。農林水産委員会は法案採決後に、直ちに「森林経営管理法案」(196閣法38号)を趣旨説明する突貫工事となっており、農水省執筆法案の今国会の当初会期内成立はほぼ絶望的な情勢。いわゆる六法が全部ひらがなになる法律はあす成立し、おそらく来年4月1日に施行されそうです。
【参議院第1種常任委員会 平成30年2018年5月17日(木)】
【参議院内閣委員会 同日】
上述の通り、梶山弘志・地方創生・特区大臣が、「地域における大学振興法案」(196閣法5号)と「地域再生法改正案」(196閣法7号)を趣旨説明。自民党の委員長に代わったことで強気になったこともあるのでしょうか、自公は速やかに法案審査をして、散会しました。文教科学委員会と連合審査をすることも決めました。
【参議院法務委員会 同日】
「商法など改正案」(196閣法12号)は全会一致で可決すべしと決まりました。あすの本会議で可決・成立のはこび。ヤマト運輸・日本郵船・アマゾンなどにとっては一部配慮する法改正も盛り込まれているようです。
【参議院厚生労働委員会 同日】
「医師法・医療法改正案」(196閣法60号参先議)は、共産党のみの反対、自民党、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会などの賛成多数で可決すべしと決まりました。ちょうど1年前も参先議の厚労委員会の法案が参議院で可決しましたが、その後、完全廃案となりました。今回は共産党のみ反対ですが、1か月間、この審議に費やしたことになります。
【参議院農林水産委員会 同日】
「農林年金廃止法案」(196閣法37号)が全会一致で可決すべしと決まりました。あす成立。
●森林環境税の法案、突貫工事で与党審議入り。
採決直後にそのまま、農相が前日の本会議に続き委員会でも「森林経営管理法案」(196閣法38号)を、「独立行政法人森林漁業信用基金法改正案」(196閣法39号)とあわせて趣旨説明しました。森林環境税の理念法となる法案で、衆議院の委員会でも2週間かかっています。突貫工事で、農水省提出法案の会期内成立を与党はめざすかまえ、にみえます。
【参議院国土交通委員会 同日】
「交通バリアフリー法改正案」(196閣法23号)は全会一致で可決すべきだと決まりました。あす成立。
【参議院文教科学委員会 同日】
「著作権法改正案」(196閣法28号)が共反対、自公国立など各党の賛成多数で可決すべきと決まりました。あす成立。この法案は今国会で審議されている「TPP」「文化庁京都移転」「文化財」の議題とは別の法案です。これとは別に内閣委員会で審査中の、東京圏の大学定員を10年間上限をかぶせる法案について、連合審査会をするてはずを整えて、散会しました。
【参議院外交防衛委員会 同日】
「BEPS条約の承認案」(196条約4号)は全会一致で、「日本デンマーク租税協定」(196条約8号)「日本アイスランド租税協定」(196条約9号)は共産党以外の各党の賛成多数で、承認すべきものと決まりました。
●参議院財政金融委員会は無し。
●参議院総務委員会は無し。
●参議院環境委員会は無し。
【衆議院内閣委員会 同日】
●参考人激突、首相入り質疑も、野党、採決時期をめぐりけん制。
朝8時15分開会。「TPP11締結に伴うTPP12国内実施法の施行日前倒し法案」(196閣法62号)について、参考人質疑がありました。どちらかと言えば条約承認案への賛否でしたが、積極的に賛成する東大教授と、PARCアジア太平洋資料センターの内田聖子さんらと、賛否が激しく対立しました。参考人に対する質疑の後、午後からは首相入り質疑。野党からは採決時期をさぐる発言が相次ぎました。与党はあす以降、条約とともに衆議院通過に向けた大詰めの攻防に移るとみられます。
【衆議院憲法審査会 同日】
今国会最大の焦点だった、憲法改正案の発議。ただし自民党の4項目の整理への異論噴出や、内閣・省庁をめぐる不信感の高まりで、スケジュール感がずれ込んできています。きょうの審査会は、幹事(理事)を補充して、7分間で散会しました。
【衆議院災害対策特別委員会 同日】
そんななか、「災害救助法改正案」(196閣法65号)が、すんなり審議入り。小此木八郎・防災担当大臣が趣旨説明し、次回は後日となりました。当初の予定にはなかったものの、小此木国家公安委員長が答弁した改正古物営業法がすんなり成立したことで、追加提出となりました。ある意味傑作で、警察庁は「道路交通法改正案」を追加提出したい、内閣府防災は「災害救助法改正案」を追加提出したい、としていましたが、改正古物営業法は警察庁でしたから、警察庁が「お先にどうぞ」と譲ったように見えます。小此木さん同期当選の菅義偉官房長官を追いかけますが、小此木さんは菅さんより17歳も年下ですから、古き良き自民党を受け継いでいるように感じます。
【衆議院総務委員会 同日】
「統計法など改正案」(196閣法34号)が共反対、自公立国などの賛成多数で可決すべしと決まり、衆議院本会議に上程へ。共産党は、個人情報保護への配慮が足りないと批判しました。
【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
「消費者契約法改正案」(196閣法31号)の法案審査が続きます。
【衆議院原子力問題調査特別委員会 同日】
原発銀座を選挙区とする、自民党の高木毅さんが委員長です。
まず、引き続き、アドバイザリーボードが設定済みだと、発表されました。
この後、原子力規制委員会委員長らの報告に対する質疑がありました。
【衆議院決算行政監視委員会 同日】
「平成28年度予備費使用総調書」について承諾すべしと決まりました。
議案ごとに賛否が分かれました、衆議院では議案番号は振っていませんが、参議院は議案番号を振っています。参議院の議案番号でいうと、195承諾1号「一般会計熊本地震復旧予備費使用総調書」と195承諾3号「特別会計増減総調書」は全会一致で承諾すべきものと決まりました。195承諾2号「一般会計使用総調書」は共産党が沖縄基地関連の予備費支出を問題視し反対。それ以外の各党の賛成多数で承諾すべしと決まりました。本会議に上程し採決後に、参議院に送付へ。
●衆議院本会議は定例日ですが、ありませんでした。
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Miyazaki Nobuyuki