宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

柳瀬元首相秘書官10か月間国会を欺いたことを謝罪、参議院第1種常任委員会再開で国民民主党反対・立民賛成と賛否割れる

2018年05月10日 17時34分43秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[画像]柳瀬元首相秘書官(経産省)、2018年5月10日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 柳瀬元首相事務秘書官が、やっと、10か月間国会を欺き続けたことを認めました。野党の議席が少ないから、10か月間、公益通報が朝日新聞にばかりいき、野党に行かなかったのでしょう。

 昨秋以降、野党で投票行動を同じにしようとする力が働いていましたが、参議院ではさっそく、国民民主党・新緑風会と立憲民主党・民友会の賛否が「相続未登記農地法案」で分かれました。

きょうの国会では、「卸売市場法など改正案」「土地改良区法など改正案」の審議も始まりました。

【衆議院予算委員会 平成30年2018年5月10日(木)】

 予算の実施状況に関する国政調査「国家戦略特区等」。

 与党議員の質疑で、柳瀬参考人(元首相秘書官の肩書)は、加計学園関係者との面会では、東大教授がいきなりしゃべりだしたので分からなかったが、10人のうちに今治市職員もいたことを認めました。昨年7月、都議選大敗に驚いた全国自民党が、衆参両院での閉会中審査に応じて、柳瀬さんは「記憶する限りでは会っていない」と国会を欺きました。中途半端な記憶で話した方が嘘になった、とのことですが、10月の「改竄総選挙」で自民党が勝利したことについてどう思っているのでしょうか。国会への嘘が10か月経って、明らかになりました。江戸時代なら切腹です。柳瀬さん、切腹して、政治家を諫めてください。なお、私の取材経験では、いきなり一方的に理論や意義をまくしたてる教授はよくいて、後から公務員に事務を聞くまで、困惑することはよくありました。

 柳瀬さんは「拘束時間が長いので、外の世間とずれているのではないかとの懸念があり、外の人と会うようにしていた」と答弁しました。

【参議院第1種常任委員会 同日】

 連休の谷間を入れると、4定例日、ぜんぶ飛びましたが、きょうから再開。

 私の計算だと、16議案が衆議院から送付されながら、参議院でまだ審議入りしていない連休明けとなりました。例年より多い印象です。

●参議院厚生労働委員会はありません。 6月にかけて、会期末闘争の最大の戦場となります。
●参議院の内閣委員会、総務委員会、法務委員会、財政金融委員会、国土交通委員会、環境委員会もありませんでした。

【参議院農林水産委員会 同日】

●国民民主党・新緑風会と共産党が反対し、自民党、公明党、立憲民主党・民友会が賛成。

 「農業経営基盤強化促進法を改正して、相続未登記農地の利用を促進する法案」(196閣法36号)

 国民民主党、共産党が反対し、自民党、公明党、立憲民主党の賛成多数で可決すべし、と決まりました。

 討論では、国民民主党男女共同参画本部長の、徳永エリ参議院議員(北海道選挙区2022年改選)が「コンクリート張りのうちに関する審議が足りない。農地の上に、食品工場ができるのではないか」と激しく批判。共産党の紙智子さん(比例選出で事務所は北海道)も激しく反対しました。

 採決では、国民民主党、共産党が反対しましたが、立民の相原久美子さんらは挙手をしていたようです。参議院ではいきなり、国民民主党・新緑風会と、立憲民主党・民友会との賛否が分かれる事態となりました。

 この法案は、先月10日に趣旨説明され、先月19日質疑終局。そして、きょう10日に採決。というスロー審議となりました。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 「二国間租税協定3承認案」(196条約5号から7号まで)と「二国間投資協定1承認案」(196条約10号)が趣旨説明され、散会しました。条約承認案は別のグループも衆から送付され審議待ちとなっています。

【参議院文教科学委員会 同日】

 「著作権法の一部改正案」(196閣法28号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院経済産業委員会 同日】

 前日就任したばかりの、浜野喜文委員長があいさつ。国民民主党は玉木雄一郎代表が、審議拒否はなるべくしない方針を示しています。

 連休前から続く、「生産性向上特別措置法案」(196閣法21号)と「産業競争力強化法改正案」(196閣法22号)の質疑を継続。サンドボックスなど構造改革について、次回は、参考人質疑。

【参議院予算委員会 同日】 

 予算の実施状況に関する件「国家戦略特区等」。

 柳瀬元首相秘書官のみならず、参・予算委では、加戸守行前愛媛県知事(元文部省官房長)が呼ばれました。この10か月間いったいなんだったんだ、の思いです。

 ◇

【衆議院本会議 同日】

●卸売市場法改正案が審議入り。 


 上り法案の処理が2本あり、全会一致で参に送られました。

 「農林年金廃止法の改正案」(196閣法37号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。

 「学校教育法及び著作権法改正案」(196閣法29号)も全会一致で可決し、参送付。

 この後、吊るされていた法案の趣旨説明。

 「卸売市場法などの改正案」(196閣法40号)が斎藤健農相から趣旨説明され、代表質問。これも、「小池都知事の豊洲市場」が思い浮かぶし、報道する側はそれと結びつけないと記事を書く適性が疑われるとまで言っていいでしょう。とはいえ、当初予想された法案とは違い、そこまで踏み込んだ内容とはなっていません。(当ブログ内関連エントリー

卸売市場法、廃止法案も含めた改正法案を検討開始 2018年以降の国会提出も



【衆議院農林水産委員会 同日】

●土地改良法改正案が審議入り。


 まず一般質疑。

 この後「土地改良法改正案」(196閣法50号)が趣旨説明されました。私としては提出予定を聞いた時に、来夏の参院選に向けて、土地改良区の組合員を広げる法改正で、土改連(本部・砂防会館、会長・二階俊博自民党幹事長)の会員と予算を増やす、参院選挙対策だなと思いました。趣旨説明でもありましたが、準組合員をつくるわけですが、選挙対策以前に、土地改良区の高齢化ということの方がより重要な立法事実ということのようです。(関連エントリー

土地改良区の組合員資格拡大へ、土地改良法改正案3月上旬提出へ、自民党二階幹事長ら国土強靭化

)法案審査は次回。

【衆議院総務委員会 同日】

 「統計法改正案」(196閣法34号)が趣旨説明されました。GDPなどの一連の見直しに軌を一にしたプロセスですが、法案そのものには、とくだん統計手法の見直しが含まれているわけではありません。

 これに先立つ一般質疑の話題は多岐にわたりました。自民党の宗清皇一さんは「地方議員を経験したが、有権者は税金を何に使っているかほとんど知らない」として、地元の東大阪市を中心に行政の広報に関して独自の考えを展開しました。国民民主党の原口一博副代表は、行政文書管理について答弁する山本ともひろ防衛副大臣に対して、「松下政経塾にかえれ」と厳しい批判をしました。維新の1期生串田誠一さん(比例南関東)は「ITの議論をする衆議院の委員会が分かれている」と指摘。社民党の吉川元さんの質疑では、電子政府に関して、向井審議官(財務省出身)が答弁しました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 一般質疑。イラク日報問題。

【衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会 同日】

 国民民主党の古本伸一郎・委員長が互選。 

このエントリーの本文記事は以上です。

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国民民主党の古本伸一郎・衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員長

2018年05月10日 09時01分54秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[画像]国民民主党の古本伸一郎・科学技術・イノベーション推進特別委員長、2018年5月10日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会は、平成30年2018年5月10日(木)委員会を開き、

 新党「国民民主党」の古本伸一郎さんを委員長に選びました。

 古本委員長は「我が国の付加価値の源泉はものづくりだ」と抱負を述べました。

 個人的には、2012年の、衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の、128時間審議のときに、中野寛成委員長のご指名で、古本理事が委員長代理をよくつとめていたので、違和感がないところです。

このエントリーの本文記事は以上です。

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