宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆では今国会初の全会派修正で「老いの不安に付け込む商法」を消費者契約法改正案に追加、TPP法案可決、ギャンブル依存症審議入り、衆厚生労働委員長解任決議案提出

2018年05月23日 23時17分29秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 内田前監督の記者会見を見ていて、投稿が遅い時間となりました。

 おととい役所作成の「大臣の本会議答弁を修正する案のペーパー」で採決が流れた「消費者契約法改正案」(196閣法31号)は午後5時50分過ぎの審議再開でも混乱が続きましたが、自民党・公明党・立憲民主党・国民民主党・無所属の会・共産党・維新の与野党6党が共同で「デート商法だけでなく、老いの不安に付け込む商法」も加えたうえで、全会一致で修正議決。55年体制の中ごろから「政治家より頭が良い」官僚たちの不手際を、国会が止めたという朗報がありました。

 「働き方改革関連法案」の政府案などの審議では、総理入り質疑が終わった直後に、厚生労働委員長解任決議案が提出され、ストップ。

【参議院本会議 平成30年2018年5月23日(水)】

 日本工業規格(JIS)を日本産業規格(JIS)に変える法律が成立しました。公布の日から起算して1年6か月以内の政令で定める日に施行。内閣などが付けた法案名は「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」。当ブログでは、「不競法・JIS法・特許法・商標法・弁理士法の一括改正法案」(196閣法30号)と呼んできました。委員会審査が終わり、本会議採決。投票総数233、賛成219、反対14の賛成多数で可決し、成立しました。JISをサービス業に広げて「おもてなし」認証で過労死しないようにしてください。

 これに先立ち、「気候変動適応法案」(196閣法27号)が審議入り。参議院で議運委員長などをつとめた、中川雅治環境大臣に拍手がわきました。代表質疑が終わり、あすから委員会審査となります。参議院環境委員会は、前回の法案可決後、14定例日連続で開かれていませんでしたが、あすは2か月ぶりに開店し、この法案を審議するようです。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「TPP11締結に伴うTPP12国内実施法施行日の前倒し法案」(196閣法62号)が立共などの反対、自公などの賛成多数で可決すべしとの委員会審査報告となりました。今週初めに、抵抗野党の感じもする立憲民主党があおりましたが、既に成立している法律の前倒しです。もちろん、TPP11ではルール分野は凍結されたので、法律のうち10程度の改正項目を前倒しするのは、国民を「縛っていい?」という自民党政府の横暴です。私はこういうやり方はゆるせません。マルキン牛豚国内農家の赤字9割補てんは、良し悪し別として、戦後の農林水産省は、法的裏打ちなく予算措置を施してきました。JAがあっせんして、農家がJAバンクに補助金を受ける。翌年は、「自民党農林族の先生方、来年度もよろしくお願いします」と頭を下げる。とはいえ、この構造なので、必ずしも、法案がなくても牛豚農家保護はできます。「TPPの法案」とあおる、立憲民主党。きょうの討論でも、立民の大河原雅子さんが条約の内容を批判しました。

 この後、自民党の中谷元さんが筆頭発議者の「ギャンブル依存症等対策基本法案」(196衆法20号)と立憲の初鹿明博さんが筆頭発議者の「ギャンブル依存症対策基本法案」(195衆法6号)が趣旨説明され、審議入りしました。そのまま、質疑も行われました。あすは参考人質疑。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 重要広範議案の「通過儀礼」である総理入り質疑が終わった直後に、高鳥修一・厚生労働委員長解任決議案が本会議に提出されました。午前中の一般質疑に続いて、議題となった「働き方改革関連法案」(196閣法63号)と「立憲対案」(196衆法17号)「国民対案」(196衆法14号、15号、16号)の採決は先送りとなりました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

  既に別エントリー(

消費者庁の福井照大臣「なにとぞご容赦を」と本会議議事録かってに修正案配布事件を陳謝

)にも書いていますが、「消費者契約法改正案」(196閣法31号)。おとといのペーパーをめぐる混乱で、午後6時から8時半にかけて、野党各党が対応を激しく批判しながら質疑。衆議院側では今国会初めて、自公立国無共維の7党共同の修正案が提出されました。これは、法案の類型のなかに、デート商法、恋愛商法に加えて「加齢による心身の衰えへの不安に付け込む商法」も事後での無効にできる法定事項(民法の特別法)とするものです。全会一致で、「修正すべし」と可決しました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「所有者不明土地の利用の円滑化のための特別措置法案」(196閣法52号)が共反対、自公立国などの賛成多数で可決すべし、となりました。

 「船舶リサイクル適正実施のための香港条約の国内実施法案」(196閣法53号)が趣旨説明され、散会しました。

【衆議院経済産業委員会 同日】
 
 「省エネ法改正案」(196閣法51号)が全会一致で可決すべし、と決まりました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 「文部科学省・文化庁設置法改正案」の質疑終局。法案そのものの中に「京都市」の文字は入っていませんが、社民党の吉川元さんの質疑に答えて政府参考人は、予算定員が20名増えると明かしました。定員外の職員を減らすとしました。京都市には170名が居て、霞が関には80名が残るとしました。このほか、この法案で権限が拡張する著作権法をめぐる行政で、他省も含めて整理が必要だとする認識が委員から指摘されました。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法改正案」(196閣法40号)の参考人質疑などがありました。

 無所属の会の大串博志さんは「もともとは、卸売市場法廃止法がでる予定だったのではないか」とし、複数の議員、複数の参考人からなぜ法改正するのか分からないという意見が出されました。開設者が「認可制」から「認証制」になることで、民間企業が参入するかどうかは「増えるかもしれないが、あまり変わらないのではないか」との見通しが参考人から示されました。「法案の条文が市の条例よりも条文数が少ない。政省令委任が増えるのではないか」「廃案が一番良い」との参考人もいました。

【参議院行政監視委員会 同日】

 総務大臣や、総務省行政評価局長がここ1年間の行政評価の状況を説明しました。質疑は後日。

 衆議院では決算・行政監視委員会となっていますが、参議院では決算委員会に会計検査院長、行政監視委員会に行政評価局長が出席しています。

【参議院憲法審査会 同日】

 会長代理に、国民民主党の大島九州男さんが選ばれました。

このエントリーの本文記事は以上です。

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消費者庁の福井照大臣「なにとぞご容赦を」と本会議議事録かってに修正案配布事件を陳謝

2018年05月23日 18時00分04秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[画像]福井照大臣、2018年5月23日、衆議院本会議インターネット審議中継。

 消費者庁が、福井照大臣の衆議院本会議での答弁の議事録の「修正案」とするペーパーを、消費者問題特別委員会で、「無所属の会」の黒岩宇洋委員だけに配っていた、謎の事件で、大臣が全面陳謝と委員会答弁の全撤回に追い込まれました。

 消費者庁は「大臣本会議答弁の修正について」と題したペーパーを大臣と黒岩委員の2人だけに配布。両者がお互いに読み上げながら質疑をしたところ、与野党から「もらっていない」との声が相次ぎました。委員会は、そのまま休憩して、散会しました。

 そもそも、本会議議事録の修正は、議院運営委員会の理事が議運にはからねばならないもの。「修正」という言葉を使ってしまったのは、役人の浅知恵でしょうが、委員会中にもらったペーパーをそのまま読み上げた福井大臣の対応にも批判がでました。

 きょう平成30年2018年5月23日(水)の消費者問題に関する特別委員会は、午後5時45分過ぎに、開会。自民党の桜田義孝委員長が「政府の不適切な対応に十分な反省を求める」と遺憾の意を表明。

 福井大臣は消えいりそうな小さい声で「衆議院本会議での答弁を訂正するかのような、私の誤った委員会答弁と消費者庁の不適切な対応で、委員会を混乱させたことをお詫びする」「本会議での答弁を修正するかのような発言をした委員会での答弁を撤回する」としました。合計3回謝罪し、最後に「なにとぞご容赦いただき、ご審議いただきますようよろしくお願いします」と異例な文言で、委員会審議を再開するよう、与野党に謝罪しました。

 福井大臣は、「社会生活上の経験が乏しい者の定義とはなにか」との問いに対する本会議での答弁と委員会での答弁に、齟齬があるのではないか、と問われていました。そこで、役人が「修正案」と題したペーパーを大臣と委員に渡したところ、大臣がそのまま読み上げてしまったようで、副大臣も知らなかったとしました。

 「消費者契約法改正案」(196閣法31号)は、時代の変化が激しい為おおよそ1年半に1回程度改正されており、今次改正案はデート商法での無効規定を盛り込むなどしています。当初は、おとといに、全会一致で可決すべしとなるのではないかとの見通しがありました。きょうの審議は、午後8時20分過ぎまで続く見通しですが、大臣と与野党による委員会正常化ができるかどうかは、やや不透明でした。最終的には、午後8時半過ぎに、「老いにつけこむ商法も無効にする」との修正案を、与野党が加えて、全会一致で可決しました。

 新卒一括採用終身雇用の霞が関ですが、消費者庁は8年半と「若い官庁」。若い官庁では、過去20年近く、金融庁がよく頑張っている、と評価されています。消費者庁は、前回の附帯決議での見直し規定の年が近づいているとして改正法案提出を与野党理事に説明して回る丁寧な国会対策で、ほとんど全会一致での成立を実現させ、特定財源ともいえる課徴金制度の新設にも成功しています。

【追記 2018年5月24日 午前9時】

 内容を付け加えました。 

【追記終わり】

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