寝つけない、途中で目が覚める 96%が眠りに不満
最高の眠りのつくり方(1)
日経ヘルス
幸せな眠りを満喫している人はごくわずか。そんな実情が、眠りに関するアンケートに対し、日経ヘルス誌の読者1126人から寄せられた回答で明らかになった[注]。
「世界で最も睡眠時間が短い」とされる日本人女性。今回のアンケートでも、回答者の平日の平均睡眠時間は6.4時間だった。
「短い睡眠でも眠くならなくてすむようになりたい」(31歳、大阪府、専業主婦)という希望を持つ人も少なくない。
だが、回答者の96%が眠りに不満を持つなかで、「睡眠時間が十分取れない」(37.1%、複数回答)を抑えて最も多かったのが「睡眠の質が悪い、深く眠れない」(54.6%、複数回答)という悩み。寝つきに問題はなく長い時間寝ているのに朝から疲れている、という声が目立った。
その結果、平日の昼間に眠気を感じる人が85%に上り、「コーヒーを飲んでも動き回っても、眠気が去らないで困る」(東京都、27歳、会社員)といった悩みを抱える人が多かった。
次に、あなたの眠りの質と量をチェックシートを使って確認してみよう。
~あなたの眠りは何点? チェックしてみよう~
ここでは眠りの質を悪くする生活スタイルになっていないか、また、眠りの量が十分かを調べてみよう。
読者モニターからは、「眠りの量を記録してみると、自分がいかに夜更かしをして睡眠不足になり、休日の爆睡でなんとかしようとしているのかがよくわかった」との感想が多く聞かれた。あなたは大丈夫?
【眠りの質】 あなたの習慣は眠りの質に良いかどうかをチェック
体内時計のリズムを崩さないように心がけて、夜に眠気がやってくるのを邪魔しないようにする。さらに、ストレスを目いっぱいためすぎないようにすることが大切だ。
□ 毎日、規則正しく食事をとる(特に朝食を抜かない)
□ 朝起きたら、太陽の光をしっかりと浴びる
□ 15~20分の昼寝をする
□ 夕方以降は仮眠をとらない
□ 就寝2時間前までに夕食をとる
□ 眠る前にテレビ、パソコン、携帯電話を使わない
□ 寝床でテレビを見たり、仕事や読書をしない
□ 寝床に入る1時間前には部屋の明かりを少し落とす
□ 眠る目的での飲酒は避けている
□ 寝るときは携帯電話を枕元から離れた所に置く
□ 午前0時までに就寝する
□ 休日も、起床時刻が平日と2時間以上ずれないようにする
□ 一人で悩み事を抱えこまず、誰かに相談する
□ 「何事も完ぺきに」と考えず「8割方できたら上出来」と考える
注)広島国際大学の田中秀樹教授の資料を基に、滋賀医科大学の宮崎総一郎教授と日経ヘルス編集部で改変
【眠りの量】 あなたは眠りの量は十分? 「睡眠日誌」でチェックしてみよう
少なくとも約7時間の睡眠が毎日取れており、就寝時刻や起床時刻の変動は1時間以内にとどめる。休日にも同じリズムで生活し、昼間の眠気は14時くらいに1回だけ。そんな眠りを心がけよう。
アンケートの回答者にさらに詳しく聞き取り調査したところ、眠りの悩みの主な原因がわかってきた。次回はタイプ別の原因と対策法を解説する。
この人たちに聞きました
大阪大学保健センター教授。同大学付属病院睡眠医療センター副センター長も務める。「よい睡眠には昼間の過ごし方も重要。しっかり日光を浴びて体を動かすと、夜、メラトニンの分泌量も増えて快眠できます」。
林 光緒さん
広島大学大学院総合科学研究科教授。専門は精神生理学。「睡眠そのものは自分の意志で変えられるものでもない。たとえぐっすり眠れなくてもクヨクヨせず、朝には、その日一日のいいことを考える方が得策です」。
宮崎総一郎さん
滋賀医科大学睡眠学講座教授。日本睡眠学会理事も務める。「睡眠は大脳を休ませ、成長ホルモンをたくさん分泌して体の修復や疲労回復も進めます」。著書に『脳に効く「睡眠学」』(角川SSC新書、800円)ほか。
(日経ヘルス 大屋奈緒子、ライター 佐田節子)
[日経ヘルス2010年12月号の記事を基に再構成]
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