[画像]質問演説する民主党の長島昭久さん、2013年5月23日(木)、衆議院本会議、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
今や世界中にいる日本人を保護した際に、自衛隊が船、飛行機に加えて、新しく車を使って日本人を輸送できるようにする「自衛隊法改正法案」(183閣法63号)が2013年5月23日(木)の衆院本会議で審議入りし、直後の衆院安全保障委員会で趣旨説明がありました。
これには、民主党を代表して元防衛副大臣の長島昭久さんが質疑に立ちました。
長島さんは、「この法案はPKO法による(身辺以外を守る場合に武器を携行する)『かけつけ警護』と同じしくみであり、むしろより難易度が高いものだ」として、「港湾や空港からの離脱作戦よりも難しい陸上輸送に望む認識を問いたい」と小野寺防衛相や岸田外相に尋ねました。
長島さんは刑法第3条の2を例示。これは「この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する」とあり、国外での日本人に対する傷害、監禁にも日本国刑法は適用されるとの法律です。
「日本という国家の統治機能は、日本の領域内や公海上の日本船舶内のみならず、外国の領域における日本人への殺人は日本の刑法の範囲内だ」とし、かけつけ警護への道をならしました。
[画像]右を向き、質問する長島昭久さん。
岸田外相は「PKOのかけつけ警護の際の武器使用は、憲法に反するというのが従来の解釈だ」と前置きしたあと、「何が必要か検討したい」「内閣の決断で可能ではないか」として、「身辺保護ではなく任務遂行型の武器使用は今後の課題だ」としました。防衛省提出法案が少なく、答弁の回数が少ない初入閣の小野寺防衛相は緊張した面持ちで、「今回の法案では残された課題だ」として、PKOにおけるかけつけ警護への道を整備していきたい方針で、二大政党の質疑者、答弁者が一致しました。
つまり長島さんは野党議員ながら、安倍内閣提出法案よりも、もっと右を、もっと先を見通しているのです。
◇
これに先立ち、質問演説を始める前に、長島さんは水を組みながら、遠目を利かせました。
これは、その前の討論(厚生年金基金一部解散法案を修正可決することに賛成)で登壇した民主党の柚木道義さんが「安倍首相がこの本会議場にいないのはどうしたことか」と指摘。この同僚の「諜報」を聞いて、登壇した長島さんが、ゆっくりと水をくみながら、遠目を聞かせて、安倍首相の議員席を何度も確認したようです。安倍さんの席の辺は、2階傍聴席がせり出している格好なので、暗いと思うのですが、長島さんは遠目がよく利くようです。
[画像]水をくむふりをして、安倍首相の所在を確かめる哨戒活動をした長島さん。
長島さんはのっけから、「この議場には自衛隊の最高指揮官である安倍総理がいらっしゃらないのが残念です」とのっけから、先制攻撃したので、岸田外相らの有益な答弁につながったようです。
民主党政権最初の海上自衛隊観艦式(3年に1回開催)は副総理が観艦官になりましたが、2012年の観艦式では、退役陸上自衛官の息子でもある野田首相が観艦式をし、厳しい目を光らせた後、装備・練度に満足した表情がありました。
[画像]海自の装備、練度に満足の表情をうかべた野田佳彦総理(中央)、長島昭久防衛副大臣(左端)ら。2012年10月14日(日)、相模湾上の護衛艦「くらま」艦上、海自ホームページ内動画生中継「平成24年度自衛隊観艦式 守るこの海・夢・未来」からキャプチャ。(当ブログ内「この国に自衛隊があることの誇らしさ」 平成24年度観艦式から)。
このように民主党は野田さんが観艦式をしっかりと見て、長島さんが本会議壇上でも、冷静に敵将を哨戒する冷静さがあります。
それに引き替え、重要広範指定の自衛隊法改正法案に出てこない安倍さんはどうしたことでしょうか。ニコニコ超会議で特車(戦車)に乗るのに、法案審議は嫌いなのでしょうか。
ところで、昨年の観艦式には、海上保安庁が参加していません。これは「尖閣諸島の哨戒活動が忙しいから」とアナウンスがありました。沖縄県・尖閣諸島の国有化(底地の日本政府買い取り)により、中国艦船が活発になったからです。これについて、ひごろインターネットで「親中派」と書かれることも多い、当時の首相官邸首脳は、「相手(土地所有者だった民間人)との関係からあのタイミングしかありえなかった」として、長島さんの仕事のタイミングは唯一無二であったと評価しています。
今、私たちは極めて珍しい時代を過ごしています。2013年5月現在、世界には戦争がありません。冷戦もありません。内戦もありません。停戦は朝鮮半島にあります。地域紛争はなくはありません。そのかわりに、例えば12月24日25日には世界のどこの教会でもテロルがある可能性がある時代ですが、例えば12月26日はテロルはありません。アピール価値がないですから。ですから、総じて極めて平和な時代なのです。そして、国際機関で働く人は、リーマン・ショックもあり、職が少なくなりつつある傾向があるようです。とはいえ、平和の作り手である国際機関職員が心の底で紛争で食い扶持を得ようと思うようなことがないことを信じています。こういうことは、意外と左の人の方が気づかないようです。後ろ、近くを見ているのでしょう。
今は右と言われる長島さんも、10年後には中道と呼ばれ、20年後には左と呼ばれるでしょう。しかしそれは「ああ僕は運命の子だ」と嘆くことはありません。それは長島さんは右と言うよりもむしろ、前を見ているからです。
私は「◎面舵いっぱい民主党!海江田代表は保守を競え、まっすぐに右向きに RIGHTの本当の意味とは」として、KEEP RIGHT民主党を主張していますが、反論はまったくありません。
まっすぐに、右向きに。前を、遠くを見ましょう。
夏のたたかいにむけて、面舵いっぱ~~い!!!
[画像]岸田外相、小野寺防衛相の答弁に満足する長島昭久さん。
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