DMMビットコイン482億円流出、金融庁は原因究明求める
DMM.com(東京・港)グループで暗号資産(仮想通貨)交換業を営むDMMビットコイン(同・中央)は31日、ビットコインが不正に流出したと発表した。流出額は482億円相当で、流出した顧客のビットコインはグループ会社の支援のもとで全額保証する方針も明らかにした。
金融庁は資金決済法に基づく報告徴求命令をDMMビットコインに出し、原因の究明や顧客の保護を求めた。
警察当局も流出の発生を把握し、情報収集を始めた。DMMビットコインは発表資料で「被害状況の詳細は引き続き調査中」と説明した。記者会見の有無など今後の対応については「(ウェブサイトに掲載した)お知らせの内容以外で決まっていることはない」とコメントした。
DMMビットコインはビットコインなど40弱の仮想通貨を扱う交換業者だ。同社の2023年3月期の事業報告によると、37万の顧客口座を抱える。不正流出を受け、新規口座開設の審査や、現物取引の買い注文の停止など一部のサービスを制限した。
同社によると、不正流出を検知したのは31日午後1時26分頃。不正流出した数量は約4500ビットコインと判明した。不正流出対策は実施したものの、追加の安全確保のため一部サービスを停止したという。
暗号資産交換業者からの仮想通貨の流出事案は過去にも複数回発生している。14年にマウントゴックスから480億円、18年にはコインチェックから580億円が流出した。21年にリキッドから100億円が流出して以降は国内交換業者からの流出事案は発生していなかった。金融庁が交換業者に業務改善命令を出した事例もある。
過去最大の流出額となったコインチェックの事案では、18年1月に同社が顧客から預かっていた「NEM」と呼ばれる仮想通貨が不正アクセスにより外部へ送金された。同社従業員の端末がマルウェアに感染し、管理するためのパスワードにあたる秘密鍵を盗まれた。NEMの保有者に対しては日本円で返金された。
コインチェックの巨額流出は交換業者に対する規制の強化につながった。政府は19年の法改正で、顧客の仮想通貨を、ネットワークから遮断された「コールドウォレット」など信頼性の高い方法で管理することを義務付けていた。
DMMビットコインは、16年に「東京ビットコイン取引所」として設立され、17年に暗号資産交換業の登録を受けた。23年3月期の通期決算では、仮想通貨の売買などで19億円の営業収益を計上した。
ビットコインを巡っては、ビットコインで運用する上場投資信託(ETF)が米国で登場するなどして投資家からの引き合いが強まり、3月に価格が1000万円を超えて過去最高を記録した。国内交換業者での仮想通貨の口座開設者数も増加傾向にあった。
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