核融合発電とは 原子核同士を合体させ発電、CO2出さず
きょうのことば
▼核融合発電 原子核同士を合体させてエネルギーを生み出し発電する技術。燃料の重水素は海水中に豊富にあるため低コストで莫大なエネルギーを得られる。化石燃料を燃やさないので二酸化炭素(CO2)が発生しない。

水素は数千度以上になると水素原子核の陽子と電子が自由に飛び回る「プラズマ」の状態になる。プラスの原子核同士は反発して合体しないが、1億度以上になると接近して核融合する。この反応時に出る熱で蒸気をつくり、タービンを回して発電する。

原子力発電は核分裂の連鎖反応を利用し、制御がうまくいかないと事故につながることもある。核融合は燃料不足になると核反応が止まるため比較的制御しやすい。反応により設備の一部が低レベルの放射性物質に変わるが、敷地内などで数十年保管すれば放射能レベルが低下し炉材料として再利用できる。核融合は世界で50年以上の研究の歴史があり、40社以上のスタートアップがあるとされる。技術確立のめどは立ったものの、連続で核融合反応を起こした事例はまだなく、実用化は早くて2030年代になりそうだ。

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