あなたのたんぱく質摂取量、足りている?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)平均摂取量は年々増えており、目標量を超えている
(2)平均摂取量は1995年にピークを迎え、以後、同水準で推移している
(3)平均摂取量は1950年代と同水準である
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(3)平均摂取量は1950年代と同水準である です。
たんぱく質は、筋肉、内臓、骨、皮膚など体の組織を作る材料になるだけではなく、エネルギー源となり、また、神経伝達物質やホルモン、抗体といった形で体の機能調節・恒常性維持をするなど、命をつなぐために欠かせない最重要栄養素です。ところが、そのたんぱく質を私たちは十分にとれているかというと、必ずしもそうとは言い切れないようです。
「日本人のたんぱく質の平均摂取量は、ダイエットブームなどの影響でここ20年くらいの間に激減し、高度成長期の前の日本が貧しかった時代と同レベルになっています」と、東北大学名誉教授で、山形県立保健医療大学理事長・学長の上月正博氏は指摘します。
日本人の1日当たりのたんぱく質摂取量は、高度成長期に急上昇して1995年(81.5g)にピークを迎え、2000年くらいまでは80g前後を維持していましたが、その後急激に減って、19年は71.4g。戦後間もない1950〜60年と、ほぼ同水準になっています(グラフ)。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、18歳以上の1日当たりのたんぱく質摂取の推奨量は、女性が50g、男性が65gです。たんぱく質の平均摂取量は推奨量を満たしていますが、上月氏は、「推奨量は、欠乏によって病気にならない最低限の目安です。日本人の食事摂取基準でも、良好な栄養状態を維持するのに十分な量を示す『目標量』は、例えば50〜64歳、デスクワークで身体活動量が普通の男性なら91〜130gですから、平均摂取量程度では足りないわけです」と言います。
男性はほとんどの年代で、女性は20〜30代や50代で不足
目標量は性別、年齢、身体活動レベルによって異なり、例えば、デスクワークなどで身体活動レベルが普通(II)の男性の1日のたんぱく質摂取目標量は、18〜29歳で86〜133g、30〜49歳で88〜135g、50〜64歳で91〜130gです。女性は18〜29歳で65〜100g、30〜49歳で67〜103g、50〜64歳で68〜98gです(目標量の詳細は「不足すると万病を招く『たんぱく質』 医師が勧める『最高のとり方』」をご覧ください。また、腎臓病の人はたんぱく質の摂取量に制限があり、腎臓の数値が悪くなってきている人も注意が必要です)。
これに対し、年代別のたんぱく質の平均摂取量を見ると、男性はほとんどの年代で目標量の下限に達しておらず、女性は20〜30代や50代での不足が目立ちます(次ページのグラフ参照)。
たんぱく質の平均摂取量と目標量の比較(男女別)
毎食、特に朝食で20〜30gのたんぱく質摂取を
「特に、朝食を抜いている人や、卵、肉、魚、大豆製品、乳製品などたんぱく質が多い食品を朝食にとっていない人は、たんぱく質が不足している可能性が高いと思われます。たんぱく質はためておけず、夕食などにまとめて大量にとっても、利用しきれない分は排出されてしまうからです。たんぱく質不足を防ぎ、効率良く筋肉を増やしたり体内のたんぱく質を働かせたりするためにも、食事は抜いたりせず、朝昼夕毎食20〜30gを目安にたんぱく質をとることが重要です」と上月氏は強調する。
「朝食にたんぱく質が豊富な食品をとるようにするだけで、ほとんどの人はたんぱく質不足が解消されるはずです。ただし、昼食がそば、うどん、パスタなど麺類中心の人もたんぱく質不足に陥りやすい面があります。麺類を食べる場合は具に卵、肉、魚介類が入っているものにしたり、おやつにサラダチキンやチーズ、ギリシャヨーグルトを食べたりするなど、たんぱく質を積極的にとるように心がけましょう」(上月氏)
[日経Gooday2023年2月13日付記事を再構成]
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