日本郵政株式会社の坂篤郎(さか・あつお)社長は6月の株主総会で退任することを表明しました。後任は特許庁システム開発に失敗した東芝の元社長が就くことになりました。
第1次安倍内閣で総務相をやった第2次安倍内閣の菅官房長官が政治介入しました。
しかし、これは団塊の世代による私怨があると感じます。
5年前の日銀総裁人事で、武藤敏郎総裁候補が国会同意人事で実現せず、その後もひたすら財務官僚が提案され、両院の議院運営委員会で所信聴取されましたが、全員不同意(ないし撤回)され、最終的に白川方明副総裁(日銀プロパー)が総裁代行になり、総裁となりました。
このときの、衆院議院運営委員会で同意人事の鍵を握ったのは、団塊の世代、仙谷由人・衆院議員です。財務省の事務次官、主計局長、官房長が野党のチーム仙谷を日参する珍しい後継が繰り広げられましたが、これを指揮したのが「大蔵一家の官房長官」であった、坂・官房副長官補でした。この背景に福田康夫首相と同じ麻布中学・高校の同窓生という政治資源もあります。
そして、今回は同じ団塊の世代である菅官房長官が坂社長に難癖を付けて、更迭に動きました。
坂さんも団塊の世代ですが、大変に裕福なご家庭の出身です。東京大学正門から歩いて5分ほどで旅館業を営む家に生まれて、麻布中学、麻布高校、東大法学部、大蔵省とすべてストレート。実家は今も、文京区を中心にマンション、千葉県にゴルフ場を経営しています。仕事も出来て、世界観、文明観にもすぐれていますが、本省(大蔵省)では主計局次長から局長になれず、経済企画庁官房長、内閣府政策統括官という局長ポストをしましたが、ややくすぶり感がありました。国家公務員を退職して天下りながら、わずか4ヶ月で、内閣官房副長官補として永田町に復活するという脅威的な執念の持ち主です。
その一方、仙谷さんは東大中退ですし、菅さんはたたき上げですので、恨みをもたれるのはやむを得ないところです。
その点で、バランス感覚が優れているのは、坂さんの東大法学部の後輩にあたる、公明党代表の山口那津男さん(今夏東京選挙区改選)です。
夕刊フジのコラムで、なつおさんは次のように書いています。
[夕刊フジコラムから引用はじめ]
さて、日本郵政の人事が政治に翻弄されている。先日、「坂篤郎社長を退任させ、後任に西室泰三氏を起用する方針」と一斉に報道された。政府が100%の株式を保有するからといって、政権交代のたびに、実力者の意向でトップ人事が左右されるイメージができるのは避けたい。
郵政ネットワークは国民の資産である。見直し後の新体制のもとで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉もにらみ、民営化を進めることが期待される。
ドラスチックな郵政民営化を進めたため、さまざまな傷跡が残った。これに政権交代が重なり、複雑な因縁が取り巻いている。だからこそ「政治介入」を卒業し、本来の民営化にふさわしい運営に委ねるべきだ。
[引用おわり]
名指しは避けていますが、菅義偉さんをたしなめているのは明らか。なつおさんの言うとおりだと思います。やっぱりなつおさんは観察力があるなあ。
高支持率のときこそ、人間の本性がでます。菅官房長官は高支持率に浮かれて晩節を汚すことのないように、百千万億倍もご用心あるべし。
[お知らせ1 はじめ]
「国会傍聴取材支援基金」を設けております。日本唯一の国会傍聴記にご協力ください。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
ご協力ください。よろしくお願いします。
[お知らせ1 おわり]
[お知らせ2 はじめ]
会員制ブログで今後の政治日程とポイントを解説しています。
今後の政治日程 by 下町の太陽
最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。お気軽にご登録ください。
[お知らせ2 おわり]
[お知らせ3 はじめ]
このブログは次の各ホームページを参照して、記事を作成しています。
最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
衆議院議案(衆議院ホームページ)
今国会情報(参議院ホームページ)
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)
衆議院インターネット審議中継
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)
民主党ニュース(民主党ホームページ)
goo ニュース
[お知らせ3 おわり]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます