読売新聞、米AI新興パープレキシティ提訴 検索サービスで著作権侵害

読売新聞グループ本社は7日、生成AI(人工知能)を用いた検索サービスを提供する米新興パープレキシティを東京地裁に提訴したと発表した。AI検索による記事の無断使用が著作権を侵害しているとして、約21億6800万円の損害賠償などを求めた。AI検索を巡り日本のメディアが訴訟を起こすのは初めてとみられる。
AI検索はインターネット上で公開されている内容を取得し、要約して文章として提供する。従来のキーワード型検索に比べてユーザーの利便性が高い半面、著作権で保護されているコンテンツを無断で使う恐れが指摘されていた。
訴状によると、パープレキシティは2025年2〜6月に読売新聞オンラインの記事11万9467本の情報を取得・複製し、類似性のある文章や画像を含む内容を作成して利用者に送信。著作権法が規定する複製権や公衆送信権を侵害したほか、利用者が参照元のウェブサイトを訪れない「ゼロクリックサーチ」によって営業を妨害したとしている。
損害賠償のほか、データ収集事業者などサードパーティーを含む記事の複製差し止めも求めた。
読売新聞グループ本社広報部は「多大な労力と費用をかけて取材をした成果である記事などの著作物が大量に取得・複製され、生成AIによるサービスに利用されていた事実は看過できない。このような『ただ乗り』を許せば、取材に裏付けられた正確な報道に負の影響をもたらす」とのコメントを出した。
パープレキシティは米オープンAIの技術者が22年に設立した。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏や米エヌビディアなどが出資し、AI検索の有力なスタートアップとして注目を集めている。全世界で1500万人超の月間利用者を抱え、国内ではソフトバンクが提携して契約者向けにAI検索サービスを提供している。
一方で、権利侵害に懸念を示す報道機関は少なくない。海外では米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を傘下に持つダウ・ジョーンズなどが24年10月、著作権を侵害されたとして損害賠償や記事の利用停止、データの廃棄を求めてパープレキシティを提訴した。

文章や画像を自動作成する生成AIに注目が高まっています。ChatGPTなど対話型AIやMidjourneyなど画像生成AIがあります。急速な拡大を背景に、国際的な規制や著作権に関わるルールなどの策定が急がれています。
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