大卒内定率72.9% 10月時点、学生優位続く
文部科学省と厚生労働省は15日、2025年春に卒業を予定する大学生の10月1日時点の就職内定率が72.9%になったと発表した。前年同期比1.9ポイント減で、4年ぶりに低下したが、08年のリーマン・ショック後では6番目に高い。文科省担当者は「学生優位の『売り手市場』が続いている」としている。
同時点の内定率は、新型コロナウイルス禍で企業が採用を抑制した20年に69.8%となり、5年ぶりに7割を下回った。21年以降は回復を続け、23年は74.8%だった。
両省の調査では、最終的な就職先を決めていない学生を内定者として集計していない。内定率の前年同期からの低下には、複数の内定を得た学生の増加が影響した可能性がある。
就職先を決めていなくても内定者として集計しているリクルート就職みらい研究所の調査によると、同時点の内定率は95.9%。前年同期比で3.9ポイント増だった。2社以上の内定を得た学生は同3.4ポイント増の66.0%だった。
日本経済新聞社が10月にまとめた調査では、主要企業の大卒内定者(同時点)は24年春入社数と比べて4.0%多く、3年連続で増えた。インバウンド(訪日外国人)需要が好調なホテル・旅行や脱炭素化を進める鉄鋼などの業種で大きく伸びていた。
両省の調査による内定率は、男子が前年同期比2.4ポイント減の71.5%、女子が同1.3ポイント減の74.5%。文理別にみると、文系が同2.2ポイント減の72.8%、理系が同0.6ポイント減の73.1%だった。地域別で最も高かったのは関東で、83.6%と同0.8ポイント上昇した。
両省は今後、12月、2月時点の大卒内定率を公表する。最終的な4月時点の状況は就職率として公表する。24年卒の就職率は98.1%で調査開始以来、過去最高を記録した。