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旭化成、水素製造用膜の新工場 兼用設備でリスク軽減

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旭化成は18日、水素を製造する水電解装置向けの膜などの生産設備を新設すると発表した。川崎市内の工場で2028年度の稼働を予定し、投資額約350億円のうち政府から最大114億円の助成を受ける。水素向けだけでなく食塩電解用向けなど既に手掛けている製品も生産できる兼用設備にする。水素需要を見通しづらい事業環境を見据えた生産体制を整える。

旭化成は水素製造のためのアルカリ水電解システムを開発しており、今回はそのなかで電解槽の電解膜と枠の製造設備を新設する。水素関連事業で商用化向けの設備投資は初めて。経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択され、最大で全投資額の3分の1にあたる補助金を活用する。

アルカリ水電解システムは水を電気分解し水素と酸素を発生させる仕組みで、旭化成が長年手がける食塩水を電解し塩素などを製造する食塩電解システムと原理が近い。新設する設備では水電解用だけでなく食塩電解用向けの膜や枠も生産できるようにした。新設備の年間生産能力は2ギガ(ギガは10億)ワットで、既存の食塩電解用の生産設備と合わせて3ギガワットとなる。

旭化成は水素関連事業を成長領域の一つに据え、30年前後に1000億円規模の売上高を目指す。将来的な成長が見込まれるが、足元では採算が見込めず事業化を断念する事例や、最終投資決定に至らなかったプロジェクトもある。水素事業の立ち上がり時期が想定より遅れる可能性もあることも想定し、一時的に食塩電解向けの生産を増やすなど調整し稼働率の低下を防ぐ。

30年時点の世界の年間水電解槽導入量は約31ギガワットとされる。そのうちの半分を占めるとみられる欧州や北米、中国以外のアジア地域を主なターゲットとし、それらの市場での20%のシェア獲得に合わせた生産体制を整える。

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