クボタ、23年12月期上方修正 北米好調で最高益
クボタは4日、2023年12月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比28%増の2000億円になる見通しだと発表した。2年ぶりの最高益を見込んでいた従来予想から140億円上積みする。ショベルカーや住宅建設などで使う小型建機の販売が北米で伸びる。前期は原材料高が重荷となっていたが、海外を中心に値上げを浸透させて吸収する。
売上高は10%増の2兆9500億円になる見通しで、従来予想から500億円上方修正した。営業利益は33%増の2850億円を見込む。
けん引役となっている建機は、1〜6月期の売上高が3119億円と前年同期比41%増えた。米国では住宅ローン金利の上昇が落ち着き、住宅建設に使う建機の需要が盛り返している。「来年にかけても引き続き堅調に推移する」(北尾裕一社長)。販売先であるディーラーの在庫も逼迫していたが、生産体制を整えて供給を増やしている。
農機も堅調だ。22年4月に連結子会社化したエスコーツクボタ(旧エスコーツ)では、インド市場などで低価格のトラクターを販売してきた。9月以降にクボタの技術を生かした防水性能のある新ブランドを発売する予定だ。インドで調達した安価な部品を他地域の工場で活用することも視野に入れており、すでに一部のユニット部品は北米に出荷している。
値上げ効果も浸透してきた。トラクターや建機などを製造するために必要な鉄鋼などの原材料高が続いているものの、「値上げは通期で1200億円あまりの営業増益要因となる。(原材料の高騰分を)カバーできている」(北尾社長)と話す。
為替相場が円安で推移していることも利益の押し上げ要因となる。足元の為替相場を受けて想定為替レートを2月時点の1ドル=125円から、132円と円安方向に見直した。
今後の為替の動向については、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化したことを念頭に、「日米の金利差の縮小が与える影響を注視しており、円高に振れるリスクも加味している」(吉川正人副社長)という。
同日発表した23年1〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比41%増の1288億円だった。1〜6月期としては過去最高だった。売上高は21%増の1兆5200億円だった。
未定とした1〜6月期の配当(中間配当)は24円と前年同期から2円増やした。期末配当は未定としている。併せて5日から12月18日まで100億円を上限に自社株買いを実施することも発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の0.5%にあたる600万株を上限に取得する。