宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田克也さん「TPP11手の内を明かせないなら国会で審議できない」と外務省を批判、参で田村智子さんが「東京の容積率緩和を続けながら大学定員上限規制は地方創生に矛盾する」と非難

2018年05月16日 18時28分44秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[画像]岡田克也さん、きょう2018年5月16日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「特区法の改正案」(196閣法57号)はいまだに吊るしが降りておらず審議未了廃案の公算も出てきました。空間軸の例外である特区とは別に、時間軸の例外を合法化するという筋の悪い法律、サンドボックス法が参議院本会議で可決し、成立しました。今年中に施行で「知っている人だけ得をする」例外の合法がさらに進みます。邪道です。別の法案の審議で、共産党の田村智子さんが、地方創生担当大臣に対して、東京23区内の容積率緩和と地方創生は矛盾するとつき、地方創生大臣が「東京は成長のエンジンだ」と自民党政治の因習を認めました。「TPP11条約の承認案」(196条約11号)では、岡田克也さんが、外務官僚の「手の内を明かせない」との姿勢を厳しくたしなめ、「TPP11実施法案」(196閣法62号)は衆議院内閣委員会と衆議院農林水産委員会が連合審査をすることになりました。

【参議院本会議 平成30年2018年5月16日(水)】

 まず、趣旨説明から。法案の審議入りが例年より遅れているため、趣旨説明が「2階建て」の構成となりました。

 「地域における大学振興法案」(196閣法5号)と「地域再生法改正案」(196閣法7号)が一括して、梶山弘志・地方創生相から趣旨説明されました。代表質問で、上述の通り、共産党の田村智子さんが、第1次小泉内閣から始まり、皇居周辺の東京駅前の丸の内・大手町地区などで、法改正で、三菱地所、経団連会館などが次々と高層化しバブルの様相を呈していることを念頭に、「東京の容積率の緩和を認める方向性は、地方創生に逆行しているのではないか」という趣旨の質問に、大臣は「東京は成長のエンジンだ」と答弁しました。先日宮内庁の59歳の職員がテレビで「入庁時には皇居から見える高層ビルは一つもなかった」と回想していました。きょねんの都議会自民党大惨敗の遠因ともなったと思われる、容積率緩和特区については、野党の問題意識が、十数年遅れだと考えますが、ようやく問題視されてよかったと思います。

 11時半ごろから、来夏までの続投が確定した、郡司彰副議長が議長席に。

 「森林経営管理法案」(196閣法38号)が、農相から趣旨説明されました。

 午後1時過ぎてから、採決となりました。

 「日本リトアニア租税協定の承認」(196条約5号)「日本エストニア租税協定の承認」(196条約6号)「日本ロシア租税協定の承認」(196条約7号)「日本アルメニア投資協定の承認」(196条約10号)が一括して採決され、投票総数234、賛成220、反対14の賛成多数で、両院で承認され、国会の承認を得ました。

 「REVIC株式会社地域経済活性化支援機構法を5年延長する法律」(196閣法17号)は234、212、22の賛成多数で可決し、成立しました。

●政治分野における男女共同参画推進法が成立。

 既に別のエントリーで速報しましたが、

 「政治分野における男女共同参画推進法」(196衆法12号)は、投票総数234、賛成234、反対0の全会一致で可決し、成立しました。

 「電気通信事業法などを改正する法律」(196閣法33号)は、234、220、14の賛成多数で可決し、成立しました。

●サンドボックス法が成立。

 「生産性向上特別措置法」(196閣法21号)と「改正産業競争力強化法」(196閣法22号)は投票総数233、賛成214、反対19の賛成多数で可決し、成立しました。散会。

【衆議院外務委員会 同日】

 政府与党としては必ず会期内に成立(両院承認させたい)「TPP11条約承認案」(196条約11号)が審議されましたが、野党からかなり批判が出ました。岡田克也さんが、グローバル企業が国家よりも優位に立ちかねないISDS条項について質問。外務省の大臣や経済局長らは「次の自由貿易協定の交渉で、日本はどの分野を譲り、どの分野を譲らないかの手の内を明かすことになる」として、答弁拒否。岡田さんは「手の内を明かすことになるので、交渉過程を明かすことができないのなら、どうやって、国会が承認するのか」と姿勢を正させました。この辺の外務省貴族の無意識の国会軽視は深刻で、もう新卒一括採用終身雇用を止めた方が良いと、私は思うくらいです。野党議員はから採決時期をけん制する発言も多く出ました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「TPP12国内実施法の施行日を前倒しにするTPP11国内実施法案」(196閣法62号)の審議では、岡田さんの側近で同じ会派の、中川正春・元内閣府大臣も質問しました。衆議院農林水産委員会との連合審査をすることも決まりました。

●IR実施法案と抱き合わせとなる、ギャンブル依存症基本法の議員立法が撤回、出し直しの公算。

 これに先立ち、自民党の中谷元さんが筆頭発議者となっていた議員立法「ギャンブル等依存症対策基本法案」(195衆法23号)について、中谷さんらから撤回の申し出があり、全会一致で撤回を承認し、廃案となりました。自民党、公明党、維新の協議で、新しい法案が今後提出。「IRカジノ実施法案」(196閣法64号)と抱き合わせか、あるいは依存症対策を先に審議して、会期内の両方の成立をめざすことになります。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 「卸売市場法など改正案」(196閣法40号)が審議入りしました。食品加工流通をめぐっては他の委員会に付託される見通しの「HACCP」の法案は、会期内成立は難しい公算となっています。「卸売市場」は会期内に成立すると考えられます。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 「省エネ法改正案」(196閣法51号)が趣旨説明されました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法案」(196閣法52号)が審議入りしました。土地収用法などの私権を制限できる法案。

【衆議院法務委員会 同日】

 「民法18歳成年法案」(196閣法55号)の審議が続きました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「働き方改革関連法案」(196閣法63号)、「立憲民主党対案」(196衆法17号)「国民民主党対案」(196衆法14号、15号、16号)の審議が続きました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

  「文化財保護法及び地方教育行政組織法改正案」(196閣法35号)が前回に続き議題となり、法案審査の質疑がありました。最後に、委員長が、質疑終局を宣言して、散会しました。あさっての委員会で採決。こうすることで、来週火曜日の本会議を確実に開き、法案の趣旨説明と代表演説で、吊るしを降ろしたいという、与党・自民党の国会戦術だと思われます。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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【全文収録】政治分野における男女共同参画推進法成立、今月2018年5月に施行

2018年05月16日 13時21分45秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が、さきほど、平成30年2018年5月16日(水)の定例日の参議院本会議で可決。衆議院でも可決していますので、これで成立しました。今月中に公布され、その日から施行されます。

 選挙を所管する総務省の女性大臣経験者や、男女共同参画を所管する内閣府の男性大臣経験者などが、与党と野党で法案が対立。その後、すり合わせて出し直し、成立となりました。

 但し、この法律はすべて「努力義務」であり、罰則や強制力はありません。とはいえ、来年春の統一地方選なども受けて、この法律を数年後に改正したり、新法を成立するなどの展開が予想されます。

 法律の全文は以下の通り(衆議院ホームページから引用)。

政治分野における男女共同参画の推進に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、社会の対等な構成員である男女が公選による公職又は内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官若しくは大臣補佐官若しくは副知事若しくは副市町村長の職(次条において「公選による公職等」という。)にある者として国又は地方公共団体における政策の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること(以下「政治分野における男女共同参画」という。)が、その立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)の基本理念にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進について、その基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、政治分野における男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、政治分野における男女共同参画を効果的かつ積極的に推進し、もって男女が共同して参画する民主政治の発展に寄与することを目的とする。

 (基本原則)

第二条 政治分野における男女共同参画の推進は、衆議院議員、参議院議員及び地方公共団体の議会の議員の選挙において、政党その他の政治団体の候補者の選定の自由、候補者の立候補の自由その他の政治活動の自由を確保しつつ、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指して行われるものとする。

2 政治分野における男女共同参画の推進は、自らの意思によって公選による公職等としての活動に参画し、又は参画しようとする者に対するこれらの者の間における交流の機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した社会における制度又は慣行が政治分野における男女共同参画の推進に対して及ぼす影響に配慮して、男女が、その性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。

3 政治分野における男女共同参画の推進は、男女が、その性別にかかわりなく、相互の協力と社会の支援の下に、公選による公職等としての活動と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。

 (国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、前条に定める政治分野における男女共同参画の推進についての基本原則(次条において単に「基本原則」という。)にのっとり、政党その他の政治団体の政治活動の自由及び選挙の公正を確保しつつ、政治分野における男女共同参画の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めるものとする。

 (政党その他の政治団体の努力)

第四条 政党その他の政治団体は、基本原則にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進に関し、当該政党その他の政治団体に所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めるものとする。

 (実態の調査及び情報の収集等)

第五条 国は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組に資するよう、国内外における当該取組の状況に関する実態の調査並びに当該取組に関する情報の収集、整理、分析及び提供(次項及び第九条において「実態の調査及び情報の収集等」という。)を行うものとする。

2 地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組に資するよう、当該地方公共団体における実態の調査及び情報の収集等を行うよう努めるものとする。

 (啓発活動)

第六条 国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進について、国民の関心と理解を深めるとともに、必要な啓発活動を行うよう努めるものとする。

 (環境整備)

第七条 国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組を積極的に進めることができる環境の整備を行うよう努めるものとする。

 (人材の育成等)

第八条 国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画が推進されるよう、人材の育成及び活用に資する施策を講ずるよう努めるものとする。

 (法制上の措置等)

第九条 国は、実態の調査及び情報の収集等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、政治分野における男女共同参画の推進のために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

このエントリーの本文記事は以上です。

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