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書評『私たちは電気でできている』サリー・エイディ著
生体科学と研究者の叙事詩
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脳が電気仕掛けであることは、神経科学者の端くれとして知っていた。ただ、他の多くの身体のしくみも同様に電気仕掛けであることには心底驚いた。心臓が左側にあり、トカゲの尻尾が再生するしくみ。傷が自然治癒するしくみ等々。まさに、タイトルに偽りはない。
本書は、気鋭のサイエンスライターが生体電気の科学史を縦糸に、その発展に生涯を捧(ささ)げた者たちの物語を横糸に綴(つづ)る一大叙事詩だ。時代の波に翻弄され...