債券の流通市場 投資家は証券会社と相対で売買
キソから!投資アカデミー 債券・金利③
発行された債券を償還まで売買するのが流通市場です。流通市場での売買に基づいて決まる国債利回りは、銀行の住宅ローンの金利を決定する際に参考にされるなど、私たちの生活にも広く影響を及ぼしています。
債券は、上場株式のように証券取引所で売買されているのではなく、主に投資家と証券会社が相対で取引しています。債券の保有者は金融機関などの機関投資家が中心で、売買の参加者が限られているためです。
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相対取引のため、投資家が売買したい債券価格は、証券会社によって異なるのが一般的です。特に流動性の乏しい一部の社債や地方債などでは、証券会社によって売買の価格に大きな開きがあります。投資家は複数の証券会社の中から、最も有利な値段を提示したところを選んで注文を出します。
証券会社は投資家との売買を円滑にするため、常にある程度は債券の在庫を抱えています。しかし証券会社にとっては在庫が多いほど、多くの資金が必要になるうえ、価格の変動で損失がでるリスクも高まります。
このため、証券会社がすぐに必要とする債券を仕入れたり、必要以上に抱えてしまったりした在庫を売るといった、証券会社同士の債券売買を仲介するための業者間市場も存在します。「業者間の仲介業務をする業者」という意味でブローカーズ・ブローカーと呼ばれる専門証券会社がこの業者間市場を運営しています。
代表例は1973年に各証券会社が出資し設立した日本相互証券です。同社では国債のほか地方債、普通社債など様々な債券を扱っており、流通市場の重要なインフラになっています。
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