[画像]岡田克也さん、きょう2018年5月16日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
「特区法の改正案」(196閣法57号)はいまだに吊るしが降りておらず審議未了廃案の公算も出てきました。空間軸の例外である特区とは別に、時間軸の例外を合法化するという筋の悪い法律、サンドボックス法が参議院本会議で可決し、成立しました。今年中に施行で「知っている人だけ得をする」例外の合法がさらに進みます。邪道です。別の法案の審議で、共産党の田村智子さんが、地方創生担当大臣に対して、東京23区内の容積率緩和と地方創生は矛盾するとつき、地方創生大臣が「東京は成長のエンジンだ」と自民党政治の因習を認めました。「TPP11条約の承認案」(196条約11号)では、岡田克也さんが、外務官僚の「手の内を明かせない」との姿勢を厳しくたしなめ、「TPP11実施法案」(196閣法62号)は衆議院内閣委員会と衆議院農林水産委員会が連合審査をすることになりました。
【参議院本会議 平成30年2018年5月16日(水)】
まず、趣旨説明から。法案の審議入りが例年より遅れているため、趣旨説明が「2階建て」の構成となりました。
「地域における大学振興法案」(196閣法5号)と「地域再生法改正案」(196閣法7号)が一括して、梶山弘志・地方創生相から趣旨説明されました。代表質問で、上述の通り、共産党の田村智子さんが、第1次小泉内閣から始まり、皇居周辺の東京駅前の丸の内・大手町地区などで、法改正で、三菱地所、経団連会館などが次々と高層化しバブルの様相を呈していることを念頭に、「東京の容積率の緩和を認める方向性は、地方創生に逆行しているのではないか」という趣旨の質問に、大臣は「東京は成長のエンジンだ」と答弁しました。先日宮内庁の59歳の職員がテレビで「入庁時には皇居から見える高層ビルは一つもなかった」と回想していました。きょねんの都議会自民党大惨敗の遠因ともなったと思われる、容積率緩和特区については、野党の問題意識が、十数年遅れだと考えますが、ようやく問題視されてよかったと思います。
11時半ごろから、来夏までの続投が確定した、郡司彰副議長が議長席に。
「森林経営管理法案」(196閣法38号)が、農相から趣旨説明されました。
午後1時過ぎてから、採決となりました。
「日本リトアニア租税協定の承認」(196条約5号)「日本エストニア租税協定の承認」(196条約6号)「日本ロシア租税協定の承認」(196条約7号)「日本アルメニア投資協定の承認」(196条約10号)が一括して採決され、投票総数234、賛成220、反対14の賛成多数で、両院で承認され、国会の承認を得ました。
「REVIC株式会社地域経済活性化支援機構法を5年延長する法律」(196閣法17号)は234、212、22の賛成多数で可決し、成立しました。
●政治分野における男女共同参画推進法が成立。
既に別のエントリーで速報しましたが、
「政治分野における男女共同参画推進法」(196衆法12号)は、投票総数234、賛成234、反対0の全会一致で可決し、成立しました。
「電気通信事業法などを改正する法律」(196閣法33号)は、234、220、14の賛成多数で可決し、成立しました。
●サンドボックス法が成立。
「生産性向上特別措置法」(196閣法21号)と「改正産業競争力強化法」(196閣法22号)は投票総数233、賛成214、反対19の賛成多数で可決し、成立しました。散会。
【衆議院外務委員会 同日】
政府与党としては必ず会期内に成立(両院承認させたい)「TPP11条約承認案」(196条約11号)が審議されましたが、野党からかなり批判が出ました。岡田克也さんが、グローバル企業が国家よりも優位に立ちかねないISDS条項について質問。外務省の大臣や経済局長らは「次の自由貿易協定の交渉で、日本はどの分野を譲り、どの分野を譲らないかの手の内を明かすことになる」として、答弁拒否。岡田さんは「手の内を明かすことになるので、交渉過程を明かすことができないのなら、どうやって、国会が承認するのか」と姿勢を正させました。この辺の外務省貴族の無意識の国会軽視は深刻で、もう新卒一括採用終身雇用を止めた方が良いと、私は思うくらいです。野党議員はから採決時期をけん制する発言も多く出ました。
【衆議院内閣委員会 同日】
「TPP12国内実施法の施行日を前倒しにするTPP11国内実施法案」(196閣法62号)の審議では、岡田さんの側近で同じ会派の、中川正春・元内閣府大臣も質問しました。衆議院農林水産委員会との連合審査をすることも決まりました。
●IR実施法案と抱き合わせとなる、ギャンブル依存症基本法の議員立法が撤回、出し直しの公算。
これに先立ち、自民党の中谷元さんが筆頭発議者となっていた議員立法「ギャンブル等依存症対策基本法案」(195衆法23号)について、中谷さんらから撤回の申し出があり、全会一致で撤回を承認し、廃案となりました。自民党、公明党、維新の協議で、新しい法案が今後提出。「IRカジノ実施法案」(196閣法64号)と抱き合わせか、あるいは依存症対策を先に審議して、会期内の両方の成立をめざすことになります。
【衆議院農林水産委員会 同日】
「卸売市場法など改正案」(196閣法40号)が審議入りしました。食品加工流通をめぐっては他の委員会に付託される見通しの「HACCP」の法案は、会期内成立は難しい公算となっています。「卸売市場」は会期内に成立すると考えられます。
【衆議院経済産業委員会 同日】
「省エネ法改正案」(196閣法51号)が趣旨説明されました。
【衆議院国土交通委員会 同日】
「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法案」(196閣法52号)が審議入りしました。土地収用法などの私権を制限できる法案。
【衆議院法務委員会 同日】
「民法18歳成年法案」(196閣法55号)の審議が続きました。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
「働き方改革関連法案」(196閣法63号)、「立憲民主党対案」(196衆法17号)「国民民主党対案」(196衆法14号、15号、16号)の審議が続きました。
【衆議院文部科学委員会 同日】
「文化財保護法及び地方教育行政組織法改正案」(196閣法35号)が前回に続き議題となり、法案審査の質疑がありました。最後に、委員長が、質疑終局を宣言して、散会しました。あさっての委員会で採決。こうすることで、来週火曜日の本会議を確実に開き、法案の趣旨説明と代表演説で、吊るしを降ろしたいという、与党・自民党の国会戦術だと思われます。
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