宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参では基本六法をすべて口語ひらがな化する改正商法が成立し来年施行へ、衆では気候変動適応法案が委員会を通過

2018年05月18日 18時54分55秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]衆議院第一議員会館1階の喫茶店「マリーベル」のビーフカレーとアイスコーヒー、向かい側は首相官邸、今月2018年5月、筆者・宮崎信行撮影。

 連休明け・審議拒否明けの第2週が終わりました。残り4週半。TPP11承認案(196条約11号)が衆議院を通過しましたので、憲法の規定などから、安倍晋三首相が今夏前後に、TPP11に批准し、おそらく年明け早々にも発効する見通しが極めて有力となりました。これは歴史的な手柄になるでしょう。

 ただ、私見を言えば、きょうをもって、残り1か月間「閉会」状態でもいいというよりも、むしろ好ましい日本がつくれるのではないかとかなり強く思います。「安保法・労働者派遣改悪法国会」「共謀罪国会」に比べると、野党6党が力を合わせて阻止する法案は少ない。残り1か月間、一人ひとりの有権者の中でも、そこそこの仕分けがあっていいところだと考えます。

 かけひきがありました(茂木敏充・内閣府TPP大臣不信任決議案提出さる、辻元清美・国対委員長が奇策、会期末に向けて「IR」「特区」で重大局面)。5会派共同提出ですが、かなり秘密裏のシナリオだと思われます。はっきり言って、1か月後にはそんなことがあったことを忘れているような話なのですが、来週水曜日ごろまでは内閣委員会関係が混乱します。

 この記事では、逆に、きょう何が成立したか、出口側から振り返ります。

【参議院本会議 平成30年2018年5月18日(金)】

 5本の法案が採決され、可決し、4本が成立、1本は衆議院に送られました。3条約が承認されました。1本の法案が新しく参議院で審議入りしました。

 「BEPS条約の承認」(196条約4号)は投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で承認されました。
 「日本デンマーク租税協定の承認」(196条約8号)と「日本アイスランド租税協定の承認」(196条約9号)は投票総数233、賛成219、反対14で承認されました。

 「改正農林年金廃止法」(196閣法37号)は、投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。

 「改正商法」(196閣法12号)は、投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。基本六法がすべてひらがな口語化されます。施行日は、来年1月1日や、来年4月1日などの方向性で、閣議決定に委任されました。

 「改正著作権法」(196閣法28号)は、投票総数232、賛成218、反対14の賛成多数で可決し、成立しました。

 「改正交通バリアフリー法」(196閣法23号)は投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。

 参議院で先に審議された、「医療法及び医師法改正案」(196閣法12号参先議)は、投票総数233、賛成219、反対14の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。衆では、働き方改革関連法案が紛糾していますので、成立は五里霧中。

 本会議の冒頭では、衆議院で可決した、「生活困窮者自立支援法改正案」(196閣法20号)を加藤勝信大臣が趣旨説明し、各党からの代表質問と答弁をしました。

【衆議院本会議 同日】

 「土地改良法改正案」(196閣法50号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。私ははじめ、選挙対策法案だと思っていましたが、審議によると、そもそも農業者が高齢化・自然減していることが一番の立法事実だったようです。

 「統計法など改正案」(196閣法34号)は、賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 「平成28年度予備費使用総調書」は、共産党が一般会計の予備費の基地関連の支出に反対しましたが、それ以外の歳出は、全会一致で承諾され、参議院に議案が送られました。

 この後、議事進行係の田野瀬太道さん(自民党)が「ギチョー!」と叫び、緊急動議を提出。

 午前中に委員会での審査を終えた2つの議案のうちの1つである、「TPP11条約承認案」(196条約11号)が緊急に議題になりました。採決に先立つ討論では、立憲民主党、国民民主党、共産党が各々反対を表明。採決では、賛成多数で承認しました。

【衆議院外務委員会 同日】

 「TPP11条約承認案」(196条約11号)について、中曽根康隆さんらが質疑。討論の後、採決で立憲民主党・国民民主党・無所属の会・共産党の反対、自公などの賛成多数で、承認すべきものと議決しました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 「文化財保護法及び地方教育行政組織法改正案」(196閣法35号)が共反対、自公立国賛成多数で可決すべきものと決まりました。本会議上程は来週。
 「文部科学省・文化庁設置法改正案」(196閣法26号)が趣旨説明され、審議入りしました。質疑は来週。

【衆議院環境委員会 同日】

 「気候変動適応法案」(196閣法27号)は1か月の審議を終えて、採決されました。全会一致で可決すべしとなりました。これに先立ち、立憲民主党の山崎誠さんが修正案を提出しましたが、立民の4人が賛成しただけで、他の野党からの賛同もありませんでした。

【衆議院経済産業委員会 同日】

「省エネ法改正案」(196閣法51号)
の審議がありました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「所有者不明土地の利用の促進に関する特別措置法案」(196閣法52号)の審査があり、与党だけが質疑し、来週に持ち越しました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「働き方改革関連法案」(196閣法63号)「立民対案」(196衆法17号)「国民対案」(196衆法14、15、16号)
 
 山井和則さんが、遺族会の寺西さんらが書いた高度プロフェッショナル条項削除を求めた手紙に関して、厚労省が誤った扱いをしたと追及。山井さんが「ねつ造だ」というと、加藤勝信厚労相が「ねつ造では無い」と言い返し、かなり激しい口論となり、騒然としました。

【衆議院内閣委員会・農林水産委員会連合審査会 同日】

 「TPP11締結に伴うTPP12国内実施法施行日前倒し法案」(196閣法62号)を連合審査しました。なお、この連合審査会が終わって、午後1時10分帝国で、内閣委員会に議案が戻って議論する手前の、午後1時から本会議が開かれました。よって、法案の緊急上程を与党はできなかったという時系列になります。

【衆議院内閣委員会 同日】

 本会議で条約が衆議院を通過した後に、委員会を開会しました。連合審査会での議論の結果を踏まえて、「TPP11締結に伴うTPP12国内実施法施行日前倒し法案」(196閣法62号)。野党各党が質疑が佳境になり、共産党の宮本徹さんの持ち時間がわずかとなったところで、答弁担当の茂木敏充・TPP相に不信任決議案が出たことが、議長から紹介されました。休憩後に、質疑の途中ですが、散会しました。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 インターネット審議中継は無く、議事録は後で公開されますが、緊急上程をめぐって、採決が行われました。

【参議院議院運営委員会 同日】

 理事会の後、委員長と理事らが委員会室に移り、本会議の段取りを決めました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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茂木敏充・内閣府TPP大臣不信任決議案提出さる、辻元清美・国対委員長が奇策、会期末に向けて「IR」「特区」で重大局面

2018年05月18日 16時45分50秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]辻元清美・立憲民主党国会対策委員長、3年前2015年、東京・永田町で、筆者・宮崎信行撮影。

 茂木敏充・内閣府TPP担当大臣不信任決議案が提出されました。

 憲政史上初の女性の最大野党国対委員長、辻元清美さんが奇策に出ました。

 きょう平成30年2018年5月18日(金)の午後1時からの衆議院本会議で「TPP11条約(196条約11号)」が強行採決され、賛成多数で承認されました。憲法の規定により、6月20日(水)の当初会期内に国会承認され、国内手続きを完了できることが確実になりました。

 この後、衆議院内閣委員会は「TPP11の国内実施法案」(196閣法62号)の審議を再開。野党の質疑の途中で、茂木敏充内閣府TPP担当大臣不信任案が議長に提出されました。


[画像]茂木敏充・内閣府TPP相(左)に対して(議長あてに)不信任決議案が出たので休憩すると発表する、山際大志郎・衆議院内閣委員長(壇上)、2018年5月18日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 このため同委員会は途中で打ち切りとなり、採決などは来週以降に持ち越しました。内閣不信任案と違って、大臣不信任案ですから、他の委員会は動きます。

 本会議では人事案件が最優先となります。ですから、最短でも、来週5月22日(火)午後1時から衆議院本会議で茂木大臣不信任案を、与党が否決(信任)しなければ、その所管の法案は審議できません。内閣委員会はTPP11法案の審議中でしたから、動かせないのは確実。

 森友加計追及が続いており、内閣委マターでは「サイバーセキュリティ基本法改正案」(196閣法45号)「成年被後見人の権利の制限の適正化のための一括改正法案」(196閣法56号)「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)「IRカジノ施設実施法案」(196閣法64号)「ギャンブル依存症対策基本法案」(196衆法20号)の5法案が審議入りできていません。

 このため、内閣委マターの「特区」「IR」の2法案の審議で、与党が追い込まれる格好となります。

 不信任案を提出したのは、辻元清美さんが筆頭発議者で、野党5会派の6議員。

 茂木大臣は、枝野幸男・最大野党代表とともに、非世襲議員では首相レースのトップを走っており、目立つ存在で、ねらわれがちな傾向がありました。

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安倍晋三内閣の偉大な功績であるTPP11が衆議院外務委員会で承認、本会議に上程へ、岡田克也元外相は「審議時間わずか6時間だ」と批判し、採決反対

2018年05月18日 10時02分57秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]太平洋側の茨城県を遊説する安倍晋三首相(自民党総裁)、きょねん2017年10月、筆者・宮崎信行撮影。

 トランプ大統領はメキシコに壁をつくると公約していますが、日本は橋を架けました。

 日本、メキシコなど環太平洋11か国が同意した「TPP11(CPTPP)」条約について、衆議院外務委員会は、きょう、平成30年2018年5月18日(金)、「承認すべきだ」としました。

 午後の本会議に緊急上程。憲法の規定により、6月20日(水)までの今国会で承認されます。メキシコ政府が既に国内手続きを終えておりますが、日本政府も速やかに手続きを終えることになります。他の国も国内手続きは順調のようで、発効要件の6か国以上の承認は容易とみられます。TPP11は、来年の1月ごろにも、希望の船出を迎えそうです。

 但し、岡田克也元外相は「わずか6時間の審議時間。TPP12(未発効)のときの10分の1だ」「有識者の話を聞くべきだ」と批判し、採決で反対しました。まったくその通りだと思います。立憲民主党、国民民主党、共産党も審議時間の短さを批判しました。政府には参議院でのていねいな答弁を強く求めたいところです。

 安倍内閣は、TPP12からトランプ大統領に政権交代したアメリカが脱退した後も、自由貿易の旗手として、残り11か国でのTPP11を実現しました。ルール分野のほとんどが凍結されます。財務省関税局の関税減収はわずか年700億円程度にとどまると試算されており、ほとんどの日本人が安い商品を手に入れることができます。政府は既に始めている、農業政策なども推進して、スムーズなはこびをしていく見通し。

 自由貿易協定では、日豪EPAの発効で、筆者の調べで、首都圏では、牛肉が1パック100円程度、豚肉が1パック200円程度安くなっています。豚肉は国内産も大幅に安くなっています。牛豚農家には「マルキン」で9割の収入が保証され、砂糖農家への対策もほぼ完ぺき。

  世界一広く、地球一豊かな、太平洋に、また光がともりました。

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