(初投稿は2013年6月2日午前8時で、バックデート)
[画像]民主党の山井和則さん、2011年6月2日の衆・本会議、2013年5月31日(金)の衆・厚労委、それぞれ衆議院インターネット中継から。
【衆議院厚生労働委員会 2013年5月31日(金)】
生活保護法の改正法案(183閣法70号)は、改正法案24条「申請時の書面の添付」などに修正が入り、可決しました。民主党の柚木道義さんが委員会冒頭の午前9時過ぎに、「(識字能力などの理由で)特別な事情があり、書面を添付できない人(書く能力に欠ける人)は添付しなくていい」とする、修正案を提出し、午後5時ごろ可決しました。
これに対して、日本維新の会の足立康史さんが「修正案が成立したら、『特別な事情』の5文字を巡る争いが起きますよ」として「削除すべきだ」としました。維新の足立さんは「24条に関して、内閣法制局と二大政党の争いの中で、二大政党がマスメディアの表現をめぐって争ったことで論点を見失った」と二大政党をけん制。日本共産党の高橋千鶴子さんは「修正案提出者の山井和則さんは野党・民主党なのに、まるで政府のような答弁をしている。おとといの民主党の長妻昭さんの(改正法案24条を)削除することで、(福祉事務所が窓口で希望者を追い返す)水際作戦を止めようという発言は、いったいなんだったんだ」と民主党の長妻元厚労相と山井元厚労政務官の間にくさびを打ち込もうとしました。ただし参厚労委(25人)の理事会は自公民3党だけで、維新の議席はゼロ、共産は1委員のみのため、今国会内に衆院修正案のまま成立する見通し。
2013年改正生活保護法は新法・生活困窮者自立支援法とクルマの両輪のかっこうで、「戦後最大の改正」となる見通し。一方、法律とは別に、厚労省は8月に通達で生活扶助基準を引き下げる見通しで、財源をめぐる国と地方、厚労省と財務省のかけひきは当面続くことになるでしょう。
さらに、中根康浩君外8名提出の「子どもの貧困対策法案」(183衆法19号)と、自民党提出の法案(183衆法20号)は、松本純・衆議院厚生労働委員長起草の法案(183衆法おそらく24号)として一本化しました。委員長起草法案としての議員立法一本化は、衆参とも厚労委の得意技。子どもの貧困対策法案は、平成29年2017年夏に厚労省が発表する「子どもの相対貧困率」を受けて、平成30年2018年に見直すことを法定化しました。こういった今国会で流行化した「見直し規定(付則や附帯決議)」の時期については、「今後の政治日程by下町の太陽」で、どんどん入れていきたいと思います。とりあえず、子どもの貧困対策法は全会一致で可決し、成立確実ですので、2017年の予定の方に入れました。
参考人質疑の中で、玄田有史・東大社会科学研究所教授が、自ら造語したNEET(ニート、働いても学んでも職業訓練も受けていない人)に続き、SNEP(スネップ、20歳から59歳で在学中を除く未婚者で、就業していない人)という概念を提示し、モノサシにするよう求めました。民主党の3年3ヶ月での、雇用調整助成金や介護報酬の引き上げなどによる雇用・労働への手当による政策効果と、リーマン・震災不況による一層の経済環境悪化による求職増があいまって、これからは、SNEPというモノサシが必要なように感じました。アベノミクスで金融機関は、新規創業や、海外進出に融資すべし。
山井和則さん(やまのい・かずのり)というとずっと厚生労働委員のような気がしますが、実は民主党与党期では、厚労政務官のあと、議院運営委員になっていたので、厚労委にはいませんでした。この、山井さんの議運という人事は、明らかに将来をにらんだ党の意識を感じます。いわば、入社以来バリバリの営業部員だった山井さんが、社長の指名で総務部社長室に異動していたような雰囲気です。本社ビル内の給湯室で、山井さんが「いやあ、営業に戻りたいですよ。内勤は向いていないですよ」と。営業部の同僚から「山井、営業部帰ってこいよ」と言われて、山井さんが「社長からは3年ぐらいで、営業に戻すと言われているんですよね」と言ってる感じ。
2年前の6月2日、議運委員として、本会議場で菅内閣不信任決議案(177決議6号)にアタマを下げてお願いする社長室の山井さんがいました。結果的に、2名の除籍者(松木けんこう氏、横粂勝仁氏)で民主党を守ることができました。解散時の民主党国会対策委員長も務めました。
そして、3年ぶりに古巣に戻った山井さんは小選挙区選出議員として、子どもの貧困に関する数値(とくに相対的貧困率)をもとにした政府による施策見直しの法制化に憲政史上初めて成功しました。その修正協議のさいちゅうに、山井さんは「私は2018年は与党かな、野党かな」と考えたかも知れませんが、「私は2018年に衆議院議員でいられるかな」とは、アタマに浮かばなかったでしょう。
「山井、営業部帰ってこいよ」と言った同僚は今、営業部にも会社にもいないかもしれない。そして、風の噂として、「山井、社長の娘と結婚決まったんだってさ」という雰囲気ですが、元同僚はたぶん、サバサバした表情でしょう。まあ、議会政治とは、そういうものです。泣くのが嫌ならさあ歩け、戸別訪問1日300軒しろ、としか言いようがありません。
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